１９

　優しく、そして暖かく包まれ、僕は快感に没していた。彼女の口の中で僕のモノは勃ち上がり、ただされるがままに愛撫を受けていた。
「あ、風花さん…」
　僕の前に跪いてモノを舌で愛撫する風花さんを、二人の女性がぼーっと見つめているのが印象的だった。
　聖架さんのほうは、（僕がやったのだが）全裸のまま体をふるわせながら見ている光景が、僕の興奮を誘っていた。
「ね、ねぇ、風花姉さん…」
「…ん？」
　僕のモノを含んだまま、風花さんが弓華ちゃんに返事をした。
「わ、わたしも…していいかな…？」
　（えっ？）
「なんだか、風花姉さんを見ていたら…わたしも、欲しく…なっちゃた…」
　弓華ちゃんが顔を真っ赤にしていったセリフは、以前の彼女からは信じられないものだった。
「ん…ほら、わたしの隣に」
「うん」
　風花さんに好き放題に刺激された僕のモノはやっと口の中から解き放たれ、ぴん、と上を向いた。
　ところが、今度は二人して僕の目の前に陣取り、左右から舌先を使って舐め始める。
「ふ、二人とも、何をやってるんですか…」
　聖架さんが弱弱しい声で妹達を止める。しかし、僕の目の前の同じ顔をした二人は、舌先の律動を止めようとしなかった。
「い、純水くん…これが…これがわたしの中に入ってたんだね…」
「なんだ弓華、もう済ませてしまっていたのか。どうだった？」
　いったん動きを止め、姉妹でとんでもないことを話し合う二人。ここにいる二人とも、僕が『最初の男性』になってしまった。そして、今二人の向こうにいる聖架さんも、先ほどの快感やまぬ、という状態でベッドに横たわり、わずかに体を持ち上げてこちらを見ていた。

「純水くん…ねぇ、気持ち…いい？」
　ためらいがちに聞いてくる弓華ちゃんの表情が可愛い。僕のほうは、二人の刺激が気持ちよくないわけなどなく、返事にならない返事を返すしかなかった。
　なにしろ、ちょっとでも気を抜くと一気に出してしまいそうだったからだ。
「弓華。そろそろ…。純水が出してしまう」
　風花さんのほうは、僕の様子を見て取ったのか、そう言ってさっさとやめてしまった。しかし、弓華ちゃんのほうは風花さんの言葉が聞こえなかったのか、風花さんが離れると、さっ、と僕のモノを口に含んでしまった。
「うあっ」
　ちゅっ、と先端を吸われ、僕は声を上げてしまった。勢いで射精してしまいそうなのを必死にこらえる。
「弓華」
　どこかお姉さんらしい微笑をたたえた風花さんが、とうとう弓華ちゃんを引き離してしまった。
「ん…ごめんなさい、つい、夢中になっちゃって…」
　今度の弓華ちゃんは、恥ずかしさで顔を赤くしてしまっていた。

「さ、聖架、待たせてしまったな」
　どこか間が抜けているようにも思える表情の聖架さんを見て、風花さんが言った。体を起こしているものの起き上がることはできなかったらしく、聖架さんはベッドの上で、僕の前でその綺麗な裸身を横たえたままだった。
「…もう準備はいらないな」
　聖架さんの足の間を覗き込んで、風花さんが言う。あわせて僕も（失礼ながら）目をやってみると、聖架さんの秘所は、触れるまでもなく溢れかえっていた。
「み、見ないでくださ…ぁ…」
　もう、手で押さえる気力もないらしく、聖架さんは弱弱しい声で抵抗するだけだった。
「純水、聖架はもう我慢できないようだ。…聖架も、純水の恋人にしてやってくれないか？」
　僕は風花さんを見た。三つ子の姉妹とはいえ、恋敵を何人も作るというのはどういう気分だろうか。とはいえ、風花さん自身は今の状況をあまり重くは考えていないのかもしれないけれど。
　僕の最初の『彼女』は弓華ちゃんだ。しかし、風花さんがいなかったら、弓華ちゃんと体で結ばれることはなかっただろう、と今でも思う。
　そして、今目の前にはあられもない姿の聖架さんがいる。さらに、僕には今の状況を拒むことができない。
（そうだ、それは僕の意志が弱いとか、そんなんじゃなくて…）
　ゆっくりと聖架さんの亀裂に、先端を当てる。それだけで、聖架さんが『ひうっ』と声を上げた。
「あ…あぁ、主よ…わたしは、わたしは…あぁ…」
　聖架さんはシスターだ。そして、目の前の彼女は、それを承知したうえでここにいるのだろう。僕には彼女の好意や覚悟を無にすることはできない。
「聖架さん…っ」
「…あっ…ひっ…ああぁーーーっ！！」
　先端に力を入れ、突き入れる。

　他の二人に比べて、かなりたっぷりと濡れていたせいもあるのか、僕のモノはにゅるり、と滑らかに彼女の中に入り込んだように思えた。
　が、やはり締め付けは凄まじく、先ほどの愛撫で敏感にされた僕は、あっという間に射精しないように気を配らなければならなかった。
（えっ！？）
　不意に、聖架さんの上半身が大きくびくん、びくん、と何度も跳ねた。
「あっ…あ…ひゃああん…ッ！やっ…！」
　同時に僕のモノもこれ以上ないほど締め上げられた。
「うああっ！」

　僕とつながったまま、聖架さんはぐったりとしてしまった。けれども意識を失ったわけではなく、『あっ…』とか小さい声を発しながら僕をうつろな目で見上げている。
「…聖架、入れただけでイッてしまったのか」
　風花さんが驚いたように言った。もっとも、本当に驚いているのかは分からない。
「はっ…はぁ…っ…はぁい…い、入れられただけで…気持ち…よくて頭が真っ白に…あぁっ…」
　聖架さんは両手で顔を覆ってしまった。目の前でイッてしまったことがよほど恥ずかしかったのだろうか。
「聖架、まだ、できるか？」
「はっ…はぁっ…」
　僕はどうしたらいいか分からず、まだ聖架さんの中にいた。いや、どうしたらいいか分からなかったのも事実だが、たっぷりと溢れた聖架さんの膣内はとても暖かく、いつまでもこうして彼女の中にいたかったのも事実だ。
　さらに先ほど絶頂に達してしまったせいもあって、彼女の溢れ方は尋常ではなく、秘所を突き通した僕のモノの隙間を通って膣の外へとあふれ出てしまい、まるで漏らしているかのようにも見える。
「い…純水さんは…どうですか？」
「え？僕？」
　僕の頭は上手く動いてくれない。
「純水さんは…わたしで…満足してくれました…か？」
　この質問にどう答えていいか、僕はすぐに判断できなかった。もとより彼女の中に入ったまま受ける質問ではない。が、彼女の中にいるだけで満足ともいえなくもない。
「純水」
　風花さんが僕の肩に触れた。弓華ちゃんは、床に座り込んでぼくたちを呆けたように見つめている。
「聖架さん…動いていい？」
　僕は聖架さんにそう聞いていた。
「…ゆっくり、してくださいね…？」
　遠慮がちな声に、うなずいてから、僕は初めて彼女の中を往復した。
「うあっ」
　先に声を上げたのは聖架さんだった。同時に僕のモノからも快感が走った。彼女の膣内の襞一つ一つが僕に絡みつき、締め上げてくる。
　もはや膨れようもなくなるほど膨張した僕のモノは、極限まで敏感になり、彼女の膣内でいつ発射してもおかしくない状況だった。
「あっ、あっ、あっ、激しい…ッ！」
　突き上げるたびに彼女の秘所から愛液が溢れ、シーツを塗らした。僕は後先考えずに聖架さんの体を求めていた。
「ああっ、そんなにしたらッ、わたし…、また…ッ、あっ、イッてしまいます…ッ」
　顔を大きく左右に振り、髪を振り乱す聖架さんの姿は、女神に見間違うほどの美しさだった。額や頬にうっすらと浮かんだ汗の光が、彼女の美しさをさらに際立たせていた。
　同じ顔の三姉妹なのに、まるで別人に見えたそのときだった。
　興奮しきった僕は、聖架さんのその豊満な乳房を、両手で掴んでいた。自分でも信じられない行動に出ていたと思うけれども、聖架さんは何も言わずに僕の行為を受け入れてくれた。
「あっ…む、胸…」
　綺麗なピンク色をした先端を、優しく揉み解す。今までの刺激からなのか、すでにそれは堅く立ち上がっていて、乳房のボリュームもあって、すぐに母乳が出そうな気さえしてくる。
　綺麗な形をした乳房は、芯の通っているふっくらとした柔らかさで、揉んでも形が崩れずすぐにまた上を向いた。
「純水さん…ッ、ああっ！わたし…わ、わたし…ッ！」
「聖架さん…僕…もう、出るッ…！」
　最初のころからさらに激しく腰を動かしていた僕は、彼女の締め付けに耐えられなくなり、あわてて彼女の中から腰を引いた。

「ああっ！純水さん…わたし…」
　僕の先端から放たれた白濁液は、彼女の秘所の上辺りを大きく汚していった。間一髪だった。
　息切れしていた僕は、聖架さんが、自分の体の上にかかった精液を指で拭うのを見ていた。そして、それを口元へと運ぶ…。
「はぁ…はぁ…わたし…」
　聖架さんも、快感が冷めないのか、それともただ単に疲れたのか、息切れしていた。そして、まるでうわごとのように僕に向かって呟いた。
「わたし…幸せ…です…」
　聖架さんの両目が閉じられると、彼女は指で拭った精液を舌でゆっくりとなめ取り、そのままがくん、と力を失ってしまった。

「おねえちゃん…気持ちよさそうだったな…いいなぁ…」
「ふふ…聖架もようやく、純水と恋人同士になれたというわけだな」
　ニコリとして言う風花さん。戸惑う自分もあるものの、彼女の言動に慣れてきた自分もいる。
「三人とも、僕でよかったの？」

「少なくとも、わたしたち三人は純水が好きだ。それでいいじゃないか」
　あっけらかんとした答えが返ってきた。
「そんなことよりも、まだやることがあるだろう？」
「え？」
　風花さんの言葉に、僕は顔を上げた。やっぱり頭が上手く動いてくれない。
「…今のを見て、わたしも欲情した。まだ勃つか？わたしの中にも入れて欲しい」
「わわわっ！風花姉さんっ！」
「わたしのほうはいつでもいい。勃っていないなら舐めて…」
　風花さんがとんでもないことを言いかけたとき、ピピピ…という音が鳴り響いた。
「…無粋な電話だな。これからわたしの番だったというのに」
　かなり残念そうな顔をして、風花さんがスーツのポケットから携帯電話を取り出す。
（…社長、か…）
「…わたしだ。…ああ、氷室か。首尾はどうだ？」
　貿易会社の社長だという風花さんのことだから、仕事の関係の電話だろう。考えてみれば、よく時間を割いてこんなところに来ることができたものだ。
　いや、彼女の場合、僕に合うためには毎回毎回どこかで仕事の時間を割かなくてはならないだろう。
「…そうか。いや、それで済んだのならそれでいい。今回は素直にわたしの手落ちだからな。できれば氷室の手は借りたくなかったが」
（わたしの手落ち…？風花さんでも失敗をすることがあるんだな）
　…と思ったものの、風花さんはあまりに若すぎる社長だ。それなりに失敗があるのは仕方がないし、誰だって失敗はするものだ。会社経営となればなおさらだろう。
「…そうか。これ以上面倒があるようなら、わたし自身がカタをつけるつもりでいる。…ああ、気をつけて動いてくれ。…お互い、な」

　風花さんの電話はそれで終わりだった。僕が聞き取ったのはもちろん、風花さんの言葉だけだったものの、どこか悲しげなその表情に、僕はなぜか胸を打たれた。
「…すまない。用事ができた。お預けになってしまったな」
　本当に残念そうなのは相変わらずだ。
「邪魔をした。弓華。聖架が目を覚ましたら、連れて帰ってやってくれ」
「え？あ？うん」
　あっけにとられている弓華ちゃんを尻目に、風花さんはさっ、と優雅に立ち上がると、僕の横を通り過ぎ…るところで抱きついてきた。
　そして、抵抗する暇もなく、唇を押し付けられた。
「んっ、んっ…んぅ…」
　色っぽいあえぎ声。そして、唇から伝わってくるほんのりと甘い味。少し火照った風花さんの顔が色っぽい。
「ふぅ…」
　最後にもう一度だけ僕の唇を優しく吸うと、風花さんの顔が僕から離れた。
「…今日はこれで我慢させておく。次に合うときは…これを、わたしの中に…ね？」
　風花さんの手が、僕の股間をすっ、と優しく撫でると、彼女はあっという間に僕から離れ、玄関から外へと消えてしまった。

　後には、ぼーっとしている僕、あっけに取られた弓華ちゃん、そしてまだ目が覚めない聖架さんが取り残されたのだった。