| ３７ 「ひょっとして、入れられただけでイッてしまったんですか？」 …と聖架に言われたとき、わたしは以前…聖架が始めて純水と交わったときのことを思い出していた。今回は逆の立場だ。 （まさか、わたしが純水に入れられただけでイかされるとは…） 体の中に入り込んだ異物を、膣壁が、襞が必死に追い出そうと収縮を繰り返す。しかし、わたしにとっても純水にとっても、それは単なる快感を呼び起こす現象にしかすぎない。 絶頂が治まったあとも、わたしの膣はしっかりと純水のモノを締め付けているのがよく分かった。 「…あっ、や、やめ…っ、弓華ぁ…そこは…ッ！？」 聖架に押さえつけられて動けないわたしの胸に、弓華が顔を近づける。そして、妹の舌が、無防備なわたしの乳首に触れた。 「ふぁ…っ！」 本当に触れただけのような舐め方だったのに、わたしの体には凄まじい快感が走っていった。先ほどイッたばかりのせいもあるのだろうか。 「風花姉さん、ここすごく敏感なんだね」 わたしの反応を試すかのように、弓華が舌をちらりちらりと動かして乳首を刺激してくる。まずは右、そして左…。 「ひぅ…あっ…んっ…」 実の妹に舐められ感じている姿を、純水に見られているのがとても恥ずかしい。それでも、弓華が与えてくる刺激と快感に耐えられず、わたしは声を抑えられない。 「純水さん、動いてあげてください。このままだと、風花が弓華にイかされてしまいます」 「う、うん」 ためらいがちにうなずく純水。今まで止まっていたものの、体に食い込んだモノのほうは萎える気配すらなく、わたしの中で硬く立ち上がっている。 「…純水…」 わたしの腰を優しく支えつつ、純水が前後運動を開始する。先ほどイかされたばかりのわたしの膣内はまだ敏感で、突き動かされるたびに、絶頂まで引きずり込まれそうなほどの快感が突き抜けていく。 「あっ…ああっ、純水…、純水…っ」 「風花さん、気持ちいい？」 「…ああ…っ。純水のが奥に来るたびに、イきそうになる…あっ！」 「…風花さん、僕も…僕もイきそうなんだけど…風花さんの膣内で…いいかな？」 ゆっくりと腰を動かされながら言われたので、わたしは純水がなんと言ったのか一瞬よく理解できなかった。 今まで、自分から『膣内でいいかな？』と聞いてきたことはなかったからかもしれない。 「純水…わたしの中でたくさん出して…！できてしまってもいいから…！」 「…イくよ！」 純水の言葉とともに、その動きが強く、そして激しくなっていく。そんな中、聖架と弓華の二人がわたしの乳房に抜け目なく愛撫を加えてくる。 全身が性感帯になってしまっているわたしは、三人の責めを感じ取り、背筋をのけぞらせていた。 「ひああああぁっ！イくっ！イッちゃう！！」 「風花さんッ！」 二つ同時に上がった絶頂の声とともに、純水のモノがわたしの奥深く…子宮口に食い込んだ。射精の寸前に絶頂に達してしまったわたしは、イッてさらに敏感になった子宮と膣内で、純水の熱い精液を受け止めなければならなかった。 果たして、それは凄まじい快感をわたしに呼び起こしていく。 「ああーーーっ！イッてるのに、わたしの中に出てる…ッ！熱い…ッ、熱いのぉ…ッ！」 恥ずかしげもなく、わたしは声を上げていた。いや、本当は恥ずかしかったのだろうけれども、そんなことにかまっていられなかった、というのが実情だろう。 「ふ…風花さん…もう少し出る…ちょっとだけ我慢して」 「ああ…純水の…純水の精液が…たくさん、出て…」 わたしの息は絶え絶えになっていた。 純水の長く、そして大量の射精が終わっても、わたしたちはしばらくつながっていた。わたしの入り口が純水のモノを強く締め付けていたのと、あれだけ射精したのに、純水が萎えなかったせいだ。しかし、もはや動けなくなっているわたしを見下ろしたまま、純水は行為を続けようとはしなかった。 度重なった絶頂に、体を起こすだけの力が出ず、激しかった快感の余韻でまだ体の痙攣が止まらない。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 「…風花、実は女言葉も使えるんですね…ちょっと感心しました…」 「はぁ…お前たちは、一体わたしを何者だと思っているんだ…」 ようやくモノが引き抜かれた後で、聖架の言葉に愚痴を返す。 「…ん〜…美人で強くて優しくて何でもできてカッコよくて…」 「そこまで言われるとさすがに歯が浮くな…」 とりあえず弓華の言葉に答えるだけの余裕ができたところで、わたしはやっと体を起こした。 「さて…わたしはたっぷりと出してもらったから、次は…聖架か、それとも弓華にするか？」 「さすがに、純水さんが疲れて…ないですね…」 純水に振り向いた聖架が、頬に手を当てて顔を赤らめる。彼女の言うとおり、わたしの中に大量に射精したにもかかわらず、純水のモノはまだ硬く勃っていた。 「…じゃあ、次は聖架だな」 「え？わたしじゃなくて？」 わたしの言葉に、あからさまに不満を表す弓華。そういえば、この中で純水に触れていないのは弓華だけだ。しかし…。 「聖架だけは、膣内に出してもらったことがないからな。純水が枯れる前に、一度やってもらっておいたほうがいい」 「ちょ、ちょっと！」 乗り気なのかその気はないのかよく分からない聖架が、首をぶんぶんと横に振る。さすがに中は抵抗があるのだろうか？ 「膣内に出すのは…安全日の時で、って…」 「わたしの鞄のなかに、避妊薬が入っているから、それを飲んでおけばいいさ」 そういいつつ、わたしは持ってきた鞄の中から薬を取り出す。 「…飲んできました」 「結局、する気だったんじゃないのよ〜」 洗面所から戻ってきた聖架を、弓華がからかう。 「わたしだって、純水さんの…彼女ですから」 セリフはどこか過激だが、聖架が見せる微笑はいつも清楚さに溢れている。それがどこか儚げに見えるのは、一度はわたしと同じ職業に携わったからなのだろうか？ 「ねえ、風花姉さん、あんなものいつも持ち歩いているの？」 「いや、前使ったのをそのまま持っていただけだが…。しかし、今後純水に会うときは持っていたほうがいいかもしれないな」 聖架が純水に『脱がされている（とはいえ、二人ともぎこちないのだが）』間、残されたわたしたちはつまらない会話を交わす。 共通の恋人を持っている中、こうやって仲良く会話ができるのは、わたしたちが姉妹だからだろう。 いや、たとえ三つ子の姉妹だからといっても、今のように抜け駆けも痴話喧嘩もなくすごしてこられたのは、やはりわたしたちだから、というのと、わたしたちが愛した人が…純水だったからだろう。 「あ痛ッ！」 「あっ、ご、ごめん、聖架さん、大丈夫？」 突然聖架が上げられた痛みを訴える声に、わたしたちは思わずベッドの上を振り向いた。 そこには、半裸にされて胸を押さえる聖架と、そしてあわてふためく純水がいた。 「どうしたの、大丈夫？」 「あ、だ、大丈夫です…ちょっと、ブラジャーがはじけちゃって…」 わたしは苦笑した。…本人も言っていたが、大きすぎるのも考え物かもしれない。 アクシデントがあったものの、聖架が全裸にされてベッドに横たえられるのに、それほど時間はかからなかった。 弓華ではないが、仰向けに寝ても型崩れしない聖架の大きな乳房は、わたしにとってもやはり羨ましいものだ。ことさら、さっきのを見せられては。 「…純水さん」 「うん…」 聖架の細い脚が広げられ、そこに純水が入っていくのを、わたしと弓華はベッドの下から呆けたように見ていた。 しかし、突然に後ろから肩を引っ張られ、わたしは悲鳴を上げた。 「わっ！」 背中が床に当たる感触。わたしの肩を引いて倒したのは、弓華だった。 「こら、何をする…」 「…だって、わたしだけ…純水くんの、もらってないもん。だから…」 別にのけ者にしたわけではないが、順番的には弓華が一番最後になってしまっているのが気に食わないらしい。 「だから、風花姉さんの中のを…頂くね」 「えっ？」 わたしの返事を待たないうちに、わたしの脚が、ちょうどベッドの上の聖架と同じように広げられ、そこに実の妹の顔が入ってくる。 「ちょっ…や、やめ…ッ！？」 言葉が終わらないうちに、下腹部に生暖かいものが這う。 「ああっ…あんっ…」 どうやら、聖架と純水のほうも始まったらしく、聖架の高い声が漏れるのが聞こえる。 「ゆ、弓華っ…そんなところを舐めるな…あっ、こらっ…吸うな…ああっ！」 亀裂の中に舌を差し込まれ、わたしは快感のあまりに声を上げていた。純水にイかされたばかりで敏感になっているそこを、弓華はあろうことか唇を直接つけて吸い上げてくる。 「…ん…純水くんの味がする…。おねえちゃんも、気持ちよさそう…」 どこか倒錯したような表情で、弓華が言う。わたしはベッドの二人を仰ぎ見つつ、妹が与えてくれる快感へと埋没していった。 そして、わたしが絶頂に達するまでにはそう時間はかからず、ベッドの上の聖架が達するよりもかなり早くイッてしまったのだった。 「…まったく、さっきの聖架じゃないが、どこで覚えたんだ。女の性器を舐める技術なんて、わたしは教えた覚えがないぞ」 「そんなの教わったことがあるわけないじゃないのよ」 向かい合って床に座り込み、快感の余韻に浸っていると、弓華がわたしに抱きついてきた。 「…こら、まだしたいのか？」 「…違うよ。ただこうしていたいの」 「そうか…」 この中では唯一服を着ている弓華の体を受け止めてやる。彼女が何を言いたいのかは痛いほどに分かる。 いかに達観していても、わたしという存在は数年以内に消える。そして、わたしにとっての弓華、聖架…そして純水という存在の記憶も、わたしの死とともに消えていってしまうのだ。 「…風花姉さん、いなくなったりしないよね…わたし、絶対嫌だよ…死んじゃったりしたら許さないから。…絶対に、許さないから…」 「…弓華…」 わたしは、言葉を出すことができなかった。 生まれながらの病と戦うために、人を殺め、傷つけてきた自分。『それは運命だから』と諦めていた自分。 …そして、純水に恋し、姉妹に心配され、死ぬ恐怖におびえる自分…。 （…皮肉だな。わたしは今まで、自分の人生を達観しきっていたつもりだったが…ここにきて、自分の体を恨めしく思うとは…） 妹の体を抱きしめながら、わたしは自嘲めいた笑みを浮かべずにいられなかった。 だが、その『達観を通り越して諦めていた自分』は、聖架、弓華…純水、そしてわたしを支えてくれたあらゆる人たちの手によって、変わっていった。 「…弓華。わたしは…まだ生きている。残る命が少ないのは百も承知だが、残る命を無駄にはしないつもりだ。 それにたとえわたしが死んでも、わたしがいたという事実は変わらない。聖架という姉が、弓華という妹がいた、という事実だって消えない。 だから、悲しまなくていい。わたしはいつでも…弓華の姉だ…」 「…風花、姉さぁん…」 涙ぐむ弓華をもう少し強く抱きしめていると、（すっかり忘れていたのだが）ベッドの上の聖架が絶頂の声を上げた。 |
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| 2007.11.7掲載 |
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