| ３８ あるいは、それは現実逃避だったのかもしれません。確かに、純水さんと風花の行為を見て興奮したのは事実ですし、自らの体を以って純水さんを喜ばせることを望んだのも事実です。 ですが、わたしは自分のことを、この状況でこういうふうに積極的になれる人間ではない、と思っています。 わたしは姉として、風花、弓華のことを何でも知っているつもりでした。無論最近になってバラバラに暮らすようになってからは、知らないことができるのも当たり前の話でしょう。 しかし、風花はずっと隠し続けていました。自分の命があとわずかだということを。そして、彼女が自分から話したことで、わたしは同時に理解しなければなりませんでした。 『もはや、わたしの力ではどうすることもできないこと』を…。 おそらくは、弓華も同じ思いだったでしょう。だからこそ、自分だってほしいはずなのに、『今日は主役だから』と風花を優先させたのでしょう。 もっとも、それが今の風花にとって幸せかどうかは分かるはずもありません。風花は風花であって、わたしとも弓華とも違うのですから。 バッド・スクエアに携わり、社会悪にも携わってきたとはいえ、死を間近に控えつつも周囲に怯えも恐怖も見せない妹のことを、わたしは『強い』と認識せざるをえませんでした。誰にも話さず、誰も頼らず、風花という存在は自分の命と戦い続けていたのです。 （わたしは…わたしは、風花の姉として…失格です） 姉として、風花の『もう一つの』苦悩に気づくことができなかったわたしは…。 「あ痛ッ！」 現実に引き戻されたのは、ブラジャーがはじけて乳房に痛みが走ったときでした。 「だ、大丈夫？」 「あ、大丈夫です。ちょっと、ブラジャーがはじけちゃって…」 一体何度目だろう…と思いながら、脱ぐ手間がはぶけたブラジャーを枕元へ。弓華から浴びせられる羨望のまなざしがちょっと痛いです。 （このとおり、痛い思いをすることはあっても、あまり役に立たないのが現状なんですよね…） ようやっと全裸にされたわたしは、仰向けに体を横たえられ、純水さんの体を待つ身になりました。 「…ゆっくり、してくださいね」 「う、うん」 お互い緊張でガチガチになっているのがよく分かりました。無論、何度か経験しているのは分かっているのですが、すぐに慣れるものでもないのでしょう。 すこしずつ両足を広げられ、純水さんの眼前に、わたしの秘所が晒されました。 「…聖架さん、もう濡れてる」 「あ…じっと見ないでください…」 「…うん」 わたしの言葉に、純水さんは素直にうなずくと、脚の間に体を差し込んできます。硬いものが下腹部にあたり、そのままわたしの中へ入り込んでくると、わたしの膣が純水さんのモノを排出しようと抵抗を始めました。 「くああっ！！」 恥ずかしいくらいの声が上がりました。目の前の純水さんの表情も、どこか苦しそうに見えましたが、わたしにはどうしようもありませんでした。 「あ…か…はっ…」 奥まで貫かれる快感に、わたしは目を見開き、声も出せずに体を震わせていました。まるで自分の体ではないようです。 「聖架さん、奥に入ったよ」 「あっ…わ、わたしのなか…いっぱいに広がって…あぅっ…い…イッてしまうかと思い…ました…っ」 ようやく声を振り絞って出た言葉が、それでした。ベッドの下から『本当はイッたんだろう？』という声が聞こえるかと思いましたが、予想に反して返事はありませんでした。 横目でベッドの下を見ると、床に仰向けに寝かせられた風花の両足の間に、弓華が入り込んでいるのが見えます。 （…ああ、何をやってるんですか、弓華…） しかし、わたしにはすでに咎める余裕もありませんでした。 「…聖架さん、動いていい？」 「…あ、は、はい…ぼーっとしててごめんなさい」 純水さんの声に、わたしは再びそちらの方向へ引き戻されました。 （ああ、わたし…どうなっちゃうんでしょうか…） 入れただけでここまで気持ちいいというのに、純水さんはさらに動こうとしている。わたしにとってはすでに三回目の行為になるというのに、わたしはその興奮を抑えることができず、前のめりになった純水さんの方を両手で掴んで支えていました。 「あっ！はぁ…んっ…ああぁっ」 下腹部が盛り上がるんじゃないか、というほど膨れ上がったモノが、わたしの膣内をいったりきたりしていきます。そのたびに、もはや蜜壷と化したわたしの膣がいやらしい音を立て、愛液をこぼしました。 （ああっ、き、気持ちよすぎる…あぁ…） みっともなく口を半開きにして、ただ快感にあえぐだけになってしまったわたしを、純水さんが見下ろしているのがたまらなく恥ずかしくて、そして心地よく思えます。 「…聖架さん、気持ちいい？」 優しく腰を動かしながら、純水さんはわたしに聞いてきます。 「は、はい…あんっ…、気持ちよくて…や、病み付きに…なりそう…あぁ…あぁぁ…っ」 （あああ、わたしは何を言っているんでしょう…やめたとはいえ、シスターだったわたしが、こんなに、こんなに男性の前で乱れて…） 「ああっ、純水さん…」 「何？」 「…む、胸…おっぱいも…して、ください…あっ…」 頭の中では『はしたないことだ』と分かっているのに、わたしの口は勝手に次の行為を望んでいました。言ってしまった後、顔が熱く火照るのが分かりましたが、もうどうすることもできませんでした。 いったん腰を止め、純水さんの両手がわたしの乳房の上に乗せられました。 （あ、ああ…純水さんも、恥ずかしそうで…可愛い…） ためらいがちにわたしの乳房を手に包み揉み解すその表情が、わたしの官能を強く刺激し、さらに興奮させていきます。 その手が、指がわたしの乳輪や乳首に触れるたび、優しい快感がわたしを突き上げてきて、声を止めることができません。 （純水さんは…わたしの体で…感じているでしょうか…） 「純水さん」 「…うん」 わたしが名前を呼んだだけなのに、純水さんはわたしが何を考えているのかを察したように、再び腰を動かし始めてくれました。 「あんっ…あっ、はぁああっ…」 同時に乳首を指で摘まれ、体の底から矢のような快感が突き上げます。 「ああっ、お、大きすぎます…っ！わ、わたしの深いところに、ずんずん突き刺さって…あぁっ！」 （ああ、わ、わたしは幸せです…風花も、風花も…幸せなのですね。わたしと同じ、幸せを感じたんですね…） わたしたちが同じ人…純水さんに恋をしたのは、どういう理由だったのでしょうか。他人から見れば、間違いなく異端であろう関係でも、わたしたちにとっては共通の幸福でした。そして、純水さんという存在は、バラバラになってしまったわたしたちと、そして父を繋ぎとめました。 （わたしたちは…同じ幸せを共有しているんですね、風花…） 「あ、ああっ、もう、もうダメです、イきそうです、イくっ…あぁ…っ」 そんなことを考えていると、突き上げが急に速度を上げてきました。どうやら、純水さんも限界のようです。わたしの中で純水さんのモノがガチガチに張りつめ、今にも破裂しそうな状態で前後しているのが分かります。 「聖架さん、も、もう…っ、出る…ッ！」 「あっ、い、イッちゃう、イッちゃいます、イッちゃ…あああっ！？」 おなかから振り絞るようにして出た絶叫にあわせ、純水さんのモノがわたしの子宮口に食い込んだ状態で停止しました。 「うあっ！」 直後、純水さんの声とともに、わたしの中に熱い液体が注ぎこまれてきました。 「あああーーーーっ！」 同時に乳房をぎゅっ、とわしづかみにされ、わたしは連続した絶頂に体をのけぞらせていました。 「あっ、ふぁあっ、あああっ！？」 （ああ、ま、まだ出るなんて…） わたしの口の中、そして風花の体の中…今わたしの膣内に出す前に、純水さんは二回ほど射精をしているはずでした。 これが三度目だというのに、なんという量でしょうか。純水さんから溢れた大量の精液は、もはやわたしの子宮になど納まるはずもなく、膣からあふれ出ていくのが見えました。 「あ…うっ、うっ、うっ…」 （あ、ああ…これが…これが、膣内に出された感触…） わたしは、喘ぎ以外に声を出すことができず、すべての快感を体に受け止めるべく、目を閉じてじっとしていました。 しかし、体のほうはまだ絶頂の余韻があるらしく、びくん、びくんといつまでも跳ね上がり、痙攣が止まりませんでした…。 純水さんのモノが抜き取られた後もわたしはしばらくそのまま動けませんでしたが、ふとベッドの下に目をやると、風花と弓華がとんでもないことになっているのが分かりました。しかし、わたしは体を起こすことができず、そのままでいるしかありませんでした。 そんなわたしを気遣ってくれたのか、純水さんが、覆うもののないわたしの体に、布団をかけてくれるのでした…。 |
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| 2007.11.14掲載 |
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