７

「…すごい、こんなになるんだ…」
　感じたことのないような快感に、思わず放ってしまった白濁液を見て、弓華ちゃんが声を上げた。
　顔を覆ってはいるものの、指の隙間は大きく開いていて、ほとんど意味がない状態だった。
　情けないのか、それとも情けなくはないのか、風花さんの顔にまで飛ぶほどの勢いで精液を放ったにもかかわらず、僕のものはまだ彼女の手の中で大きくそそり立っていた。
　羞恥心と快感の狭間で、僕はうめき声ともあえぎ声ともつかぬ声を上げる。
「…純水、わたしのここも、純水に見て欲しい」
「えっ？」
　風花さんのほうも、顔を少し赤らめていた。同じ顔をしているのに、弓華ちゃんとは違った色気を僕に向かって飛ばしている。
　そして、風花さんは僕の返事を待たず、上着を脱ぎ始めた。
「風花姉さん、やめて」
　今度は弓華ちゃんも止めに入った。僕のほうは動くことができなかった。
　「弓華、わたしは…わたしは純水が好きだ。この体を今すぐ渡してもいいくらい好きなんだ」
　風花さんは、真顔でこういった。いったいどういう理由で僕が好きなのかは分からない。もちろん、二人とも美女だし、好かれることはむしろ嬉しい。
だが、現実はあまりにも突然のことで、事実を飲み込むどころではないのが僕の本音だった。
　あっという間にブラウスのボタンを全部はずすと、ゆっくりと僕のすぐ目の前ではだけて見せた。
　少し大きめな乳房を、薄いピンクのブラジャーが覆い隠していた。
　間近で見る風花さんの肌は、とても綺麗だった。
　風花さんの手が、僕の手を絡めとる。
　ふにっ、と柔らかい感触が僕の手に溢れた。
「ん…」
　手を胸に押し付ける行為を止めることもできず、僕はその感触をただ受け止めていた。
　積極的な行動であるものの、どこかぎこちないところがあるのは、やはり恥ずかしいのだろうか、それとも…。

「…ねえ、風花姉さん、本当に、そんなことしちゃうの…？」
「いいんだ。これで…これで、いいんだ…」
　弓華ちゃんの言葉に対する風花さんの返答は、とても意味深なものだった。どういう意図の言葉なんだろうか。
『好き』という言葉の意味とはまた違い、どこか決意と諦めの混じったような言葉にも思えた。
　しかし、そんな言葉とは裏腹に、風花さんは僕の前に覆いかぶさるような体勢のまま、下着姿になってしまった。
「…純水、わたしを…犯して…」
　僕の目の前に顔を持ってきて、ねっとりとした視線を向けてくる。僕の返事を待たず、彼女の右手が僕のものを優しく握っていた。
風花さんの体を目の当たりにした僕のものは、彼女の手の中で大きく勃ちあがり、硬くなっている。
「…風花さん、なんで、僕を…？」
　好きになったのか…と聞こうとすると、風花さんは左手の人差し指で僕の鼻先をつついてきた。
「…理由がなきゃ、ダメかしら？」
　そのときの風花さんの微笑みは、この後ずっと僕の脳裏に残り続けることになる。美しくもどこかはかなげな微笑。今までの彼女からはとても想像もつかないような、そんな微笑…。
「！」
　僕のものに、風花さんの肌が当たった。いや、もう肌ではない。僕の目の前には、左手で下着を横にずらす風花さんの姿があった。
　僕の先端は、彼女の亀裂に当たり、今にもめりこもうとしていた。
「…風花姉さん…」
　いつの間にか弓華ちゃんも、風花さんの背中すぐ後ろで僕たちを見つめていた。驚きと興味を織り交ぜたような、複雑な表情だった。
　風花さんのそこは、塗れていた。いつごろからこうなっていただろうか？いや、そんなに激しく塗れていたわけではない。
「う…あ…っ、やっ…！！」
　少し入っただけで、もう悲鳴が上がった。風花さんの膣は、急に入ってきた異物を追い出そうと収縮してくる。僕は痛いほどの締め付けにあっていた。
「…ふ、風花さん、もしかして…」
　よくよく考えればそうだっただろう。が、今までの積極的な行動から想像できなかっただけなのかもしれない。
「…あ、ああ。こんなこと、やったことがない。今日が…本当に、初めてだ…うああっ」
　よほど痛いのか、風花さんの目尻からぽろぽろと涙が零れ落ちているのが見えた。
　しかし、彼女の苦痛とは裏腹に、彼女の膣内にのめりこんだ僕のものは、凄まじいばかりの快感を訴えていた。
　ぎゅうぎゅうに締め付けられ、細かい襞に包まれ、そして暖かい愛液にまみれ、僕は思わず声を上げた。先ほど、風花さんの手の愛撫で射精していなかったら、僕はもう、彼女の中で出してしまっていただろう。
「い、純水、純水ぃ…」
　風花さんが目を閉じた。そして、その上半身を僕にぶつけてきた。腕、胸、肩の感触が温かい。僕も風花さんの体を抱きしめていた。
「…大丈夫？」
　僕は彼女に尋ねた。とはいっても、気遣いする余裕があったわけではなかった。
「…だ、大丈夫だ。なんでもない…」
『なんでもない』わけがないのは容易に分かる。
「…でも、そうやって抱きしめていて欲しい。安心できるんだ」
　なんとなく、今の風花さんをかわいらしく思えた。ある意味強引で、さっぱりしているというよりは刹那的で、そしてどこか凛々しくも思えた
　先ほどの印象とは違うように思えた。
「…ゆっくり、突き上げてほしい…もう、痛くないから…」
「…うん」
　僕のほうも相当興奮していたんだろう。風花さんの背中に手を回したまま、ゆっくりと下から突き上げる。とたんに『あっ』という声が上がった。

　不思議な気分だった。僕は弓華ちゃんに告白されてそんな長い時間がたっていない。それでも、僕は弓華ちゃんの『彼氏』となっていた。
　しかし、今僕の目の前で、僕と結合しているのは、『彼女』であるはずの弓華ちゃんではなく、その姉である風花さんだった。
「…んっ、あっ…ああっ…」
　胸の感触がとても心地よい。そして、それ以上に風花さんの膣内が暖かい。粘膜と愛液によって僕のほうも刺激されていていつ射精してしまってもおかしくない状況だった。
　先ほどまで風花さんを止めようとしていた弓華ちゃんも、もはや止めようとはせず、顔を赤く染めながらも、むしろ興味津々といった目で見ている。
「あっ、ああ…純水、純水、気持ちいい…」
「風花姉さん、そ、そんなに気持ちいいの？」
　恥ずかしそうに、弓華ちゃんが尋ねた。その目は、風花さんの背中越しに僕たちの結合部を凝視していた。
「よ、世の中に、こんな快感があったんだ、と思わされるくらい気持ちいい…ああっ、純水、もっと激しくしてぇ…っ」
「ダメだよ、これ以上激しくしたら、もう、僕…」
　我ながら情けない。しかし、僕は限界だった。
「そのまま膣内に出して…っ！」
「ええーーーっ！！」
　風花さんの返答に声を上げたのは弓華ちゃんだった。
「わたしを、汚してっ！」
　無論、彼女の今の体の状態など考えている余裕など僕にはない。しかし、ここで膣内に出してしまったら、彼女は一生後で後悔する可能性もある。
　そして、僕にその責任を取る能力があるだろうか？いや、ないだろう。少なくとも、今は…。
　しかし、頭の中でそんな理屈を並べ立てたところで、僕のほうの欲望は容易に止まってくれそうもない。
　『このまま出してしまいたい』、という欲望が正直に言えば、強かった。

「あああぁっ！！純水ぃ！」
　風花さんが絶頂の高い声を上げると同時に、僕は風花さんを押し倒すようにして前に倒れこんでいた。

　そして、僕のほうも絶頂を迎えた…。