８．安らぎ

　放尿のあと、涙が止まらずシクシク泣きつづける響子。
　川田は、響子の股間を拭いてやったあと、黄金水の片づけを済ませ、一息ついている。
　時計を気にしている森田。
「川田、ちょっと来てくれ」
　響子のいない部屋へ移動する二人。

「泣き止んだら、電話掛けさせてくれないか。旦那は出張中のはずだが、娘の美津子が動きだすと、まずい、
　（買い物に出かけたら、偶然、学生時代の友人に会って意気投合、友人宅におじゃましたが、そのうちに飲みすぎで、気分が悪くなったので、一晩泊めてもらうことにした、夕飯は、一人で済ませて）
　と、こんな話をさせるんだ」

「解りました。でっ、森田さんは？」
「俺は、何か腹の足しになるものを、買出しに行ってくる。出前って手もあるが、受け取りの最中に騒がれても困るからな」

・

　美津子への電話は、終わっている。
　自分の状況を悟られないよう、震えそうになる声を抑えて話した。
　娘の声を聞いて、いっそう　"私が耐えるしかない"　と意志を強くする響子。
　それでも、電話をしたことで、今後のことがさらに不安になり、憂鬱な顔をして、座っている。
（これで、朝までタップリ時間ができてしまったわ）

　ピン・ポォン〜
　川田が玄関に行く。森田の顔を確認して鍵をはずす川田。
　和室へ入っていく二人。
　正座の姿勢で、足をぐるぐる巻きにされた響子。

「奥さん、機嫌よくしてたかい」
　と陰湿にいう森田。
「ええ、大丈夫です。電話もうまく終わりましたよ」
「そうかい、そりゃ良かった。いちぢく浣腸と牛乳、タップリ仕入れてきだぞ」
　自慢げに広げだす森田。
「そんなこと、止めてください」
　いちぢく浣腸を見て、気がつく響子。
　あきらめぎみに、か弱く訴える。
「心配するな、明日の朝まで、時間はタップリある。まず、腹、膨らまそうじゃないか」
　おにぎり、菓子パン、サンドイッチやビール・酒を広げながら、森田。

・

「奥さん、結構いける口じゃないか」
　響子の気持ちも考えず、川田。
（ああっ〜、こんなこと、酔っていないと耐えられないわ）

　顔も身体も、ほんのり赤く染め、ほてった響子。
　相当な量のアルコールを口にし、ほろ酔いかげんの三人。
　それでも、川田は一生懸命、響子の世話をしている。

　森田は、大きい青いビニールシートを部屋いっぱいに広げ始める。
「奥さん、お尻の経験は、あるのかい」
　ニヤニヤ顔で、問う森田。
「お尻で、何するんです。そんなこと、知りません〜」
　カマトトぶっていう、響子。
（お尻なんか、使ったことないわ）
「ハハ、そうか、これから奥さんの知らない世界を体験させてやるぞ。ハハハ」
　ご機嫌で、作業を進める森田。
「そんな体験、けっこうです〜〜」
　そうはいっても、なぜか艶っぽい響子。
　
つづく