17.

　夜。
「あぁ……　はぅ！　た、隆さん、優子……　も、もぅ」
　半ば遠ざかった意識、淫らな靄がかかった頭で私は抵抗の言葉を言う。
「何、おかーさん♪　もっと強くして欲しいの？」
　涙で滲んだ視界に、愛娘の笑顔が映る。そして……
「あぁぁ！　だ、だ、だめ！　つ、つよ…　あぅ！！」
　アナルに埋め込まれたローターの振動がさらに強くなり、私は体を仰け反らせた。押し寄せる快感の奔流に逃れようと身をよじるけど……
「こら、駄目だよ静恵。抜けちゃうじゃないか」
　私の淫裂に肉棒を食い込ませ、体を自分に跨らせている隆さんが、尻肉に食い込ませた指に力をこめる。
「あぁ！　す、すいませ…　あぁん！」
　快感とは違う刺激をお尻に感じ、何とか身体を前かがみにしようとする。
　前の方には隆さんの分身。後ろのほうには細長いアナル用のローター。二種類の快感に頭をかき回されながら、私は必死に寝そべって動かない隆さんの首筋に手を回し抱きしめる。そしてぎこちない上下運動をゆっくりと再開させた。
「あ……　あぁん！　は、は、あぁ！」
　少しでも気を抜くと、私の意識は快感に流され白く染められてしまうだろう。
　でも、今はそれに流れてはいけない。
　親として、最低な私でもそれだけは絶対に…
「た、隆さん…　まだですか？」
　請うような感じで、何度目かの質問をまたしてしまう。
「うん、まだだね。でも、僕が頑張んないと後の楽しみが、ねぇ」
　優しげな、それでいて残酷な笑顔で隆さんは答える。絶望と快感に流されそうになる意識を必死に呼び戻し、唇をかんで注挿運動を繰り返す。
　ここで私が流されてしまったら……
「ボクの出番、近いかもしれないねぇ〜♪　お母さん、もうKO寸前みたいだし。えい！」
　私の背中にまわった優子が、小さい手で私の両乳房を掴みあげる。そして、その指先はどこで覚えたのか訊きたくなるくらい巧みに、私の乳首を摘まみ始めた。
「だ、だめ！　そ、それ、だめ！！　あぁ！」
　脳を貫くような快感に、私は軽い絶頂を迎えてしまった。意識を失わないように、必死に唇を噛み身体が反り返らないように隆さんに強くしがみ付く。
「あ、まだ我慢できてる。お母さんすっごいねぇ〜」
「静恵はまだ物足りないんだよ、優子ちゃん」
「あ、そっかぁ〜。お母さんのえっちぃ〜♪」
　遠ざかりそうな意識、耳を塞ぎたくなる揶揄にも耐えて私は何とか緩慢だけど騎乗のスタイルで注挿を繰り返している。
　ふと、時間が気になった。
　私はいったいどれくらい、この二人に玩ばれているのだろうか？
　昼間、突然のことにショックで意識を失ってしまい、再び目が覚めた時には裸にされて布団の上で後ろ手に縛られていて……
　そして、あの信じられない光景を見せ付けられた……
　隆さんの前にかしずいて、彼のペニスを咥えている優子の姿を。
　二人がいつからそんな関係になったのか、想像も出来なかった。
　隆さんが優子も私同様犯していたと思い、初めての夜以来、彼に憎しみの情が湧き上がってきた。
　自分でもあんな声が出せるのかというくらい、大きな声でそれを罵る。
　でも、返ってきたのは隆さんの弁解でなく、優子の言葉だった。
『あのね、おか〜さん。隆さんにはね、ボクの方から頼んでHなことさせてもらってるんだよ』
　信じられない言葉だった。
『それにお母さんだって、隆さんにいっぱいHなことされてるんでしょ？　ボク知ってるんだよ』
　奈落の底に落とされたような気持ちだった。
『あ、あれは、その……』
　何かを言い返そうとはした。でも、その言葉を続ける間もなく、優子は小悪魔のような淫猥な笑みを浮かべて言った。
『もしかしてお母さん、ボクが隆さんのしゃぶってるからって、ヤキモチ妬いてるのかな？』
『な！？　なにを……』
　言ってるのと続けられなかった。
　娘が、優子が私に見せ付けるように深く喉元に食い込むくらい隆さんのモノを飲み込んだのだ。
　その淫靡な光景に私の意識は凍りついた。
　部屋に響くのは娘の舌使いの淫らな音だけ。唾液がヌラヌラと隆さんのそそり立ったペニスに絡みついて妖しく光って見える。
　唾を無意識に飲み込んだところで、私は何とか女としてより母親として覚醒できた。
　動けない身体を必死にジダバタさせて楽しそうにしている隆さんに言う。
『隆さん！　止めさせてください！　わ、私はもう何されても構いませんけど、優子は！　優子は許してください！』
　激した私の声に応えた隆さんの声は、とても静かだった。
『でも、これ、優子ちゃんがやらしてくれって言ったんだよ。それに、優子ちゃん、咥えるの上手いんだ』
　そう言って、優子の髪を優しく撫でる隆さん。
　ゾクリ……　何か例えようのない感情が身体のどこかでもたげたのがわかった。
『お母さんより上手いんだって♪　それにボク、これ咥えるの大好きなんだ〜』
　ゾクリ……
　さっきよりさらに強くその感情が身体を巡る。
『ゆ、優子はまだ１１歳なんですよ！？』
『歳なんか関係ないよ』
『そ、それに、た、隆さんには……』
　自分が言おうとしていた言葉にハッとなって口を紡ぐ。

‐隆さんには、私がいるじゃないですか！！−

　今、私はそう叫ぼうとしていたのだ。そして身体に巡ったこの感情に気づいた。
　私は優子に嫉妬している……
　あのペニスを咥えて、熱い精を身体に注ぎ込まれるのは私じゃなきゃいけないんだ。
　自覚してしまうと、母と女、いや牝としての感情が葛藤して、私は何も言えなくなってしまった。
　私のそんな態度を察した隆さんは、優子を優しくペニスから放して、
『ご苦労さん』
　とその唇に舌を割り込ませた。そしてそれに嬉しそうに反応している優子を見ていると嫉妬の感情が身体を駆け巡る。
『どうやら静恵は自分が欲しくてたまらないみたいなんだ。お母さんの相手しなくちゃいけないから、我慢してくれる？』
『う〜ん、お母さんHだから、しょうがないかなぁ〜』
　そう言って優子は後ろでで縛られて布団に転がっている私に近づいてくる。
『おか〜さん、隆さんとHなことしたいの？』
　楽しそうに、隆さんみたく笑って、優子は残酷なことを訊いてきた。
　母としては肯定できない問いかけ。でも、今私がそれを否定してしまったら二人はきっと私に見せ付けるようにして、淫らな宴を再開するだろう。
　だから、私は……
『お、お母さんにも、隆さん、ちょうだい…　いいでしょう？』
　最後の方は情けなくて涙声になってしまった。娘に私は男を欲しいと言っているのだ。
『正直に言ってくれたら、断れないよねぇ、うん。隆さんもいいでしょ？』
『静恵にそこまで言われちゃね。僕も断れないよ』
　そして、長いあのペニスを立たせたままの隆さんも全裸で近づいてきた。
『じゃあ、静恵、僕の相手をしてよね。もし途中でグロッキーになったら、優子ちゃんに続きしてもらうから、気にしなくていいよ』
　心が裂かれるような残酷なことを隆さんは言う。この愛した人に、きっと愛しているが故の憎しみを覚えながら、私は言った。
『隆さんが満足されるまで、ずっとお相手します』
　涙が零れていた。
　後ろ手に縛られたまま、必死に身体を布団から起こす。薄暗くてここがどこだかわからないけど、そんなことは気にしていられない。
『隆さん、咥えさせてもらっていいですか……』
『うん、何を？』
　わかっていながら、問い返す。予想していたので、私は羞恥を堪えながら必死に言葉を続けた。
『だ、大好きな隆さんの、オ、オチンチンを……』
　言って、火が出るように頬が熱くなるのがわかる。
『へぇ〜。そんなに大好きなんだ』
　楽しげに言う優子に、私は応えた。自分がどんな顔をしているのかわからないけど、私は優子にこう言ったのだ。
『えぇ。お母さんは隆さんのが大好きなの。だ、だから優子には、あげません』
　その言葉を聞いて、優子はポカンとしたみたいだけど、それから楽しそうに、嬉しそうに笑って私の背中に抱きついてきた。
　耳元で囁かれた。
『Hなお母さん、大好き』
　と。

　そして、私は二人に攻められ続けている。
　もう一時間はたったと思いたいけど、隆さんはまだ一度も精を放ってくれていない。
　このままでは、何度も絶頂を迎えている私の方がきっと先に参ってしまう。
　今、私は隆さんの命令で、アナルに見たことのないローターを入れて、そして自分からは動かない隆さんに跨って、必死に腰を動かしている。
　でも、もともと攻めるようなことは苦手な私、ちょっとした刺激を加えられるだけでその動作を中断してしまう。
　二人は私を挫折させたいのだ。
　心を攻めるのは隆さんが一番喜ぶこと。
　動けなくなった私の前で、二人は再び見せ付けるように狂態を繰り広げるだろう。
　それだけは、許せなかった。
　だから必死に悶え狂いそうになる意識を、何とか押しとどめている。
　耐えている分、私の体には深い快感の渦が溜まりきっている。小さい絶頂で少し逃がしているけど、芯の部分で深く、深くそのうねりが高まっているのが分かる。
　これが溢れたら……
　きっと今まで感じた以上のすさまじい快感が私を屈服させる。
　それを私は怖れ……　待ち焦がれている……
「おか〜さん、お尻の穴、ヒクヒクしすぎだよ」
　優子がそう言うと、アナルに埋め込まれたローターを動かし始めた。バイブレーターの細かい振動に加え、注挿運動による刺激が加わって……
「ひ、ヒィ！　あぁぁ！　そ、それ、ダメ！　ダメ！　あぁ！」
　ビクンビクンとあまりの快感に身体が跳ね上げる。隆さんに必死に抱きついて身体が快感に負けないように堪える。
「頑張るねぇ、静恵。可愛いよ」
　もう、半分以上快感に負けてぼやけてしまった意識の中、私は隆さんの言葉に反応にした。可愛いと言われるとやっぱり嬉しい。
　その愛しさを込めて、隆さんに口付けをする。唇に舌を割り込ませる。唾液がお互いの口腔を行きかう。
「た、隆さん。隆さん……」
　快感に侵されきった身体が無意識に反応した。
　もう先のことはどうでもいい。
　今はこの中に納まった愛しいモノから熱い飛沫を。
　後先考えず、私は自分の快感の為だけに激しく腰を動かした。
　イクことだけ。溜まった快感の堰を崩すため、激しく激しく身体をうねらせる。
「わぉ！　お母さんすっごい！」
　娘の感嘆する声が遠くで聞こえたけど、どうでもよくなっていた。
「そんなお母さんに、最後のプレゼントぉ〜♪」
　その言葉とともにアナルに入ったローターの振動がさらに強まった。
「はぁん！　い、いい！　と、とっても、すごいの……　お、お尻が凄いんです、隆さん」
「優子ちゃんにお礼は？」
「あ、ありがとね、優子。お母さん、う、うれしい……　はぁん！」
　もう真っ白になった意識には罪悪感も道徳も何もなかった。あるのは迸る快感の渦だけ。
「いって、いってください！　隆さん、いっしょに！　私の、お、オマ○コは隆さんのモノです！　あぁ！！　中に、いつもどおりに出してください！！　あぁ！！　だめ、だめ！！　いきます！　いっちゃいます！！　あぁ！　うわぁ！　あぁぁぁ！！」
　淫語が自然に口をつく。
「じゃあ、しっかり受け止めてね、静恵。優子ちゃんも見てるんだよ。お母さんが中に出されるところを。ほら、静恵からもお願い、しなさい」
　やっと、隆さんも放つ気になってくれたのが、中でわかった。発射寸前の膨らむ感じがいつもより感じられ、私はさらに高まる。
「ゆ、優子。しっかり、見ててね。お、お母さん、中、大好きなの……」
　視界には優子の姿はない。でも、小さい手が私の手に重ねられるのがわかった。
「うん。ちゃ〜んと見てるからね。いっちゃうんでしょ、お母さん？」
「そ、そう！　いくのお母さん！　隆さんといくの！！　いく、いく、あぁ！！」
　優子と握られた手に、もう一つ、隆さんの手が添えられた。二つの手のひらを強く掴んでいる。
「僕も、でちゃう、から！　いくよ、静恵！」
「は、はい……　私も、私もわたしもわたしも！！　あぁ！　はぁ！」
「出る！！」
　迸りを子宮に感じ、その奔流を感じた瞬間、わたしは白い光に包まれたような凄まじい快感を身体全体で感じて……
　意識を失ってしまった。
　どうしてこんなことになってしまったのか、もうどうでもよくなってしまって。
　ただ、いつもよりはるかに量が多かった隆さんのが、嬉しかったのは覚えていた。

―　続く　―