ほとんど裸同然の姉の指で勃起をしごかれ、大木隆太は、彼女の息がかかっている肩を派手に揺らした。 先ほどまでの揶揄めいた指戯ではない、性熱に溺れた女特有の渾身の指づかいである。射精を促すための手淫だから、自然と隆太の息づかいも荒くなる。 「姉ちゃんってスケベだな、そんなにオチン×ンが好きだなんてさ」 「だって、隆太がひどい悪戯するから」 「悪戯されたらいつもこんなことするのかよ？」 「そうじゃないけど……」 互いのペニスと生乳を掴みあう姉弟の姿を、ポスターの男性アイドルがさわやかな笑顔で注視している。 「ああッ、だめだよ……も、もう」 先に限界を訴えたのは、男性器を直接刺激される隆太のほうだった。 「で、出ちゃうよォ」 「ああン、イクのね？ イキそうなのね？」 姉の口調にからかいの色はなかった。淫らな期待に染まった声である。 「待って、最後はこっち……こっちで」 すぐさま彼女は床に跪き、弟の膝のあいだに狭い肩を割りこませた。 「こっちでしてあげる、呑んであげる」 頬にかかる黒髪を首振りだけで払いのけ、濡れた朱唇を寄せてくる。 まさか、と隆太が思ったときには、もう勃起が熱に包まれていた。 「姉ちゃん、う、うわわッ」 驚きのために一瞬、息が詰まる。強い快美は、その直後にやってきた。 小さな怒りを常にかかえているような姉の顔立ちが、勃起を口に含んだとたんに一変した。眠りに落ちた聖母の表情のまま、身体ごと前後に揺らめいでいる。そして、吸引された勃起がドロドロに溶けたチョコレートのようになった。 しかし、実際には少しも溶けていない。柔らかい唇で擦られているのも、濡れた舌が絡みついているのも、確かに彼自身の男茎である。隆太は、自分の身体がきりもみ運動をしながら落下していくのを感じた。 視界に映るぼやけた白が部屋の天井だと気づくまでに、少しばかり時間を要した。 「すごい、こんなにたくさん……」 不意に低い声が真下から聞こえた。絵梨は勃起から顔を離している。 陶然の目で弟を見あげる姉の口元から白い雫が垂れているのを目にして、隆太は唖然とした。いつの間にか自分が射精していたことさえ気づかなかった。そして、知ったとたんに強い感動が心に湧いてきた。 こ、これがフェラチオ……すごい、すごいや……。 自慰や夢精とは別次元の噴出、女の熱い粘膜に包まれながらの絶頂。はじめて体験する性倒錯の世界に、十四歳の肉体が、恐怖とは別の理由で震える。 口元の雫を舌でペロリと舐め取ると、絵梨はふたたび肉茎を口に含んだ。 まだ暴発したばかりだというのに、勃起は少しも萎えていない。どころか、姉の口内でより強度を増しつつある。底なしの若い欲情が彼の下半身にあらわれていた。 隆太は浅い呼吸を何度も繰りかえした。こんなにも気持ちのいいことが現実として存在するのだ。 知ってしまった以上、この程度で満足などできなかった。姉の口をもっと味わってみたい、口以外の場所にだって挿入してみたい。 次の機会があるという保障などないのだ、こうなればとことん淫蕩を貪ってみたかった。それに、姉が突然に心変わりをする可能性だってある。そうなる前に熱情のすべてをぶつける必要があった。 問題は、それを姉が許すかどうかだ。 「邪魔そうだし、ブラジャー取ってあげるね」 そう言って手を伸ばそうとした矢先、ストラップレスのブラが自然と床に落ちた。 勃起しゃぶりの途中で自ら背中のホックを外し、絵梨は、弟の股間に深々と顔を埋めた。突き伸ばした舌で鈴口を舐めたりもする。 「ねえ、隆太……」 憂悶に濡れた目で弟を見あげる。濡れた勃起に白い指が巻きつく。 「隆太ァ」 言いたいことを言えないつらさが姉の声と表情に滲んでいた。 「何がほしいんだよ」 隆太は、アダルトＤＶＤの男が言っていた台詞をそのまま口にした。 「ちゃんと言わなきゃわかんないじゃないかよ」 「お願い、苛めないで……つらいの」 「言わなきゃつらいままだぜ」 口調が自然と乱暴なものになる。 「姉ちゃんのやりたいことをしてやるよ。だからさ、ちゃんと言ってくれよ」 「これがほしい」 「それじゃわかんないって」 「だから、ほしいの……このオチン×ンほしい」 生唾を呑んだ弟の前で絵梨は立ちあがると、やりたいことをするためにデニムパンツのジッパーをさげた。 「ストリップでもはじめる気かよ」 「そんなんじゃないの」 「なら、なんだよ」 答えるかわりに怨嗟の目を弟に向ける。顔つきが変わったとたん、脱衣の動作までせわしいものになった。すぐにデニムが足首から外れた。 「隆太だってヤリたいんでしょう、お姉ちゃんとエッチしたいんでしょう？」 「エッチなら今やってるじゃないか」 「……セックスがしたいの、今すぐしたいの！ お願い、あたしとセックスしてェ！」 あからさまに姉が言うから、かえって隆太のほうがうろたえてしまう。けれどもすぐに会心の笑みを浮かべ、彼は、四つん這いの姿になるよう姉に指示した。 すぐさまパンティ一枚の娘はベッドにあがった。訓練された犬より従順だった。隆太はただ驚愕するばかりである。傲慢で美しい姉に、まさかこのような淫奔が隠されていたとは。自分のなかにこのような悪魔が潜んでいたとは。 牝獣のポーズで尻を見せつけてくる眼前の女は、もはや姉ではない。隆太と血の繋がりを持っただけの情婦である、エロＤＶＤの画面から抜け出てきた情婦だ。隆太はブラと揃いのパンティに両手を添えると、魅惑的な臀部をうっとりと撫でまわした。 「ああン、そんなことしないで……はやくゥ」 「わかってるよ」 水色の布地を膝まで引きおろし、白い双肉を左右に押しひろげる。 「す、すごいや」 かすれた声が思わず出た。はじめて目にした生の女性器は、果実そのものだった。卑猥な形に裂いた果実である。おいしそうな蜜にたっぷりとまみれている。 「やっぱり姉ちゃんって淫乱なんだな、もうベトベトじゃないか」 「いやン……言わないで」 拗ねた声で姉は恥じらった。モザイクなどかかっていない陰唇もヒクと震える。 「たまんないよ、この匂い」 尻肉をさらに開いて、顔ごと淫裂に吸いついた。たったのそれだけで鼻から顎にかけてが愛液に濡れた。歓喜を訴える姉の声がやけに遠く聞こえる。伸ばした舌先を膣溝に沿って上下させると、白い太腿がフルフルと揺れた。 上掛けに爪をたてて「いい、すごい」と繰りかえす姉の淫裂を熱心に啜りながら、隆太は圧倒されていた。このわずかな時間のあいだに、さまざまな女の魅惑を知った。声や匂いにもエロスがあること、男のペニスに女が逆らえないこと、性交という餌を前にしたとき、女の思考と言動が背馳することを彼は学習した。 セックスとは女を裸にすることではない、女の意志を裸にして、思いのままに支配することなのだ。そんなものは男の自分勝手な幻想ではないか、とも思う。しかし、少なくとも姉はそれを望んでいる。彼女の望みとは、熱いペニスの挿入だ。弟の勃起によって支配されることだ。 「濡れすぎだよ、姉ちゃん」 肉扉をひろげて夢中でいじっていたら、狭い針穴のような場所に指が偶然にめりこんだ。半信半疑のまま押しこむと、人さし指の半分までがあっさりと沈んだ。 「ンァ……い、いやン」 「ここに突っこんでほしいんだろ？」 嬉しさのあまりつい声が出た。 「姉ちゃんが泣いて頼むのなら入れてやってもいいぜ」 「そ、そんなこと……」 「いやなら別にいいけどさ」 引きかけた指がまた蜜壺へと埋まる。今度はズブリと根元まで入った。隆太が押しこんだわけではない、姉のほうから尻を突きだした結果の埋没だった。 「サンドイッチも買いにいかなくちゃならないし、そろそろ部屋に戻ろうかな」 「そんなのだめェ！」 「だったらどうしてほしいんだよ」 「い、入れてほしいの」 「お願いしますを忘れてるぜ」 絵梨は、首をねじって弟を甘く睨んだ。黙っていれば上品な優等生にしか見えない顔立ちが、今は叱られた幼児の顔になっている。 「……お願い、入れて……隆太のオチン×ン入れてください」 「ヤッてほしいんだな？」 「はい、ヤッてください。オチン×ンでヤッてください……お願いします」 姉の言葉と視線だけで勃起が跳ねた。身体の底から震えが走った。 すぐに隆太はベッドにあがった。姉が、さらに高々と尻を掲げてくる。 「きて、はやくヤッて」 犬の姿でねだる姉の美臀を注視しながら、たぎる亀頭を肉溝にあてがった。確かに位置はあっているはずだ。このあたりで間違いないはずだった。 しかし、いくら挑んでも入らない。濡れた膣の表面を亀頭が滑るばかりだ。 「くそ、くそッ」 額の汗を手で拭い、尻を掴みなおして再度、腰を進めようとする。そのとき太腿のあいだから姉の手が伸びてきて、肉茎を器用につまんだ。 そして白い尻がもぞりと蠢いた瞬間、隆太は、泡を食った声を思いがけず発した。彼が何かをしたわけではない。なのに、亀頭が熱いものに吸引されている。 「う、うわああッ」 ほとんど反射的に下半身を突きだした。腰と尻がピタン、と音をたててぶつかった。 「ッあーン」 姉も声をあげた。明らかにこれまでとは異なる声だった。 「ああッ、何これ、すごい……すごすぎるゥ、大きすぎるゥ」 うろたえているのは隆太も同じだった。姉の淫裂にペニスを突き刺している。ズッポリとはめている。 「すごいよ姉ちゃん、全部入ってるよォ」 「うん、入ってる、入ってるゥ」 結合したまま声だけではしゃぎあう。まるで図画工作の共同作業を終えた小学生だ。しかし、ふたりのしていることは夏休みの宿題などではない。姉弟が決してやってはならないことである。性交だから、じっとしているだけでは満足できなかった。 「動くよ、動くからね」 細腰を両手で掴んで身体を引くと、ペニスの後退を阻むように肉襞が噛みついてきた。あたかも昼夜でがらりと姿を変える密林のように、埋没の深さによってまるきり感応が違う。窮屈なことに変わりはないのだが、押し入れるときと引くときとで襞の蠢きが異なっているのだ。 勃起を打ちこむといったんは圧迫が弱まるものの、またすぐに緊縮する。そして、絵梨の口から裂けた声がこぼれる。 「ンああッ、すごい……奥まできてる……い、いいッ」 「そ、そんなに気持ちいいの？」 「いいの、すっごく気持ちいいの。だから、ねえ、もっとして」 言われるまでもなく隆太は腰を使った。一心不乱に勃起を打ちこんだ。 「ッはあン、く、くううゥ」 姉の白い背中が妖しく窪み、匂やかな黒髪が前後に揺らめく。美少女フィギュアのように細い身体つきだというのに、四つん這いのこの姿だと、尻の豊潤さがひときわ目立つ。腰のくびれもいっそう細く見える。 最高だった。牝そのものの姿で揺れる肢体も、声も匂いも、はめ入れたオマ×コも、何もかもが刺激的で、淫猥で、悩ましい。女とは、なんと淫らで素晴らしいものなのか。 いや、そうではない。姉が特別なのだ。この肉体が完璧すぎるのだ。今までまったく気づかなかった。彼にとって最高の女とは、彼のもっとも身近にいる女だったのだ。その姉と今こうしてセックスしている。突き入れている。 「ああン、だめッ、いやいやン……あッあッあッ……ィい、す、すごォい」 「俺もいいよ、気持ちいいよォ」 揺らめきのなかで悶える絵梨の手が枕元のファッション雑誌に触れた。彼女はそれをベッドの下に放り投げると、上掛けに爪をたて、強烈にねじりあげた。かと思うと、喘ぎを抑えるために指を口元に添えたりもする。 姉の背中に汗が浮いている。隆太も汗をかいている。彼は、濡れて肌に張りついたＴシャツを首から抜いて、ワンピース姿の少女が表紙を飾る雑誌の上に捨てた。 両手で乳房を掴みながら、突きあげる。自然と姉の背中に密着する形となる。 「ああ、だめだ、姉ちゃん……出る、で、出ちゃうよおッ」 狭い肉膣に抱擁された勃起が震える。熱い奔走が精輸管の手前まで迫っている。今度は確かに実感があった。爆発の予兆を感じた。 膣壺の奥の奥まで亀頭をねじこみ、隆太は絶叫した。しかし、実際に口からこぼれたのは詰まった息だけだった。声すら出ないほどの強大な絶頂だった。かわりに絵梨のほうが鋭い声を飛ばした。 異様に長い射精がようやく終わったころには、姉はベッドに顔を埋めて重い呼吸を繰りかえしていた。時折、持ちあがった尻がフルフルと揺れる。 隆太は長く大きな息を一度だけ吐いた。身体じゅうの肉と骨が熱湯になったみたいだ。ドロドロに溶けて、煮えたぎっている。脱力感ではない。姉の愛液のようにとめどなく漏出する熱情によって、身体が煮えたぎっている。 汗ばんだ尻を両手で掴みなおして、隆太はふたたび抽送をはじめた。 「いやン、嘘……まだするの？」 「まだだよ、まだぜんぜん足りないよォ」 突き入れるたびに精液が溢れ出てくる。 「待って、それなら」 抽送の途中で姉は重い身体を起こした。勃起は抜け落ちたというのに、荒息には「あン、あン」という喘ぎがまだ残っている。栓を解かれた淫裂から白い粘液がもれだし、上掛けを汚していることにも気づかない。 年頃の娘特有の甘さに満ちた室内が、今は、蒸れた性臭で充溢している。男友達とこっそり口にしたことのあるワインの匂いに近い。いや、これはもっと濃く生々しい芳香だ。そのような葡萄色の空気のなかで、絵梨は、弟の身体をベッドの上に柔らかく押した。 「今度はわたしが上になる」 膝に絡まったパンティを足首から外して、仰向けの腰にまたがってくる。強い麝香が、姉の裸身からもプンプンとたちのぼっている。 「ね、いいでしょう？」 隆太が頷くよりもはやく勃起に指を添え、股間へと導いた。 濡れた亀頭と桃割れが音をたてて擦れあう。膣口や肉芽に触れるたびに、姉の口から熱い息がこぼれる。隆太も少女のような声で啼いた。 粘膜の接触をしばらく楽しんだあと、白い尻が小さな円を描いて沈んだ。 捲れかえった小陰唇が亀頭を頬張り、勃起を呑みこんでいく。まるで待ち焦がれた料理を味わっているみたいだ。 「……入っちゃった」 重い呻きを一度だけもらしてから、絵梨は舌を出して笑った。 そんな姉の歓喜の深さは、すぐに隆太にも伝染した。繋がりあっているのは何も肉体だけではない。姉弟だからこそ、交接だからこその意思の疎通があった。 離れていても心が通じあえる。双子のテレビタレントが口にしていたその言葉は正しかった。今ならそれがよくわかる。もう離さない、このオチン×ンはあたしのものよ。そう叫びたがっている姉の心が、確かに隆太には見えていた。勝手な思いこみなどではない。姉の表情が、悶える乳房が、はめ入れた膣が喜悦を訴えている。 心地よい重みの尻が揺らめきはじめた。 「うッン、これ、やっぱりいい……すごい」 隆太は上掛を強く握った。姉の腰が、闇のなかを手探りで進むような慎重さで前後する。 「隆太のって本当に大きいね。すごくいい……これ」 「俺もいいよ、最高だよ」 「ああン、これ？ これがそんなにいいの？」 そう言って今度は腰をクネクネと回転させる。 「こうやってお姉ちゃんがお尻を動かすと、ンンッ……き、気持ちいいのね？」 「うん、すっごく気持ちいい」 半分は本心だった。劣情に任せて突き入れることができないぶん、決して満たされないぬるま湯のような心地よさがある。そのもどかしさが新たな性感を呼んでいた。 何より刺激的なのは、情交に心酔する女の表情を直視できることだった。犬のポーズではめられる姉は美しい。だが男に騎乗して腰を揺さぶる姉は、もっと淫らで美しい。 「姉ちゃんってすごいや、こんなこともできるんだ」 腰の揺れ幅が大きくなると、そのぶん白い乳房も眼前に迫ってくる。 すぐに隆太は、そうするのが当然のように両手を伸ばした。ふたつの膨らみを遠慮なしに揉み潰す。姉の腰から上がのけぞり、次いで、尻が８の字を描いた。上半身と下半身がバラバラの動きをしている。乳首を引っぱると、笑みの形の唇から声が出た。 「ンうッ、そんな……だめ、だめよォ」 弟の悪戯な手に絵梨は指を添える。愛撫を振り払うための手だと隆太は思ったが、逆だった。淫色のいやらしさに肉体を染めるために、彼女は、弟の指を乳房へと引き寄せた。 そして隆太が手を離すと、今度は自分で両の乳房を揉みはじめる。 「なんだよそれ、エロいよ！ エロすぎだよォ！」 弟に感嘆の声で罵倒されても愛撫の手を止めようとしない。 「いつもそんなふうにしてるんだ、ひとりでオッパイいじってるんだ？」 「そ、そんなことしてない」 「嘘つけ、今やってるじゃないか」 「だって、だってえ」 「俺も手伝ってあげるよ」 細い腰に両手を添えて、真下から突きあげる。 「う、ッああ、ン」 乳房を隠すふりをしながらいやらしいことをする姉の裸身が上下に揺れる。 「最高だよ、姉ちゃん。俺もう癖になっちゃうよ」 隆太は虚偽のない本心を口にした。 もとはといえば他愛のない私隙から派生した情事である。子供じみた強がりが小さな悪戯となり、悪戯が情欲となり、気がつくと男女の関係になっていた。あれほど厄介者扱いしていた姉が、今はテレビゲームなんかよりよっぽど刺激的な存在となっている。 非常識なことをしているという実感など微塵もない。そんな発想ができるほど隆太は大人ではなかった。子供だから、純粋に楽しいことだけがしたかった。こんなに楽しい玩具を手放したくない。 「もうやめらんないよ、毎日でもしたいよォ」 「うん、わたしもしたい」 姉の身体が前のめりに傾いた。揺れる乳首が少年の胸板をくすぐる。その感覚は、性交という豪華なディナーに花を添えるデザートとなった。 「このオチン×ン毎日ほしい、一日三回はヤリたい」 「そこまでやったら母さんたちにばれちゃうだろ」 「夕方くらいまでなら大丈夫よ」 甘い匂いの息が首筋に吹きかかる。 「お父さんは仕事だし、お母さんだって家を空けること多いし」 ふたりの母親は大学病院で看護士をしている。 「でもさ、毎日病院ってわけじゃないんだぜ」 「だったら外でヤッて。学校の帰りに待ちあわせをして、外でするの」 「そんな場所なんてどこにあるんだよ」 「公園とかデパートのトイレとか、探せばいくらでも見つかるわ」 「やっぱり姉ちゃんってスケベだな」 「ねえ、突いて。もっと激しく突いて」 隆太とてそのつもりだった。こうして姉の喘ぎを間近で聞いているだけで、今にも勃起が破裂しそうなほどなのだ。 両手で尻を抱き支えたまま半身を起こし、華奢な女体を膝に乗せて突き揺さぶる。そうやって姉をさんざんに泣かせると、次にはベッドに押し倒し、これ以上ないという恥ずかしい角度に美脚をひろげさせた。 どんな姿で犯されても姉は喜んだ。隆太の身体に手足を絡ませ、ひっきりなしに喘ぎつづける。時折、ろれつのまわらない口調で何かを叫ぶが、それも意味のない言葉にすぎなかった。単なる悲鳴のようにも聞こえたし、「オマ×コ」「オチン×ン」と言っているようにも聞こえた。 「だめ、もう、あ、あたし……あンあン、あーン、壊れるゥ……」 「俺もイクよ、またイッちゃうよォ」 隆太は深く腰を組み入れた。濡れた性器と性器が飛沫を散らしてぶつかる。陰毛までベットリ濡れている。 普段ならとっくに夕食を済ませている時間のはずだが、空腹を気にかける暇すらこの女体は与えてくれない。すでに小さな射精を数回ほど繰りかえしている。姉も何度か絶頂を迎えたようだった。 確か隣町にあるデパートの閉店時間は八時のはずだ、自転車を飛ばせば間にあうだろうか。それ以前に、いったい今は何時なのか。 そんなことを頭の片隅で考えているあいだに、また射精の衝動が襲ってきた。 「きて、熱いのだして。ザーメンでイカせてェ」 裏返しにしたカエルの姿で絵梨が吠える。直後に、隆太も灼熱の弾丸を撃ちこんだ。 姉の裸身がブリッジの形を作り、断続的な痙攣のあと、ベッドの上に崩れた。絶頂を訴える嬌声が尾を引いた喘ぎへと変じ、その声もやがて寝息のようになった。 隆太は何度も肩で息をした。姉の口から赤い舌が顔をだし、濡れた唇を色っぽく舐めている。先ほどから何度か目にした光景だった。 それがアクメに達した直後の彼女の癖だと気づいて、隆太は唇を重ねるために顔を寄せる。けれども姉はそれには気づかず、美貌を横にそむけてしまった。 仕方なく隆太は乳房に顔を埋めた。そのさい、机の上の置き時計が一瞬だけ目に入った。 時計の針は八時五分をさしていた。 （完） |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2008.3.8掲載 |
蘭丸さんの作品群→ |