２　

　繁華街のハンバーガーショップは明け方まで営業する。アルバイトを終えて帰宅すると、すでに午前２時を回っていた。
　自宅のリビングは少しだけ冷たい空気で充満されている。とりあえずテレビのスイッチを入れ、絨毯の上に腰を下ろした。ソファには座らず、本来座るべき場所に寄りかかるような格好で、テレビの深夜番組をボーッと眺めていた。別に意識してテレビを見ているわけではなく、昼間に起きた出来事を思い返していた。
　あまりに突然、刺激的な体験をしたあと、まともに仕事が手につくはずもなく、ただニヤニヤと思い出し笑いを浮かべては、アルバイト仲間の女の子に「にやけていないで仕事しなさいよ！」なんて言われる始末だった。あんなに刺激的な経験に巡り会えるなんて・・・たまには学校もサボってみるもんだなと感慨に浸っていた。
　魂が抜けたまま妄想に耽っているうちに、テレビの横に置いてあるビデオラックに見ていないDVDがあることを思い出した。もちろん内容はとても他人に話せるようなものではない。ビデオラックに身を乗り出しそのDVDを引っ張り出すと、自然に手は自らの股間に伸びていた。その時ガチャ、と玄関の扉が開く音がした。
（姉ちゃん帰ってきちゃったよ・・・）
　体勢を戻し座り直すと、急いでテレビを見ている風を装った。
「ただいま。あぁ疲れた。」
　そう言うと僕の横に、姉はソファの方に腰を下ろした。
「あれっ、今日はなんか早くない？週末なのに。」
「世の中不景気なのよ。それよりうちのご両親はいつ帰ってくるんだっけ？」
「さあ。２週間ぐらい旅行するって言ってたから。当分帰ってこないんじゃない。」
「そう。いいわね、お父さんは遊んでばっかりで。」
　両親は結婚２０周年とかで、やたらと長いバカンスに出掛けている。こちらが恥ずかしくなるぐらい、いまだに仲がよい。とは言え留守にしてもらう方が羽を伸ばせるし、なにかと都合がいいことも多い。

　僕は中村和也２０歳。大学に入学して以来、セックスのことばかりを考えている。というよりむしろ、そのために勉強をがんばってきたと言う方が正しいかもしれない。とにかくサークルや合コンに入れ込んできたが結局女の子と交わる機会もなく、最近風俗で筆下ろしをしたばかりだ。もっとも、挿入後にあっけなく果ててしまったので、セックスらしいセックスなんてものにはまだ触れていないようなものだ。
　姉の由美は４つ年上。大学卒業後、普通に就職したまではよかったものの、社員にいい男がいないという、いい加減な理由をつけて退社。その後クラブで夜の仕事をしている・・・らしい。
　そんなわけで、姉はいつも男の目を引く、いわゆるお水系の格好をしている。今日は水色のスーツで身を包んでいた。V字の胸元からは藍色のブラジャーが時折見え隠れしており、まともに目を向けられない。脚元はミュール用のオールスルータイプのストッキングでピンクのペディキュアが官能的に僕の目の前を行き来している。目のやり場に困ってしまい、視線は自然と脚元に注がれることになる。
　姉は美人と言うよりはどちらかと言うとかわいらしい顔立ちをしており、男好きするタイプだ。スタイルはモデルをさせてもいいぐらい均整が取れている。かといって細いだけではなく出るところはしっかりと出ており、そのアンバランスさが男にもてる理由だと思っている。同性にも好かれる方だが、男をとっかえひっかえする姉を見ていると、いいように騙されているように思えて仕方がない。
　その姉を自慢に思う反面、僕にとっては性欲を増長させる厄介な存在でもあった。僕は姉を姉としてだけでなく、女性として、と言うより性欲の対象として見てしまうことがある。姉ちゃんのおっぱいを思う存分舐め回したい、姉ちゃんのマ○コに突っ込みたい、姉ちゃんにチンポを咥えさせたい、きっと経験豊富だから上手いに違いない・・・良心の呵責に苛まれながらそんな妄想を抱いてオナニーに耽ってしまうのだ。
「ねえ和也。この番組見てるの？」
「いや別に。回してもいいよ。」
「あれっ・・・もしかしてエッチなの見ようとしてた？」
「なんで？」
「早く帰ってくるとお邪魔かしら？」
「だから、そんなことないって！」
「あんまりムキになると怪しいわよ。そこのソフトそうなんじゃないの？ウフッ・・・」
「ち、違うって！」
「あ、そう？そんなこと言って硬くしてるんでしょ？スケベ・・・」
　姉は僕の肩越しからあぐらをかいている僕の股間に脚を伸ばし、口元は侮蔑するような嘲笑の表情を浮かべている。タイトミニに入った長めのスリットが横目に見て取れる。姉としてはスキンシップのつもりだろうが、僕にとってはたまったものではない。
「や、やめろよ・・・」
　僕は一応の抵抗を試みるように、わざと姉のふくらはぎを触るようにして押し退けた。
（もう・・・もっと素直に触りたいって言えばいいのに・・・）
　僕が姉を性の対象にしていることを、姉は解っているのだろうか？挑発されているようにしか思えないふしが最近よくある。僕が動揺する姿を見て楽しんでいるのだろうか？姉と弟以上の関係は絶対超えられない、超えてはいけないことぐらいは考えているつもりだし、姉も当然そう思っているだろう。普通はそんなこともきっと考えないに違いない。
「童貞クンは溜まちゃって大変ねぇ・・・」
「ど、童貞のわけないだろっ！」
「あら、和也彼女出来たんだ。」
「・・・・・。」
「どうでもいいけどヘンな病気になるのはやめてよね。」
「・・・・。」
「どっちにしろオナニーぐらいするんでしょ。」
「いいだろ別に。」
（素直になってくれたら、一人エッチの手伝いぐらい・・・ううん。一線を超えなければ大丈夫。そうよね？）
「ね、姉ちゃんだってしてるくせに・・・聞こえるんだよ声が。」
「な、何よ。聞こえるんじゃなくて聞いてるんでしょ！バカ。」
「おっと。図星だったかな？」
「そんなわけないでしょ。ちょっと生意気なのよ、あなた！ろくに勉強もしないで色気づいちゃって！」
「姉ちゃんだって似たようなもんじゃない？ウグッ・・・」
　姉は僕の背後に身を寄せると肩の上から両脚を伸ばし、僕の顔をふとももで挟みつけた。滑らかなストッキングの肌触りの向こうに姉の体温を感じ、柔らかいふとももの感触に、僕の股間はいやおうなく反応する。
「や、やめろって・・・」
「素直にオナニーしようとしてましたって言えばいいのよ、フフッ・・・ほら、やっぱり硬くなってるじゃない。」
　姉の脚は僕の脇の下から、股間を攻撃し始めた。まずい、と思いながらも羞恥と屈辱感の中で意思に逆らうかのようにペニスは硬さを増していく。
「ほらほら、なんだかずいぶん硬くなっちゃったみたいよ。」
「はぁ・・・はぁ・・・ま、まずいよ姉ちゃん・・・。」
「どうしたの？もしかして感じてるの？いやらしい・・・実の姉にこういうことしてもらって気持ちいいの？」
　姉の脚での愛撫はもはやじゃれ合いの域を越えて、的確に性感帯を刺激し始めている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ホントに・・・まずいって・・・こういうの・・・」
「はあぁ・・・あ、あなたのここがまずいんじゃないの・・・・はぁぁ・・・」
　姉の声が上ずり、吐息混じりの艶やかな声色に変化していることを僕は見逃さなかった。僕はいけないことと思いつつ、雰囲気に身を任せてみようと思い始めた。もしかしたら・・・姉だって一人の女性として性欲が高ぶるときがあっても不思議ではない。その対象が身内であったとしても。複雑な感情を抜きに、ただ男と女として性欲だけを満たしたい、そんな時だってあるはずだ。そう自分に言い聞かせた。
　姉の脚責めは執拗に、淫猥に続けられている。ペディキュアで綺麗に彩られた姉のつま先が、勃起してジーパンに浮き上がった僕のペニスを慰めるように優しく目の前で蠢いている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ね、姉さん・・・そんなことされたら・・・ホントにガマンできなくなっちゃうよ・・・ああっ・・・」
「はあぁ・・・んっ・・・変態よ・・・変態の弟・・・出さなくちゃ小さくならないでしょ。ガマあンしたってしょうがないじゃない・・・ふぅぅ・・・・うんん・・・」
（これぐらい・・・・姉弟でしたっていいわよね？そうでしょ？）
「姉ちゃん！ダメ・・・・ガマンできないよ・・・い、いいでしょ？」
　僕はソファに寄りかかったまま腰を浮かしジーパンとトランクスを一気に脱いで、思い切って姉にペニスを見せつけた。姉の脚責めにより、僕のペニスはすでに痛いぐらい硬くなりきって腹に張り付くようにして脈を打っていた。
「きゃっ・・・い・・・いやらしい・・・いやらしいわ、あ、姉に・・・チ・・・チンポ見せつけるなんて・・・」
　姉は自ら卑猥な言葉を口にして興奮を高めているようだった。
「ね、姉ちゃん・・・お願い・・・こ、擦るだけでいいんだ・・・」
「はあぁ・・・あぁ・・・仕方ないわね、最初から素直に気持ちよくしてって言えばいいのよ。まったくいやらしい子・・・」
　姉と言う立場も手伝って、姉のサディスティックな一面が垣間見える。
「して・・・お願い・・・」
　姉はストッキングで包まれた右脚を僕のペニスにあてがい、左足をタマに添え、弄ぶように円を描いた。さおにあてがわれた右脚は徐々に体重が加えられ、ペニスの輪郭を脚の裏で確かめるように踏み潰しに掛かった。
「ああっ・・・お姉ちゃん・・・・はぐぅぅぅ・・・・・」
「はあぁ・・・んっ・・・いやらしい・・・脚でされて気持ちいいの？」
「あうぅ・・・いいよっ・・・・気持ちいいぃ・・・・」
「ああっ・・・いいわ・・・出しなさい、ザーメン出るところ見せて・・・・」
　姉は両脚を揃えると僕のペニスを左右から挟みつけ、上下運動を始めた。
「ああっ・・・姉ちゃん・・・姉ちゃんが悪いんだからな・・・・はあああっ・・・」
「はうぅぅ・・・あなたがいやらしいからいけないのよ・・・・・あああっ・・・」
　お互いに責任転嫁をするような言い訳をしたものの、姉も僕も倒錯した状況が余計に官能を刺激した。
「ああああっ・・・・いくっ・・・・出るっ・・・・」
「出しなさい・・・・出していいのよっ！」
　姉は僕のペニスを前後で挟みつけると、裏筋からカリの部分を巧みに刺激し、つま先は尿道を突付いて射精を促した。僕は脇の下に伸びるストッキングに包まれた姉のふとももを抱きかかえ、射精感を絶頂まで導いた。
「いくっ・・・・いくうぅぅっ・・・・・・ううううっ・・・・」
「はあぁぁぁ・・・・はうううぅぅ・・・・」
　ドピュッ、ドピュッ、ドピュッと大きく３回ほどの痙攣と共に、大量の精液が発射され、姉のすねからつま先が白い粘液で汚された。
「ね、姉ちゃん・・・・」
「あぁ・・・・熱い、熱いわ和也の精子・・・・・」
　僕はふとももの肉感を楽しむようにしがみついたまま愛撫を繰り返した。ペニスは間を置いてさらに２回の痙攣を起こし、尿道から糸を引いて姉のストッキング脚をさらに美しく輝かせた。粘度を帯びた白い液体はストッキングに絡みつき、うっすらと浮かび上がるピンクのペディキュアと相まってさらに淫靡な雰囲気を醸し出していた