番外編�@

「はぁぁ〜」
大きなため息をつきながら俺は、いつもの駅で電車を降り課長の家に向かって歩き出した。
　俺は今年、大学を卒業したばかりの新人商社マン、大手の有名商社に入社して憧れの海外勤務かと喜んだのもつかの間、国内、しかも北海道の支店に配属され面白くも無い農作物の買い付けに広い道内を走り回っている。上司の課長は農学部の出身でこの分野では業界でも有名な人らしく、やり手だ。おかげで、赴任以来、農作物などに興味も知識も持たない俺は課長から厳しい指導を受けていた。
　ところが、2ヶ月ほど前に、その課長が自分の息子の家庭教師をして欲しいと言い出した。どこから聞いてきたのかは良く分からないが、俺が学生時代に家庭教師をやっていて、しかも当時合格率100％を誇る有名家庭教師だった事を知ったようで、週１回土曜日の夜だけでいいからとの申し出に俺も渋々引き受けた。
　もちろん上司から、その報酬など受け取れるわけも無く、せいぜい夕食をごちそうになる程度の報酬だが、課長の頼みだ、断るわけにはいかない。おかげで、それ以来、課長の俺に対する態度は急変、扱いは非常に優しく丁寧なものとなった。
　俺としては助かったが、現実は甘くない。
　実際に家庭教師に行くと、その課長の息子と言うのが、ばか丸出しの中学生２年生で、音楽にしか興味はなく中学卒業後は、道外の音楽関係の高校へ行くと言い切り、勉強は全くしなかった。そこで、音楽関係高校なら俺の住んでいた東京に素晴らしい高校があり、有名なアーチストは、ほとんどその高校の出身だ、しかしそこに行くには音楽以外の成績もある程度必要でないと無理だ、とか何とか言って適当にごまかし、なんとか前月くらいから勉強を始めたという状況だ。
　学生時代、こんなばかを教えた事はなかったのでかなり悩んだが、課長の子供だ、なんとしてもある程度の結果を出さなければ俺の立場もまずい、そう考えると憂鬱な家庭教師なのだ。

　唯一の救いなのは、この課長の奥さんで、歳は３０代後半、しかし、明るい栗毛に染められた髪のせいか、見た目は歳より若く見える。体付きはスレンダーな体格ながら、その豊満な乳房とキュッと締まったウエストが魅力的な色白美人である。しかも明るく笑顔が絶えない。残念ながら彼女と話をする機会は家庭教師に訪れた時の挨拶程度で、まともな会話を会話したこともないが、赴任以来、長い間、女無しで一人暮らしの生活をしている俺にとっては、もっとも身近な人妻である彼女は絶好の夜のおかずで、俺は夜な夜な、彼女との淫らな関係を想像しながら一人で溜まった精を絞りだしていた。

　その日も仕事を定時に終え、自宅に帰って着替えると、いつものように夕食を取らずに課長の家に向かった。
　課長は、今週末、本社出張で、自宅に帰らない事を俺は知っていた。もっともその課長が家庭教師の生徒ではないのだから、俺が課長の自宅に行く事とは関係がない。
　いつもの駅を降り、腕時計を見ると、まだ夕方６時すぎだ、少し早かったかもしれないと思いながらも俺は課長宅の玄関の扉を叩いた。

「ごめん下さい！」
　しばらく待つと「は〜い！」と課長の奥さんの明るい声が家の中から聞こえ、やがて玄関の内側の鍵が開く、「ど〜ぞ」という中からの声に、俺は扉を開き、玄関の中に入る、中には薄いピンクのニットセーターに白いフリルのスカート姿の彼女立っている。彼女は、俺の顔を見るなり、驚いた様子で俺を見る。

「あらっ？山本さん！息子は今夜部活の合宿で帰らないのよ？知らなかったの？」
「えっ！？」
「やだっ、あの子、その事を先生に言ってなかったのね」
「あれっ？そうでしたっけ？そう言えば・・・聞いていたような・・・」
（そう言えば、来週、バンドのメンバーで深夜ライブをするとか言っていたなぁ、あいつそれを母親には部活の合宿って言ってるのか）

「あっ、そうでしたね、そう言えばそう言ってましたねぇ！すいません！僕すっかり忘れていて、間違って来てしまいました（笑）。すいません、それじゃ今日は・・・」
　そう言って俺は玄関口で振り返り、帰ろうとする。と、彼女は

「ああっ、山本さん待って！息子の進路についてもご相談したいし、せっかくおいでくださったんだから、せめてご夕食でも食べてからお帰りになりません？」
「あっ、いやお気使いなく、また来週きますから」
　そう遠慮する俺に彼女は重ねて
「まあっそうおっしゃらず、さあどうぞ！」
　そういって体を乗り出し、積極的に俺を家の中に招きいれる。彼女以外誰もいない課長の家に入ることを俺も一瞬躊躇したが、強い彼女の申し出を無理に断るのは気が引けた。

「いいんですか？正直、家に帰っても食べる物がないので助かりますが・・・」
「そうでしょ！一人暮らしでは御夕食の準備も大変でしょう？私も一人で食事をするのは寂しいし、ご一緒に食べてもらえると嬉しいわ！」
　もちろん社交辞令なのだろうが、俺にとっては嬉しかった。憧れの奥さんと二人っきりでの食事、今夜は運がいい。
　もっとも、上司の奥さんだ、夜のおかずという想像の世界ではお世話になっている奥さんも、現実の世界では別だ。俺は自分の下半身に秘めた淫らな欲望を完全に押し殺す覚悟で招かれるままに家の中に入っていった。

　彼女に案内されたのは台所だった、台所には椅子とテーブルがあり、彼女は微笑みながら、その椅子の一客を引き、そこへ座るように俺を手招きした。
　彼女の家で夕食をご馳走になるのはこれが初めてではないが、いつもは二階の息子の部屋で、例のばか息子と一緒に食事をとっていた、だからこの部屋に入るのはこれが初めてだ。

「今、夕食を作り終えたところなのよ、少し多めに作っちゃってどうしようかなって思ってたの、一緒に食べてくれる人が見つかって助かったわ！」
　そう言って彼女は俺にお茶を出すと、エプロンを身につけ再び台所に向かった。
　俺は出されたお茶を飲みながら、横目で台所に立つ彼女の後ろ姿を眺めて待った。

　この広い家の中に俺と彼女の二人だけ。彼女の身に付けたエプロンの結び目は細く美しい彼女の腰の曲線を引き立たせ、エプロンでカバーされない彼女のお尻は適度に丸く盛り上がって人妻の色気を感じさせる、そして彼女が時々俺に話し掛けようと振り返る都度、上半身をカバーするエプロンの下に隠された彼女の豊満な乳房の盛り上がりが、エプロンとニットセーターに大きな隙間を作り、その乳房の大きさが強調され視線をつい胸に向けてしまう。
　こんな状況に、俺は次第に押し殺したはずの下半身の欲望が首をもたげてくるのを感じた。

（おいおい、ダメだって、課長の奥さんだぜ、やっちまったら大変な事になる）
　俺はその都度、あの鬼課長の顔を思い浮かべては、その淫らな思いを押し殺した。

「さあ、出来たわよ！お待たせ！」
　そう言って彼女は皿を２枚手にして振り返る、そしてその１枚を俺の目の前に差し出した。

「ごめんなさい、一人で食べると思ってこんなものしか作ってなかったのだけど」
　そう言って彼女は手作りのスパゲティーを俺の目の前に置いた。
「いえいえ、どんでもない、コンビニのお弁当を一人で食べることを考えたら、これは凄いご馳走ですよ、喜んで頂きます！」
「そう？よかった！そのかわりワインもサービスさせてもらうわね」
　そう言って彼女は白のワインを冷蔵庫から取り出し、慣れた手つきでそのコルクの栓を開けた。二つのグラスに透明な白のワインが注がれ、部屋の中は芳醇でほのかに甘いワインの香りで包まれた。

　至福の時とはこんな時間を言うのだろうか、上司の奥さんとは言え、俺は久しぶりに女性と二人っきりで食事を楽しんだ、こんな楽しい時間を過ごしたのは数ヶ月ぶりだ。
　やがて２本目のワインが空く頃には俺も、彼女もほろ酔い気分となり、お互いの身の上話に花が咲き、話が途切れることなく夜は更けて行った。

　やがて話は、北海道の人の話になる。
「でも、北海道の女性は綺麗な人が多いですよねぇ〜」
「そうかしら、気候が涼しいから色白の人が多いからじゃない？ほら色の白いは七難隠すっていうじゃない」
「ああ、確かにそうかもしれませんね、そう言えば奥さんも色白ですけど、やっぱりこちらのご出身ですか？」
「いえ、私は東京よ、生まれつき色が白いの。でも私の場合は、もう七難隠せないくらいおばさんになっちゃったけれど（笑）」
「そんな、そんな事はないですよ、まだまだ、とてもお綺麗で魅力的ですよ」
「まあ、お上手ですこと、お世辞でもそんな事を言ってくれるのは貴方くらいだわ」
「いやいや、お世辞じゃないですよ、本気で言ってるんです」
「あら〜、私、単純だから本気にするわよ〜（笑）」
「ええ、本気にしてくれていいですよ、僕は本気で言っているんだから」
「まあ、貴方みたいに若い男性から真顔でそう言われると、さすがに私もドキドキしちゃうわ・・・でも、こんなおばさんを本気で相手しようなんて人は、もういないわよ（笑）」
「いいえ、奥さん、ここに居ますよ、僕が何時だってお相手しますよ！」

（やばい！勢いでつい言っちゃったよ〜。彼女、俺から口説かれているって思ったかな）

「まっぁ！嘘ばっかり〜（笑）、本当にこんなおばさんを、貴方、相手にできるのぉ？（笑）」
　そう言って彼女は上目遣いに俺の反応を面白がった。
（な・なんだ？今の俺の言ったこと、本気にしていないのかぁ？おいおい、俺は、今言った言葉さえ真剣に反省してるんだぜ〜、それなのに冗談と思ってるのかよぉ？くそっ！）

「僕、奥さんなら相手出来ますよ、本当に、なんなら証拠をみせましょうか？」
「あらっ〜まっ、証拠なんて、そんなもの本当にあるのぉ〜？（笑）」
　その挑戦的な彼女の言葉と態度が、俺の理性を軽く吹き飛ばせた。

　俺はすぐに席を立ち、斜め向かいの椅子に座った彼女の横に立つと、とっさに彼女の右手を掴み、自分の股間にそれを押し付けた。
　俺は自分のペニスが人並み以上に大きいことを理解している、勃起していない普通の状態でも女性から見れば勃起していると勘違いするくらい大きいはずだ、それを分かって、彼女にスラックスの上から触らせたのだ。
「まぁ・・・嬉しい・・・こんな・・・私みたいなおばさんに・・・なんだか嬉しいわ・・・確かに・・・これ・・・証拠ね・・・」
　彼女は顔を赤らめて照れている、しかし、その視線は俺の目に向けられたままで彼女はこれを嫌がってはいない、むしろこれ以上のことを望んでいるかのようだ。

「これが証拠ですよ奥さん、でも、ここは、こんなもんじゃないですよ」
　俺は彼女に自分のペニスを触れられているという興奮で次第にそのペニスが大きく勃起してくるのを感じていたし、もとよりその状況を彼女の手で、直に感じて欲しいと思ったのだ。
　俺のペニスはどんどん膨張し、やがてスラックスの中では収まらなくなる。

「えっ・・・そんな・・・やだ…まさか」
　彼女は思った以上に膨張する俺のペニスに驚く。
　俺はスラックスのチャックを開け、ベルトを外しブリーフ越しに大きくなりつつあるそれを彼女に触れさせる。

「あぁぁぁぁっ・・・凄い・・・嘘でしょ・・・こんな・・・」
　さらにペニスは大きくなり、やがてブリーフの上に頭を出す。ここまでくると、さすがに彼女もその大きさに驚き、視線は自分の手元、俺のペニスにくぎ付けだ。

「あぁぁぁ・・・ご・ごめんなさい・・・わたし・・・わたし、そんな・・・」
「そんな？そんな何ですか・・・そんなつもりじゃなかったとでも言うんですか？こんなに僕のペニスを大きくしておいて？」
「いぇ・・・そんな・・・えっ・・・だって・・・こんなに・・・」
　そんなやり取りとは別に、ついに俺のペニスは完全に勃起した、俺は彼女の手を改めて掴み直し、今度はその手で俺のペニスをしっかり握り締めさせた。彼女の小さな手では完全に握り締められない。
「あぁぁぁぁぁ・・・やだ…信じられない・・・こんな大きいの・・・嘘でしょう・・・だって缶コーヒーより・・・大きいなんて・・・こんなの・・・もう・・・眩暈（めまい）がしそう」
「眩暈されても困りますよ、奥さん、僕のペニスは奥さんに魅力を感じてこんなになったんだ、さぁこれが証拠ですよ、ここから先はちゃんと奥さんが面倒みてくれなきゃ」
「ご・ごめんなさい・・・私・・・」
「なんで謝っているんですか奥さん？」
「いえ・・・そうじゃなくて・・・だって・・・」
「だって、なんですか？」
「困るわ・・・こんなこと・・・」
「困る？僕も困りますよ奥さん、男の物をこんなにしておいて、これで終わりだなんて子供じゃないんだ、これがどういう事かわかっているんでしょ？」
「え・・・ええ・・・」
「じゃあ、この後どうしてくれるんですか？」
「ど・ど・どうって・・・どう、したら・・・どうしたらいいの・・・？」
　彼女は気が動転し、言葉が途切れ途切れになっている。