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第３章 紹介の連鎖②
喫茶に着くと、俺はできるだけ周りに人がいない席をさがし、順子より先に席についた。
席に付きつくと、さっそく順子は嬉しそうに話し始めた
「ねぇ～アキラから聞いたんだけど、ヒロシ、年上のセフレがいるんだって？」
（セフレって言ってるのかよ・・・まあ、間違えはないが・・・）
「表現が悪いな、まあこの際どうでもいいけどな。それより順子、アキラからどんな話を聞いていてるんだ？」
「うん、ついさっきなんだけどね、携帯に電話あって、ヒロシが今つきあっているセフレをヒロシが私に紹介してくれるかもしれないって」
「単にそれだけか？」
「うん、それだけ他に何かあるの？アキラとはお互いパートナーを紹介するって約束なんだ。」
（どうやらアキラは俺と由紀のソフトＳＭの事は話してはないようだ）
そう思った俺は、不自然な会話にならないようにとっさに話を変えた。
「いやそう言うわけじゃなくて・・・・つまり・・・お前の女趣味を俺はアキラから聞いたって事だぜ」
「ああっ、それは別にいいの、あたしカミングアウトしているから！」
「カミングアウト？」
「うん、つまり、私がレズだってことは、隠してないってこと、そりゃ、わざわざ、みんなに言って歩くわけじゃないわよ、でも仲のいい友達や両親は知っているって事！」
「ふ～ん、勇気あるな」
「だって隠したって仕方ない、本当のことなんだから、確かに偏見持っている人は多いけどね、その点、ヒロシはアキラがホモだって知っていて友達してるんでしょ？偏見ないのね」
「ああ、別の意味で気にはる事はあるけど、偏見ってのはないな、あいつバカだけどいい奴だからな」
「別の意味っていうのは分かるわ～アキラはヒロシに片思いだったもんね～正直嫌なんでしょでも大丈夫よ、今は私の親友の男に夢中だから（笑）」
（アキラの話ししていた男だな）
「そうか、よれは良かった、それで二人はうまく行きそうなのか？」
「うん、まだ正式に紹介はしてないけど、絶対大丈夫！この間、彼にちらっとアキラを隠れて見てもらったら、彼もアキラは好みのタイプなんだって～うまくいくわよ～あの二人！彼は私がアルバイトしているスイミングクラブの先輩なのよ、だから今でも筋肉モリモリのマッチョマン！アキラの好みのタイプって感じでしょ～！」
俺は一瞬、あのか細いアキラがマッチョな男と絡んでいる光景を想像して眩暈がしそうになったが、さらに順子は話を続けている
「で、さあ～、アキラに、その彼を紹介する代わり、私にもいい人紹介してって言ってあったら、ヒロシが今のセフレを紹介してくれるかもって、電話あったんだけど・・・・私、期待していいのかな～？私の好きな年上だって聞いているんだけど～」
嬉しそうに目を輝かせ俺の顔を覗き込む順子
「アキラにも言ったけど、まだ本人には何も話をしてないんだぜ、第一、俺の女だぜ、お前ら二人で勝手に決めるなよ」
「うんわかってる！それもアキラから聞いてる。それでさあ、提案なんだけど、そんな話、ヒロシも彼女にしづらいでしょ？だから、ヒロシは彼女に何も話さなくていいよ、私に紹介してくれるだけでいいよ、後はさぁ、私の方でなんとかするから、その代わり、ヒロシには代わりにすごくカワイイ子を私が紹介してあげるから・・・・もし、ヒロシがそのセフレの事、気に入っているのなら、その人をあたしたち二人で共有してもいいじゃない・・・だからお願い～！本当に紹介だけでいいから、ねっ！ねっ！」
「代わりに紹介とか、なんとかするとか、共有するとか・・・・よくそこまで考え付くなあ・・・まあ・・・ともかく、アキラにも言ったけど、単純に紹介するだけって事なら俺も気が楽だよ」
「うん、じゃあ、よろしくお願いしま～す！その代わり、私もヒロシにカワイイ子紹介するって約束するよ」
「それは余り当てにしないでおくよ・・・じゃ紹介はするよ、でも、その人は俺のアパートでしか紹介できないよ、それは理解してくれ」
「あら、そうなの・・・ふぅ～ん・・・じゃあ、ヒロシはその人とは、アパートでしか逢わないの？」
「ああ、由紀っていうんだけど、毎週木曜に俺のアパートに来て逢うだけだからな」
「なんか、訳有りの二人って感じね、まあいいよ、じゃあ、今度の木曜に、私がヒロシのアパートに行くよ・・・そうね～・・・・偶然二人がいる所に私が来たって感じにしてもらったらいいんじゃない？」
「ああ、そういてくれ」
「でさあ、私がその由紀さんのこと気に入ったら、ヒロシに合図するから、そこから先、由紀さんと私を二人っきりにしてくれないかな？そうねぇ・・・・２時間でいいわ、二人っきりになったら、私の方で、その由紀さんって人の気持ち確認してみるから、で、ダメなら諦めるわ。どう？そうすればヒロシは由紀さんに何も言っておく必要はないでしょ？もちろんヒロシと由紀さんとの関係を詮索したりしないしヒロシが由紀さんを紹介してくれたなんてことは由紀さんに絶対言わないから・・・あくまでも偶然に逢ったことにする、その先で私から誘われた・・・どう？こんなシナリオで？」
「なるほど、いいよそれで。ただ一つだけ、実は由紀は既婚者なんだが、それはいいのか？」
「あぁ～なるほどねぇ～だからアパートでしか逢えなんだ、不倫ってヤツなんだ、ヒロシも凄いわね、見直したわ！私は別にそんなこと、どうでもいいわよ！私は単に・・・貴方と同じで・・・セ・フ・レ・が欲しい・だ～け！それも年上のネコのね、人妻って聞いてますます燃えちゃう～！」
（確かにいいシナリオだ、先日のアキラの件もある、俺のアパートに友人が訪ねてくるって事は不自然じゃない・・・・後は由紀の気持ち次第だし、二人がうまくいかなくても俺は困らない、その上でアキラに義理は果たせる・・・・しかし短時間にここまでのシナリオを考えつく順子は、軽率なアキラとはかなり違う、ある面怖い存在かもしれないな）
「じゃ、今週の木曜日、そうだなあ１２時ぐらいに俺のアパートに来れるか？、俺のアパートは・・・・」
そう言って、俺は、アパートまでの簡単な地図を書き順子に手渡し、順子と一緒に喫茶を出た。
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