「先生ね・・・昨日あれからよく考えたの・・・」
　翌日の放課後、また教官室に幸夫を呼び出して洋子は言った。
「あなたのことを訴えるのはやめるわ・・・」
「えっ・・・」
　洋子の前にかしこまって座った幸夫の顔がパッと明るくなる。
「許して・・・くれるんですか？」
「あなたを婦女暴行罪で訴えて・・・あなたの将来を台無しにすることがわたしの望んでいることではないんだもの・・・」
「ありがとうございます！！」
　幸夫は心の底から安心したように言った。
　本当に嬉しそうな、あどけない笑顔を見せた。
「ただし・・・」
　洋子は少し語気を強めた。
「条件があるの・・・」
「条件？・・・ですか・・・？」
　また不安そうな表情に戻って幸夫は言った。
　洋子は優しく微笑んでみせる。
「先生はあなたに勉強を頑張ってもらいたいの・・・そして、目標の国公立へぜひ合格してもらいたいのよ。それがわたしの望みであり・・・あなたの罪を許す条件なの・・・」「でも・・・僕・・・自信が・・・」
「先生がしっかり面倒見てあげるわ。厳しいかも知れないけど、何でもわたしの言う通りにするとあなたさえ誓ってくれれば・・・」
「そ・・・それはもう・・・もちろんです！！・・・何でも言うとおりにします！！」
　幸夫は勢い込んで言った。
「ふふ・・・本当に？・・・大丈夫かな・・・」
　洋子は悪戯っぽく笑った。
「大丈夫ですよ・・・僕・・・洋子先生の言うこと・・・何でも聞きます！！」
「分かった。あなたの学力を伸ばすには、まず苦手教科の克服・・・つまり英語の力をつけることと・・・それから・・・」
　洋子は意味ありげにそこで言葉を切った。
「それから・・・何ですか？」
「これが一番重要かも知れないわ・・・」
　更に意味深な微笑を洋子は浮かべる。
「何でしょう？」
「あのね・・・それは・・・性欲をコントロールすることよ。」
　性欲・・・という言葉に幸夫は一瞬驚き、それから赤くなって俯いた。
「Ｈなことばかり考えて勉強が手につかないのは困るし、かと言って昨日みたいなことをするのはもっといけないわ・・・」
　幸夫は俯いたまま、こっくりと頷いた。
「あなたたちの年頃は、女の子や女の子とするＨに興味があって当然なの。それは決していけないことではないわ。でもそのコントロールを誤ると、取り返しのつかないことになってしまう・・・分かるでしょ？」
　またこっくりと幸夫は頷く。
「上手に性欲をコントロールして、勉強に打ち込んで志望校へ入って欲しいの・・・そのためのお手伝いを先生はしてあげる・・・」
　幸夫が顔を上げた。
　洋子の言葉の裏にある真意をはかりかねているようだ。
「昨日・・・あんなことになって・・・正直先生はショックだった・・・」
　幸夫の頭の中にまた不安がよぎったようだった。
　その不安が、年上の美人女教師を見つめる目に表れている。
「でも・・・そういう深い関係になってしまった以上、そのことも前向きに生かしていこうと思ったの・・・」
「洋子先生ッ！！」
　感激的な声で幸夫は言うと、洋子の肩をつかもうとした。
　洋子は身をひねってその腕から逃れると
　「ほら・・・それがいけないのッ！！」
　厳しい声で言った。
「すぐ激情に駆られて相手のことを考えないんだから・・・そんな男は最低よッ！！」
　幸夫は美人女教師の厳しい言葉にすぐにシュンとなって、また下を向いた。
「あなたの性欲をコントロールするのはわたし・・・そっちでも言う通りにするなら先生はあなたの罪を許すわ。」
「分かりました・・・」
「ふふ・・・分かってもらえて嬉しいわ・・・本当に何でも言うとおりにするのよ。」
「はい・・・」
　洋子は心の中で快哉を叫んでいた。
　これでこの教え子との淫らな関係を、誰にも知られることなく、自分の思い通りに続けることができる。
　洋子が何よりも恐れていたのは、関係が第３者にばれてしまうことなのだ。
　その可能性が一番高いのは、幸夫自身が自慢げに誰かに秘密を漏らすことだ。
　それを防ぐためには、餌をぶら下げつつ自分が主導権を握らねばならない。
　若く、精力の有り余った素敵な肉棒を自分のものとして独占し、なおかつ秘密を守るためには、弱味を握った上で相手の思い通りにさせないことだ。

　こんなに計画通りことが運ぶなんて・・・

　ふふ・・・幸夫君・・・あなたはわたしの欲望を満足させる性奴隷になるのよ・・・。

「じゃあ・・・今日はこの課題をやってらっしゃい。今から家へ帰ったら、すぐにやるのよ。そして、全てができたらそれを持ってわたしの家へいらっしゃい・・・いいわね。」　そう言って洋子は、短期練成用のドリルを渡した。
「先生の家へですか？」
「駅の近くの“コーポ輝き”・・・その２０２号室よ・・・分かるでしょ？」
　独身の洋子はそこで一人暮らしをしているのだ。
「はい・・・そこなら知っています。通り道ですから・・・」
「じゃあ・・・頑張って・・・ね！！」
　洋子の言葉が意図するところを感じ取ったらしい幸夫は、
「はい！！」
　と勢いよく答えると、教官室を出ていった。

　ふふ・・・可愛い子！！

　でも・・・１週間分の問題を、今夜までにできるかしら・・・？

　まだ時間は午後の２時・・・時間はたっぷりあるとは言うものの、根気がなければこなせない量だ。
　それでも洋子の言った通りにわき目もふらずに問題に取り組めば、何とかなるはずだった。

　いや・・・きっとあの子はやってしまうわ・・・。

　わたしの体を目当てに・・・

　そう思った途端、早くも下半身が疼くのを洋子は感じた。
　その日洋子は定時で退庁すると、DIYショップで手錠を買い帰宅した。
　家中をきれいに片づけ、掃除をする。
　知らず知らず鼻歌も洩れたりして、心が浮き浮きと弾んだ。

　ふふ・・・まるで恋人を初めて家へ招待するみたいね・・・

　洋子は自嘲気味に笑った。
　家中と言っても、独身者用の２ＬＤＫの小さなマンションだ。
　掃除と片づけにそんなに時間はかからない。
　すっかり家の中が片づくと、洋子は簡単に夕食を済ませ、それからシャワーを浴びることにした。
　時計を見ると、間もなく午後７時になろうとするところだ。

　まだ時間はある・・・きっと８時過ぎね・・・あの子が来るのは・・・

　狭い浴室の扉を開けると、洋子は着ている物を脱ぎ、洗濯機の篭に入れた。
　最後に穿いていたパンティを足から抜き取り、股布の部分を確かめると、昼間の疼きに愛液の染み出した痕がくっきりと残っていた。
　別にそれを他人に知られたわけではないのに、なぜか洋子は顔が火照った。
　同時に早くも官能の火が、チロチロと炎をあげ始める。
　シャワーを開き温度を調節すると、ノズルを体のあちこちに向けて水流の感触を洋子は楽しんだ。
　若々しい張りに満ちた乳房に激しい水流を当てると、小指の先程の肉の蕾が、きゅっと頭を持ち上げてくるのがはっきりと感じられる。
　ノズルを近づけすぎると痛みを感じるので、遠すぎず、近すぎず、程良い距離に調整し、水流をその乳首に集中させる。
　次第に疼痛にも似た快感が体の隅々に広がり、浴室の蒸し暑さとも相まって、頭をぼんやりと甘い霧に包んでいく。
　そのままじっとしているうち、両脚の間をシャワーの水とは違った粘度の高い液体が伝わってくるのが分かる。

　ああ・・・わたし・・・濡れてる・・・

　洋子にとっては初めてのことであった。
　これまでにも、シャワーの水流に快感を感じたことがなかったわけではないが、これほど明らかに性感を高められたことはなかった。
　洋子は更なる深みを求めて、ゆっくりと水流を下腹部に滑らせていった。
　そしてとうとう、水流を心持ち開いた両足の付け根に直接向けた。
　その瞬間、水流の当たった部分から大きな震えが湧き上がり、あっという間に洋子の全身に広がった。
「あ・・ああああん・・・」
　どうにも我慢できずに洋子は呻き声を洩らす。
　両足をもっと広げ、更に深い快感を求める。
「あッ・・・ああああッ・・・い、いいいいッ・・・ああああッ・・・」
　溢れきっている蜜を吹き飛ばしながら、飛沫がその辺り一面を激しく叩き、今度は甲高い声を出して腰を悶えさせねばならなかった。
　幾百幾千の水の散弾が、敏感な肉芽はもちろん、淫肉の表にも裏にもくまなく弾け散った。
「あッ・・ああッ・・・いく・・・・いくうッ！！」
　その強烈な刺激に快感が一気に沸騰し、洋子は浴室の壁に片手を突き、髪を振り乱しながら絶頂を迎えたのだった。