14

　案の定幸夫は、翌日は洋子のマンションにやって来なかった。
　前日、幸夫との行為を思い出しながら、疼く体を自ら慰めた洋子だったが、この夜は静かに床に就こうとしていた。
　パジャマ代わりの大きめのＴシャツ、それにパンティを穿いただけの格好で洋子はベッドに入った。
　やがてしんと静まり返った深夜の寝室で、洋子がうとうととしかけた頃、女の泣くような声が聞こえて思わず眠気が吹き飛んでしまった。
　啜り泣くようなその声は、隣の女子大生の部屋から聞こえるようだった。
　洋子はドキッとした。
　明らかにそれは、男女の行為によるものだ。
　洋子の隣室は長らく空いたままだったが、その美夏と名乗る女子大生が２週間前に越してきてようやくお隣さんができた。
　だが引っ越しの挨拶に彼女がやってきたときに顔を合わせたきり、その後は一度も出会ったことがない。
　そんなわけでお隣さんができたと言っても、ほとんど生活の匂いを洋子は感じなかったため、そのような声が突然聞こえてきたことに驚くと同時に、逆を言えば先日の洋子が発したあられもないよがり声も、隣に聞こえていたのかも知れないと心配になった。
　なんだか急に頭が冴えて、いろいろな思いが去就する。
　泣くような声は、ますます大きくはっきり聞こえ始めた。
「ぁぁぁぁん・・ぁん・・あん！」
　俄に好奇心が頭を擡げた。
　洋子はベッドから下り、隣室に面した側のクローゼットに近づいた。
　そしてクローゼットの扉をそっと開ける。
　四つん這いになって吊した衣服の中に頭を入れ、じっと耳を澄ます。
　すると、隣人の甲高い叫びが聞こえてきた。
「はあああああんっっっっっ！　イイのぉーっっっっっっ！　もうだめぇ・・・・・・トオル、イッちゃいそうなのぉ・・・・」
　心臓の鼓動が速くなる。
　それはもう壁一枚隔てた間近で、男女の営みが佳境に入っているのだ。
　隣人のお相手はどうやらトオルという名前のようだ。
「ええ？　なんだよ・・もういきそうなのか？　あああ・・美夏がいく前に、美夏にミルクをかけてやろうと思ったのに・・・」
　低い男の声が女の喘ぎに重なった。
「じゃ・・あ・・ああ・・我慢するぅ・・・トオルのミルク、美夏にかけてぇ・・」
「じゃあ・・かけてやるから・・一度こうして起き上がって・・さあ・・じゃあ、いくぞッ！」
　お互いの口で互いの性器を愛撫し合っていたのだろうか。
「はぁぁぁ・・・・おっきい・・・・太くて、硬くて・・ああんっ！　見てるだけで美夏のおま○こ、またぐちゅぐちゅになっちゃう・・・」
　ああ、いったいどれほど立派な長太槍なのだろうか、見ているだけでそんなふうになってしまうとは・・
　洋子の体がかーっと熱く火照り出す。
　幸夫のものがまた目の前にちらつく。
「あぁ・・・どんどんおっきくなっていくぅ・・・・トオルのおちんちん・・あん・・・もっとおしゃぶりしたいのぉ・・ねぇダメ？　見てるだけじゃいやぁ・・」
「あああ・・美夏・・先っぽ舐めろ！！　舌でれろれろれろって・・・」
「嬉しい・・・んっ・・・こーぉ？」

　ああ、きっとぶっといおちんちんをつかんで先っぽを舐め始めたのね！

「あ・・あああ・・・そ、そうッ！　い・・いいいいッ！」
　気持ちよさそうに男が叫んだ。
「もっとしてあげるぅ・・・」
　甘ったるい女の声・・しばらく男の喘ぎが続く。
「ああッ！　いくッ！　出るッ！　うううううううう・・・ッッッ！！！」
　切迫した男の声。
「ああああ・・・美夏の胸に・・・こんなにかかった！！」
　ああ・・きっと射精したのだ。
「トオルのミルクぅ、こんなに出ちゃったぁ・・美夏のおっぱいにも、やん・・・顔にも飛んじゃったぁ・・こんなになっちゃってぇ・・・・すごくＨぃ・・・・」
　洋子も教官室で、初めて幸夫の射精を目にしたときのことを思い出した。
　あのときも教え子の若い迸りは、洋子の体のあちこちに降りかかったものだ。
　同時にジュンと下着の中が濡れた。
「このトロトロのミルク、おちんちんで塗り伸ばして欲しいんだろ？　さあ、垂れちゃうからそこに寝なよ・・」
「いやぁ・・・・・・恥ずかしいよぉ・・・」
　男に甘える女の声・・・
「いいじゃないか！　そんなＨな美夏が僕も大好きなんだから・・・」
「いいの？　Hな美夏でも・・・」
「うん・・じゃあ、こうして・・・」
「あーーーーっっっ！　トオルのミルクぅ・・・ぬるぬるしてて・・・」
「おっぱいにまぶして・・乳首にも・・・亀頭でこうして・・」
「あっあっ！！　いやん・・・なんか変なカンジなのに・・・ぬるぬるが・・・カンジちゃうよぉ・・・・」
　裸の女の上に男が馬乗りになり、肉棒で精液を女に塗り広げる図が、洋子の脳裏に鮮明に浮かんだ。
　ますます溢れ出した愛液が、下着の股布をじゅくじゅくにしてしまう。
「あああ・・いっぱいヌルヌルになってきた！」
　洋子もまた、壁の向こうの男の言葉通りの状態だった。
「ああ・・こうしてると僕も気持ちいい・・・うううう・・・・」
「・・・いやぁ・・・カンジちゃうよぉ・・・ねぇトオル、おっぱいだけじゃいやあ・・ねぇ・・・もっとほしいのぉ・・・」
「いいよ・・またあげるから！　ほら・・こうしてるうちに、ぐんぐん硬くなっていく・・・あああ・・・」
「あふ・・んっんんっ・・・・あんっっっ！　イイのぉ・・トオルのぬるぬる・・・・気持ちイイのぉ・・・・」

　あああ・・だめ！　もう・・・我慢できない！！

　切迫する女の声を耳にして、洋子はするまいと思っていた自慰を始めてしまった。
　下着をせわしく脱ぎ捨てると、雌犬の姿勢のまま股間から手を入れ、淫肉の狭間を指でなぞる。

　ぐねぐにぐねぐに・・・ぬるーりぬるぬる・・ぐにぐぐ・・ぐりぐりぐり・・・

　ぐちょ濡れの肉の狭間で、ゆっくりその蜜を塗り広げた。
「はあああああんっっっっっっ！　ねぇ・・・もう・・・・トオル〜〜・・・」
「そら、もうこんなに勃起したぜ！　見てみろよ！！」
「見なくても知ってるよぉ・・・おっぱいに・・・硬いのが当たるんだもん・・・」
「欲しいんだろ？　これをおまんこに・・・そうだろ？」
「うん・・・・ねぇ・・・早くぅ・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、這い蹲ってまたいやらしいお尻を自分で高く捧げ出せ！！」

　あああ・・今のわたしと同じ格好だ！

「あぁ恥ずかしい・・・でも、トオルのおちんちん・・・欲しいのぉ・・・・」
　洋子はまた、幸夫のものをほしいと思った。
　だがもちろん今は、その願いは叶わない。
そうだ・・と、洋子は慌ててキッチンへ行き、冷蔵庫から一番大きな胡瓜を１本取り出した。
　それを持って寝室に戻ると、コンドームを胡瓜に被せた。
　こうしてできあがった俄バイブを手に、再びクローゼットの奥へ顔を突っ込む。
「ふふ・・いやらしく腰を揺すって！　淫乱雌犬そのものの仕草じゃないか・・・ふふ・・・」
「だってぇ・・・・・・早く欲しいんだもん・・・勝手に動いちゃうよぉ！」
　女は無防備な尻を男の前にさらけ出し、早く早くと腰を揺すってせがんでいるのだろう。
　洋子には本当にその様子が見えるようだった。
「ふふ・・Ｈな割れ目にドロドロがいっぱい溜まってる！」
「トオルのおちんちん見てるだけで、Ｈなおつゆ出ちゃうのぉ！」
「いやらしいなあ・・ほんとに！」
「あんっいやぁ・・・・そんなにじっと見ちゃ・・・ほらぁ・・トオルが見てるだけで・・また出ちゃう・・あぁんっ！」
　洋子自身、今自分の後ろからいやらしく濡れそぼった恥ずかしい割れ目を幸夫に見られているような気がした。
　洋子の淫汁もまた溢れ出す。
「ははは・・待ってな、今あげるからさ・・そら・・ここ？」
　男の声に合わせ、洋子も胡瓜を割れ目に宛った。

　ぐにゅ・・ぐねぐね・・・・

「あっあーーっっっっ！！！　トオルっっっ！　だめぇ・・・カンジちゃう！！！」
「おっと、これはクリちゃんだ！　ふふ・・でもここも可愛がってやらないとな・・亀頭に愛液をまぶして・・・」
「だめよぉ・・・・クリちゃんカンジやすいのぉ・・・そんなにしちゃ・・・ああんっっっ！　だめぇぇぇっっっ！！」
　洋子もまた、胡瓜で自分の肉芽を捏ね回す。

　ぐにゅぐりぐねぐね・・くにゅんくにゅん・・ぐりぐりぐりぐり・・・・

「あっあっっ！　いやいやっっっ！　イっちゃうぅぅぅっっっっ！！」
　洋子もクリトリスは敏感だったが、壁の向こうの女も感じやすいらしい。
「ダメダメ・・まだいっちゃダメだよ！！　今度は一緒にいくんだからね・・そうでしょ？」
「うん・・・我慢するぅ・・・ねぇだからぁ・・・・早く挿れてぇ・・・・・」
　焦れた女の声。
　洋子も尻をくねらせて、胡瓜を濡れた淫肉に擦り当てる。
「じゃあ・・今度はしっかりねらいを定めて・・・」
　洋子も胡瓜を身構えた。
「あっ！　トオル〜〜ッ・・・やっとぉ・・トオルでいっぱいーーーっっっ！！」
　女の嬌声に合わせ洋子は胡瓜を押し込んだ。

　ぐぶッ・・ずぶずぶ・・・・

　柔肉を押し広げひんやりした感触が、洋子の内部に侵入を果たす。
「ううう・・奥まで届いた！！　美夏のどん底に当たってる・・・あああ・・・みっしりと締めつけてくる淫肉がたまらないよ・・美夏ッ！」
「あんっっっっ！　おっきいーーーーっっっっっ！！　あぁ苦しいくらい・・・・硬くて　おっきいのぉ・・・・・・」
　胡瓜では少し物足りなかったが、それでも幸夫のものに貫かれたような錯覚に陥り洋子も声をあげそうになった。
「ああ・・こいつを捲れさせて・・ゆっくり引くよ！」
　洋子も胡瓜を引く。

　ぐいぐい・・ぐぐ・・・

　さすがに鰓の引っかかりが胡瓜にはない。
「あーーーーーーーっっっっっっ！！！　いやいやっっっっっっ！　早く戻してぇぇぇっっ！！」
「ふふ・・こうかい？」
　洋子も突いた。

　ぐさりッ！！

「イイっっっっ！　ああんっっっっっ！　おっきいーーっっっ！！」
　代用バイブの胡瓜も、長さだけは幸夫のものに引けを取らない。
　奥を突き抉る感触は、幸夫のFuckを彷彿させた。
「あっあっ！！　イイっっっイイーーーっっっ！！！！」
　壁の向こうは男の抽送が本格化したようだ。
　ベッドの激しく軋む音と、女の悶え声が間断なく続く。
　洋子も胡瓜を激しく出し入れした。

　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！　ぐっちゅじゅっぷぐちゃッ！
　ずぶッぐさッ！　ぐさッぐさッ！　ずんッずんッずんッずんッ！！　ずずんッ！

「はあんっ！　イイのぉ・・・後ろからの方がっますますおっきくカンジちゃうーーーっっっ！！」
「ふふ・・そうだろぉッ！　美夏は・・ああ・・はッ！　こうやって・・ケツから無理やり突き刺されて・・・ずぼずぼ、ズコズコ・・突き抉られるのが・・大好きなんだよなあ・・はあッ・・はッ・・・・」
「好きっっ！！　バック好きぃっ！！　後ろから犯してぇぇぇぇぇっっ！　美夏はっ・・トオルだけの・・・淫乱雌犬なのぉっ！　イイっっっっ！　あんっ！　イイのぉぉぉーーーっっっっ！！」
　賑やかによがり乱れる隣人の声に、洋子も煽られた。
　深く激しく、胡瓜で自らの蜜壺を突き抉った。

　ずずんッずずんッずずんッ！　ぬっちゅぐっちゅ！！　じゅぼッぐちゅッ！！
　ずんッずんッずんッずんッずんッ！！　ぐさッずぶッ！　じゅっぽじゅっぽ！！
　ぐっちゅじゅっぷぐちゃッ！　ずぶッぐさッ！　ぐさッぐさッ！　ずんッ！！
　ずんッずんッずんッ！！　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！

「いやあああっっっっっ！　おかしくなっちゃう！！　はぁはぁ・・・・こんな雌犬美夏のこと、嫌いになったりしない？」
「いいじゃないかッ！　変態雌犬・・美夏が大好きだよぉッ！！　ああ・・もっと激しくしてやるから・・はあッ・・はッ！　あ！　はあ・・・」
「あっあーっっっっ！！　狂っちゃうっっっっ！　ああんっ！　おかしくなっちゃうーーーーっっっっ！！」

　あああ・・わたしも・・・変になりそう！！

　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！　ぐっちゅじゅっぷぐちゃッ！
　ずぶッぐさッ！　ぐさッぐさッ！　ずんッずんッずんッずんッ！！　ずずんッ！
　ずずんッずずんッずずんッ！　ぬっちゅぐっちゅ！！　じゅぼッぐちゅッ！！

「あっ！　だめぇぇぇっっっ！！　そんなっあぁ・・・激しくしたらっっっっっ！　壊れちゃう！　美夏のおま○こっっっっ！！　壊れちゃうーーーーっっっ！！！」
　そう言えば自分も、幸夫に同じことを口走っていた。
「壊れる？・・ああ・・いいよ！　壊れろ！」
　２日前の自分の姿が、隣室の声に重なった。
「あぁ・・・もういいーーっっっっ！！　壊してっっっっ！　おま○こっ・・壊してぇぇぇぇぇっっっっっっ！！」
　切羽詰まった叫びだった。
　隣室の女はもういきかけている。
　洋子も夢中で胡瓜を抜き挿しする。

　ずんッずんッずんッずんッずんッ！！　ぐさッずぶッ！　じゅっぽじゅっぽ！！
　ぐっちゅじゅっぷぐちゃッ！　ずぶッぐさッ！　ぐさッぐさッ！　ずんッ！！
　ずんッずんッずんッ！！　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！

「狂っちゃうっっっっ！　カンジすぎて・・おかしくなっちゃうよぉぉっっっ！！　イっちゃうーーーっ！！　こんなによすぎてっ！　ああんっ！　狂っちゃいそうっっ！！」
「いけよ！　いっちゃえッ！　狂っちゃえ！！」

　わたしも狂うッ！・・ああああ・・・い、いいッ！

　ずずんッずずんッ！　ぐちゃッじゅぶッ！　ぐっちょぐっちょ！！　じゅぼッ！
　じゅぼッじゅぼッ！！　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！

「ああ・・・・もうだめぇ・・・・・体中がぁ・・・・トオルに串刺しにされてるみたいっっっ！　いやぁ・・・んんっっっっっ！！」
「ああああ・・・締まるぅぅぅッ！　美夏の淫乱ま○こが締めつけてくるぅぅッ！　はあッ・・は！　あ！　ダメだッ！　ああああ・・・また・・あ・・ああ・・・」
「もうっっ！　あんっっっ・・・・もうだめぇぇぇっっっっ！！　イっちゃうぅっ！　イっちゃうぅぅぅぅぅーーーーっっっっ！！！！！」

　ぐっちゅじゅっぷぐちゃッ！　ずぶッぐさッ！　ぐさッぐさッ！　ずんッ！！
　ずんッずんッずんッ！！　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！
　ずずんッずずんッ！　ぐちゃッじゅぶッ！　ぐっちょぐっちょ！！　じゅぼッ！
　じゅぼッじゅぼッ！！　ずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッずずんッ！！

　あああッ！・・だめッ！・・あッ！

　洋子の愉悦も爆発しようとしていた。
「イイっっっっっ！　ああんっっっ！　イクぅぅぅぅーーーっっっ！！！」
　隣の女の断末魔の叫び・・・
「あああッ！　もう・・もう・・いくッ！　出るッ！　あ・・ああぁぁぁッ！！」
　男も叫んだ。

　幸夫君！・・来てぇぇぇッッ！！

　どぴゅっぴゅぴゅぴゅぴゅぅぅぅぅぅぅッ！！　どぴゅんッ・・どぴゅッ！
　・・どくどくどくどくッ！　どくッ！　どくどくどくッ！　どくり・・・

　幸夫の迸りを受けたような感覚がして、洋子はいってしまった。
「あぁぁぁぁぁッッ！！・・あ・・ああああ・・・」
　抑えていた声が洩れてしまった。
　隣人たちに聞こえてしまっただろうか・・・
「あ・・ああああ・・・美夏！　やっぱり美夏のおま○こが・・最高だよ！　美夏・・愛してる・・あああ・・・どこへもいかないでくれ・・ああああ・・」
「うん・・・どこにも行かない。美夏はトオルだけの淫乱雌犬だもん・・」
　やがて隣の恋人たちの睦言が聞こえてきた。
　洋子はそっとクローゼットを閉め、ベッドに戻った。
　自らの愛液にべっとり濡れ光った代用品を枕元に置き、官能の余韻の中でいつしか深い眠りに落ちていった。