まるでラファエロの絵のような、見事に官能的な曲線をを持つ佳月の体。
　そして白い腕がすぅっと辻元の背中に回された。
　久々に見た桂月の乳房を、辻元が優しく、そして力強く揉むと桂月は感電したかのような、激しい反応を見せた。
「はっ・・ん・・はっ・・あん！・・あっ・・・」
　乳首はとっくに隆起しており、桂月は小刻みに体を震わせた。
　そして乳首を吸う辻元の頭をおずおずと抱きしめた。

　開拓されたまま種をまかれることなく、若くして長い乾季を過ごした桂月の体に、再び辻元がスコールを降らそうとしていた。

　桂月のフェラチオは、辻元が仕込んだだけあって卓越しており、真紀よりも丹念で、片桐晶子よりもねっとりといやらしかった。
　男のものを責めるのは、口内粘膜で吸うよりも充分唾液をつけた舌で局部的にゆっくりと舐めるのが効果的であることを桂月は知っており、辻元にしてみれば、ピアノの先生の前で子供が教わった曲を一生懸命弾いてみせているようなもので、桂月がいじらしく、けなげに見えた。
　おそらくどんな男でも一分ともたないだろう。

　桂月の頭を辻元がゆっくりと離してやると、桂月は辻元の下腹、みぞおち、胸、肩へと舐めるようなキスをしながら、辻元の隣に横たわった。
「お前、すごい上手くなったな。」
「・・なに言ってるの・・・全部こうちゃんに教わったのよ。」
　うっとりとした表情で桂月は言った。
　とろんとした目からは、日ごろの知的でおっとりと上品な桂月はうかがえなかった。

　今度は辻元が桂月を責め始めた。
　桂月が一番感じる乳首を重点的に舌で責めながら、全身をゆっくりと愛撫した。
「はっ・・・んっ・うんっ・・んん・・あ・・」
　と桂月は激しい息で、声にならなく喘いだ。
　そして辻元が、クリトリスを軽く撫でると、すでに桂月のその部分は熱く火照っており上品な純白のパンティを、愛液でぐっしょり濡らしていた。
　辻元が、それに手をかけると桂月は腰をあげ、するりと桂月は一糸まとわぬ姿になった。

　辻元は桂月の悦ばせ方を知っていた、それは辻元が教えたのではなく桂月が持って生まれた資質だったというべきものだった。
　桂月は辱められるのが好きなのだ。と言ってもSMほどハードなものではないが。
　辻元は、桂月の膝を掴んで大きく脚を広げさせ、その性器をじっくり見た。
　桂月は両手で顔を覆って、自分の性器を視線にさらされるその羞恥に耐えた。
　やがて辻元が、敏感なクリトリスを舌で転がすと桂月は全身を反り返らせた。
「いやっいやぁ・・だめっ・・ああんっだめっ・・ああっ・・いやぁ！」

　桂月はもう何も考えられなくなっていた。
　辻元に開発された体と言っても、辻元が去ったあとか体が疼くということはなかった。　理性的な桂月の欲望は、あくまでベッドの上でのみ喚起されるものであり、その機会を持たなかった以上、封印されてしまっていたのだ。
　そしてその封印を、辻元自身が解いた。
「こうちゃんっ・・・欲しいっ・・・欲しいの！」
　それでも辻元の舌は、桂月の性器全体を執拗に責めた。
　桂月の性器はすでに熱く、敏感に研ぎ澄まされた粘膜からは大量の愛液が溢れていた。「お願い・・・こうちゃん・・・・・もうダメぇっ・・あああん・・あっ・・ああ！」
　自分に女の調教をした本人の舌技にひとたまりもなくイッてしまった桂月は、すすり泣いていた。正確に言うと桂月は、快感が高まると涙ぐむくせがあるのだ。
　ひくっひくっと震える桂月の体に覆いかぶさりながら、辻元は自分の先端をイッたばかりの、桂月の性器の入り口にあてがった。
「あっ・・だめっ・・・イッたばかりなのぉ・・だめぇ！」
　辻元は佳月の唇をキスでふさぐと、大きく固くなったもので二回ほど、同じく硬直した佳月のクリトリスを撫でると、そのまま容赦なく膣粘膜に沈めた。
「んっ・・だ・・め・・・・あああああああああああああああああああんっ」
　桂月は辻元にしがみついて夢中で悲鳴をあげた。

　もっと冷静に責めることができるはずなのに、と思いながら辻元は、夢中で腰を動かしていた。

　しかし考えてみれば、「高級料理の素材」智子よりも、「完成された家庭料理」桂月の方が辻元を狂わせることが容易なのは当然のことだった。
　佳月の中は熱く、肉厚の粘膜は数年のブランクを払拭するかのように辻元のものを締め付けて来た。

「あっあっあっあっあっ・・・あああ！またイッちゃう・・あああああああああ！」
　イッたばかりの敏感な部分を、今度は内部から責められて桂月は半狂乱になった。
　辻元の舌技でゆっくりと連れていかれた最初の絶頂から、矢継ぎ早に激しい責めを受け、桂月は、すぐに次の絶頂へと登っていった、しかも最初の絶頂よりもさらなる高みに。

　子宮を何度も突き上げられ、桂月は何度も意識を失いそうになった。
　三回目の絶頂のころには、天井がぐるぐる回って見えて、
「ああああああああああっあああああっ・・・落ちるぅ・・・あああああああああ！」
　はしたないくらいに大きな声をあげている自分の声が押さえられない。
　一回目よりも二回目、二回目よりも三回目、イクときの快感は倍増していき、そして間隔も短くなっていた。
　桂月は辻元の抽送に合わせて自分の性器から聞こえる、ぐちゃっぐちゃっという音に思わず耳をふさいだが、辻元はその手を押さえつけた。
「いやっ・・ああ・・・あああ・あ・恥ずかしい・・・ああっ」
　桂月は首を左右に激しく振りながら、むせび泣いた。
　しかし、そんな桂月の意思に反するように、桂月の幾重にも折り重なった肉襞は、ぬるぬるとした愛液にまみれ、踊るように辻元のものにまとわりついた。

　そして、かつて辻元とのセックスにおいて一度だけ桂月の体に起きた現象が今再び起きようとしていた。
「いやぁ・・こうちゃんっお願いもうイッてぇ・・私・・今度イカされたら・・・おしっこ出ちゃう・・・」
　辻元はラストスパートに入った、すでに辻元も限界だった。
「俺も・・・イクよ・・」桂月は辻元を抱きしめて叫んだ。
「早く・・・早く・・・いっぱいちょうだい・・・お願い・・・」

　そして二年ぶりの男の精液が、桂月の子宮めがけて噴き出された
　自分の膣粘膜へ久々に流し込まれる辻元の精液を、桂月は全身を反り返らせて受け止めた。
「はああああっ・・中に・・・来て・・るぅ・・・・う・・れしい・・」
　桂月がそのまま完全に失神すると、桂月の性器から熱い液体が飛び出してきた。
　それが潮吹きなのか失禁なのかは、わからなかったが辻元はどうでもよかった。
　体を激しく痙攣させて、うっすらと白目をむいた桂月を辻元は抱きしめた。

「体が・・・しびれて動け・・ない・・」
　しばらくして桂月はシャワーを浴びようと起きあがったが、立てなかった。
　辻元が優しく抱きかかえると、キスをねだった。
「・・・すごく久しぶりだったし・・それに・・嬉しかった・・・」
　そう言って微笑む桂月の髪を、辻元は優しく撫でた。

　シャワーを浴びた桂月は、すっかり元の桂月に戻っていた。
　服を着て、髪をあげて身支度を整えた桂月に、さっきの激しい牝の面影はない。
「こうちゃん・・・・ごめんね・・シーツ汚しちゃった。」
　恥ずかしそうに言う桂月に辻元はキスして言った。
「桂月だからいいんだよ。」

　次に会う日の約束をすると、桂月は辻元の部屋を出て行った。
　窓の下を駐車場の愛車に向かうその後ろ姿は、満足げだった。
　桂月は車に乗る前に窓辺の辻元に笑顔で大きく手を振ると、車を出した。

　本当に桂月はいい女になった、むこうはどうやらそのつもりらしいから、もう一度、今度は本気で付き合ってみようかと辻元は考えていた。

「さて、と・・・さっき食べたけど、俺も腹減ったな、夕飯どうしよう。」
　と辻元がつぶやくと同時に、電話が鳴った。
「もしもし・・・店長？今から行っていい？」
　電話の主は井原操だった。