智子が自分の中へ、奥寺の二回目の射精を受け止めているころ、異動まであと4日の辻元は、店で大忙しだった。
　今日来るはずの智子が来ていないせいもあったが、残務整理もあり毎度のこととはいえ、ようやくタバコを一本吸ったのは、ピークを過ぎた10時ころだった。

　店長室から、辻元は桂月の携帯に電話をかけた。
「こうちゃん、異動ですってね。」と桂月は言うと、少し驚いている辻元に
「荒井さんからメールが来たのよ。」と言って笑った。
「明日の夜さぁ、俺のとこに来れるか？」と辻元が言うと、桂月は嬉しそうに
「行くわ！」と答えた。

　本来、桂月の両親は桂月の外泊を簡単に許したりはしない。
　しかし、明日から三日間の予定でゼミ合宿があったのだ。
　四年生の桂月は、特に強制参加ではなかったのだが行く予定だった。
　辻元の元で三日間過ごすことに比べれば、ゼミ合宿の費用が帰ってこないくらい桂月にはなんてことはなかった。
「パパ、ママ、・・・ごめんね。」と電話を切ると桂月はつぶやいた。
　箱入り娘が、一人前のメスとして発情を迎え、外のオスの元に飛び出そうとしていた。　できれば、何も知らずにやってきた智子と・・・対峙してみたいな、と桂月は思い、だいぶ前に、買ったのはいいけど身につけることのなかった下着を用意した。
　桂月は基本的に、下着は白しか持っていないし、あまり挑発的なデザインのものも持っていない。そして用意したその下着も、そう過激なデザインではなかったのだが、色が桂月の好きな紫色だった。

「紫・・・・高貴な色・・・そして欲求不満の色・・・」

　桂月はつぶやいた。

　閉店後、辻元が家路につく車の助手席には操がいた。
　長身で端正な顔立ちをしている操だが、セーラー服を来ているとやはり高校生なのだということを感じさせる。

　辻元のマンションに着くと、操は鋭い目であたりを見まわしたが智子の姿は当然どこにもなかった。
　部屋の中に入ると操は、すぐに制服を脱いでシャワーを浴びた。

　辻元は、操の浴びるシャワーの音を聞きながら考え込んでいた。
（宮田店を去るまであと三日、その間に智子と操、二人とも関係を終らせないと）
　そんなときに操を部屋に連れこむのはまずいのだが、辻元はそのあたりが女にだらしないところであった。

　シャワーから出てきた操は、体にタオルを巻いて小首をかしげて辻元を見ていた。
「何を考えているの？」
「いや・・・この店も俺にしては長かったな、と思ってさ。」
　そう言うと辻元は立ちあがり、自分もシャワーを浴びることにした。
　辻元がシャワーから出ると、すでに部屋の電気は消されており操がベッドの中におり、辻元がその隣に入ると、操は自分から抱きついた。

　辻元は、ほのかに石鹸の香りの残る操の首筋にキスをした。
　エアコンの効いた部屋で、少しひんやりしていた操の肌はすぐに火照ってきた。
　乳首の固さを確かめるように辻元は舌で軽く舐めた。
「・・あっ・・ん・・あん・・はあ・・あ・・」
　二回目とあって操の感度は処女のときの違い、どこか開放的な感じがした。
　操自身、緊張し切っていた前回と違い、体に流される電流のような感覚を快感として、浸ることを覚えた。

　辻元が右手を操の下半身に滑らせると、操はまだパンティをはいていた。
　辻元がシャワーに入っている間に、ベッドにもぐり込むとき操は、タオルを取ったのはいいが最後の下着だけは自分で脱ぐのが恥ずかしく、辻元に脱がしてもらおうと思い、はいたままベッドに入ったのだ。
　そして操の希望は叶えられ、辻元は操のパンティをするりと脱がした。
　一度抱かれた男に、再び同じことをされているのに、やはり両脚を大きく開かれると操は恥ずかしさで、太ももに力が入りそうだった。

「あっ・・あっ・・あああ・・ああん・・」
　クリトリスを舌で転がされた操は、それでもまだぎこちない喘ぎ声だった。
　いまだ慣れることない快感をもてあまして飲み込まれるように体をよじらせた。
　辻元の舌が、操の性器のなかにぬるりと入ると、操は体を反り返らせた。
「ああああああっ・・・ああ・・いいっ・・・」

　操は、自分の感度が格段に増していることを感じた。

　初めてのあの夜は、操にとって勇気と決断のセックスだったが、今夜のそれは、少しであるが楽しむことを模索する余裕があった。
　操の上に覆い被さった辻元にを愛撫されながら、操も辻元の背中を愛撫した。
　ときおり辻元のものが操の性器を撫でるように触るときがあり、そのたび操は、今か今かと体の動きを止めたが、遂にそれが操の中に先端部が入り始めたとき、操は息を詰めてゆっくりとしたその挿入を受け入れ、やがてそれが子宮にたどりついたことを感じると、ぎゅっと辻元を抱きしめた。
「ん・・・・ん・・・・はああああああん・・」

　操に痛みはなかった。
　しかし、まだ一回しか男の挿入を許していない操の膣粘膜から伝わる感覚はやはり「電流」そのものだった。そしてそれは辻元が腰を動かすとさらに激しく操を狂わせた。
「はっ・・・はっ・・・いやぁ・・ああ・ああ・あ・ああ・・あっ・・あっ！」
　操の両脚を抱える体勢になった辻元が、さらに深く操の子宮を突き上げた。
「あっ・・あっ・・ああん・ああ・はあっ・・奥・・まで・きてる・・」

　よく耳にする「イク」という境地に自分はまだまだ遠いことを操は知っていたが、今の操はこの「電流」だけで充分我を忘れることができた
　映画のベッドシーンや、友達の家でこっそり見たAVで、女が激しい悲鳴をあげて男の抽送を受け止める光景を見て、信じられなかった操だが、今ではそれがよくわかった。
（女はセックスのときこうなる、そして私は女）
　操は自分の体が、自分でもコントロールできないくらいに豹変する様を楽しんだ。
「あああ・ああああ・あ・ああ・あ・ああ・あああ・あ・あ・ああ・ああ！」
　このとき、すでに智子のことも辻元の異動のことも操の頭から消えており、まだ二回目のセックスとは言え、初めてのときとはまったく違う感覚に操は溺れた。
　腰を動かしながら、辻元が操の乳首を吸うと操は辻元を抱きしめながら悲鳴をあげた
「あああああっ・・・・だ・・めぇ・・・いいっ・・」

　辻元が結合部を見ると、軽く充血した操の肉襞は愛液でぬめりを増していた。
　智子と同じく、操もまた男を悦ばせる才能を秘めた肉体の持ち主だった。
　辻元は、抱え上げていた操の両脚を離し、わきの下に腕を回し抱きしめた。
　そしてそれに応えるように操も辻元の首の後あたりを抱きしめると、辻元はスパートに入った。
「はあああああああっ・・あああっ・・ああああああっ・・あああっ」
　操は悲鳴のような喘ぎ声をあげた
　どこかぎこちなさを残しながら、それでも激しく応える操に腰を打ち付けながら

「感じるか、操・・でもお前はまだまだその先があることを知らない、次の男にはそこまで連れていってもらうんだぞ・・・・」と辻元は思った。
　そして辻元は、突き上げた操の子宮の中に射精した。
「ああうっ・・あ・あ・あ・あ・・・・・ん・・・・んん・」
　体をこわばらせた操は、無意識に辻元の肩を噛んだ。

　しばらく抱き合ったまま、二人は荒い息をついていたが、やがて操が起きあがると、言った。
「シャワー浴びるね・・・・・一緒に入る？」
　操は自分がこんな大胆なせりふを言うなんてと、自分でも驚いたが、目を離さず辻元を見つめた。

　シャワーのお湯を浴びながら、辻元は操の体を見た
　肩、乳房、わき腹、辻元に吸われて操の肌には無数の小さなあざができていた。
　操は辻元にキスすると、意を決して少しずつひざまずいて目の前にある辻元のものを口に含んだ。
　それはもちろん操にとって初めてのフェラチオだったし、未熟な舌技はときおり辻元のものに歯を当ててしまっていたが、けなげに操は辻元のものをしゃぶった。
　それでも次第に辻元のものが大きくなってくると、操はひざまずいたまま、辻元を見上げた。
「大きく・・・・・・・なった・・」
「お前が大きくしたんだろう、責任とってくれよ。」と辻元がからかうと
「責任・・・・とって欲しい？」と操は微笑んだ。
　その笑顔は、いつも怒ったようにしかめっ面の操がめったに見せない素直な笑顔だった。

　今夜二回目のセックスでの操はさらに大胆になってゆき、羞恥心の皮を毎回はがされていくように、淫らな姿を見せるようになった。
　すらりと伸びた長い両脚を、辻元の腰に絡ませ、操は自分から快感を求めた。
　そして、うっとりとした表情で辻元の責めに応え、自分の中に暖かい精液が流し込まれると
「あっ・・・・ああああっ！・・入って・・来てるぅ・・・」と叫び、ぐったりとなった。
（あたしの体・・・どうなっちゃうんだろう・・）
　操は荒い息をしながら、ぼんやりと考えた。