２．

　彩香には誰にも言えない秘密があった。
　警察官として、痴漢や婦女暴行の生々しい現実に向き合ったとき、自分の中に強姦願望があることを発見してしまったのだ。刑事事件の担当になり暴行事件の被害者の調書をとっていたときのことだ。被害者と自分を重ね合わせてしまい、気が付いたら下着を濡らしていたのだ。調書は、そのときの状況を微に入り細に入り聞き出さなければならない。アパートでひとり暮らしの被害者は就寝中、何者かに忍び込まれ明け方まで陵辱を受けていた。声が出ないようにタオルで猿ぐつわをされ、ストッキングで後ろ手に縛られ、無理矢理後ろから犯されたときの話を聞いて疼きが頂点に達してしまった。我慢ができずに顔を伏せ身体を震わせる彩香に、被害者は同情してもらったのだと勘違いしてそのときの状況を更に詳しく述べた。彩香は調書を取った後、署内のトイレへ駆け込み一人で慰めてしまった。それ以来、彩香の心の底に陵辱への願望が沸々と現れては沈殿するようになった。
　それに、同僚である小雪に犯されているところを見られ、なぜか余計に興奮してしまった。彩香は小雪の颯爽とした仕事ぶりに憧れていた。先輩としてだけではなく、小雪には特別な感情を抱いていた。その小雪が隣で犯されているとき奇妙な嫉妬に似た感情があった。同時に秘所が濡れてきて自分も犯されたいという願望を抑えることができなくなっていた。倒錯した欲望が彩香の心を支配して、見られることでいっそう感じるようになってしまったのかもしれない。
　薬の効果も無視できないだろう。かつて、彩香がこれほど切実に男を欲することはなかったし、燃え上がり方も経験したことがないものだった。

　彩香は何もかも忘れ何度も身体を硬直させた。
　繋がれた姿のまま宙を浮くような感覚、そして下腹部を覆う熱さ、続けざまにオルガスムスがやってくる。
「あうっ！　ま、また‥‥いくぅ！」
　蜜壺の奥が爆発したみたいだった。そう、男が射精したのだ。
　できれば男にしがみついて最後の一滴まで吸い尽くしてしまいたかった。しかし、男は余韻を楽しむこともせず抜いてしまう。
　まだ彩香の炎は収まっていない。
「うっ‥‥うっ‥‥」
　身体がビクンと痙攣するたびに声が漏れる。
「最初のねえちゃんとはずいぶん違うな。責め甲斐があるってもんだ」
　男の手にはバイブレーターが握られていた。
「徹底的にやってやるよ」
　彩香の脚の間に座った男はバイブレーターを膣口にあてがいゆっくり挿入した。何の抵抗もなく根本まで埋まってしまう。
「ああ〜んっ」
　ふたたび満たされ甘い声を上げる彩香を、小雪は信じられない顔で見ていた。
「こいつはどうかな？」
　男がスイッチを入れると「ブゥ〜ン」という音が響き、枝分かれした子機が振動しはじめる。その先端で彩香のクリトリスをこね回した。
「や‥‥あんっ‥‥いく‥‥いっちゃう‥‥」
「いく」が「いぐ」に聞こえる。
　彩香の身体がブルブルと震えはじめる。
「ほらっ」
　本体の方のスイッチも入れられた。
「はぅっ！」
　もう彩香は淫猥な欲望をむさぼるだけの牝と化していた。
　男の手首が小刻みに動くたびジュブジュブと蜜が音を立てる。
「ほら、先輩が見てるぞ。もっと感じてるところを見せてやれよ」
　その言葉が刺激になって、彩香の下腹部にキュ〜ンという衝撃が走った。
　蜜壺が収縮を繰り返している。
「ああっ‥‥もう駄目‥‥死んじゃう‥‥」
　あられもない声を張り上げながら悶える彩香。
　男は勝ち誇ったように小雪に視線を向ける。
　なぜ彩香が抵抗しないのか小雪には理解できなかった。理不尽な陵辱を受け入れ官能に咽ぶ彩香が許せなかった。反面、女の悦びを目の当たりにして淫らな好奇心が沸かなかったと言えばウソになる。いや、悶える彩香に妬ましさみたいなものを感じてしまうのだ。
「どうだ。お前も試してみるか？」
　男の言葉に心を見透かされたようで腹が立った。自分の処女を奪ってすぐに彩香を犯しているのが許せない。理屈に合わないことは分かっている。
「けだもの‥‥あんたは、けだものよ‥‥」
「そうさ。お前らが俺をけだものにしたんだ。その報いをお前らが受けるのは当たり前だろ」
「卑怯者‥‥」
　小雪の眼が怒りに燃える。
「だったら親父を返してくれ。そしたらお前らを解放してやるよ」
「そんな‥‥無理なこと‥‥」
「とにかく俺は供養を済ませる。それだけだ」
　男の手が激しく動く。
「あう‥‥あうう‥‥」
　彩香の叫声が切羽詰まったものになる。
　そして、ついに高らかに喘ぎ身体が硬直したままになった。
　どうやら失神してしまったらしい。バイブレーターを出し入れしても反応がない。
「けっ、なんて女だ。よがるだけよがって逝っちまったか」
　ぐったりと弛緩してしまった彩香を見下ろしながら、男は吐き捨てるように言った。
「さて、お前の後輩は天国へ召されたみたいだ。お前も行ってみたいか？」
　男が立ち上がる。うなだれた男根に目が行ってしまう。
「ひっ‥‥」
　また犯される恐怖で小雪は息を飲んだ。
「見ろよ。女の業だ。これが」
　彩香の蜜で濡れ光ったバイブレーターが鼻先に突き出される。蜜と精液が混ざった匂いに小雪は顔をしかめた。
「入れてみたいか？」
　男がバイブレーターのスイッチを入れる。
　ギュイン、ギュインと音がして先がくねりだす。
「やめて‥‥お願い‥‥もう堪忍して‥‥」
　小雪は男のものを入れられたときの痛みを思い出しながら言った。
「だったら舐めな。おれのチ○ポコのつもりでな」
　先端が口に押しつけられる。
「舐めないとあそこに入れちゃうぜ」
　小雪は仕方なく口を開けた。
「ほら、舐めるんだよ！」
　男はバイブレーターを押し込まず、そのままの位置に固定している。くねる先端がときおり唇に触れる。
「そうか、できないのか」
　男はバイブレーターで撫でるようにバストから下腹の方へゆっくりと移動させる。
「ま、待って！　舐めます。舐めますから、待って‥‥」
「最初から、そう言えばいいんだ。口を開けろ」
「くっ‥‥」
　どうして、こんな男の言いなりにならなきゃならないんだろう。そう思うと、悔しくって情けなくって堪らなかった。
　バイブレーターが口の中に入ってきた。
「舌で舐めまわすんだ。いいな」
　小雪は男の言う通りにした。生臭さと、樹脂特有の匂いが口の中いっぱいに拡がる。あまりの屈辱に何も考えられない。このまま死にたい、消えてしまいたいと思ったが、舌を噛む勇気もなかった。いや、それでもまだ生きていたかった。
　この男は信用できない。この男に何を言っても無駄だ。時間を稼いでも、きっとこの禍々しいオモチャをあそこへ入れられてしまうだろう。小雪は、つい、その先のことを想像してしまった。イメージの中で、悶える彩香の痴態が自分の姿とダブった。その瞬間、蜜壺の奥が疼いた。それは経験したことのない感覚だった。
「お前は、もう俺の言う通りにするしかないんだ。選択肢はない。お前は俺の奴隷だ。分かるな？」
　小雪の心の中を見透かすような男の言葉にうなずくことはできなかったが、それは事実だと認めざるを得なかった。
「分かるよな！？」
　男の口調が強くなる。
　小雪はバイブレーターをあそこへ入れられたくない一心でガクガクと首を縦に振った。
「ようし、それじゃあ、俺の言ったことを復唱するんだ」
　バイブレーターが口から抜かれる。
「ほら！　言え！」
「わ、わたしは‥‥」
「お前は何だ？」
「ど‥‥奴隷‥‥」
「誰の？」
「‥‥あ‥‥あなたの‥‥」
「続けて言うんだ」
「わ、わたしは、あなたの奴隷‥‥」
「ようし、もう一度。俺の親父を殺した償いに奴隷になると言うんだ」
「わたしは、あなたのお父様を死なせた償いに‥‥奴隷になります‥‥」
「死なせたんじゃない。お前が殺したんだ。もう一度！」
「お、お父様を殺したのは‥‥わたしです‥‥だから、わたしは奴隷になります」
「もう一度。続けてゆっくり言ってみろ」
「わたしは、あなたのお父様を殺した償いにあなたの奴隷になります‥‥」
「そう。もう一度‥‥」
　それはマインドコントロールだった。自由を奪われ、極限状態の中で強制された言葉が心の中へ染み通っていく。男が、その方法をどこで知ったのか知る術はない。しかし手慣れているように見える。
「俺にすべてを捧げるか？」
「は‥‥はい‥‥」
「お前のすべては俺のものだ。いいな？」
「はい‥‥わたしは、あなたのものです‥‥」
　いままで張りつめていたものが一挙に崩れ心が空白になった。その空白は清涼感を伴ったものだった。奴隷なのだから繋がれていて当たり前、陵辱を加えられるのは必然だと思うと心が軽くなった。
「もう一度言うんだ。お前は俺の奴隷だって」
「わたしは、あなたの奴隷です」
「お前は誰のものだ？」
「わたしは、あなたのものです」
　虚ろになった心に自分の言葉が響く。
「俺の命令に逆らうことはできない。いいな？」
「はい。逆らいません」
　いつしか、小雪は男に愛情めいたものを感じていた。
「俺はお前の最初の男だ。初めての経験がどうだったか教えてもらおうか」
「とても痛かったです」
　もう小雪は吃らなかった。抵抗なく言葉が出る。
「もう、されるのは嫌か？」
「いえ、あなたが望むなら‥‥」
「いいんだな？」
「はい。あなたのしたいようにしてください」
　また蜜壺の奥が疼いた。
「じゃあ、ご褒美をやろう」
　男はベッドの下にあった箱の中からカラビナを取り出した。
「少し楽にしてやるよ」
　そう言って小雪の縛めを解く。
　最初は右手首の革ベルトのロープを緩め、次は右足首、そしてロープを結んであった金具をカラビナで繋いだ。反対側も同じようにされる。小雪は手首と足首を固定され、M字型に脚を開いたかたちで横たわった。
「どうだ？」
「はい。ありがとうございます」
　当初より卑猥な姿で自由を奪われているにも関わらず、小雪は手足がある程度動くことをうれしく感じていた。
「お前の名前は？」
「松田小雪です」
「小雪か、いい名前だ。これからは小雪と呼んでやるよ」
　小雪がうなずく。
「小雪に女の悦びを教えてやろう」
　そう言いながら、男は彩香の縛めも解きはじめた。
　気を失っているので油断したのか、男はすべてのロープを緩めた。そして、男がカラビナを取り出そうとしたとき彩香は立ち上がった。そう、彩香はとっくに目を覚ましていた。男が縛めを解きはじめたとき、逃げる最高のチャンスだと思った。
「ええいっ！」
　気合いとともに男に襲いかかる。
　男が彩香の手を受け止めたように見えた。次の瞬間、彩香の身体が吹っ飛んだ。肉を打つ音とともに彩香は床に叩きつけられた。肺の中の空気がすべて出てしまったような衝撃に彩香は人間が発するとは思えない声を上げ、動けなくなってしまった。
「さっきは、あんなによがっていたのに元気のいい女だな。警察の逮捕術なんて屁みたいなもんさ」
　男は彩香の手を後ろの方で捻り上げる。
「くぅっ！」
　関節が外れそうな痛みに彩香は悲鳴を上げる。
　あっという間に彩香の両手首は後ろで繋がれてしまった。両足首もカラビナで繋がれる。
「お前らを縛っていたのは、その方が犯りやすいから、それだけだ。逆らおうったって無駄だってことが分かったか」
　男の声は自信にみなぎっていた。
　小雪は、その出来事をただ眺めているだけだった。
　小雪は逮捕術などの格闘技で彩香にまったく敵わなかった。その彩香が、いとも簡単にねじ伏せられているのを見て、隷属を誓った男に対する畏怖が芽生える。強い男。それは小雪の憧れだった。もし、男が彩香に負けていたら、そうでなくても苦戦をするようだったらマインドコントロールは解けていたかもしれない。しかし結果は逆。小雪の隷属意識はいっそう強いものになってしまっていた。
「お前は、もうちょっと痛い目に遭わせてやろう」
　男はうつ伏せになっている彩香の尻に中指を入れた。
「ぎゃあ！」
　何の潤滑剤も無しに無理矢理入れられたのだからたまったものではない。激しい痛みに彩香は悲鳴を上げる。
「こっちに来るんだ」
　男は中指を鍵型に曲げ彩香の尻を持ち上げる。
　逮捕術では自信を持っていただけに彩香は信じられない気持ちでいっぱいだった。臀部を突き出さなきゃならない屈辱的な状況、それに激痛。何がなんだか分からないうちに彩香は小雪が横たわるベッドの脇にいた。
「痛いか？」
　男の言葉に彩香はうなずくことしかできなかった。
「やめて欲しかったら先輩に女の悦びを教えてやるんだ。分かるか？」
　痛みに耐えながら彩香は首を振る。
「先輩のあそこを舐めてあげるんだよ。嫌ならこうだぞ」
　男は更に奥深く指を挿し入れた。
「ううっ！」
　激痛に頭の中が真っ白になる。
「やるな？」
　彩香はうなずいていた。
「小雪、こっちへ来い」
　男は小雪の身体をベッドの縁まで引き寄せる。彩香の目の前に小雪の秘部が来るよう誘導された。
「俺の出したものを舐めてきれいにするんだ。小雪を感じさせるのはもちろんだけどな」
　従うしか道はなかった。それに、女同士であっても小雪に対して嫌悪感はない。彩香は意を決して舌を伸ばし小雪の秘部を舐める。
「ああっ」
　小雪が悶える。
「どうだ？　感じてるか？」
「は‥‥はい‥‥感じます」
　予想もしていなかった小雪の答えに彩香の気持ちが千々に乱れる。ほんとうに小雪が奴隷になってしまったとは思えなかったからだ。先輩のことだから、なにか考えがあるに違いないと思っていた。なのに、小雪はもう彩香の知っている「先輩」ではなくなってしまった。直感的にそれが分かり惨めな気分に襲われる。と同時に小雪に不思議な愛おしさも感じていた。
「俺の代わりに後輩がお前のあそこを舐めてるんだ。気持ちいいだろ？」
　事実、小雪は感じていた。男が望むものは何でも受け入れたかったし、彩香の舌の動きも絶妙だった。
「ああっ」
　小雪は喘いだ。もはや抵抗する必要はないのだ。それどころか、いままで自分で抑えつけていた欲望や好奇心を開放して、感覚だけの世界に溺れはじめていた。
　最初、まだ残っている精液の生臭さと血の味に閉口していた彩香の気持ちにも変化が生じていた。慕っていた先輩である小雪が自分の舌で悶えているのを知り、もっと悦ばせたいと思いはじめていた。そして、自分のオナニーのことを思い出しながら小雪の秘所に舌を這わせていた。婚約者にこうされたいと思っていた方法を小雪に施す。
　彩香は小雪の反応を見ながら、あるときはクリトリスを軽く吸いながら小刻みに舐め、小陰唇をかき分けるように舌を動かした。
「ああっ‥‥なにこれ‥‥み、みなみさん‥‥こ、こんなのって‥‥あうっ！」
　小雪は痙攣を繰り返しながら深い愉悦の淵に落ちていった。
　新しく蜜が溢れる。彩香はそれをすくうように舐め、そして飲んだ」
「おっ、先輩のあそこを舐めながら濡らしているなんて、お前、変態じゃないか？」
　彩香の尻に指を入れたままの男が言った。
　小陰唇の合わせ目からも溢れた蜜がしずくになっている。
「こりゃあ、おもしれえ」
　男は指を引き抜き、ベッドの上にあったバイブレーターを彩香の蜜壺に挿し込む。
「んっ‥‥んんっ‥‥」
　なぜだか分からなかった。けど、彩香は疼いていた。たしかに、男の言う通り自分は変態なのかもしれない。命令され小雪の秘所を舐めながら欲情してしまったのだから。それに後ろ手に拘束されていることで、調書をとっていたあのときのことを思い浮かべてしまったのだ。そして、後ろからバイブレーターを挿入され頭の中で火花が散るような快感に襲われてしまった。
「あっ‥‥ああんっ！」
　彩香が喘ぐ。
「ダメだ。舐めるのをやめるんじゃない！　やめればバイブを尻穴に突っ込むぞ！」
　男はバイブレーターを激しく動かしながら命令した。
　しかし、そんなことを言われても、舐め続けるのは不可能なほど彩香は感じていた。
「どうやら尻の穴に入れて欲しいみたいだな」
「や‥‥やめて‥‥だって‥‥」
　荒い息の中で彩香は許しを請うた。
「じゃあ、舐めるんだ」
「は‥‥はい‥‥」
　彩香は必死で小雪のあそこを舐める。すると、小雪は待っていたかのように腰を浮かせて応えた。
　男は箱をガサガサとかき回している。バイブレーターを挿し入れている手はそのままだ。
「あった、あった」
　男はアナル専用の細くて段々のついたバイブレーターを手にしていた。それをベッドの上に置き、ジェルの容器も取り出す。そして、器用に片手で容器の蓋を外し彩香の尻穴にあてがう。
「ひぃっ！」
　容器が押されて中身が直腸に流れ込む。彩香は堪らず悲鳴を上げた。
「言うことを聞かないお仕置きだ」
　もう愉悦の炎の中にいる彩香は何が起こっているのか理解できない。
　プルンという肉が弾ける感覚があってアナルバイブの先端が潜り込んだ。
「や‥‥やぁん‥‥」
　指を入れられたときのような痛みはない。が、圧迫感とヒリヒリした痺れのような感覚がある。
「ちゃんと舐めないとこうだぞ！」
　もう一段、アナルバイブが挿入された。
「な、舐めます‥‥舐めますから‥‥やめてぇ‥‥」
　そう言ったものの語尾には甘さが含まれていた。
　容赦なく襲ってくる感覚に耐えながら彩香は必死で小雪の秘所を舐める。
「う、ぐぅ‥‥」
　また、もう一段、深く挿しこまれた。
「お前も俺の奴隷になるか？」
　彩香はそれでも首を振って答えた。
「そうか」
　アナルバイブのスイッチが入れられる。
「ううっ‥‥うううっ‥‥」
　その振動が直腸から蜜壺まで届く。
「いやっ！　いやぁっ！」
　ついに彩香は大声で叫びはじめた。
　男は彩香の秘部を中心に身体を持ち上げるようにしてベッドに上げる。
「小雪、後輩にお返しをしてやれよ。こいつのおっぱいを舐めてやるんだ」
「はい‥‥」
「せ、せんぱい‥‥やめて‥‥お願い‥‥」
　彩香の哀願を無視するように、小雪は芋虫のように身体を動かしてバストへたどり着く。男は、それを助けるように彩香の身体を横向きにした。小雪はチュウチュウと音を立てて彩香の乳首を吸った。
「だめ！　だめぇ！」
　彩香の身体がブルブル震える。
　前と後ろにバイブレーターを挿し込まれ、慕っていた小雪に乳首を吸われ、もう彩香の精神状態は限界を超えていた。
　いつの間にかアヌスの圧迫感はなくなり、下半身全体が熱く溶けているように感じていた。
「も‥‥もう‥‥ゆるしてぇ‥‥し、死ぬ‥‥死んじゃう‥‥」
　それは大波にさらわれるような、今まで経験したことのない大きなうねりだった。オルガスムスと呼ぶには、あまりに残酷で苦痛と紙一重のものだった。
「ああっ‥‥あうっ‥‥いやぁ〜っ！」
　意識が飛び、目の前が真っ白になった。
　陸に揚げられたエビが跳ねるように身体が痙攣する。
　もう彩香の瞳には何も映っていなかった。二度目の失神は深い海の底へ沈んでいくようなものだった。
　一度、激しく硬直した肢体がガックリと弛緩し、二本のバイブレーターを挿し入れたまま、彩香は倒れて動かなくなった。