４.無対象行動

　お昼を済ませコーヒーを飲みながら、午前中の自分を落ち着いて振り返った。
（わたし、何をするために来たのかしら・・・馬鹿みたい〜憧れの劇団に入って、初日のレッスンなのに・・・でも、おかしいわ〜？ わたしって、セックス好きじゃなかったのに・・・何やってんの！ったくぅ〜〜）
　茉莉は自分の頭をコツンと叩いてコーヒーを飲み干した。

　午後のレッスンは、無対象行動から始まる。
　茉莉にとっては、一番の苦手だった。
　指定の部屋に入ると、もう担当の先生が来ていた。
「すみません・・・早乙女 茉莉です。宜しくお願いします」
「うむ・・・無対象行動を担当する山下 仁です。始める前にスリーサイズは？」
「えっ・・・？」
「えっ、じゃないよ〜君のスリーサイズを聞いてるんだよ」
　山下は劇団の中でも評判の女たらしで、その悪評は茉莉も耳にしていた。
（イヤだなぁ・・・今日のわたし、変だし・・・こういう時に限ってマズイ人が先生・・・かと言って、実力はある俳優さんだし・・・言うとおりにするしかないか・・・）
「92、62、90・・・です」
「へぇ〜18歳で、いい身体してるねぇ〜少し、引き締まったほうが良さそうだが、身長、体重・・・好きな体位は？」
「はい・・・163cmm、47kg、えぇ〜と・・・何でも〜」
「へぇ〜こりゃまた驚いた！体位は何でもＯＫなのかい？」
「えっ！？いえ、そんなぁ〜・・・」
また、頭の中が混乱してきた。
茉莉は真っ赤になって上気し、アタフタと慌てて身体中が火照ってきた。
「身長、体重はいいとしてスリーサイズは90、58、87ぐらいまで絞ったほうが・・・まぁ、入団して１、２週間もすれば、自然とスリムになるけどね、ハハハハ〜」
（噂ほど悪い人ではないような感じだけど・・・見た目は文句なくGoodだし〜）
「ほぉ〜茉莉の肌は、きれいな桜色なんだね・・・上気すると、どうなるの？」
「さぁ・・・？分かりません」
「白粉彫りが浮き出てきたりして・・・ハハハハ〜〜」
　茉莉は山下のつまらない冗談のおかげで落ち着きを取り戻していた。

「さて、それじゃあ、レッスンに入ろうか〜」
「はい！」
「無対象行動は演技の基本だと僕は思っている。だから、時間も長く取ってる。ガラスに閉じ込められた状況や綱引きなどは、高校の時にやったろ・・・？だから、ここではやらない。先ずは、色を表現してみよう〜桜色がいいなぁ〜」
「桜色・・・ですか？」
　茉莉は急な課題に思考が止まっていた。
　沈黙の時間が流れ、心臓の鼓動が聞こえてくるような気がした。
　茉莉は飛び跳ねるようにして腕を空中に泳がせ、ひらひらと舞う花びらを現した。
「ヤメロ！ヤメロ！何だ、それは〜？誰が桜の花びらを演技しろと言ったぁ〜？」
「・・・・・・」
　返す言葉もなく、打ちひしがれた茉莉だった。
「いいか、自分の中で膨らんできたイメージを体現するんだ！」
「は、はぃ・・・」
「困った女だな・・・そこに座って禅をを組め！」
　茉莉は床に座り胡坐を組んで姿勢を正した。
「そのまま両目を閉じ、腹式呼吸をしながら色のイメージを想像するんだ」
　ゆっくり息を吐きながら、気持ちを集中させて桜色を自分の中に広げた。
「僕の声も聞こえなくなるほど、自分の中に入っていくんだ・・・」
　山下は茉莉の素肌が露出されている太股を擦ってみた。
　茉莉はピクッと身体を震わせた。
「ダメだ！何も感じない・・・もっと、集中するんだ！」
　頬を少し紅潮させたが、大きく息を吐き集中を高めようと努めた。
　再び静寂が訪れ、茉莉の身体が揺れ始めた。
　スクッと立ち上がったと思ったら、両腕で天を衝いた。
　そのままでぐるぐると回転したかと思ったら、崩れるように脱力し床に伏せた。
　身を捩りながら身悶えするような仕草を始め、切なそうな雰囲気を漂わせていた。
　片手で乳房を擦り、もう一方を股間に伸ばし、ワレメをなぞるようにした。
　やがて身体を弓なりに反らしてから、ストンと床に落ちた。
「ふぅ〜ん・・・茉莉、君の桜色のイメージは、自慰に耽る淫欲の世界なのかい？」
「えっ？そう見えましたか・・・？すみません、全く無意識だったので・・・」
「無意識・・・ねぇ〜そうか・・・仕方ないな・・・それは、桜色のイメージ体現ではなく、君自身の深層心理の体現じゃないのか？自分の中に入った時に見えたものは、淫欲の世界を漂い快感を切望する自分じゃなかったのか？」
「そんなこと・・・」
　茉莉は哀しげな表情で山下を見つめた。
「それじゃぁ、赤、真っ赤な色は・・・？」
「真っ赤、ですか・・・」
　また、座りなおして目を閉じ、瞑想しているような姿勢になった。
　長い沈黙の後、茉莉は髪を振り乱し、レオタードを脱ぎ捨て、乳房を掴んで悶えた。
　茉莉の異様な行動に、異端児の山下も唖然としていたが、茉莉の後ろに回り、裸の茉莉を抱え込むようにして首筋に舌を這わせ、乳房を揉み股間に手を伸ばした。
「うぅぅぅ・・・っ、ぁあああ〜〜っ・・・あぁ、あぁ、あぅっ・・・あぁ〜いぃ・・・っ」
　茉莉は夢遊病者のように、何かに憑かれたもののように、目を閉じたままだった。
（茉莉は無意識に喘ぎ声を出して悶えているのか・・・？どういう女なんだ？）
　山下は不可思議な様相の中、茉莉への愛撫を続けた。
（何だ・・・オマ×コの毛が剃ってるじゃないか・・・濃いのかなぁ〜？）
　手のひら全体を滑らすように茉莉のワレメの膨らみを刺激し中指を中に入れた。
「あっ・・・あ、あぁぁ〜〜〜、うっふぅ〜ぅん・・・あぁ〜ん・・・」
「茉莉・・・いい気持ちなのかい？」
　首筋を舐めていた山下は、耳の中に息を吹きかけるように呟いた。
「う、うぅぅ〜〜ん・・・・・・あっ！！」
　茉莉は夢から醒めたように山下から離れ、レオタードで胸を隠した。
「おいおい、誤解するなよ！君が急に脱いで悶え始めたんだぞ〜覚えてないのか？」
「・・・は、はい・・・・・・」
「真っ赤をイメージしたんじゃないのか？」
「そうなんです・・が、よく覚えてなくて・・・・・わたし、おかしくなったのかしら？」
「少し、休もうか・・・初日で緊張してんだろ〜朝からレッスンばかりだからな〜」
　茉莉は少し恥ずかしい気分だった。
　山下は本当に心配してるのに、朝からセックスばかりだったなんて、言えなかった。

　山下は茉莉を連れ立って休憩室に行き、冷たい飲み物を手渡した。
「どうだ？大丈夫か・・・？」
「はい・・・わたし、どうかしちゃってますね・・・」
　山下は茉莉の肩を軽く揉みながら言った。
「さっきはビックリしたよ〜本当に気持ち良さそうに悶えて・・・妖艶だったな〜」
「妖艶・・・？」
「うん、妖しげな魅力が漂っていて・・・18歳とは思えない色香が溢れて・・・あの雰囲気を意識して出せれば、俳優としてはひとつの個性だよな〜」
「意識して・・・ですか？どうしたら、それが出来るんでしょう？」
「そうだねぇ・・・やっぱり、経験しかないかなぁ〜」
「経験？」
「そう、自分で感じた感覚を表面に出せるようになれば・・・経験を積むしかないか〜」
「ちょっと、シャワーをお借りしてもいいですか？」
「あぁ、いいよ〜気分転換になれば・・・」
　山下は茉莉がシャワーを使っている間、茉莉の埋もれた素質をいかに引き出すか、そればかりを考えていた。
「あぁ〜ぁ、スッキリした〜」
　茉莉はバスタオルを胸の上に巻き、明るい顔をして山下の前に現れた。
　まだ水滴の残る桜色の肌に外の光りがキラキラと輝き、眩しい美しさを放っていた。
　山下は吸い寄せられるように衝動的に茉莉に抱きついた。
「キャァ〜ッ、な、何をするんですか！」
「経験だよ！経験・・・君が自分を見出すには、経験しかない！」
「経験・・・」
　茉莉の抵抗する力が次第に抜けていった。
「あぁぁああああぁぁぁ〜〜〜〜〜っ、っ、っ・・・・いぃ〜〜ぃ、あぁ〜〜」
　山下は茉莉の身体を丁寧に時間をかけて愛した。
　本気で茉莉の中から本物を生み出そうと真剣に考えていた。
「あぁ〜ん・・・わたしにも山下さんを食べさせてぇ〜〜」
「ダメダメ・・・まだ、僕が食べ終わらないから・・・最後は、茉莉のお尻かな〜」
「いやぁだぁ〜〜恥ずかしい・・・ねぇ〜どうしたらいいの？」
「そうだな・・・四つん這いになって、お尻だけ高く突き出して〜」
「うわぁ〜わたしって、サカリのついた雌獣みた〜ぃ・・・いやらしいわぁ〜」
「いつも、セックスの時は、こんな格好するのかい？」
「まさかぁ〜〜初めてよ、今が、は・じ・め・て・・・信じてくれるぅ〜〜」
「あぁ、信じるよ、だから、自分の中の茉莉に集中して・・・目一杯、感じて・・・」
「はぁ〜ぃ、いっぱい、愛してぇ〜〜」
　山下は突き出された大きく割れた尻の谷間に萎んだ蕾みを見ていた。
「きれいなオマ×コに、きれいな尻の穴・・・アヌス。君は性の化身のようだ・・・」
　ヌメヌメと妖しく光る淫蜜をワレメから指に取り、蕾みに塗り込んだ。
　もう暴発寸前まで充血しきっていた肉棒を、茉莉の妖しく光るワレメに挿入した。
「あぁぁ〜ぁぁあああああ〜〜〜すご〜ぃ・・・イッちゃうぅぅ〜〜〜」
「すごい！オチ××ンから精を吸い取られるようだ〜〜〜」
　淫壷の奥まで肉棒を挿入し、蜜で濡れた指を菊状の淫蕾に入れ管状の壁を擦った。
　挿入しただけで一度アクメに達し、少し収まったところで深く肉棒を再挿入され、さらに指でお尻の穴をを愛撫された茉莉は、新しい快感を甘受していた。
「あぁ〜っ・・・お、お尻が感じてるぅ〜〜どうしよう〜あぁああああぁぁ〜あっ」
　茉莉の様子を見ながら山下は深く挿入していた肉棒を動かし始めた。
「あぁ〜ああああっ、っ・・・ダメ、ダメェ〜〜〜ピクピク感じるぅ〜ぅわぁ〜〜」
「イッチャっていいよ〜〜さぁ、次はどうしてほしいんだ〜？」
「あぁぁ・・・はぁ、はぁ〜ぁ、オチ××ンを・・お尻に・・・・・入れてぇ〜〜」
　山下は気持ちのいい淫壷から肉棒を引き抜き、プリプリとしたお尻の淫蕾に、肉棒を小刻みに動かしながらゆっくりと挿入した。
「うっ・・・っああぁぁぁ〜〜〜っ、ぁああ〜〜はぁ〜ふぅぅ・・・ぁああ〜〜」
　今度は指をワレメの中に入れて、肉棒の動きにあわせて淫壷の壁面を震わせた。
「あぁ、あぁ、あぁぁああああああ〜〜〜〜っいぃ〜ぃ、イッ〜くぅううう〜〜」
「僕も・・・茉莉のお尻の中に、イッくぞぉ〜〜〜ぁぁあああっ、っ・・・・・・」
　痙攣して収縮する淫蕾の中に、山下は我慢に我慢を重ねた勢いを発射させた。

　ふたりとも身動きが出来ないほどの倦怠感の中で、身体を重ねあっていた。