十

「交替よ。今度は私の番――」
　みどりが小男に替わって、蒲団の裾から冴子の両股の間に割り込んだ。
「あ、大ちゃん。悪いけど、この足、もう一度縛ってちょうだい。これだけ、汁、垂らしながらまだ暴れてる。諦めの悪い女だわ」
　再び、無残に体を大きく割られて両足が大の字に固定された。冴子は、もはや声もなかった。大きく喘いでいるだけである。額に粒の汗が浮いていた。時々、ぶるっとオコリがついたように全身が痙攣する。
「でも、ここまでくれば、私たちの勝ちよね」
　みどりは、男達に誇らしげに声をかけた。
「まだまだこれからですことよ、奥様。私が、もっと柔らかくしてあげますからね。もうちょっとここ、モミモミしましょうね」
　ひどく落ち着いた手つきで、冴子のその部分に指先を添えた。
　そっと、下から撫であげ、柔らかく溶けた冴子の内部の花層の襞を薄皮でも剥くようにぐぐっと押し広げ、淡紅色のきれいな色に潤んだクリトリスを生々しく蛍光燈の下に露呈させて、ゆっくりと揉み上げていく。冴子は唇を半開きにして、切なげな喘ぎを洩らしているだけで、反発や抵抗の気力はもはや完全に喪失していた。
「うわーあ、見てみて！　すごいじゃない、このお豆ちゃん！　テカテカ光ってる。この光り方、まるで、のコールガール並じゃない。――ここまで、派手に剥きだされては、元大女優も型なしね」
　みどりは男たちに、冴子の女芯を残酷に剥き味にして晒した。そして、指先を二本にしたり三本にしたりして、完全に溶けきった冴子の亀裂の内部をズブズブえぐるようにして、巧妙な愛撫を続けていく。
　うッ、うッ――と、冴子は断続的な悲鳴をあげ、光沢のある乳色の裸身を、宙に突き上げるようにして悶え始めた。女であるだけに、みどりは女の快感のツボはよく承知している。自信たっぷりに、冴子の微妙な花芽を裏指で押し上げたり襞の層をゆるやかにくすぐったりさすったりしていく。
　その都度、冴子は切なげに全身をくねらせて、薄紙をふるわすような嗚咽の声を洩らしながら、徐々に樹液を溢れさせていく。
「そう、そう。その調子。出るわ。でるでる、密汁！　ご遠慮にはおよばないわ、どんどんしたたらせたらいい」
　みどりは完全に溶け崩れてしまった冴子を見て、ゾクゾクするよな被虐の悦びを感じ、嵩にかかったように、冴子をいたぶっていく。
　冴子の秘裂からは、いまや堰をきったようなおびただしい秘液がヌルヌルと恥かしげもなく、外部に溢れ出た。
　男たちは、逆の位置から、冴子の股間をしたたる大量の甘蜜の滴りを、淫靡な目つきで眺めながら、緊縛された冴子の乳房を、口に含んだり、吸ったり、脇の下やうなじに唇を這わせたりしている。
　豊かな乳房が固くなって膨らみ、冴子はのっぴきならぬ感情が全身を突きあげてくるのを意識し、必死になって奥歯を食いしばっていた。しかし、その歯の間からは、いつともなく、うううっ――むせかえるような喜悦の呻きが漏れ始めているのだった。
　もう、自分の意思ではどうにもならないところまで追いつめられている。ただただ、被虐者達の淫らな手で翻弄されるままであった。
「凄い感度じゃない、――思ったとうりのスケベ。見てごらん、この悶え方。体中、ピクピク震えているじゃないの。それにこの割れ目！　もう、どうしようもないくらいズルズル！　そんなに飢えていたのかしらこの人？」
　みどりは、電動玩具のスイッチを入れた。男性そっくりのその性具は、最先端に微妙な動きを見せて、不気味に震えた。
「ごらん遊ばせ、奥さま。この子の頼もしい震え方。早く奥さんの中に入りたいって、イキリたっているわ」
　みどりは、ぶるぶると不気味な震えを見せているその責具で、冴子の頬をなぞっていった。冴子は声もない。肩で大きく息をしていだけである。半開きの、形のいい唇の間から、一条の粘っこい唾液が、すーっと顎を伝わって流れた。
「じゃあ、いいこと、入れるわよ」
　みどりは、グロテスクな動きのその玩具を、そっと冴子の部分にあてがった。冴子は、ブルッと全身をくねらした。
　最初、裂け目の上端部にあて、ぐるりと一回転させて、秘肉の間でしばらく遊ばせた。それから、責具をこね、一気に押し込んだ。
　ググッと、冴子はほとんど無抵抗に、棒状のその玩具を受け入れる。内部の樹液が圧迫されて、膣口からたまらず外部に溢れ出た。あっと声をあげるひまもなかった。どろどろに溶かされている冴子の粘膜は、サーモンピンクの熟した花層をさらに大きく膨らませてひどくあっけなく、その責具をまるごとくわえこんでいた。
「ま、まいったな、これは。――根元まで、全部呑みこんじゃった！」
　いいながら、みどりは嬉しそうに、玩具を眺めていた。電動音が、微かに外部に伝わってくる。やがて、みどりは、冴子の内部に深く沈めた責具を、手馴れた動作で緩やかに操作していった。
　悲鳴をあげる気力もなく、冴子は真っ赤に染まった頬を横に伏せて、汗ばんだ乳色の肩先を波うたせた。
　熱い刃で官能の源泉をえぐられるような痛烈な快感が、冴子を貫いていく。
　うっ――と、忍ぶような甘い呻きを洩らしながら、冴子は左右に割り裂かれた優美な二肢を、ピーンと宙に突っ張らせた。
「見て見て、この吸引力！　タコみたいに食い付いて離さない！　オモチャ、中で動きがとれないくらい、よく締まっている。凄い力！」
「これなら、藤島さんとも、がっぷり組んでやれそうですね」
「こんなにあっさり呑み込んで、食い付いて離さないんですもの、藤島さんとだってバッチリよね、奥さん」
「締め具合も、吸い付き具合も、満点というわけですな」
「それに濡れ方だって――。深さや大きさだっていうことなしよ。おまけに、この割れ方！　堂々たる貫禄じゃない。――藤島さんとの本番が楽しみだわ」
　みどりはゆっくりと責め具を押したり引いたりしながら、貪るような視線を冴子の秘部に近付けていく。
　その部分は、冴子の快楽感が昴ぶるにつれて、さらに緊迫さを加えてきている。のみならず、緩やかに操作させている責具を、みどりがちょっと誘い込むようにくねらすと、冴子の花層は、我知らずギュウと無意識の内にその責具を締め付けて誘い込むような仕草を見せる。
「大したくわえっぷりですな。なかなかの迫力だ。――この濡らしようを見ていると、このオ×ンコ、相当使い込んでますな」
「もともとスケベなんですな。――ちょっと可愛がってもらっただけでこの垂らしようですからね。見てみなはれ、尻の穴まで、もうズルズルやおませんか」
「あとは、どんな派手なイき方をしてくれるか、ですね」
　冴子の動きがちょっと変化した。みどりは思わず手元の責具をみた。冴子の花層がキュウと膨らんでその責具を包込むように激しく緊めつけているのが見て取れた。その粘着力の激しさにみどりは息を呑んだ。
「凄い！　見て、見て！　吸い付いて離さない。凄い力！」
　冴子は、いっともなく、あられもない喜悦のすすり泣きをもらすようになっていた。魂の底までをとろかすばかりの快美感を、肉の底の底まで思い知らされている。ブルブルと全身がくねった。不気味な責具で飽くことなく翻弄されるままの冴子の淡紅色の肉襞は、すでにしとどに溶けきって、熱湯のような甘い秘液があとからあとからとめどもなく湧きあがってきてしたたり流れ、かすかに淫密な肉ずれの音を、ジクっジクっと周囲に伝えている。それが、冴子のすすり泣くような切なげな呻きと不思議な重なりかたをしてゾクリとするような異様で扇情的な雰囲気を醸しだしていた。　
「ねえェ、ああ、もう――。わたし――」
　冴子は全身を火柱のように燃えたたせて、意味不明の言葉を口走りながら、真っ赤に上気した頬を激しく左右に揺さぶった。すでに喜悦の絶頂近くまで追いやられ、もはや、理性や意思の力ではどうしようもないほど全身が燃えたぎりせっぱつまっていた。
　ああ、もうだめ、私！――と、冴子は、はっきりと声を出して言った。
「そうよ、気兼ねはいらないわ。イったらいい！　遠慮せんと、気をやりなさいな」
　みどりは言い、さらに責具を小刻みに、しかし、激しくこねまわした。都度、ジュルっ、ジュルっ、という肉擦れの音が淫靡に響く。
　冴子はさらに追い詰められて、
「あ、いや！　あ、あっ！」
　と悲痛な声で叫び、真っ赤に染まった顔を揺さぶり、全身で激しい狼狽を示した。
　卑劣な人間どもの手で、冴子の体は自分の意思とは関係なく、女として最も惨めで恥ずかしい狂態を示し始めている。様々な形で責めさいなまれ、追い上げられてしまい、今、自分は、ああ、なんということだ！、もうちょっとで獣のような醜い狂態の果てを、彼らの前にさらけ出そうとしている。
　ああ、ダメ！　――耐えなければ！　
　冴子、獣になったら、おしまい！
　奥歯をキリキリと噛みならして、冴子の最後のぎりぎりの理性は、この苦しみと愉悦の狭間に耐え抜こうともがいていた。玩具は、みどりに巧みに操られて、単調な電動音を響かせながら、冴子の内部で淫靡な動きを繰り返している。
　冴子の切ない悶えが、かえって男達の淫らな情念に、火を注ぐ結果になっていた。
　二人の男は、冴子の豊かな乳房を、さらにシコシコと揉みしごき激しく吸った。うなじと細い肩口に、淫靡な舌を蛆虫のようにいやらしく這わせてた。みどりの手の中の責具は、挿入を繰り返すごとに、相変わらず、淫靡な肉づれの音を響かせて冴子の中心部をいたぶっている。
「好きなくせして、なにも、そう頑なになることないじゃないか。一度、気をやってすっきりすればいいんだ。そしたら、すぐに、藤島とできるんだ」　
　男は不気味に笑っていった。
「藤島のアレは、馬なみだ。でっかくて固い。普通の人間のまあ三倍はあるな。おまけに、女が喜ぶように亀頭に真珠の玉を縫い込んで細工している。気の弱いご婦人が見ると失神るほどのすごさだ。そいつを根本までくわえ込むには、普通の濡れ具合でだめだ。二、三度イッて内部をドロドロに溶かしておかなきゃ、いかん」
　恐ろしさに、冴子は奥歯を噛んだ。
「そのかわり、真珠の味は格別だ。一度、藤島を受け入れら二度とその味が忘れられなくなって藤島の奴隷になる。あそこを平気で剥き出しにして、ケツを揺すって藤島に物乞いする。どんな淫らな体位でも喜んで受け入れる。嘘かホンとか、奥さんにもすぐに分かる」
　冴子は再び奥歯を噛んだ。今、淫情に破れあられもない狂態の果てをさらけだすことになれば、さらにおぞましい汚辱に責め苛まれることになる。そういった思いが倒壊寸前の冴子を辛うじて支えていた。
　とはいうものの、すでに夢うつつであった。うつつの彼方で、僅かばかりの理性が、ちらちらと意識の底をかすめていく。が、もはや、身も心もズタズタに引き裂かれていた。すでに肉体は、火照り、戦き、震え、燃えたぎって、何かを待っている。
　突然、みどりの一方の手が、冴子の中央の敏感な肉芽の先端をとらえた。一方の手で、電動具をこねまわしながら、こちらの手で、ゆっくりと指の間に恥核を挟み、裏指で緩やかに花芯を撫ではじめた。めくるめく刺激であった。
「うっ」と息を止め、「やめて！」と絞り出すような声で冴子は呻いた。「やめて、そこっ！」とはっきりと声に出した。
「だめ、そこ！」
　ぶるるっと豊かな臀部を揺さぶった。
「あら、どうして？」
　みどりは、くすりと笑い、平然と手を休め、やにわに冴子の内部からおぞましい責具をいっきに引き抜いた。ポッという無残な、しかしちょっと滑稽な音がした。冴子は腰を突き上げて、思わず獣のように「う、う」と呻いた。――膣口が何かに驚いた少女のおオチョボ口のように、しばらくぽっかりと可愛い開き方をしたままになっていた。冴子の内部の何層もの複雑な肉襞が惜しげもなく外部に露呈された。が、軟体動物のように、すぐにそれはゆるやかに閉ざされていき、しかし、完全には閉じきれずにぬるぬると喘いだ。と、やがて僅かな裂け目から、たらりと一雫、乳白色の体液が遠慮がちにあふれ出、と見ると、たちまち堰を切ったように、みるみるおびただしい樹液がゆっくりとしたたり溢れた。僅かに白濁した透明の恥液は、冴子の両肢の付け根全体を覆うってキラキラと光りながら尻のすぼみに達して溜まり、やがて糸状になってじっとりとシーツを濡らしていく。
「ひやっ、いやらし！　垂れっぱなし！　――いくらなんでもこれじゃあね」
　みどりは呆れた振りした。
「――まだ、くわえていたかったの、これ？」
　言いながら、抜いたばかりの玩具を、冴子の鼻の先に持ってきた。
　責具は軽い電動音をたてて、さながら生きているようにその鎌首をゆっくりと上下左右にゆさぶっている。歓喜に震える怪獣のように、それは冴子の秘液をたっぷりと含んでヌルヌルした不気味な姿を、蛍光燈の下にのたうちまわらせていた。
「見てみて、奥さま。これ、みんなあなたのお汁よ。恥ずかしくないのかしら？　そこら中ズルズル。テカテカ光ってるじゃない。ご覧あそばせ、この坊や、あたまから湯気をだしてる。まあまあ、こんなに糸を引いて――」
　それから、責具のコードの先端のコントローラーのスイッチを操作しながら、
「でも、まだ欲しいのでしょう？　だったら、今度は、もうちょっときつくしてあげるわね。震え方は同じだけど、首のくねり方がちょっと激しくなるの。奥さんの中で、あっちこっち頭を振り回して、ヤンチャしてまわる。けど、堪忍してあげてね、あんただって、まだまだヨクなるんだから――」
　言ったかと思うと、もうその責具を冴子の濡れそぼった裂け目に這わせていった。
　――しなやかな黒髪。細くすっきりと伸びた首の線。形のいい鼻筋と唇。そして豊満な両の乳房。しなやかな白磁のような柳腰。ふっくらとした白い下腹部。彫像のように見事に引き締まった太腿部。そしてその付け根のふくよかな膨らみ。すっと薄く柔らかな恥毛にエロチックに縁取られて、見事に一筋、悩ましく息づいている薄紅色の亀裂。――冴子の肉体のすべては、白い牡丹のように、豊満に、そして大胆に開花しきっている。いつの間にか、その下半身は、みどりの手で肉体の中央を這っていく電具の動きにあわせるかのように、やるせなげに責め具と同じ震え方をしていた。クレバスはっきりと蓋を割って、何層にも重なりあった襞の層を、あられもなく露呈させて切なげに、しかし今はもう悪びれることなく、責め具の挿入されるのを待つかのように卑猥な媚びを漂わせていた。
　名状のできぬ美しさであった。
　みどりは、冴子の、肉体のすべての部分に激しい嫉妬を感じた。
　この体をずたずたに引き裂いてやりたい！　みどりに凶暴な思いが激しくたぎった。
　性に狂う牝犬のようにのたうちまわらせてやりたい！　
　みどりの責具の挿入の仕方は、だから、ひどく乱暴であった。
　が、みどりの期待に反して、冴子はひどくあっさりと責具を受け入れた。みどりのいらだちをあざ笑うかのように、まるでためらいもなく、ずるっずるっと、冴子は玩具を呑み込んでいく。気高く、むしろ誇らしげな受け入れかたであった。
　みどりは、焦ったように、逆の手で激しく冴子の肉芽を揉みながら、一方の手で挿入した玩具を、ぐいぐいとその根本まで押し込んでいった。
　電動音が、身をくねらせている冴子の体の底からブーンと微かに伝わってくる。
　みどりは玩具を引いた。そしてまたひとくねりくねらして押し、容赦なく引く。
　激しい動きを何度か繰り返した。
　不意に冴子の腰がピクピクと痙攣した。
「あら、どうしたの？」
　からかうように言った。
　うっと、冴子は呻きを発した。意思とは関係なく、全身がつっ走っいく感じ――。急激にのっぴきならない状態に追い上げられていく感じ。あ、あ、あ――。みどりの激しい動きに合わせて、冴子はピクピクと全身を震わせた。秘裂の入口部分が切なげに縮まったり膨んだりした。内部の淡紅色の襞と襞の間で、機械的に繰り返される異物の摩擦音が怪奇な音を響かせている。激しく玩具の抽送が繰り返えされるごとに、淫糜な音を伴いながら、僅かなな隙間からおびただしい樹液が圧迫されるように、外部にとどめもなく溢れ出る。
　ああ――もう駄目！
　冴子は心の中で絶叫した。目がくらみ、全身に冷たい汗が走った。
　腰から背骨にかけて、鋭い快感が電流のように貫き、大きく左右に引き裂かれた優美な二肢は、内腿の艶々しい筋肉を、ブルブルと激しく痙攣させた。官能の源泉を激しく揺さぶられた。冴子のその部分は一瞬、カッと熱くなり、狂おしい切なさを伴ってきゅっうと縮んだ。
「どうしたのよ、奥さん？」
　みどりは蔑むように冴子を見た。
「そんなにお尻をゆすって――。まるで、サカリのついた牝犬じゃないの」
　魂を失ったような冴子の目が、とろんとみどりの目を捉えた。
「ああ、もう――」
「イキたいの？」
「わたし！　ああ――ねえ」
　冴子は汗をにじませた艶ぽっいうなじを、大きく波だたせて、むせかえるような声を発した。
「そうお、イキたいのね？　――いいわよ、イッて」
　冴子は軽く目を閉じ、訴えるように首を左右に振った。
「わ、わたし――」
「もっと、こするのね？」
「ああ、だめ、もう！」
　僅かに舌をのぞかせて、下唇を舐めた。
「ど、どうにかなりそう――」