十一

「ああ、お、お願い！」
　冴子は身を揉んだ。
「そうお、イキたいの？」
　いいながら・みどりは一気に責具を引き抜いた。
　冴子はカッと目を開いた。
「うっ、いや！　抜いちゃ！」
　目が引き吊っていた。
「ど、どうにかして！」
　倒壊寸前であった。　
「入れて欲しいの？」
「――――」
「本物じゃなくってよ、これ――。玩具でもいいのね」
「――――」
「じゃ、入れたげる」
　激しく貫いた。
　うううと冴子は首を反らせた。
「いいのよ、イって」
　悪魔のような笑みを浮かべて、みどりがけしかけた。
「でも、気をヤル時イ×イクイ×クって言うの――。言える？」
　そして、また深く挿入した。冴子はキリキリと奥歯を噛んだ。
「――――」
「どう、言える」
「わ、わたし」
「言えるかって聞いてるの！」
「い、言えます！」
「イクイクっていうのよ、言えるわね」
「い、言います、言える！」
「じゃあ、イカせてあげる！」
「――…！！」
　みどりは責具を、ズズズと引き抜き、ひとくねりくねらして再び深く挿入した。
「ううっ――」
　冴子の花層は、炎のように燃えて大きく膨らみ、包込むように責具をくわえた。
「いい――」
　腰を突きあげるようにした。
「ああ。――いい」
　大きく目を開いて言った。
「ねえねえ、いいわ　いいわよ！」
　はっきりと言った。神経は完全に麻痺しきっていた。
「さあ、イクの！　思い切ってイクのよ」
　激しく電具を操作した。
　冴子は切なげに下半身をくねらせた。
「もう。ねえ、もう――」
　さらに腹部をうねらせた。
「もう、ああ、もう――」
　獣のように呻いた。
「ねえねえ――」
　子供が物をねだる時の表情をした。
「ねえ、ね、――いいのね、いいのね、いいのね、いいのね」
　声に激しい切迫感があった。
「そうよ、イッテいいのよ、イクイクイクって、いい声でおっしゃい」
「ああ、なんてこと！　ど、どうしましょ、イキそ、わたし！」
　緊縛されている全身を牝犬のように揺すった。
「そう、その調子！　その調子で腰を揺するの。腰を揺すってイクイクイクっていうの」
「ねえねえねえ、わ、わたし、――あっ、だめ！　そこ、だめ！　だめだめダメ、や、やめて」
「それ、それ、それ」
「ううっ、か、かんにん、そこ、だめ、いや」
「それ、それ、それ」
「うう、やめて！」
「ささ、ささ、イケイケ、奥さん！」
　冴子はみどりの誘いに乗って、激しく腰を動かした。
「おおお、イクっ私！　だ、ダメっ、もう！」
　かっと目を開き、
「う、う、う！」
　奇妙な声を発した。　そして、
「あ、あ――イク、イクっ！　イキそっ」
　獣のように口走った。
「すごい、すごい、すごいわっ、すごいじゃないの！」
　瞬間、ブルっと全身を震わせ、「おおおお、×クっ、×クっ！」
　きっと、目を開いた。
「うううう、――イ×イ×イ×イク×クっ」
　獣のように腰を激しく上下させた。淫らな単語をはっきりと重ねることに冴子はいいしれぬ愉悦と解放感を感じ、そして激しく絶頂を極めていた。
「ああ――」
　さながら一匹の牝犬の呻きであった。呻きながらそのおぞましい責具を大きく開かれた股間のその付け根の筋肉の全力で締め付けていた。そしてブルっと全身を震わせると、発作を起こしたように下腹部をガクガクと宙に突き上げ激しく揺さぶった。
　呆れたように、みどりは責具から手を離した。
　冴子の何層もの花肉は、しっかりと責具をくわえたまま、まだピクピクと生き物のように息づいている。
「あああ――」
　冴子は息をついた。
　粘っこい透明の糸が、裂け目を伝ってゆっくりと溢れ出、冴子の尻に達した。冴子は、上気した頬をがっくり横に伏せると、そのまま、すーっ全身の力をぬいた。すると、歪んだ花層が、ナメクジのようにユラユラと不気味に揺らいで、大きく開いた股間からヌルリと責具を排出させていた。
「ああ――」
　また、腰が痙攣した。涙が頬をつたった。
　玩具はまだブルルルと震動している。
　ああ、もう駄目――。
　冴子は絶望の吐息をついた。
　粘液が、またひとしずく再び冴子の薄紅色の肉層の間から湧出しクレバスを伝ってキラっと光って流れた。