十二

　その場の男女は、しばらく声もなく冴子の股間とその股間から排出された玩具を眺めていた。皆、呆然としている。男性を形どった玩具は、付け根から先端まで冴子の恥液をたぷりと含んでヌルヌル光ながら相変わらず物憂い電動音を響かせて、もの足りなげにその鎌首をふるわせている。
「――すごい！」
　ようやくみどりが声を上げた。
「まるで獣！」
　言いながらみどりは自分の股間が熱くなっていくのを感じていた。
「恐ろしいおなごやな。まったく開いた口がふさがらん。しかし、安心して下さい。一部始終ビデオにばっちりです」
　小男が言った。
「どう、あのイキ方！――。牝犬でもあんな大げさに腰をゆすらないわ。しっかり縛ってあったつもりなのに、ロープがこんなに緩んでる」
「あのよがりかたは、好きってものじゃあらしまへんな。好きを通り越しいる。まさに性的パラノイアですな。体中が全部性器や。オ×ンコの化け物といってもいい」
「ほんと。いやだいやだと言いながらこんなに派手にイッテしまって――。見てご覧、穴、まだ、ぴくぴくしている」
「それに見ましたか、イク時のあの顔のいいこと。後でビデオをゆっくり見直して見ますがね、あの表情はたまりませんな。男心をとろかす顔だ。あんなとろけるような、恨めしそうな、たまらなさなさそうな顔でイってくれるんでしたら、男たるもの、腰がぬけるまで、やってやってやりまくりたい。まさにオ×ンコの天才ですな」
「おかげで、不感症のみどりさんまで頭に血が登ったみたいですね」
　若い方の男が言った。
「ほんと、なんだか、カッカするわ。――女ってこうして気をヤルのね」
「この奥さんの狂いようを見ていると、もう、辛抱というものができんです」
　大ちゃんは自分の股間を自分の手で握った。
「ああ、ぶるぶるっとくる！」
　みどりを見た。
「た、たまらんです。い、入れたいわ、こ、こいつを、ぶすっと。こ、この奥さんのあそこに、ぶ、ぶすっと、ね、ね、根元までつっ込みたい！」
　体を捻った。
「いいじゃん、入れたげたら」
　あっさりとみどりが言った。
「――どうせ藤島さんと絡むことになるんだから、その前に好きなようにさせてあげたら」
　それから藤島を見て、
「いいでしょ、こんなに焦れてるんだから。先にやらせてあげても？」
「もちろんですとも。――減るもんじゃなし。わしは後から、ゆっくり楽しませてもらいまっさ」
　大ちゃんは満面に喜色を湛えた。
「おお、ぶるるる！　――そ、そのくらいの役得がなきゃあね」
　いいながら、もうズボンのベルトを外しにかかっていた。　
「わたしも、久ぶりに抱いてもらおうかしら」
　みどりは監督役のの笹山を見た。笹山は黙っていた。
「後ろから入れてみて。――感じるかもしれない」
　笹山の男根も、すでに怒りたぎっている。
「この人の狂い方を見ていると、私だって昔みたいにできそう。あなたので久ぶりに狂わせて」
　みどりは、ゆっくりとパンテイをずらせていった。犬のように両手を床につけて四つん這いになり、臀部を笹山の前に競り上げていった。冴子の尻に劣らず豊かでふっくらとしている。意外に雪白で艶々していた。
「どうお。かわいてる？」
　笹山は、みどりの背後に雄犬のように目を近付けて、両手で尻を割った。
「いや、珍しく湿っているみたいだ」
　指を突っ込んだ。
「おっ、みどり、濡れてる。濡れてるじゃないか」
　感動したような声をだした。
「ほんと？　濡れてる！　ああ嬉しい、夢みたい」
　尻を突きだした。
「ねええ、もっと濡らして。昔みたいにあなたの口と指でもっと濡らして」
　笹山が、みどりの腰に両手を絡めて四つんばいになったみどりの背後から女の花芯を吸った。みどりは切なげに呻いた。呻きながら大ちゃんを横目で見た。
「あんただってやっていいのよ、やりなさいな、好きなように可愛がってあげなさい、この奥さん」
　尻を揺すりながら言った。
　大ちゃんは、ぐったりとした冴子の横顔を眺めていた。すっきりとした鼻筋。形のいい唇。固く閉じられた瞼。――彫像のようなすらりとした裸身に縄をかけられて、冴子は諦めきったように全身を投げだしまま、放心している。
　おお、――なんていい女！
　この女とできる！
　大ちゃんは、本当にブルっと震えた。
「す、好きに、や、やらせてもらいまっせ」
　大ちゃんは、みどりを伺うようにして念を押した。
「藤島さんもああいってる。――ご遠慮にはおよばないわ。好きにやったら」
　みどりは尻を宙にそりあげて呻きながらいった。
「なら、おれだって、ケッ、ケツからやりたい！」
　みどりは笑った。
「私たちを真似るの？　エッチな大ちゃん。――そんなら、奥さんをひっくり返して、まずお尻から舐めてあげるといいわ」
　大ちゃんは、大きく息を吸うと、震える手で冴子の足首のロープを解いていった。続いて胸のロープも解きにかかった。冴子は放心したまま、されるままになっている。小男が嘗めるようにしてファインダー越しにビデオを近ずけた。
　体が自由になると、冴子は思わず腰をひねって無意識に大きく開股されていた両肢を閉じた。その拍子に蒲団から斜めに腰がずれて、不自由な姿勢から解放された姿態をかばうようにして背を曲げた。しかし、背後に結び合わされた両手のロープは、大ちゃんの手に握られたままであった。
　大ちゃんは、その縄尻をとって冴子をむりやりに立たせた。両手を背後に縛られた姿勢で、諦めたように冴子は腰を折り、すっくりと立ち上がり、そしてギリシャの彫像のように形のよい見事な裸体を惜しげもなく大ちゃんに晒した。
「ケ、ケツからです！　し、しゃがんでください、お、奥さん」
　冴子はしかし、呆然と立ちすくんでいた。大ちゃんが縄尻を引いた。冴子はイヤイヤをした。突然、激しい力で腰を打たれた。小男の藤島であった。
　息の根もとまる激しい打擲であった。あっと冴子は悲鳴を上げた。
「四つん這いになって、ケツをあげるんだっ」
　ためらっていると、更に激しく腰を打った。
「みどり姐さんのように、ケツをこっちに突きだすんだ！」
　冴子は、フラフラと腰を折った。小男が嵩にかかったように、冴子の裸像をねじ曲げた。恐ろしい力であった。頭部を力ずくで床に押しつけた。背後で緊く縛り合わされた両手を、冴子は空しく宙に泳がせながら、下顎を床にくっつけた。膝が半分に折れて、大ちゃんの眼前に、豊かな冴子の白い尻が泳いだ。
「うお、おおおうっ！」
　大ちゃんが、吠えるように叫んだ。
「見、見えた！　ま、丸見えや。ケ、ケツの穴！　オっ、オ×ンコも丸見え――」
　叫びながら冴子の両尻を抱えた。
「み、みどり姐さん、や、やるぜ、おれだって！　こ、こうして、う、うしろから、この奥さんのオ×ンコ、舐めまっせ」
　狂ったように、大ちゃんは、冴子の背後に唇を這わせた。
　冴子はさきほどの放心からまだ覚めきっていなかった。犬のように顎で全身をささえながら、不自由な姿勢で、大ちゃんに蹂躪されていく臀部をノロノロと大ちゃんに晒していた。
　先ほどみどりに正面から両股を開けっぴろげにされたまま、異物で蹂躪されていったのとはまた異なった被虐感が、ゆっくりと冴子を昴ぶらせていく。
　すでに、一度はしとどに溶かされてしまった体である。絶望の彼方になかば捨て鉢な諦感があった。
　どうにでもなるがいい――。
　冴子は男に抱えられた臀部を僅かに下へずらしていった。全身を縛られているときと違って、ある程度体が動かせる。楽な姿勢を保ち得る。解放感があってそれがよかった。
　男にしがみつかれた尻を前後に微妙に揺さぶった。
　大ちゃんの舌が、思っている箇所からずれていくと、ちょっと腰をくねらせて、触れて欲しいその部分まで人知れず巧みに体をずらせていった。低く喘ぎながら、冴子は男に気どられないようにゆっくりと尻を揺すって、触れて欲しい部分を男の舌のところに運んでいった。
　不意に、あっと思った。
　背後に、真っ赤に燃えた生身の肉塊が突き刺さるのを感じたからであった。
「うううっ」
　冴子は呻いた。
　いい！　と思った。
　先ほどの、不気味な玩具とは違った快よさがあった。暖かい。そして、固いくせに柔らかい。微妙に息づいている。なによりも生きている。
　あれだ、あれ――！　男のあれ。生身の男そのもの！　――それが入った！　背後からわたしの内部にそれが入った。
　冴子の柔肉が震えた。
　いい――！
　心の内部で、冴子は叫んだ。
　しかし、さすがに体で表現することを躊躇っている。ほんの僅かに尻を持ち上げたけである。両尻を抱えて、背後からかぶさってくる男の重みを、冴子は切なく感じていた。
「せっかちね、もう入れてるの」
　見れば、みどりは、男の首の動きに合わせて突きだすように高く掲げた臀部を豊かにくねらしながら、身を揉んでいる。
　大ちゃんは冴子にかぶさったまま、横目でそれを睨んで、狂ったように激しく腰を前後にピストン運動させた。
「あああ、た、た、まらんわ、このオ×ンコ！　――ええオ×ンコ！　ええ、オ、×ンコや。　も、も、もう出るっ、出るっ、イキそ！」
　大ちゃんが悲鳴をあげた。
「弱虫！　今、入れたとこじゃないの。それくらいでイッタりしたら奥さんに軽蔑されてよ」
　みどりが笑った。
「子供みたいにガツガツして――。慌てて入れるからよ。私達みたいに落ち着いてお遊びなさいな」
「し、しかし、こ、この奥さんの、ケ、ケツの格好見ていたら、い、入れずにおれませんわ。目の前に、こんな柔らかなケツとオ×ンコ、つ、突きつけられたら、と、とてもお遊びどころじゃない」
「だから若いっていうの。――いいわよ、出しちゃったら。あっさり出しちゃいなさいな」
　みどりに言われて大ちゃんは逡巡した。
「そ、そう、簡単に出せますかいな。もったいない、もったいない」
　大ちゃんは不承不承身を引いた。
　冴子はピクリと全身を震わせた。もう、完全に一匹の牝と化している。急いでいた。セカセカと妙に何かを冴子は急いでいた。
　男は引き抜いたばかりの、冴子の体液をたっぷりと含んだドス黒い自分の塊を左の手で握り、もう一方の手で冴子の秘部をまさぐった。冴子の白い臀部は、男の正面に、半ば宙に向かって競り上がった格好になっている。両尻の中央の底に、煙るような繁みに覆われた薄い紅色の柔らかそうな肉の重なりがほの見えた。周辺は、自分と男の体液で、粘っこくズルズルと光っている。大ちゃんはその部分に、下から上へ掌全体を這わせていった。
　ああ――。
　冴子は唇を噛んだ。
　大ちゃんの眼前に、冴子の性器が生きづいて見え、そのすぐ上に、柔らかそうな、しかしよく締まった冴子の排泄器があった。中央の小さなすぼみに向かって、円状に、小刻みの幾条もの短く浅い薄皺が集まっている。菊花の蕾のように、それはしっかりと閉じられていた。中心部をそっと盛り上げるようにして中央を優しく包んでいる薄皮は、やや褐色ががった薄紅色を呈している。汗と体液でその部分さえ、すでにしっとりと濡れそぼっていた。
「た、たまらんわ、この穴！　ええ形や。セ、世紀の肛門や」
　大ちゃんは両手で、引き裂くようにその蕾を開こうとした。
「あっ！」
　反射的に冴子は白い尻を揺すった。
　構わず、男は力を込めた。　
「い、いや！」
　その拍子に、僅かばかり、肛門部の薄紅色の肉の壁が、外気に触れて開き、そして切なげに萎んだ。
　大ちゃんは、飢えた獣のように、冴子のその部分に唇を這わせた。
「し、信じられん！　この穴からクソがでるんか！　信じられん、信じられん！」
　男は、その部分をねめまわした。
「ええ穴や、ええ穴や。何でも出せ、何でも！　何が出てきても全部食ったる！」
　みどりが笑った。
「アホいって。――どんないい形の穴でも、そこから出てくるのは普通のウンチじゃない。臭くて汚なくっていやらしい塊！　あんた、それ食べるの？」
「ここから、ここから、こんな形のいい穴からウンチなんて出る筈がない！」
「かわいそうに。すっかりのぼせあがってしまって」
「みどり姐さんには分からん。――このケツ、この穴、このオマ×コ！　なにもかも最高や。見てるだけでイク！　ああ、こ、この体、ど、どこからどう料理させてもらえばいいのや！」
　大ちゃんは、再び、冴子の底に唇を這わせた。中央の尻のすぼみと、両股の付け根のクレバスを同時にねめまわした。冴子は背中の中央に縛られた両手を空しく宙で泳がせながら、蒲団の頭に顎をくっつけるようにして、体のほとんどの重さを支えていた。
　男が背後の低い場所で、下から上に、あるいは右から左に、その獣のような唇を移動するたびに冴子の臀部が微妙に揺れた。
　菊の蕾の中央に、くすぐるように舌をこね入れられ、そのすぐ後に、同じ舌で、恥ずかしい裂け目の両の陰唇を吸いあげられると、キューと腰全体を縮ませるような衝撃波がゆっくりと走っていった。無意識のうちに、形のいい尻がユラユラと揺れていた。
　かって知らなかった不思議なうねりが、全身をついばんでいく。思わず声にならない呻きを洩らした。
「ああ、いいわ――！」
　不意に、しぼり出すような、切なげな呻きが聞こえた。
　冴子は、ギョッとした。
　自分でない、自分で！
　しかし、思わず狼狽して全身が赤くなった。
　男に、自分の心の内を覗かれたような気がしたのである。
「ああ、いい――」
　再び、地の底から、恨みをこめて切なげに訴えるような響きが聞こえた。
「いいわ――」
　冴子は、豊かな臀部を男の唇に預けながらそっと薄目を開いた。
　その横で、みどりが呻いていた。
　両手を床につけ、犬のように四つんばいになっている。そのみどりの尻を抱えるようにして背後から男が絡んでいるのが見えた。狂った獣のように男がみどりをねめまわしている。ぞっとする姿であった。獣の牡と牝のあたりをはばからない交尾である。子供の頃、田舎の畦で犬の交尾を見たことがある。そのいまわしい情景を思いだした。汚らわしさと浅ましさに、冴子は全身を真っ赤に染めた。
「ああ、いいわ――」
　三度、みどりが喘いだ。男の唇の端から透明の糸がたらりと落ちるのを冴子ははっきりと認めた。
　おお、いや！
　冴子は顔をそむけた。
　同じ瞬間、冴子は、自分の柔肉の、中央の突起を這う男の舌の動きをはっきりと意識した。
　あっ　だめ――！
　ブルンと、激しく尻をゆすった。
「ああ――」
　みどりの喘ぎがまた聞こえた。　
　目の底に、淫らに絡んだみどりと男のいやらしい姿態が焼きついている。
　男が、冴子の腰に両手をからめた。
　ああ！　と思った。――同じだわ、私、あれと！　同じことをされている！
　そう思うと、カーッと全身が震えた。
　ああ、いや！　――私もあんな格好？　あんな格好で、私のお尻、いたぶられてる！　　おおいやだ！　いやいやいや！
「ね、ね、ね、もっとよ、ね、ね、もっと、もっと――」
　また、みどりの声が聞こえた。
　冴子は思わず、薄目を開いてそっとみどりの方を伺った。見ずにいられなかった。みどりは、緩やかに臀部全体を揺すっている。その部分を笹山という男が必死になってねめ回している。獣、獣の交尾！
　大ちゃんの指を、冴子は秘肉の内部に感じた。中央の尻のすぼみに生暖かい男の唇が這っていく。
　ああ！　――私もあれと一緒。おおいや！　
　あんな淫らな格好の私を、この人、下から――！
　不意に、冴子は自分の内部が激しく反応するのを感じ狼狽した。唇の間から、思わずううっという微かな呻きが漏れて出て、秘液が激しく溢れた。
　だめ、私！　
　あんな惨めな姿で、わたし、自分のなにもかもを男の前にさらしている！
　けだもの。ああ、わたしは獣。
　それなのに、ああ、なんということなの！
　もっと、と思う！　もっと、もっと、と――！
　だから、もうだめ！
　さっきだって、獣のように登りつめてしまったじゃないの！　
　いいの、だから、もういい。どうなってもいい。好きにして！　どうにでも好きにしてちょうだい。
　再び、股間に生暖かい男の唇を感じた。樹液が溢れるのを意識する。
　涙が頬を伝った。泣きながら冴子は呻いた。
　――もっと、淫らにお尻を突きあげてあげましょうか！
　ひどくいやらしい仕草で、くねくねと腰をふり、ゆっくりと豊かな尻を宙に突き上げた。驚くほど大胆で、淫らなくねらしかたであった。
　男の唇が上から重なった。
「好きだ、奥さん、さ、最高、その格好！　すごい、すごいセクシー。――振るんだ、振るんだ、もっと、もっと悩ましそうに振ってくれ。そう、そう、ケツ、入れて欲しそうにもっと振れ！」
　激しく吸い、そして離した。
「た、たまらん！　い、い、入れる！」
　中央に男が突き刺さった。
　冴子は唇を噛んだ。
　いい！　すごくいい！　お尻からってこんなにいいの！
　冴子は身を揉んだ。
　あ、私、変！　おかしい、また、気をやりそう！
　ぶるっと震えた。
　あっ、だめ、とどくじゃないの、とどく、とどく、子宮にとどく！　やめて、そんな乱暴なはいり方。
　快感の源を探るように尻を回転させ、さらに大きく振った。おおお。
　――だめ、だめ、イッちゃだめ冴子！　負けたら獣よ、獣！
「ち、ち、ちょっと待ちなはれ、あんさん」
　不意に小男の藤島の声がした。
　冴子にかぶっさっていた大ちゃんが、呻きながら運動を停止した。
「あっちでも、こっちでも、そう派手にやられたんでは、こっちの身がもちませんや。いくらプロでも、これでは気がおかしくなる。ワイも仲間にいれてもらわんと――」
　ボソボソといった。
「うるさいわね」　
　みどりが舌を鳴らして小男を見た。
「せっかくいいとこなのに――」
　首を捻って、自分の背後に重なっている笹山を見た。みどりの背後の笹山が運動を停止した。
「いやいや。いま止めちゃいや！」
　小犬のように鼻を鳴らした。
「だって、藤島君がかわいそうじゃないか」
「いいの。藤島さんはいまビデオ係り。――大ちゃんがすむまでまってあげて」　
「そんな殺生な――」と小男の藤島。
「プロのクセして、ちょっとだらしがないのと違う？　もうちょっ待っててあげて。――すぐに出来るじゃないの」
「だって、この女の動きを見ていると、もう、辛抱というものが出来ん。ワレながら恥かしいけどこいつがいきり立って言うことを聞きよらんのです。初めてですわ、こんな感じ――」
　巨大な男根をことさら誇示して、小男が言った。
「ケツの振り方、腰のくねらし方、身の揉み方、足の動かしかた、――どれもこれも、傍でみていると、こう、キューンとくる。凄い迫力ですわ。うめき声だって泣き顔だって最高だ。こんな上手にオマ×コをする女なんて見たことがない。さすがのワシもこの女の悶え方を見てるといきり立ちます。ムスコのこの張りきり方見てください。いきり立って反っくりかえってるじゃおませんか。――待てという方がムリです」
「だって、奥さんの穴、大ちゃんが使ってるんでしょ。待つより仕方ないジャン。――それとも、お尻の穴にでも突っ込むつもり？」
「まさか。普通のチンポコなら別ですが、真珠入りのワシのこれ、ケツの穴に入れるなんて不可能ですわ」
「だったら、大ちゃんの終わるの、待つしかないじゃない」
「なんのなんの。下の方は塞がっていても、上の方の穴は遊んでいる。もったいないじゃありませんか」
「上の穴？」
「――口」
「あ、そうか、お口に入れてあげるのね」
「大ちゃんの終わるのを待っている間、この可愛いい口で、オシャブリでもして遊んでもらいまっさ」
「でも、この気位の高い奥さんが、藤島さんのそのグロテスクなものをオシャブリしたりするかしら？」
「しますとも喜んで！――ねえ奥さん」
　小男が冴子を見た。見ながら自分の巨大な男根を根元から掴んで、冴子の眼前に誇示した。鎌首の部分をグルリと囲むように、小さなイボ粒大のブツブツが円形に膨らんでいる。真珠を縫いこんだあとである。見るからにおぞましい生身であった。その生身がたぎったように屹立している。
　冴子は思わず目をそむけた。目をそらしながら、息をついた。すごい！と思った。なんという醜悪さ！　人間のものじゃないこれは。
「このきれいな奥さんが、そのきたないものをおしゃぶりするっていうの？」
「こう見えても、ワシはプロです。舐めさせます！」
　自信たっぷりに言った。
「無理にじゃだめよ。自発的によ。奥さん自身の意思で舐めさせるのよ」
「勿論ですとも。――ねえ、奥さん」
　藤島は、怒張した生身を、冴子の口許に持ってくると、形のいい冴子の唇の周辺にそれを押しつけ、上下左右に撫でまわした。先端からすでに粘液が糸をひいている。
　不快な匂いがムッと鼻をついた。冴子は固く目を閉じ、奥歯を噛んだ。
「その人が藤島さんのをオジャブリしたら、みんなが同時に楽しめるわけね。私たちは二人で。あんた達は三人で。――素晴らしいじゃない！　皆で一緒にイっちゃいましょうよ」
　言うと、みどりは床の上の両手を垂直に立て直して、犬のように尻を揺すった。
「ね、、あなた。お尻から突っ込んで激しくこすって！」
　尻をあげ、目を虚ろにし、首を垂れた。そちらのことなど構っていられないという風であった。
「――というわけで、奥さん、このセガレを可愛いがってもらわにゃならんのです」
　小男は、巨大な鎌首を短い両手で抱ええるようにして、冴子の眼前でユサユサと上下に揺すってみせた。
　息を呑む大きさであった。冴子は必死になって目を閉じた。
「何も、そう嫌がることおませんやろ。あんたにしがみついてる後ろの坊やが終わったらワシと交替でっせ。交替して今度はワシとオ×ンコや。だから、その前にあんたは、わしのムスコに挨拶をしておく。当然でしょう、わしだってあんたに挨拶してあげたんやから――。挨拶が終わったらこの特性の×ンポコ、根元まで入れて思いきりイカセテあげます」
　巨根はイキリ狂っていた。
　ああ、なんて巨きい！　駄目。とてもムリ。いくらなんでも巨きすぎる。冴子に入りっこない！　無理に入れると潰れちゃう。潰れても、わたし知らない！
「さあ、さっきはワシが舐めてあげた。今度は奥さんが舐める番です」
　冴子の唇にイキリ立った生身を押しつけた。冴子は必死になって首を振った。
　小男は薄ら笑いをした。
「うふ。舐めたいくせに。――ええ格好してもあきません。ちゃんとその顔に『舐めたい』と書いてまっせ」
　冴子は頑なに首を振った。小男は冴子の背後の大ちゃんを見た。
「しゃあないな、これじゃ。――ほな、大ちゃん、この奥さんの急所、もうひと責め、責めあげてくれますか」
「急所？　急所ってどこです？」
「さっきのイク時の悶えぶり、じっくりと見とったら、どこが急所ぐらいかはすぐわかる。こう見えてもプロですからな。そこをいたぶってくれますか。そしたら、この奥さん、自然とこいつにむしゃぶりついてくれます」
「ど、どこです、そ、その急所？」
「まあ、いうたら、体中、いたるところが急所やが――。しかし、わしの見るところ、その女の急所はケツの穴やな。――穴のぐるりをあんたの唇で適当にいじくってやりなされ。必ず、目の前のワシに武者ぶりつく」
「ほ、ほんとだ！」
　大ちゃんは感極まったような声を上げた。
「す、凄いや、これは。藤島さん、あんたがそういっただけで、ここ、この穴、この肛門、ピクピク動いてますわ。か、可愛い、い、生きてるみたいにピクピク動く」
「でしょ。――チャンとこっちのいったこと聞こえているのです。だから興奮して穴を開きよる。たいしたおなごですわ。だったら遠慮することない。その穴の周囲をグルグル舐めてあげてくれませんか。そして開いてきたら、構わん、穴に舌をつっこんで、中の壁を舐めまくる。――ちょっと臭いかもしれんが、ええ味しまっせ」
　大ちゃんはロボットのようなぎこちない動きをして、再び冴子の白い尻を抱えた。
「それから、掌を広げて、オ×コ全体を下から上へゆっくりと撫であげる」
　言われたとうり大ちゃんは、冴子の菊の蕾の中心に唇を当て、こってりとねめまわしそしてぴちゃぴちゃといやらしい音をならした。同時に会陰部全体に、平たい掌を当てこねまわすようにゆっくりと、丹念に撫でまわした。大ちゃんの掌が上下するたびに、グジュッ、グジュッ、グジュッと淫靡な音がして、冴子の秘裂からおびただしい愛液が溢れでた。男の掌に雫が溜まるほどの溢れようであった。
　冴子は無意識のうちに豊かな尻を揺すっている。
　肛門付近をいったきたりする男の唇の温もりが、自然と吐息があふれるほどのやるせない感触を伝えてくる。まるで失禁したほどにも濡れそぼった股間全体に、生暖かい男の掌がぴったりと密着していて、それがこすれるたびに、腰がひとりでに小刻みな調子の合わせかたをしていた。
　ああ、いい――と思った。なんていいんでしょう！　まるで獣。たった今、イッたばかりなのに、私って、また――。ああ、イキそ！
　でも、――いいの獣で。――私は獣。一匹のメス。メス犬のように狂ってやる！
　小男が冴子のすぐ目の前で巨根をチラつかせている。時々、形のいい冴子の鼻の頭を、それで、トントンと叩く。
　イヤ、いや、嫌！　冴子は必死になって首を振った。
「すごい、ど、どうだこれは！　ケツの穴もオ×コも、もう、どうしよもない」
　冴子の背後の大ちゃんが悲鳴を上げた。
「吸うたげなはれ大ちゃん。ケツの穴に指突っ込んでこねまわしながら、オ×コの汁を吸うんや」
　大ちゃんは狂ったように冴子の両尻を抱えて、下から秘部に首を突っ込んだ。
　うっ――。
　冴子の口から喘ぎが漏れた。
「どや、奥さん――エエやろ」
　それから小男は短い手で冴子の顎をとらえると、涙と汗でグッショリと濡れそぼったその端正な顔を、こじあけるようにグッと上向きにさせた。形のいい唇が震えている。
　伸びのいい両手は背中でびっしりと結えつけられ、あい変わらず動きがとれない。宙に突きだすように高く掲げられた豊満な両尻は、背後から大ちゃんにしっかりと抱き抱えられ、蛍光燈の下で、まばゆいばかりに白い、切なげなうねりを繰り返していた。
　肛門といわず、陰部と言わず、両肢の付け根付近はしとどに濡れそぼり、ずたずたに踏みにじられている。
　小男に顔をとられて、四つんばいの不自然な姿勢の冴子は重心を失って、堪り兼ねて膝を折った。膝を折って、胸で体を支える格好になった。しかし、大ちゃんは頓着なしに冴子の背後にしがみついたままである。膝が折れた時、弾みで尻が後ろに流れ、瞬間、会陰部を、イヤというほど、大ちゃんの唇にこすりつけていた。
　ゾクリとするような戦慄が全身を走った。
　ううっ！
　声にならない声を発していた。
「どや、奥さん、エエ・キモチやろ」
　小男の醜悪な唇がすぐ目の前にあった。前歯が二本欠けている。
「すぐに入れてやるからな、さ、舐めてみてみ」
　怒りたぎった巨根で冴子の鼻の頭をまたトントンと叩いた。
「入れて欲しかったら、さあ、遠慮せんと舐めるのや」
　冴子は頑なに唇を噛んでいた。
「まだ、あきませんな」
　小男は軽く舌打ちをした。
「コーっと――」
　小男は大ちゃんに声をかけた。
「そいじゃ、大ちゃん、あんたの人さし指と中指、奥さんのオ×コの穴に突っ込んでンか。オ×コの蜜を潤滑油がわりにする。指で汁をすくって、そいで、その汁、肛門の周りに塗り付ける。で、そのずるずるの指を、ケツの穴に突っ込む。――できまっしゃろ」
　大ちゃんは、もう小男の言いなりであった。忠実な召し使いのように小男の指示に従うだけである。唇も鼻の頭も冴子の淫液でテカテカ光っている。
　右手の人さし指と中指を、背後からズブリと冴子の膣に挿入した。冴子はあっさりと男の二本の指を受け入れた。こってりとこね、男の指は、冴子の体液をすくいとるようにタップリと含ませた。目が座っている。指を抜くと、つーと粘っこい粘液が男の指と冴子の秘部の間に糸を引いた。そのまま大ちゃんは指をソロソロと冴子の尻の中心に這わせた。
「あ、いや、そこ！」
　冴子がブルルルッと尻を振った。
　大ちゃんは、しかし、しっかりと冴子を抱えると、構わず指を立てた。
　更に激しく、冴子は身を揉んだ。豊かな尻が波をうった。ひどくいやらしい揺れ方であった。熱い冴子の樹液を含んだ大ちゃんの指が、緊縮した冴子の中心部を押し潰して圧迫し、その先端が第一間接まで入り、しかし、すぐに抜けた。瞬間、冴子の肛門の内部が外気に晒され、すぐに茶色がかった薄紅の冴子の肉の壁が、崩れるように内部に埋もれていった。
「あほ！　一気に入れるのや」
　小男が怒鳴りつけた。
「――しゃあないな、もう」
　大ちゃんはちょっと申し訳のなさそうな顔をした。
「やり直しやもういっペん。――よろしいか、そいじゃ、もう一度ケツの穴まわりを、こってりと舐めとくなされ。ほいで、今みたいに平手でオ×コ全体をソロソロ撫でる。まんべんなくでっせ、まんべんなく！　上下、左右、縦、横、斜め、ぴったりと掌をオ×コ全体に密着させて撫でるのです。よろしいか、そしたら開く、必ず開く！　――よすぎてきばるんです。そして、ケツの穴が開いたと見たら一気に突っ込む、一気にでっせ、ためらったらあきません」
　大ちゃんは姿勢を逆にした。小男に背をみせて冴子の腰に逆馬乗りになり、反対の位置から、切なげにゆらいでいる冴子の両尻を抱えた。そして、下から秘裂にぴったりと掌を密着させ、ゆっくりと上下させた。同時に唇を菊の蕾の周辺に這わせた。
　すると、ほとんど同じ瞬間、冴子の肛門がなめくじのようにユラユラと揺らいだ。
「ううっ――」
　と、冴子は呻いた。
「すっ、すごい！　も、もう開いた！」
　感嘆の声をあげて、大ちゃんは一気に中指を貫いた。
　冴子は、必死になって尻を振った。
「ヨッシャ、上出来！」
　小男は言い、ゆっくりと自分の巨根をしごいた。
「大ちゃん、その格好で、――ケツの穴に指を突っ込んだままのその格好で、オ×コ舐められますか」
　うんうんとせわしなげに大ちゃんはうなずき、冴子に全身の体重を預けた。上から下を覗きこむようにして冴子の股間に顔を運んだ。その拍子にクルリと指が冴子の排泄器の内部で一回転した。
　あっと思った。目くるめくような不思議な刺激であった。
「あ、あ、あ」
　同時に、会陰部の割れ目に大ちゃんの熱っぽい唇を感じた。初めて経験する不気味な感触であった。全身に異様な電流が走っていった。
「どや、奥さん、まだ、これ、舐める気になりませんか？」
　小男は、冴子の眼前で巨根をゆすった。――――』