十四

　縛られた両手を背後に突き上げ、豊かな臀部を後ろにせり出したまま、獣のような姿勢で顎を突っ張って、冴子は小男の生身の先端に、尖った小さな唇を這わせている。
「たいした舐めっぷりやないか奥さん。――誰に教えてもらったんや、え？　さすがのわしも、奥さんを指導したヤツにちょっとばかり嫉けますな。あのよぼよぼの亭主ですか。おっととっと、そんなに悩ましそうに、ケツ揺すったら、大ちゃん、失神しよりまっせ」
「ほ、ほんとや。も、もうあかん！」
　背後から冴子に絡み付いている大ちゃんがうめいた。
「ああ、エエ、エエ気持ち！　ご、極楽や。――天国で天女としてるみたいや。こんなええオ×ンコ、始めてや。ああああ、そ、そんなに、ケツ、く、くねらしたら、で、出る出る、出るがな！」
「さすがの大ちゃんも、奥さんにかかったら、メロメロやな。メロメロついでに、奥さん、もうちょっとケツを揺すって、大ちゃんをキリキリ舞いさせたりなされ。そうそう、前後にしゃくって、キュっと締める。も、もう一回や」
　言われて、冴子は暗示にかかったようにちょっといきんでみせた。すると、冴子の内部は、まえるで冴子とは違う別の生き物のように、たちまちぬるぬると収縮していった。堅くて柔らかい大ちゃんの生身が、自分の内側でヌルヌルと包み込まれていくのを、冴子ははっきりと、そして切なく感じていた。
「ああああっ、で、でっ、出る」
　大ちゃんが叫んだ。
　だめ、出しちゃ！
　もちろん声には出さず、しかし、冴子は救いを求めるように小男を見た。
「ああああっ――」
　大ちゃんは激しくうめき、冴子の腰にしがみついた。ガクン、ガクンと二度震えた。瞬間、冴子の底の内部を衝撃がかけていった。冴子はうううとうめき、唇を噛んだ。底の柔らかい肉壁をめがけて、大ちゃんの体液が、ずずずず、ずずずずと小刻みに、しかし激しく奔流するのを一度、二度、三度感じ、冴子は反射的に尻を揺すった。同時に、内部の何層もの肉襞の隅ずみに、熱い噴流が拡がっていくのを感じた。全身を溶解するような快美感であった。ううううと、あっけなく大ちゃんは果てていた。
「あ、あ、あ――」
　冴子は呻きなげら、思わず小男の生身の先端を口腔いっぱいに含んでいた。狂ったように顎を上下にゆすった。さらに呻いて、恨めしげに下から小男を見た。小男の肉塊が冴子の顎の内部で激しく痙攣した。
　顔が火照った。その背後で、ピクピクと数回、大ちゃんは冴子の内部で痙攣すると、運動を停止した。冴子の肉襞を頼りなげにくすぐって、大ちゃんのそれはゆっくりと後退していった。冴子は切なげに全身をよじった。ああ――。やるせなげな吐息が自然に洩れ、同じ瞬間「ううむ、ごうわっ」と冴子は奇妙な呻き方した。見ると小男の生身が冴子の唇からよじれて抜け、天を突き、ぬるりと一条の糸を宙に光らせていた。冴子の口許から涎のような粘液がたらりと溢れた。
　トロンとした冴子の目が宙をさ迷った。
　まだなのに――。
　大ちゃんは、まだうっとりと夢心地で、冴子の白い臀部にしがみついている。
　ふと、気がつくと、横で、みどりの上に男が重なっていた。いつのまにか二人の体位が入れ変わっている。みどりは、放心したように、上の男の裸体をしっかりと抱いていた。男はグッタリとみどりに重なったまま静止していた。
「だらしのないこっちゃ、皆さん、そろって昇天ですか」
　小男が自分の男根を握り直して笑った。
「イッテないのは、わしとこの奥さんだけや」
　みどりが小男を見て、気だるそうに微笑んだ。
「こんなに燃えたの、久し振り――」
　そして、そっと上の男の耳朶を噛んだ。
「良かった――」
　みどりは身を揉んで甘えるように男にささやきかけた。
「また、して――ね」
　男は黙っている。
「アホらし！　わしらはこれからや、ねえ奥さん」
　背後の大ちゃんがモソモソと動き、漸く冴子の腰から手を離した。
「ああ、出た！　出ちゃった！　はらわたの底からほとばしり出たわ。こんなええオマ×コ始めてや。――飢えてた訳じゃないのに、われながら醜態」
　ちょっと照れたように小男を見た。
「あああ…。エー、オ×ンコ！」
　白い歯を見せて笑った。
「最高やわ！　最高の構造！　その最高全部が、悩ましげにぎゅうぎゅう、こっちを締め付けるんですからな、誰だって持ちませんわな」
「素人じゃあるまいし、笑わせたらあきません」
　小男が揶揄するように言った。
「――と思うでしょ、ところが違うんだなこの奥さんのここ。――まるで生きてるみたいなんです！　なんというか、こう、入れたとたん、ギューという感じ。チン×コ全体をヌルヌルと生暖かく包みこんで――、その包みこみ方がまた最高。きゅーと、こう、いとおしそうに縮まって――。なめらかで、柔らかくて、切なげで、優しくて、あったかくて、もう、気が変になるくらいやらしい縮みかたをするんです。だから、こっちは、つい、思わず、フラフラと出してしまおうかたって気になる。それほどほどいやらしい締め方。――で、こっちはこらえるのに必死！　もう、腰が吸込まれるように勝手に動く。そして、擦るたびに、その都度、こう、まるっぽ、また一からヌルヌルと、この構造、丁寧に包み込み直してくれる。柔らかいのやら暖かいのやらで、チン×ンにぴったりと寄添って、あっちこっち、ピクピクと、上から下から、前から後ろから、ところ構わず吸いつきよる。その吸いつき方が、また、たまらん。上手ちゅうか、たおやかちゅうか、激しいちゅうか、優しいちゅうか、とにかくもう堪らない。糸みみずが千匹、うじゃうじゃよってたかってチ×チンを攻めまくるみたい――。こらえよとしても、とてもじゃない。――そんじょ、そこらの構造と同じにしてもらったらあきませんわ、この構造」
　小男大げさに驚くふりをした。
「ふーん、みみず千匹ちゅうやっちゃな」
　感心したようにうなずき、
「――ひょっとして大ちゃん、この奥さんの構造、キンチヤクと違いまっしゃろか？」
「き、キンチャク？　こ、これが噂に聞くキンチャクですか？」
「一万人に一人、あるかないかという構造や。――なるほどな、キンチャクか。うん、うん、それで分かった。すごいはずや。それやったら大ちゃんがキリキリ舞いしてこぼすのもむりはない――」
　小男が笑った。
「聞こえたか奥さん？　あんたのオメ×、ひょっとしたらキンチャクちゅうやつかもな――」
　ああ、なんというおぞましい言葉――！
　冴子は身を震わせた。
「キンチャク付けとるとはな、えらいことになってきたな、うんうん」
　小男は淫らな笑い方をした。
「よっしゃ、確かめたる。ほな、奥さん、今度は、わしとオ×コ、しょ」
　小男が腰を上げた。
「――大ちゃん、そこのいてんか」
　言われて大ちゃんは未練げに膝を立ててそろそろと身を引いた。
　冴子は、瞬間、キユっと肉層を縮めた。もう暫く大ちゃんの生身を包んだままにして置きたかった。大ちゃんが完全に内部からなくなったのを感じた時、冴子はちょっと息を呑み、訴えるように小男を見た。
「ヨッしゃ分かった、今度はわしが可愛いがったげる。まかしとき、奥さん」
　大ちゃんに替わって小男が冴子の背後にうずくまった。
「さてと。――いよいよ、このわしが美女のキンチャクに挑戦や。ぞくぞくするなあ、もう」
　おおげさに言いながら、手慣れた仕草で冴子の白い尻を割っていく。
　無雑作に肢の付け根のクレバスを開き、薄紅色の恥ずかしい肉襞を剥き出しにした。
「ヒヤッ、こ、これは――」
　小男がとんきょうな声をあげた。
「びちゃびちゃ！　ひょっとしたら大ちゃんのよりも、あんたの淫液の方が多いのとちやいまっか。す、凄い量でっせ」
　小男はうなった。
「――それにしてもすごい量やな。まあ、い、いくらよかったとしても、ものには節度というものがありまっせ。いくらなんでも、これではちょっとひどすぎると思いませんか」
　小男に引き裂かれた冴子の薄紅色の柔らかい部分は、まだピクピクと悩ましげに息づいていて、ひどく悲しげに、粘っぽく白濁した男女の体液をゆっくりと排出させていた。肢の付け根を伝って、一筋の粘っぽい雫がシーツを汚していく。
「恥知しらずなこっちゃもう。おお、いやらし。――大ちゃん、紙や、紙」
　小男が淫靡な手つきで、背後から冴子の股間を拭った。冴子は唇を噛んだまま、小男に臀部を預けていた。局部に触れられる度にひとりでに顔が火照ってくる。頭がぼうと霞んで、何かひどくやるせない気がした。
「もう、くちゃくちゃやな、このオ×コ。――ようとろけたもんや。これだけぐちゃぐちゃに溶けたら、ワイのん、なんとか入りましゃろ」
　言いながら小男はよいしょと声をかけ、背後から片手で冴子の尻を抱えた。もう一方の手を自分の巨根の先端に添え、冴子の淫部に押しつけた。同じ姿勢でそのまま背後から冴子に重なっていく。