十六

　不意に冴子の下の小男が短い毛むくじゃらの手で、冴子の臀部を抱えた。そして激しく掴んだ冴子の両尻を、狂ったようなすざましい力で上下に揺すった。揺さぶられるにまかせるしかなかった。じゅ、じゅ、じゅ、じゅと、揺さぶられるたびに、濃密な粘っぽい淫液が股間から溢れて、小さい泡粒を作った。堪まりかねて、背の両手を突き上げるようにして冴子は上半身を前に折った。するとすぐ目の下に、自分自身の裂け口が見えた。その裂け口に小男の巨大な生身が突き刺さっている。
　深々と、そして誇らしげに、冴子は小男の一物を受け入れている。　
　亀頭の付け根の不気味な縫い目が、白濁した粘液でネチネチと光っているのがはっきりと見てとれる。気の遠くなるようなおぞましい光景であった。
　す、すごい！　と思った。なんて、凄い格好！
　背筋がゾクリと震えた。
　ああ！――と思った。なんてことなのこれは。　――でも、ああ。――いい！　いいじゃないの！　素晴らしくいい！　全身を貫くような快感が走った。冴子は激しく欲情した。
「ああ、また――」
　ゆっくりと腰を浮かした。
「ま、また、来そう――」
　唇を噛んで、そしてゆるゆると腰を沈めていった。ず、ず、ずと淫液がしぶいた。
　たった今登りつめたところなのに――。なんていうことなのこれは。――私って獣。
　巨大な肉柱はかまわず冴子を、底まで浸食していった。
「どや奥さん、感じるか？」
　――すごい、すごじゃないの。もうだめ私！
「ああ！――わ、わたし」
「わたし、どうなんや？」
「ああ、もう、わたし――」
「もう、どうなんや？」
「ああ、やめて！」
「さあ、言うんだ、――もうどうなんや」
「――――」
「あんたのオ×コ、わしの馬みたいのをくわえてあっぷあっぷしてる。これは分かってるな」
「ああ、やめて！」
「感じるんやな？」
「――もう、ううっ」
「さあ、言うんだ、――もうどうなんや」
「――！」
「どや、感じるんやな？」
「ううう」
「エエか、エエ気持ちか？」

「あああ、もう――」
「エエと言え、エエと。言うたら、ホレ、こうして腰、揺すったる」
　いいながら小男は力まかせに腰を突き上げた。めくるめく快感であった。
「あああ、す、す――」
「何？」
「ああ！――　すごい！」
「すごいか？」
「すごくて――」
「すごくて――」
「すごくて、巨きい」
「すごくて大きくて、それで？」
「あああ、駄目！　動いちゃ」
「どや、応えるか、真珠？」
「わっ、ああああ、駄目！　動いちゃ」
「これからでっせ、これからや」
「き、きつい」
「きつい？　痛いのか？」
「きつい。ああ、もう、いっぱい！　きつくてわたし――」
「痛くないのやな」
「き、きついの。きつすぎる」
「痛くないのやな」
「な、ない――わ。でも、ああ、き、きつい」
「エエってことか？」
「――――」
「エエ気持ちなのやな！？」
「――――」
「エエっ、て、ことやな」
「こ、ことよ！」
「そうかそうか、エエか、エエ気持か。ええ気持ちなのやな」
「ああ、また、来そう！」
「たったいまイッタところなのにか、え？」
「ああ、いい。いいわ。――ど、どうなってるの、ああ、わたしったら」
「そうかそうか。心配せんでもええ。わしと対等というこっちゃ」
「ああ、もう、いっぱい、あなたがいっぱい。わたしの中であなたがいっぱい！」
「さすがや。あんたの道具、わしのと対等と言うことや。一発でわしと対等にできるとは、たいしたオ×コや」
「ああ、や、やめて！」
「やめるもなにも、このままではあんたも済まんやろ。これからですがなこれから。大ちゃんみたいに焦ったらあかん。我慢ちゅうもんも大切や。ゆっくりゆくりと。まかしとき！」
　小男はいとおしむように、冴子の臀部を抱え直した。
「――だんだんよくなりまっせ、だんだん。だんだんよくなるホッケの太鼓。…良くなってきたら、遠慮せんと、しゃくったらエエ。オ×コを締めて、ケツを振って、思いきりしゃくるのや。大丈夫、潰れはせんあんたのオ×コ――」
　小男が短い両手を冴子の腰にしっかりと巻きつけて、力まかせに手前に引いた。冴子はわれにもなくうううとと動物的な声を張り上げ、全身をくねらした。背中にきつく結わえられた両手首が、つつつと突っ張って蛇のように悩ましく宙をはいた。
　巨大な肉棒が、ずぶっずブッと冴子を浸食していく。
「わっ、とっとっとっと――。入る入る、入るがなこれは。根元までずぶずぶっとすんなりや！」
　小男がうめいた。
「わしのこれ、一息で根元まで呑みこんだのはあんたが初めてや。い、いうことなしや」
「ああああ、でも、駄目！。い、いっぱい。いっぱいだからだめ！」
「だけど、エエ。ええ気持ち。そうやな？」
「うう、凄い。う、動かないで、動かないでちょうだい！　く、く、き、き、きゅうくつ！　窮屈、窮屈すぎて、どうにもならない！」
「だけど、エエ気持ち、そうやろ？」
「つ、つぶれそ」
「だけど、エエ気持ち、そうやな」
「あああ」
「なんとか言え、なんとか。――言わんと、こっ、こうや」
　小男は冴子の尻を激しく持ち上げ激しく引いた。信じられぬほどのすざましい力であった。
　冴子は激しい声を発してうっうとうめき、全身をくねらした。
「どや、エエか？」
「か、かんにん、かんにんして」
「じゃ、言え、いわないと――」
「あ、まって、いう、いいます」
「早くだ奥さん」
「ど、どう、い、いうの、――ね、ね、ね、ね、ど、どういうの、ねえ――」
「エエとや。エエ。――それだけでいい」
「ねえ」
　小男がまた激しく腰をひねった。
「ねえ。ああ――。い、いいわ」
「そう、言えるやないか。もういっぺんや」
「――いい！」
「ほんとにエエか」
「いい、いい！　いいわ！　――ほ、ほんとにほんと、ほんとにいい。いい気持ち」
「よっしゃ、ほな、こうや、こうしたげる」
「わっ。わわわ。や、やめて！」
「エエか？」
「――ふっとい、あなたのって太い！」
「エエか」
「ああ、もう、もう、もう、もう――ねねね」
「そいじゃ、今度はこうや」
「うう、ううう――。ああ、ああ」
「エエか？」
「お、お、おおお、ああ、あ、と、とてもじゃない、とても！」
「それじゃこうや」
「うう、すっ、すごい！」
「わしもエエ！　ええわ。よ、よう締まってまっせ」
「ああ、な、なんってことなの！　な、なんて凄い、ね、ね、ね、あなたのって、なんて凄いんでしょ」
「うんにゃ、凄いのはあんたや。あんたこそ凄いのつけてる。プロのわしがいうのやから間違いない。疑いもなくキンチャクや。一万人に一人の名器や」
「だったら、ね、ね、ね。ゆっくりね。ね、ね、ね」
　冴子は腰を浮かせた。
「ゆ、ゆっくりね、ゆっくりよ、ゆっくりね。ゆっくりよ。ね、ね、ね、ね、お願い！」