４

「はぁはぁはぁ・・・。」
　俺はベッドの縁に体をあずけ、ゆっくりと呼吸を整える。
　その間も、凛子は俺の肉棒から、精液を一適残さず吸い出すように肉棒をしゃぶり続けている。
　イッたばかりのペニスに加えられる刺激は、必要以上に強くくすぐったくなり腰をうかすと、凛子はゆっくり顔をあげた。
　俺を見つめる凛子は、はにかんだような笑顔を浮かべた。なんて可愛いんだ。そう思った瞬間、彼女のプクっとした唇の間から、ドロっとした白い液体がこぼれ、あらかじめ用意されていた彼女の掌へ注ぎ込まれる。
　かわいらしさと生々しさ、そのギャップに思わず息を呑んだ。
「ティッシュ・・・。」
　彼女が、サイドテーブルを見てそう呟く。
「あ、あぁ。」
　俺は慌ててサイドボードに置かれたティッシュを数枚引き抜き、凛子に手渡した。
　凛子は渡されたティッシュで、口の周りを拭き、掌の中の精液を修理した。
「・・・嘘が上手なんですね。」
　丸めたティッシュをくずかごに投げ入れながら凛子は言う。
「内心ドキドキだったよ。」
「興奮もしてたでしょ？だから、イッちゃった。」
　凛子は、小さくなった俺のペニスを指でつつく。
「それもあるけど、リンちゃんのフェラが上手だったからだよ。」
「あんまり嬉しくないなぁ。」
　指先の動きを続けながら答える凛子は少し困った顔をしていた。
「どうして？」
「・・・だって、私はまだイッてない。」
　上目遣いでそういった凛子の瞳は、あきらかに今まで義兄としてむけられてきた視線とはちがい、オスのモノを求めるメスの欲望が滲み出ていた。
「すぐにまた大きくなるよ。」
「それまで我慢できるかな？」
　凛子が、身体を摺り寄せてくる。
「じゃあ、それまでいいのものを貸してあげよう。」
「いいもの？」
　俺はサイドボードの抽斗から、ティッシュ箱くらいの箱を取り出し、ふたを開けた。箱の中身をみて、凛子は驚きの声を漏らした。
「綾子のお気に入りだ。」
　そういって俺は、箱の中に入っていた男性器を型取った白い玩具を取り出した。俺はそれを凛子の前に持っていくと、彼女は恐る恐るそれを受け取った。
「すごい・・・。」
「バイブを見るのは初めて？」
　凛子は、まじまじとそれを見つめながら小さく頷いた。
「じゃあ使うのもだよね。リンちゃんのアソコはもう濡れ濡れだから平気だと思うけど、一応口で湿らせてごらん。」
　しばらく、聞いていなかったようにバイブを見つめていた凛子だったが、やがてゆっくりとそれを顔の前に持っていった。
「ん・・・。」
　凛子が一瞬顔をしかめ動きを止めた。
「そういえば、昨日使ったまま洗ってなかったな。」
「昨日、これがお姉ちゃんの膣中に・・・？」
　凛子はまじまじとバイブを見つめながら尋ねた。おそらく頭の中で、バイブで犯される姉を想像しているのだろう。
「昨日だけじゃないよ。たまにこれで遊んであげるんだ。」
　俺はバイブから伸び、手元に転がるリモコンのスイッチを押した。
　―――ウィンウィンウィン。
　モーター音とともに、白い作り物の肉棒が回転をはじめた。凛子が驚き、手を放しそうになったので再びスイッチを切る。俺は再び凛子からバイブをうけとると、彼女の唇にかざした。
「さ、なめてごらん。お姉ちゃんのアソコの味がするかもしれない。」
　凛子は恐る恐る舌をだしたが、すぐにさっき俺の肉棒にしたようにバイブを口に含む。
「美味しかった？」
　充分に濡れたバイブを引き抜き尋ねると、凛子は苦笑いを浮かべながら小首をかしげた。
「じゃあ、ここによりかかってごらん。」
　俺はさっきまで自分がよりかかっていた場所に、凛子を促すと、脚を大きく広げＭ字型に開かせた。
　凛子の股間は、すでにその一帯が愛液にまみれており、光をあびてテカテカと光っている。
　俺はゆっくりとそこへバイブをおいて、先端をその愛液の源にあてがう。
「先にイッたらお仕置きだからね。」
「先にイッたのは、秀和さんだよ。」
　凛子は、笑顔を浮かべながらそういったが、ゆっくりとバイブが入っていくにつれ、笑顔がゆがんでいく。。
「うぅぅあっ！アン！アァァッ！」
　凛子の蜜壺は、あっさりとバイブを根元まで咥え込んでしまった。
「アンッ！イイッ！アァァツ、アァァ！」
　ゆっくりとバイブを出し入れすると、そのたびに愛液が溢れ出て、クチュグチュという音が漏れる。
「いつもは指でしてるの？」
　俺の問いかけに、凛子は小さく頷く。返事をしたのではなく、ただ悶えているだけかもしれない。
「じゃあこんな刺激は初めてだろ。」
　俺はバイブのスイッチを入れた。
「アァァァァァ！！イッ！アァ！アン！アンゥ！」
　凛子の膣内でバイブがモーター音を唸らせ回転をはじめた。凛子はたまらず、激しく体をよじらせたり脚をつっぱらせたりしている。
　このままだと本当に先にイッてしまうかもしれない。そんなことを思いながら、自分の股間を覗き込む。すでにだいぶ硬さを取り戻していた。
　―――ウィンウィンウィン
　―――グチュッ！グチュッグチョッ！
　―――アンッ！アンッ！アアンッ！
　三つの音がハーモニーを奏で、部屋にはいっそう淫らな空気に包まれる。
　俺は、凛子の片手をバイブの根元にあてがい抑えさせると、ベッドの上に立ち上がり、もうほとんど硬さを取り戻した肉棒を凛子の顔の前にかざした。
　しかし、凛子はうつろな瞳でそれを見ただけで、ひたすら絶え間なく与えられる快感に酔いしれていた。
「一人でイクつもり？」
　俺はそういいながら、肉棒の先端をｌ半開きになり喘ぎ声を漏らす凛子の口にあてがう。するとやっと凛子はそれをしゃぶり始めた。
「ングッ！ングッ！ンフゥ・・・ングゥ！」
　さっきのようにテクニックを駆使するのではなく、ひどく荒々しく野性的なフェラチオだった。時々歯が当たり痛いと感じたときもあったが、それ以上に欲望を丸出しでフェラチオをする凛子の姿に呑まれてしまっていた。口の中の肉棒は、血管が浮き出てドクドクと脈打っているのがわかる。
　ふと凛子の手元をみると、回転するバイブを不器用に出し入れしている。シーツには大きなシミができていた。
「よく我慢できたね。ご褒美だ。」
　俺は、凛子の口から肉棒を抜き出し頭をやさしくなでてあげた。「よく我慢できたね。ご褒美だ。」
　凛子は、頭をなでられても嬉しそうにはせず、ひたすらバイブによる快感に酔いしれていた。バイブのスイッチを切ると、やっと状況を理解したのか、上目遣いで俺を見つめる。
「さ、挿れてあげるから、四つん這いになって。」
　そういうと、のそのそと起き上がり、言われたとおり四つん這いになった。
　俺は、早速凛子の後ろ側へ回り込む。膣内には、まだバイブが奥深くうめこまれており、尻尾の様にコードが垂れ下がっている。
　バイブを引き抜こうとすると、ヌルっとすべり落ちるように簡単にバイブは抜け、同時にドロっと愛液が滴り落ち、シーツに新たなシミを作った。
　さっきまでバイブの入っていた蜜壺は、ぽっかりと口を開いたまま、ヒクヒクと震えている。俺は早速、バイブより一回り大きな自らの肉棒の先端をあてがった。
「アン！早くぅ！」
　早くバイブの代わりが欲しいのか、凛子はクネクネと腰を動かし俺の方へ押し付けてくる。
「自分からおねだりするなんて、リンちゃんてとってもエッチなんだね。」
　俺は、もうしばらく焦らす様に、先端で凛子の割れ目をなぞった。凛子はさらに激しく腰をうねらす。
「そ、そんなこと・・・。」
　凛子がわずかに恥じらいを覚えた瞬間、俺は合図もなしに一気に蜜壺へ肉棒を沈めた。
「アアァァァン！アッ！イィ！！」
　凛子は、一度大きく背中を反らせると、そのまま力なく上半身をベッドに沈め、おしりを突き出すような格好になった。
「リンちゃん、すごいよ。あっという間に奥まで入ったよ。」
　肉棒は根元までしっかりと蜜壺に収まり、先端が子宮にあたるのがわかった。思った以上にすんなり入ってしまったのは、バイブで慣らしたせいか。少しバイブを使わせた事に後悔が残る。
　だが、そんなことを考えていると、凛子は自ら俺のペニスを膣中で締め付けてきた。
「ウァァッ！」
　思わず息が漏れる。いきなりの攻撃に、思わずイキそうになったが、なんとか踏みとどまり、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「アッ！アッ！アッ！」
　俺が腰を打ちつけると、先端が子宮にあたり、その度に凛子は悲鳴のような喘ぎ声を漏らした。
「リンちゃん、気持ちいい？」
「うん。すごいの！アァッ！秀和ッ！サンノッ！奥にぃっ！あたって！」
　凛子は首だけ持ち上げ、息も絶え絶えになりながらそういい、上下左右に首を振り乱しながら快感に酔いしれている。
「少しスピードをあげるよ。」
　そういって俺は、凛子の腰を掴み直すと、腰を打ち付けるスピードを少しあげた。
　パンパンパン！という、俺の腰が凛子の尻を打ちつける音と、グチュグチュグチュ！という、愛液が溢れ出る音が激しさを増した。
「アッ！アッ！アッ！アッ！」
　凛子の喘ぎ声も、俺の動きに合わせ小刻みになっていく。
「いいのっ！アァッ！ダメッ！アンッ！アンッ！」
　凛子は自らも腰を振り、俺の動きにあわせようとしてきた。相変わらず密壺は、俺の肉棒をキュッとしめつけている。
　綾子に負けず劣らず、淫らな女だ。こんな女が、こんなに近くに居たなんて。
　今夜二回目のピークが近づいてきた。
「アンッ!アアッ！アッ！アッ！アッ！アッ！」
　凛子の喘ぎ声が、音階を踏むように高くなっているのが、彼女もまた頂上へ昇りつめようとしている証拠だった。
「リンちゃん、イクよっ！何処にほしい？」
　腰の動きを今までで一番早くする。凛子も合わせるように腰をふり、おしつけてくる。
「ヒッ！アッ！なっ、膣中にぃ！」
　悲鳴のような声ながら、凛子ははっきりと「膣中に」といった。
　だが、驚いている余裕も、考える余裕もなかった。
「アッ！アッ！アッ！アァァッ！」
　凛子の腰をがっちりとつかみ、自らの腰にひたすら打ち付ける。何度となく繰り返し、しばらくして先端が凛子の子宮を激しく突いた瞬間だった。
「アァァァァァ！イクゥ！！」
「イィィィアアアアァァァァァッ！！」
　俺は、自分の腰までもを膣中へ入れるように、ガッチリと凛子の尻に押し付けた、凛子は、大きく首も背中もそらせ、身体を痙攣させ甲高い悲鳴を上げた。
　二人は同時に、こらえていたものから解き放たれたのだった。
　俺は、そのまま凛子に覆い被さるように倒れた。凛子もまた、力なくベッドにうつ伏せに倒れこみ、身体を小刻みに震わせている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
　呼吸を整えながら、凛子の顔を覗いてみた。凛子は柔らかく目を瞑り、かすかに口で呼吸し、絶頂の余韻に浸っていた。
「綾子・・・。」
　呟いてから、はっとした。その表情があまりに綾子にそっくりだったので、ついそう囁いてしまったが、幸い凛子はまだ余韻にまどろんでおり、聞こえていなかったようだ。
　俺は、改めて今自分が抱いた女が、何者なのかを確認した。

　マンションのエレベーターを降りると、廊下の一番奥にある、いつもの扉を開いた。
「ただいま。」
　そういって玄関に入ると、カバンを下に置き、靴を脱いだ。いつも通りのことだった。
「おかえりなさい。」
　リビングの扉が開き、エプロン姿の凛子が出迎えた。
　昨日は結局、三度凛子と交わった。義兄と義妹。罪悪感が性欲を増進させたのだろう。そして―――。
「リンちゃんのエプロン姿なんて、珍しいね。」
「エヘヘ。がんばって夕飯作ってみたんだ。」
　そういえば、確かにリビングのほうから食べ物の香りがする。
　凛子は、照れ笑いを浮かべた。ピンク色のエプロンがよく似合っている。
「へぇ。そりゃ楽しみだな。」
「うん。初めてにしてはまぁまぁだと思うんだけど・・・。」
　綾子から連絡があったのは、その日の昼頃だった。仕事にトラブルが生じ、明日にならないと帰れないとのことだった。凛子にも連絡が行ったのだろう。
　受話器の向こうで、寂しそうに話していた綾子を思い胸が痛んだ。
　――いまさらだが、俺たちは義兄と義妹なんだ。
　改めてそう自分にいいきかせていると、凛子が照れくさそうに言った。
「秀和さん、ご飯にします？お風呂にします？それとも・・・。」
　凛子は俺のカバンを手にもち、くるっと背中を向けた。
　ピンク色のエプロンの紐は、何一つ隠すもののない真っ白な凛子の素肌の上で結ばれていた。ゆっくりと足を広げ前かがみになり、顔だけをこちらへむけた。ぷりっとしたヒップの間にある、一輪の花は誘うように蜜を溢れさせていた。
、義妹だったはずのその女は、一瞬にして俺の決意を闇のかなたへ葬り去った。

　完