２．

「義姉さん。あれから奈緒ちゃん、すっごく俺に親しげにしてくるんだよ。でもさ、それって義姉さんに会いたいからなんだよね。きっと」
「うふふ、妬ける？」
「ちょっとね。でもさ、これからのこと考えると、あれが正解だったような気もする。いい感じで付き合えそうだし、こうやって義姉さんと二人っきりで会えたしね」
「で、今日はどうしたいの？」
　美樹の怖いほど艶っぽい視線。
　良雄と奈緒がこの部屋に泊まったのは金曜日の晩。先に奈緒に手を出してしまったおわびにと良雄と二人っきりのプレイを楽しもうという美樹の提案に、良雄は有頂天になった。もちろん、忠雄のいる土日にかなうわけもなく、月曜の授業をサボって時間を作ったのだ。忠雄が出勤してすぐに良雄が来たことでも、その張り切りようが分かる。
「ほんとに俺のしたいことしていいの？」
「そうねえ、痛いのとか穢いのは嫌だけど、たいていのことならいいわよ」
「ほ‥‥ほんとう‥‥」
　良雄は、もう喉がカラカラになるほど興奮していた。兄が撮ったビデオを見たときの興奮を思い出した。あのとき、美樹を押し倒して強引に奪ってしまいたいと思ったことを実現したかったのだ。
「じゃ‥‥」
　興奮しきっている良雄を見て、美樹は「ウフッ」と余裕たっぷりに微笑む。美樹にしても、良雄に悦びを教えたという意識が強い。良雄が可愛くて仕方ないのだ。だから、いつかは二人だけで楽しみたいと思っていた。
「あ‥‥あのね‥‥義姉さんを強姦したいんだ。ビデオ見たとき、義姉さんを無理やり犯りたいって思ったんだ‥‥だから‥‥」
「うふふ、いいわよ。じゃあ、私は最後まで抵抗してあげる。その方がいいでしょ？」
　さすがに、忠雄に仕込まれているだけあって美樹は勘が良かった。漠然と強姦ごっこがしたいと思っていた良雄とはレベルが違う。セックスを謳歌する術を心得ているのだ。良雄は舌を巻くと同時に、その方が数倍、悦びが大きくなることに気付き、美樹の言う通りにしようと思った。
「そのかわり、叩いたり痛いのは駄目、約束して」
「もちろんさ！」
　良雄は立ち上がった。その勢いでテーブルの上のコーヒーカップがガチャンと音を立てる。
「義姉さん！」
　そう叫んで、良雄は美樹にむしゃぶりついた。
「えっ、もうなの‥‥もうちょっと、ゆっくりしてからにしない‥‥あん、もう‥‥だめっ、だめよ。良雄さん‥‥やめてっ！」
　最初は余裕たっぷりの美樹だったが、良雄の勢いに押され気味になる。
　羽織っただけのシャツブラウスがはだけ、下に着ていたキャミソールの紐が落ちて肩がむき出しになる。その白い肌を見ただけで良雄の興奮は頂点に達し、唇をあて強く吸う。
「だめっ！　良雄さん、そんなにしたら‥‥」
　美樹の口調が少し変わり、良雄の顔を両手で押して引き離そうとする。
（そっか、これは遊びなんだ）
　キスマークを付けてしまってはマズイ。ちょっとだけ冷静になった良雄は、すぐに暗黙のルールのようなものがあるのを悟った。吸うのをやめて舌を這わせるだけにすると「だめよ」と抵抗する美樹の声の質が甘いものに変わり、力も弱まる。
　良雄は、舌を首筋に移動させながら、美樹を無理やり立たせる。
「さあ、こっちに来るんだ」
　美樹を抱きすくめてリビングの方へ引きずるようにつれていく。
「ああ‥‥良雄さん‥‥ゆるして‥‥」
　リビングへ入ってから美樹は良雄の手を振り払い、這いながらシャギーカーペットの方へ逃げようとする。しかし、花柄のヘムスカートが邪魔になって、なかなか思うように逃げられないでいる。突き出されたヒップの丸さはスカートの上からでも分かるほどボリュームがある。
　良雄は美樹がカーペットにたどり着くのを待って、その足首をつかんで引っぱる。
「ああっ」
　絶望の声を上げて、美樹は簡単に倒れ込んだ。
「義姉さん。逃げようたって駄目だ」
　良雄はシャツブラウスの襟をつかんで後ろから引っぱって脱がせる。そして、手首にまとわりついた裾を伸ばして、美樹を後ろ手に縛り上げてしまった。
「ゆ‥‥ゆるして‥‥」
　美樹が懇願する。
「だめだね」
　良雄は美樹の脚を広げ、その間に座ってスカートをゆっくりとまくり上げながら言う。
　やがて太ももがあらわになり、細かいレースがあしらわれたシルクのショーツが見えてくる。汗か、それとも他のものか、クロッチの部分はぴったりと肌に張り付き、秘肉のフォルムが分かるほどになっている。
「へっへっへ、義姉さん。いくら嫌がっても、もう濡れてるんじゃない？　なんだか湿っぽいぜ」
　そう言いながら、ショーツの上から親指で秘肉をまさぐる。
「いやっ！　やめてっ‥‥ああっ！」
　揉みほぐすような親指の動きに耐えられず、美樹は悲鳴のような喘ぎ声をあげる。無理もない。良雄は、どうすれば美樹が一番感じるのかを兄から教え込まれているのだ。それに、美樹の方も良雄と二人だけで楽しむのは初めてだし、強姦ごっこという設定に、普段以上に興奮してしまっている。
　良雄の親指が固くなりはじめているクリトリスを探りあて、細かく、やさしく撫ではじめると、美樹の喘ぎはいっそう激しいものになった。
「だ、だめ‥‥だめよ‥‥よ、良雄さん‥‥ゆるして‥‥」
　息を荒くして感じながら、美樹は犯されているという芝居をやめない。抵抗の言葉を口にするほど感じてしまうのだ。
「だ、だめ‥‥やめて‥‥」
　そう言いながら腰を動かしている美樹の姿を見て、良雄は本当に義姉を犯しているという錯覚を起こしてしまうくらいだ。それほど、美樹の芝居はリアリティがあった。
　いやいやをするように振られているヒップから、良雄は、まるで桃の皮を剥くように美樹のショーツを脱がせてしまう。
　見事な双丘がまぶしい。
「さて、じっくり見せてもらおうかな」
　良雄は身体の位置を変えるとショーツを完全に脱がせ、美樹の膝を立たせて、ヒップを突き出すようにさせた。
　二つの丘の合わせ目には翳りを帯びたアヌスがひっそりとたたずみ、若干、赤紫がかった大陰唇がぴったりと合わさっている。ほとんどヘアーの生えていないそこを両手の親指で開くと、濡れきったピンクの秘肉が顔を出した。ぽっかりと膣口が開いた。蜜が糸を引いている。
「すっげえ。こうやって、じっくり見てみたかったんだ」
　良雄は指の位置を微妙に変えながら美樹のオマ○コを観察する。
　窓から差し込む朝の光が反射し、ピンクの肉ひだをいっそう美しいものに見せている。
「やめて‥‥おねがい‥‥は、はずかしい‥‥」
　美樹が甘い抵抗をするたび、ヒクッと蜜壺が絞まる。
　懐かしいような美樹の蜜の匂いが漂う。
　しばらくこの光景を見ていると、良雄は我慢できなくなった。
　立ち上がり、ジーンズとトランクスを一緒に脱ぎ、上着も取って素っ裸になる。
「まずは、小手始めの味見かな」
　良雄は猛り立ったペニスを蜜壺にあてがう。
「いやっ、やめて。良雄さん。それだけは許して！」
　そんな声に構わず、良雄は一気に根元まで挿入する。
「ああ〜っ！」
　もう十分濡れきっていた蜜壺は、良雄の逞しいペニスをすんなりと受け入れてしまう。
　まだ服を着たまま、後ろ手に縛られて喘いでいる義姉を見ながら、良雄は激しい抽送をはじめた。美樹の美しい裸体を鑑賞したいという気持ちもあったが、この方が犯しているという感じが強く刺激的だ。それに、楽しむ時間は、まだたくさんあるのだ。
「ああっ！　だめっ！　ああっ‥‥ゆるして‥‥ああんっ‥‥」
　パンパンと肉を打つ音と美樹の喘ぎ声が部屋中に響く。
　良雄は前の方に手をまわしてクリトリスを刺激する。それも兄から教わった方法でだ。
「だ‥‥だめぇ‥‥そんなにしたら‥‥ああっ！」
　美樹の声が、だんだん甘いものに変わっていく。
「いやっ‥‥も、もう‥‥あっ、ああ〜んっ！」
「ね、義姉さん！」
　良雄も叫び、思いきり噴出させた。
「ああ〜っ！」
　その熱さを身体の中で受け止めた美樹は絶叫して身体を硬直させた。
　良雄が屹立を抜くと、美樹は崩れ落ちるようにしてシャギーカーペットへ倒れ込んだ。その身体が、ときおり痙攣している。
　３Ｐも刺激的でいいものだけど、やはり二人っきりで自由に楽しむセックスが最高だと、身体を震わせながらまだ喘いでいる美樹を見下ろしながら、良雄は思った。
　まくれ上がったスカートから伸びる真っ直ぐな脚、そして蠱惑的なヒップを見ているだけで良雄は自分のものが復活してくるのを感じていた。しかし、また同じようにするのでは芸がない。
「義姉さん。バイブとかのオモチャってどこにあるの？」
　今日一日、目一杯、美樹を責めてやるつもりの良雄は、体力温存のために道具を使ってやろうと思った。
「そ、そんな‥‥ゆるして‥‥」
　美樹の方も、まだ楽しむつもりらしく芝居っ気たっぷりだ。
「兄貴には使わせてるくせに。それじゃあ、窓を開けてベランダで犯っちゃおうかなぁ」
　良雄は、わざとらしくベランダに面したガラス戸を開ける。
「だめ‥‥それだけは許して‥‥」
「じゃあ、オモチャはどこ？」
「ベ、ベッドサイドのチェストに‥‥」
「嘘ついたらベランダだからね」
　良雄は、そう言ってベッドルームへ向かった。

「げっ、マジ？」
　チェストの引き出しを開けた良雄は目を見張った。バイブレーターだけでも数種類、他にもローター、クスコ、ロープ、革製の手枷や足枷などが整然と並べられている。選ぶのも面倒くさいので、良雄は引き出しごと引き抜いて持っていくことにした。

「義姉さーん。こんなにいっぱいあるじゃん」
　引き出しを抱えてきた良雄を見て、美樹は何とも言えない表情になった。まだ良雄には知られていない忠雄との私生活を覗かれてしまったという恥ずかしさと、これからはじまる責めへの期待感が混じり合って、余韻の残っている蜜壺がカッと熱くなるのを抑えきれない。
「まずは、これからかな〜」
　良雄は楽しそうに手枷とロープを取り出した。ブラウスの戒めを解き、こんどは前の方で手枷をはめる。そして、ロープでソファーの脚に結びつける。
　美樹はバンザイをする格好で仰向けになった。
「ああ‥‥ゆるして‥‥」
　そう言いながら身悶えする美樹はゾクゾクするほど艶っぽい。
　良雄は馬乗りになって、ゆっくりとキャミソールをまくり上げていく。
「あれぇ、義姉さん、面白いもの着けてんねぇ」
　来たときから、ブラジャーのラインが見えなかったので、もしかしたらノーブラで待っていたのではと思っていた良雄だったのだが、美樹のバストは肌色をしたシリコン製のカップで覆われていた。
「これって、ひょっとしてヌーブラってやつ？」
　美樹が頷く。
「なんか、不思議な眺め。どうやって取るの？」
「そのまま‥‥引っぱれば‥‥」
「こう？」
　良雄が端の方をつまんで引っぱると、ペリペリと剥がれる感じではずれて、寄せられていたバストが揺れながら左右に分かれた。ピンクがかった淡い茶色の乳首は良雄のお気に入りだ。
「ひゃ〜っ、いつ見てもいいな〜、義姉さんのオッパイ」
　いつもの軽い調子が戻ってきた良雄は、じっくりと好きなところを眺める幸せを感じて、乳首を口にふくみ舌先で転がす。
「ああっ‥‥やめてっ‥‥」
　抵抗する言葉が興奮を倍増させる。それに、拘束されて懇願する美樹の姿は、例えるものがないほど扇情的だ。
　良雄は夢中になって乳首を舐めバストを揉む。
「だめ‥‥だめよ‥‥あっ‥‥ああんっ‥‥」
　声が、どんどん甘くなっていく。
　ふと、良雄は引き出しの中に書道に使う太い毛筆があったことを思い出し、悪計がひらめいた。唇を離し、キャミソールをさらにまくり上げて、美樹の顔を覆ってしまう。これで目隠しをしたのと同じだ。
「いや‥‥なにするの‥‥」
　そう言いながら、美樹は期待に胸を膨らませていた。百戦錬磨の美樹にしても目隠しプレイは初めてだったのだ。実を言えば、薄いキャミソールだから布地越しに良雄の姿がぼんやりと見える。それだけに不安はないし、顔を隠されていることで、どんなに悶えても顔を見られることがないので恥ずかしさも緩和されるというか、不思議な解放感があるのだ。
　そんなことを考えていると、筆先が乳首を走った。
「ああ〜んっ」
　突然のことに衝撃は激しく、乳首を中心に全身を走り回る電流のような刺激に、美樹は思わず大きな喘ぎ声をあげてしまう。
　それに気を良くした良雄は、乳首以外にも感じそうなところへ筆先を走らせる。そのたびに身をよじらせながら美樹は悶える。
　そんなことを五分も続けられると、全身の感度が上がってしまったようで、ちょっと筆先が触れただけでも秘肉が疼くようになってしまった。
「だめぇ‥‥良雄さん、ゆるしてぇ‥‥」
　良雄は、太ももをこすり合わせるようにして身悶えする美樹のスカートに手をかけ降ろしはじめる。
　繋がれて、目隠しをされながら、ついに全裸に近い姿をさらしてしまう美樹。
「義姉さん。すっごくきれいだ‥‥」
　女の身体は美樹しか知らない良雄だったが、目の前にある肢体は今までに見たグラビアなど問題にならないくらい美しいと思った。
「ああ‥‥み‥‥見ないで‥‥恥ずかしい‥‥」
　そう言いながら悶える美樹だった。身体を褒められて嬉しくないわけがない。良雄の言葉が秘肉へ突き刺さっているのではと錯覚してしまうほど感じてしまう。思わず「良雄さんの好きにして‥‥」と言いかけて言葉を飲み込む。そう、これは忠雄に秘密の遊びなのだ。あまり良雄に感情移入してしまっては危険だ。そんなことを考えると、秘密がキーワードになり不貞を犯しているような後ろめたさが倒錯した官能をいっそう揺さぶる。
「良雄さん‥‥もう、許して‥‥」
　そんな気持ちから出た言葉は、嘘か誠かはっきりしない妖しいものだった。
　即座に良雄は反応して、筆先を脇の下から脇腹を経由して下半身まで走らせる。
「た、たすけて‥‥そんなにしたら‥‥ああっ！」
　脚を広げられ、ついに筆先が秘肉をとらえた。指でもない、樹脂製品でもない独特のタッチ。それはじれったくて鳥肌が立つような形容しようのない快感だった。
　筆先は、クリトリスの複雑な肉模様を掃除するように動いている。
「だめぇ‥‥」
　身をよじって逃れようとするが、良雄の逞しい腕でがっしりと固定された下半身は容易に動かない。
　顔を覆われているせいで、あらゆる性感帯が敏感になってしまっているし、ものが見えないことで体全体が宙に浮いたように感じてしまう。でも、筆だけの力では、いけそうで、いけない。まるで焦らしプレイのようだった。
「よ‥‥良雄さん‥‥ゆ‥‥ゆるしてぇ‥‥」
　良雄は、美樹が抵抗する芝居を続けているのだと思っていたが、美樹にしてみれば、もう、そんな余裕などなく、火照った身体をなんとかして欲しくて仕方なかったのだ。
「いや‥‥いや‥‥あっ‥‥ああっ‥‥」
　良雄は絶え間なく喘ぐ美樹の顔が見たくてたまらなくなってきた。でも、キャミソールをめくってしまったら、もう目隠しプレイは終わりだ。それも寂しいと思い、仕上げに引き出しの中で一番目立つ黒い極太のバイブレーターを使うことにした。団子を四つ重ねたような形のそれは、ひどく禍々しい感じがする。
　良雄は筆で責めながら、空いた手でバイブレーターを手に取り、蜜壺にあてがった。そして、ひとつひとつの膨らみが埋没するのを確かめるように、ゆっくりと挿入した。
「あうっ！」
　やっと満たされた悦びに、美樹は背中をのけぞらせる。
　まだ蜜壺の中に残っていた良雄のものが泡を立てて溢れ、ジュブジュブといやらしい音をたてる。
　良雄は根元まで入ったことを確認するとスイッチを最強にセットした。
「ああっ！　だめっ！　もうだめっ‥‥いく‥‥いっちゃうっ！」
　いままで、散々焦らされてきたおかげで、絶頂があっという間にやってきた。
「ああっ！　いいっ！　あああ〜っ！」
　自然に腰がバウンドしてしまう。
　そのとき、キャミソールがめくられた。
　一瞬、まぶしくて目をつぶってしまう。
　そして、目を開けると、すぐそばに良雄の顔があった。
「義姉さん。こんどは、義姉さんのスケベな顔をじっくり見せてもらうよ」
　そう言って、バイブレーターを動かしはじめる。
「ああっ！　だめっ‥‥見ないで‥‥はずかしい‥‥」
「これでも？」
　良雄は手首のスナップを利かせて激しく抜き差しする。
「あうっ！」
　あまりの刺激に、つま先まで一直線になるくらい脚が伸びきってしまう。
「スケベで素敵だよ。義姉さん」
「ああっ‥‥言わないで‥‥」
「ここはどうかな？」
　良雄が脇の下に舌を這わせる。
「だめぇ‥‥ああ‥‥」
　実際、顔をしかめて悶える美樹は美しかった。
「義姉さん。なんてスケベなんだ‥‥」
　良雄が首筋や耳を舐めながら言う。
　耳に熱い息がかかっただけで、美樹の全身に電流が走ったようになる。
　絶頂を迎えた身体に休む暇もなく責めが加えられたのだから、美樹は高みへ押し上げられたまま、連続して小さなオルガスムスに襲われていた。もう、何をされても感じてしまう。
「ああっ‥‥こ、こんなのって‥‥あっ‥‥あんっ‥‥」
　良雄の舌が首筋や乳首などの感じやすいところを這いまわる。
「だ、だめ‥‥ほんとに‥‥だめなの‥‥もう‥‥こ‥‥こわれちゃう‥‥」
　美樹の意識が遠のいていく。
　良雄は、絶え絶えに懇願する美樹を見て、限界が近いことを悟った。
　バイブレーターを抜き、替わりに勃起しきったペニスを蜜壺に挿入する。
「義姉さん。こんどは僕のが入ってるんだよ。分かる？」
　そう言いながら、ゆっくりと抽送をはじめる。
「ああ‥‥良雄さん‥‥す、すごい‥‥」
　もう、美樹には芝居などしていられる余裕はない。
　良雄は上半身を密着させて、美樹の肌の感触と体温を楽しみながら抽送を繰り返す。
「義姉さん。すっごく気持ちいいよ。義姉さんの肌って、こんなに気持ちよかったんだね」
「よ‥‥良雄さん‥‥」
　拘束されている美樹は腰を浮かせて押し付けるくらいしか応えることができない。
「義姉さん‥‥」
　しばらく、美樹が悶える顔を楽しんでいた良雄だったが、一言つぶやくように言うと、唇を合わせた。
「ん‥‥んぐ‥‥」
　どちらからともなく、舌が絡み合い、声にならない喘ぎだけが響く。
　ある意味、良雄にとって、これがファーストキスみたいなものだった。高校生のとき付き合っていた女の子と軽く唇が触れあうくらいのキスはしたことがあるが、こんなに濃厚なのは初めてだし、思えば美樹と唇を合わせたのも初めてだ。
　美樹の舌が、まるで別の生き物みたいに良雄の口の中を這いまわる。その柔らかくて、ねっとりとした感触に、良雄は夢中になって自分の舌で応える。
　そうしているうちに、美樹に大きな波が押し寄せてきた。
「んっ！　んっ！　ううんっ！」
　腰を持ち上げ、身体を硬直させながら悶える美樹を、良雄は思いきり抱きしめ、抽送を激しくする。
　何度も腰をバウンドさせ、ついに美樹はぐったりとしてしまった。
　それでも、たまに、思い出したようにビクンと痙攣している。
　良雄の中で、美樹をいかせたという満足感と、置いてけ堀を食らった悔しさが交錯する。まだ、良雄は屹立したままなのだ。
　身体を離して、繋がれたまま意識を失いかけた美樹を見つめていると、後ろの穴を試してみたいという欲望が湧き上がってくる。美樹を目茶苦茶にしてやりたいと思った。
　さっそく、良雄は美樹の膝を開き、胸へ押し付けるようにして腰を浮かせ、その下にクッションを押し込んだ。
　そして、屹立に手を添えアヌスへあてがう。
「な‥‥なに‥‥？」
　良雄は無言で力を入れる。
「だ、だめっ‥‥お願い‥‥今は許して‥‥」
　ようやく、良雄が何をしようとしているのかが分かった美樹は、泣きそうな声で言う。
　しかし、溢れた蜜のおかげで亀頭の部分までがズルッと収まってしまう。
「ああっ！　いやぁ〜っ！」
　忠雄によって開発された身体は、いとも簡単に良雄の屹立を飲み込み、新たな官能を呼び起こす。
「ううっ‥‥きついや‥‥でも、すっごく気持ちいいよ。義姉さんのお尻」
　アヌスの中の肉から美樹の喘ぎ声が響いてくる。そのアナルセックス独特の感触は、蜜壺のものとは全然違う。
　ズッ、ズッ、ズッ、と、良雄は押し込むように屹立を収めていく。
「あっ、あうっ！　いやっ、ゆるして‥‥ふとい‥‥太過ぎるぅ‥‥」
　確かに、良雄のペニスは忠雄のものと比べると亀頭の部分が一回り大きく、全体的に太い印象だった。柔軟な蜜壺の中では、その違いを若干感じる程度だったが、アヌスへ入れられると圧迫感がまるで違う。十分開発された美樹でさえ、いや、だからこそ、その大きさに翻弄されてしまう。
　良雄の方も、直腸の妖しい感触を楽しんでいるものの、抽送など無理そうな絞まり具合に、これからどうしようかと悩んでいた。
　ふと、接合部に目をやると、蜜壺の入り口がエサを食む金魚の口のように、閉じたり開いたりしている。ちょっと悪戯心を起こして、親指を入れて掻き回してみる。
「あっ！　だめっ！　ああんっ！」
　面白いように美樹が乱れる。
　良雄は、ビデオの中で兄がバイブレーターを蜜壺に入れながら後ろを犯していたことを思い出した。
（やってやる。目茶苦茶にしてやる）
　兄への嫉妬みたいな複雑な感情が渦巻き、それが、美樹を苛みたいという衝動に変化していく。
　良雄は傍らに転がっているバイブレーターを手に取り、スイッチを入れると、蜜壺へ思いきり挿入した。
「ああっ！　やめてぇ〜っ！　良雄さん‥‥おねがい‥‥」
　突然の凶暴な責めに美樹は悲鳴を上げる。
　しかし、美樹が泣き叫ぶほど、良雄は興奮してバイブレーターを激しく動かす。
「い、いやっ！　そんなにしたら‥‥ああっ‥‥やめてっ‥‥」
　後ろでの抽送が無理なので、良雄は腰を揺らしながら、バイブレーターを先端まで引き抜き、また根元まで挿入するストロークの長い抽送を繰り返す。
「だめよっ‥‥だめっ、良雄さん‥‥もう‥‥し、死んじゃう‥‥」
　実際、美樹の意識は、もう薄れかけていて、腰全体がドロドロに溶けだしているように感じていた。
「いやっ！　もう、死んじゃう！」
　興奮で桜色に染まった美樹の肌を見ていると、良雄の方も高まってきた。
「ね、義姉さん‥‥で、出る！」
　叫ぶのと放出が同時だった。
　ビュッ、ビュッ、と長く勢いよく放出する感覚に、良雄は思わず呻いてしまう。
　美樹も同様で、脳天にまで届きそうな熱い衝撃に、ひときわ高い声を上げて身体を硬直させ、何度か震えたあと、ぐったりとなった。
　良雄は美樹の上に倒れ込み、荒い息をしながら言った。
「最高だよ‥‥義姉さん」
　そして、弛緩している美樹の戒めを解き、身体を抱きしめ唇を合わせた。

　肌を合わせ、まったりと余韻に浸る良雄。あまりの気持ちよさに、ついウトウトとしてしまったらしい。気が付くと美樹の姿がない。
「あ、あれ？　義姉さん‥‥」
　頭を振りながら上半身を起こす。
　股間がカピカピに乾いている。ティッシュで拭くには遅過ぎるので、裸のままバスルームへ向かうと、水音が聞こえる。
「なぁ〜んだ、義姉さん。シャワー浴びてたんだ」
「きゃっ！」
　良雄がバスルームのドアを開けると、あの部分をあられもない格好で洗っていた美樹が悲鳴を上げる。
「もうっ！　良雄さんったら‥‥声くらいかけてくれたっていいのに」
「ごめん、ごめん。俺も洗いたかったんだよ。おっじゃましま〜す」
　強引に良雄はバスルームへ入ってしまう。
「だ〜め。順番よ。狭いんだから」
「よく言うよ。奈緒ちゃんとは入ってたくせに。こうやってさ」
　良雄は、まだ泡がついている美樹の身体を撫でまわす。
「あっ‥‥だめ‥‥だめよ‥‥」
「ねえ、奈緒ちゃんにどうやったか教えてよ」
「洗いっこしただけよ‥‥だめっ‥‥だめだったら‥‥」
　良雄は美樹の後ろにまわり込み、両手でバストを撫ではじめていた。
「あっ、勃ってきちゃった」
　美樹の腰に固くなった良雄のものがあたる。
　美樹は、良雄のスタミナに呆れると同時に、また秘肉が疼いてくるのを感じていた。あのとき奈緒にしたことを、こんどは良雄が自分にしている。恥じらいながら悶えていた奈緒を思い出し、その姿に自分を投影してしまう。
「や、やめて‥‥そんな‥‥続けてなんて、無理よ‥‥」
　そう言いながらも、乳首が固くなってきて、ジンジンと股間が熱くなってくるのを抑えられない。
　良雄はバストを愛撫しながら腰を落とし、屹立してきたものを美樹の股間にあてがってしまう。
「いやいや‥‥こんなところじゃいや‥‥」
　秘裂に添ってあてがわれた肉棒の熱さに陶然となってしまい、美樹は自分から腰を動かしてしまう。
「ああっ‥‥だめ‥‥」
　亀頭のカリの部分がクリトリスにこすれて思わず呻いてしまう。
「へっへっへ、そんなこと言ったって、だいぶ感じてるみたいだよ。義姉さん。ほらっ」
　良雄は両方の乳首をつまむと、石鹸の滑りを利用してコリコリと指先で転がした。
「や、やぁん‥‥」
　洗ったばかりの秘部が、また濡れてくる。
「よ、良雄さん‥‥こんなところで、だめだったら‥‥」
　押し寄せてくる快感に立っていられなくなり、バスタブの縁に手をついて堪えようとするが、かえってそれがヒップを突きだす結果になってしまう。
　すかさず良雄は腰をスライドさせ入り口を探りあてる。
「ああっ、ちょ‥‥ちょっと待って‥‥」
　そう言ったときには、もう先端が少し入ってしまっていた。
「あっ‥‥やんっ‥‥」
　挿入されるときの快感は特別なものだ。美樹は、もう、拒むことができないで喘いでしまう。
　ズンッ！
　良雄は一気に根元まで挿入する。
「ああんっ！」
　背中をのけぞらせて美樹が喘ぐ。
　ボディーソープのぬめりを利用して、良雄は手を滑らせるようにして美樹のバストを揉みしだく。良雄にしてみれば、できるだけ美樹の感触を味わいたいと思い撫でまわしているのだが、その執拗な愛撫は美樹を狂わせるに十分だった。
「あっ！　ああっ！　も‥‥もう‥‥立って‥‥られない‥‥」
　ガクガクとバスタブについた腕を痙攣させながら、美樹は責めに堪えるが、限界が近いのは誰の目にも分かる状態だ。
　良雄は美樹の腰を両手でつかむようにホールドすると、激しく腰を動かしはじめた。
　ヌチャヌチャと蜜と肉がからみあう音、パチャパチャと濡れたヒップに良雄の腰があたる音が混じり合い、それに美樹の連続した喘ぎが加わる。
　まだ余韻が残っていて、あっけなく登り詰める美樹に対して、出したばかりの良雄は驚くほど長持ちをする。
「だ‥‥だめぇ〜っ‥‥そ、そんなにしたら‥‥ああっ！　もう‥‥く‥‥くうっ！」
「いくっ」と言いたかったのか、それとも「来るっ」と叫びたかったのか、美樹は意味不明の喘ぎ声をあげると、身体を硬直させながら何度も痙攣を繰り返し、崩れ落ちるようにしてバスルームの床に倒れ込んだ。
　胎児のように膝を折り曲げて痙攣している美樹を見下ろしていた良雄だったが、まだ屹立は天を向いたままだ。このまま、床に倒れ込んでいる美樹を責め続けて、どうなってしまうのか確かめたい気もするし、少し休ませてあげたい気もする。いずれにせよ、女体をここまで追い込んでしまった満足感から、しばらくの間、余韻に喘ぎ痙攣している美樹の姿を眺めていることにした。それはそれで、滅多に見ることの出来ない光景だったからだ。
　やがて、肩で息をしながら美樹が上半身を起こす。
　忠雄と付き合いはじめたころ今日のように執拗に責められた。けど、身体が熟れて深い悦びを覚えるのと反比例して、忠雄のスタミナは落ちていった。だから、これほどまでに深いオルガスムスに達してしまったのは美樹にしてもはじめての経験だった。
「よ‥‥よしおさん‥‥」
　良雄の顔を見ようと上を向こうとして屹立に目が留まってしまう。
「す‥‥すごい‥‥のね‥‥まだ、終わってないのに‥‥ごめんなさいね‥‥わたしだけ‥‥」
　荒い息をしながら切れ切れに言う美樹を見ていると、良雄は、これ以上責めるのはかわいそうだと思った。
「義姉さん‥‥」
「まだ‥‥こんなに‥‥」
　美樹が屹立に手を添える。
「いいんだよ。義姉さん。少し休もう」
「ちゃんと、終わらせてあげる」
　優しい言葉をかけられ、休みたいと思っていた美樹の気持ちが変わった。深い官能を与えてくれた良雄への愛おしさと、年上のプライドから、美樹はゆっくりと良雄のものを口にふくむ。そして、ねっとりと亀頭を舐めまわす。
「ね、義姉さん‥‥そんな‥‥」
　美樹が上目遣いで良雄を見る瞳が恐ろしく艶っぽい。
　こんどは良雄が呻く番だった。
　美樹は床にひざまずいて両手で屹立を挟むように持ち、舌先で尿道口を刺激したり、裏筋を舐めたり、果ては袋の方までやさしく口にふくんだ。
　それは、単に気持ちがいいというだけでなく、美樹の気持ちが温かく濡れた舌から伝わってくるようで、良雄は陶然としながら行為を見つめていた。
　肉棒は限界まで膨れていたが、すでに何回か射精してしまった後なので、なかなかフィニッシュには至らない。
「う‥‥すごい‥‥気持ちいいよ‥‥義姉さん‥‥」
　良雄が呻いたとき、美樹の中指が袋の裏側を滑るように走り後ろの穴に到達した。そして、指の腹で探るように肛門を撫で、するりと第二関節のあたりまで侵入してきた。
「えっ‥‥ええっ‥‥だめだよ、義姉さん‥‥ううっ‥‥」
　予想もしなかった美樹の行動に最初は驚いたが、しなやかな指で、ちょうど袋の付け根の裏側あたりを刺激され、いきなり射精感に襲われた良雄は目を閉じて快感に堪える。
「ううっ、で‥‥出るっ！」
　肉棒全体を走る射精の快感が美樹の指先を芯に長く続き、さすがの良雄も震えながら、最後の一滴まで絞り出すようにして精を放った。
　美樹は、大量に出されたものをゴクリと音を立てて飲み込み、そのまま後ろと前の愛撫を続ける。
「ね、義姉さん‥‥もう‥‥勘弁して‥‥」
　良雄が弱音を吐くと、最後に舌先で尿道口をくすぐるように舐めて
「仕返しよ」
　と、美樹が微笑みながら言った。
「ふぅ〜っ、あんなところが感じるなんて知らなかったよ。も〜、全部出ちゃったって感じ。やっぱり、義姉さんには敵わないなぁ‥‥」
　良雄も床にへたり込んで、美樹と目を合わせながら笑った。
　そして
「俺、なんだか腹が減っちゃった‥‥」
　と続けたものだから、美樹もつられて笑った。
　そして、手早く身体を洗って出ていってしまう。
　このまま、まったりとしていれば、もう一回戦がはじまってしまうかもしれない。今の状態で抱かれてしまったら、自分は完全に良雄に屈服してしまうだろう。良雄を愛おしく思っても、バランスを保たなければ大変なことになってしまうかもしれない。良雄が自分に夢中になってきているのが分かる。それに溺れてしまえば危険な結果もありうる。そう思って、美樹は考えをまとめるためキッチンへ向かった。
（できるだけ早く、奈緒を自分たちの仲間に引き入れてしまおう）
　食事の用意をしながら、美樹が真っ先に思い浮かべたのが奈緒のことだった。
　良雄の情熱の矛先を分散させることが必要だと思った。
（でも、どうしたら‥‥）
　自分が奈緒を抱いている最中に良雄を呼べばどうだろうか？　奈緒は言わば「開発済みの処女」だから、その最中に良雄が乱入すれば容易に男を受け入れてしまうことは想像できる。しかし、その後が問題だ。いきなりの３Ｐでショックを受けてしまった場合のことを考えると難しい。やはり、最初は良雄と二人きりで結ばれるのがいい。
（どうすれば、いいのかしら‥‥）
　失敗すれば、忠雄との関係も危うくなるかもしれない。
　悩みながらも、美樹の手は卵を溶いていた。
　混ざっていく黄身と白身を眺めていたらひらめいた。
（そっか、何事も順番よね。こうすれば大丈夫かも‥‥失敗しても次があるし）
　チェスの駒を進めていくように、美樹の頭の中で計画が組み立てられていく。
「良雄さ〜ん。ご飯ができたわよ〜」
　皿に盛られたのは、思い出深いオムライスだった。