４．

　美樹の作った弁当を囲んで四人の昼食がはじまった。
「気持ちいいから外で食べよう」
　忠雄の提案で、リビングルームから張り出したテラスにテーブルが持ち出され、美樹が用意してきた重箱がひらかれる。
「おおっ、超ゴーカ。うっまそうだなぁ。義姉さん、和食も上手なんだね」
　太巻き寿司や卵焼き、煮物などが華やかに詰まっており、まるで料亭に作らせたような豪華さに良雄は歓声を上げる。
「でも、砂糖と塩を間違ってたりしてな」
「ひっど〜い」
　美樹と忠雄もじゃれている。
　そんな微笑ましい風景の中に奈緒は入り損ねてしまった。さっきまで自分をかまってくれていた美樹が忠雄と仲良くするのを見て、ちょっとジェラシーを感じてしまったのだ。
「う〜ん、昼だけど一本くらいいいだろう。奈緒ちゃん、クーラーボックスからビール取ってきてくれない。人数分ね」
　奈緒の屈託を敏感に察知した忠雄は、奈緒が会話の輪へ入るきっかけを作ろうと気を遣う。
「はい」
　そんな忠雄の気持ちが伝わったのか、奈緒の表情が和やかなものになり、キッチンへ向かっていった。
「おい、奈緒ちゃん、ちょっとブルー入ってるぞ。良雄、おまえ、しっかりフォローするんだぞ」
　忠雄の言葉に、良雄は太巻き寿司を頬張ったままうなずく。
「おまたせしました」
　滴がついて見るからに冷たそうな缶を持って、奈緒が帰ってきた。その表情からは、さっきまでの暗さが消えていた。
「やっぱ、こいつがないとな。画竜点睛を欠くっちゅうやつだな。奈緒ちゃん、分かるかい？」
　忠雄が奈緒を会話に引き込む。
「ええっと、これが竜の目ですよね」
「おおっ、良雄と違って優秀だぁ。サンキュー！」
　ビールを差し出されたビールを受け取って、忠雄は奈緒にウインクをした。
　夫婦が仲良くするのは当たり前だし、それによって美樹の自分に対する気持ちが変わるわけではない。それに、自分に気を遣ってくれる忠雄の気持ちに家族と同等のものを感じ、奈緒は、すっかり和やかな気分になってしまった。
「どーせ、おいらは劣等生ですよ‥‥」
　ふくれっ面の良雄を見て全員が笑う。
　重箱が空になる頃には、軽いビールの酔いも手伝って四人とも打ち解けた雰囲気になっていた。
「さて、腹もふくれたことだし、ちょっと片付けものがあるから、美樹、手伝ってくれ」
「あら、お仕事？」
「うん、ちょっとな。良雄、そんなわけだから、奈緒ちゃんつれて散歩でも行ってこい」
　そう言い残すと、忠雄と美樹は建物の中へ入っていってしまった。
「ちぇ、兄貴ったら、あれで気を遣ったつもりなんだぜ。しょうがねえなぁ」
「でも、すてきなお兄さんとおねえさま‥‥」
　奈緒がクスッと笑って答える。短い時間で、すっかり忠雄にまで好意を持ってしまった様子だ。
「でも、せっかくだから、ちょっと散歩しようか。正直言うと、おれ、奈緒ちゃんとこうしていられてサイコーにハッピーなんだ」
　良雄は奈緒の手をとって庭の方へ出ていく。
　奈緒の方も、ごく自然に立ち上がり良雄についていく。
　手を握られている違和感はない。いや、意識すらしていなかった。
　広い庭の片側には人の背丈ほどの垣根が海の方向へ続いている。
「向こうまで行ってみようよ」
　芝生の感触を楽しむように、二人は軽い斜面を降りていく。５０メートルほど進むと、垣根の切れ目から東屋が見えた。
「あそこまで行ってみよう」
　良雄は奈緒の手を引き、風雅な東屋まで連れて行く。そこは海を見渡せる最高の場所だった。反対側には建物に隣接した露天風呂が見える。
「ひゃあ〜、すっげぇ眺め、ほら」
「ほんと、きれい‥‥」
「でもさ‥‥」
「えっ？」
「奈緒ちゃんの方がきれい」
　歯の浮くようなセリフだが、良雄が軽い調子で言うとオヤジ臭さもなく陳腐でもない。これが良雄の得な点だろう。
「そんな‥‥」
「ほんとだよ」
　奈緒が良雄の方を見ると目が合った。けっこう真剣な顔をしている良雄がいて、奈緒の心臓はドキドキと高鳴った。
「奈緒ちゃん‥‥」
　そう言うと良雄は奈緒を抱きしめた。
「あっ‥‥」
　突然のことに奈緒は何もできずにいた。Tシャツ越しに良雄の体温が伝わってくる。ブラジャーのいらないカップ付きのキャミソールだから、バストが直に押しつぶされているように感じる。
「奈緒ちゃん‥‥」
　良雄はもう一度つぶやくと、いっそう強く抱きしめてきた。
　奈緒は身体が熱くなってくるのを感じ、どうしていいか分からなくなった。嫌悪感はなかったが美樹のことを思い出してしまうし、強く抱きしめられて反応する肉体的な快感にも驚いてもいた。恥ずかしくてどっと汗が出てくる。
「奈緒ちゃん‥‥いい匂いがする‥‥」
　体温の上昇と発汗が女の匂いを強くさせていた。
　良雄が奈緒の首筋あたりでクンクンと鼻を鳴らしている。その刺激が電流のように子宮を直撃し、奈緒は痙攣するように身を震わせる。
「奈緒ちゃん、好きだよ‥‥」
　良雄は手の力を少し弱めて、唇を耳たぶに触れさせながらささやく。
「あんっ‥‥」
　耳に熱い息を感じ、ついに声を出して喘いでしまう。
　軽く開いたその口に良雄の唇が重ねられた。
　抵抗するまもなく唇を奪われ奈緒の混乱は頂点に達した。理性が吹き飛び、感覚だけが奈緒を支配するようになっていた。良雄のことは嫌いじゃない、いや、好意を抱いていたと言っていいだろう。しかし、このような関係になる心の準備はまったくなかった。なのに、身体は応えてしまっている。良雄の指先や密着した肌から伝わってくる体温も心地よい。差し込まれた舌が歯茎を舐めているのも秘肉を熱くさせる。
　もう、なにも分からないまま、奈緒は舌を絡め、背中に手をまわして良雄に応えていた。
　筋肉質の逞しい身体にオスを感じ奈緒の鼓動が激しくなる。
　熱い抱擁が何分続いただろうか。建物の方から声が聞こえ、二人は驚いて身を硬くした。
　声の主は忠雄と美樹だった。
「だめよ、あなた。良雄さん達が帰ってくるわ」
「大丈夫だって。向こうだって二人きりの時間を楽しんでるさ」
「でも‥‥」
　浴衣を着た忠雄が露天風呂へ美樹を引っ張って連れてきた。
　思わず、良雄は奈緒の肩を押してしゃがみ、身を隠した。しかし、竹の板を並べただけの東屋の壁は隙間だらけで向こうの様子が良く見える。
「いいだろ‥‥」
　洗い場で忠雄は美樹を抱きしめ服を脱がせはじめている。
「あ‥‥あなた‥‥」
　あっという間に下着姿にさせられた美樹は露出した肌に舌を這わされ抵抗をやめていた。
「風呂に入ると味が薄くなるからな‥‥その前にたっぷり楽しませてもらおうか。おまえの肌は美味いからな‥‥」
　卑猥な言葉を口にしながら、忠雄は美樹を全裸にしてしまい、帯を解いて、その帯で美樹の手首を縛り柱にバンザイをする格好で繋いでしまった。そして、バストの頂を口にふくむ。
「ああっ‥‥あなた‥‥」
　身悶えする美樹の姿は彫像が生きているのではないかと思うくらい美しい。
　奈緒は二人の様子から目を離すことができないでいた。なぜか、美樹が受けている感覚が自分に伝わってくるようで、乳首が熱くなってくるのだ。もしかしたら、忠雄の愛撫が、美樹が自分にするものと似ているせいかもしれない。美樹が、今、どういう状態にあるか、どう感じているのかがよく分かるのだ。
　いつしか、奈緒は肩で息をするくらい興奮してしまっていた。美樹が忠雄に弄ばれているというジェラシーはある。しかし、それ以上に不思議な美樹との一体感に、秘肉が熱く疼いてしまうのだ。良雄という相手を得たことが影響して嫉妬の炎が上がらないのか、とにかく瞬きもせず、奈緒は二人の行為を覗き続けている。
　そんな奈緒を、良雄は興味深く観察していた。明らかに欲情して頬は赤く染まり目が潤んでいる。その表情は神を讃えてトランス状態に陥った巫女のようで、美しく蠱惑的だ。
「ああ〜っ！」
　美樹が、ひときわ高い喘ぎ声を上げた。
　忠雄が股間に顔を埋めている。
　奈緒の目が大きく見開かれる。
「あっ‥‥あなた‥‥いいっ‥‥もっと‥‥」
　繋がれたまま喘ぐ美樹の肌が上気してピンクに染まっていく。上体が艶めかしく揺れている。その動きに合わせて奈緒が身体を揺らしているのを、良雄は見逃さなかった。そして、計画を打ち明けられたとき美樹が言っていた言葉を思い出す。
（もし、私たちのことを見て目を背けたり逃げようとしたら深追いしちゃだめ。あとで、私がフォローしてあげるから。でも、見ていたらチャンスよ）
　そのチャンスが巡ってきたのだと良雄は思った。
「あなた‥‥い‥‥いくっ‥‥」
　美樹の痙攣に合わせて奈緒も震えていた。
　忠雄が帯を解くと、崩れるように美樹はしゃがみ込む。
　浴衣を脱いで全裸になった忠雄が美樹の前に立ちはだかっている。後ろ向きなので屹立は見えない。しかし、陸上で鍛えた後ろ姿は筋肉が盛り上がり威圧感とエロティシズムを感じさせるものだ。美樹がのろのろと這いながら、その下半身にしがみつく。
　チュバッ、チュバッ‥‥
　屹立を吸う音がはっきりと聞こえてくる。
（チェッ、見せつけてるなあ。普段は、あんなに激しくしないのに）
　良雄は、そう思った。美樹が覗かれていることで激しく興奮しているなど思いもつかない。
　やがて「もういい」と言った忠雄は、火照った身体を一休みさせるために風呂の脇に設置された背もたれのないベンチに横たわる。
　こんどこそ、忠雄のそそり立った肉棒が丸見えになる。
　奈緒は、息をのんでそれを見つめていた。
「おいで」
　忠雄が言うと、美樹はためらいもせず屹立に跨り、両手を添えて位置を定めると、自ら腰を下ろして肉棒を飲み込む。
「ああっ！」
　そう喘ぎながら背中を反らせた。そして、腰を蠢かせはじめる。
「あっ‥‥あっ‥‥あっ‥‥」
　喘ぎにシンクロしてバストが揺れる。
　やがて美樹は両手で自分のバストを揉みながら激しく動き出した。
　その正面には良雄と奈緒がいるのだ。美樹は焦点が合っていないような目を東屋の方へ向けている。
　良雄にしてみれば、美樹がここに自分たちがいると知っているのを分かっているし、目の前で二人が交わっているのを見るのは初めてじゃないから割と平気でいられるのだが、奈緒にとっては強烈な刺激だった。ゴクリと生唾を飲み込んで、息がますます激しくなってくる。
（お‥‥おねえさま‥‥）
　奈緒は心の中で美樹を呼んでいた。嫉妬、欲情、感嘆、戸惑い、秘め事を覗いている後ろめたさ、整理のつかない感情が渦を巻き、奈緒は完全に理性を失った状態だ。唯一、確かなのは欲情で全身が疼いていることだった。
　奈緒に覗かれていることを意識して、美樹は胸を反らし歓喜の表情を見せつけるようにして上体を揺らしている。浅黒い忠雄の身体と色白な美樹の肌のコントラストは淫猥で美しかった。
「美樹、いきそうだ。もっと速く‥‥」
　忠雄が呻くように言う。
「あなた、私もよ‥‥」
　美樹の動きが速くなる。バストが激しく揺れる。
「あっ‥‥あんっ！　あなた‥‥来てっ！」
　美樹の叫びに呼応して忠雄も最後の雄叫びを上げる。
「ああ〜んっ！」
　内部に熱いものを注がれたのだろう、美樹は身体を震わせながら動きを止めた。恍惚とした表情がオルガスムスの激しさを物語っている。奈緒は、美樹の身体からオーラが発せられているように感じた。次の瞬間、美樹は忠雄の上に倒れ込む。
　それを見ながら、良雄は無意識に奈緒を後ろから抱きしめていた。奈緒の荒い息遣いが背中から伝わってくる。衝撃が強すぎて放心してしまったのか奈緒は抵抗もしない。キャミソールの裾から手を入れ、そろそろと探っていくとアンダーバストが、親指と人差し指の股のところに自然と収まった。そこで、初めてビクッと身を震わせて奈緒が反応した。
　カップ付きのキャミソールを着ているので奈緒はブラジャーをしていない。良雄の指はバストの柔らかさを確認するように這い上がり、その頂に達する。
　奈緒は身をよじり良雄の指から逃れようとするが、まだ美樹たちがそばにいるので激しく動くことができないでいた。もし覗いていたことがばれてしまったら、そして自分たちがこんなことをしているところを見られてしまったら、そう思うと羞恥と恐ろしさで身動きがとれなくなってしまったのだ。
　そんな奈緒を、良雄は遠慮無しに攻める。指の股で柔らかく乳首を挟みながら優しくバストを揉み、首筋にキスをする。
　奈緒は声が出そうになるのを堪えるのがやっとだった。
　それをいいことに、良雄は、まだ美樹達がいる間に、奈緒を決定的なところまで追い込んでしまおうと、今まで教わってきた愛撫を丹念に施す。しゃがんでいる奈緒のヒップに手を伸ばしショーツをおろしてしまい、首筋に這わせていた唇を徐々に前の方へ回し不自然な体勢だが唇を合わせる。そして、ついに東屋の床に奈緒を横たえることに成功した。
　奈緒のバストは、しっとりと手のひらに吸い付くような感触で、どこまでも柔らかい。量感は明らかに大きいのだが、硬くなった乳首は美樹のそれに比べると小さかった。
　良雄は我慢できなくなり、キャミソールをたくし上げ、露わにしたバストを見ようと唇を離す。
　脅えたような奈緒の目。
　良雄は万感の思いを込めた微笑みで応える。
　そして、ゆっくりと乳首を口にふくんだ。
　奈緒は身体を震わせて反応した。そして、両手で自分の目を覆ってしまう。
　良雄は右手で奈緒のショーツを膝のあたりまでおろし、内股を滑らせながら秘肉へ指を到達させていた。あまりに素早い攻略に、奈緒は抵抗する間もなく濡れた秘肉をとらえられ完全に我を失ってしまった。
　これが強引なだけだったら、奈緒は声を上げて抵抗したかもしれない。しかし、兄夫婦から仕込まれた良雄の愛撫は、ソフトであるにも関わらず的確に奈緒の官能を引き出してしまっていた。
（ど‥‥どうして？）
　あまりに、あっけなく良雄の愛撫を受け入れてしまい戸惑う奈緒だった。しかし、違和感がないのは当然のことかもしれない。その方法は美樹のものにそっくりなのだから。
　中指で花びらの合わせ目近くを優しく撫でられながら、再び唇を重ねられると、ついに奈緒は抵抗をする気を失い官能の世界に溺れた。
「んっ‥‥んっ‥‥んっ‥‥」
　唇をふさがれているので、奈緒は声にならぬ喘ぎを上げ、その度に身体を痙攣させていた。そして、絶頂が近いことを感じ、こまかく身を震わせはじめる。
　すると、良雄は身を起こし、壁越しに露天風呂の方を窺うと、奈緒のショーツを取り払った。
「大丈夫。もう兄貴達はいなくなっちゃった」
　そう言って、やにわに立ち上がるとジーンズを脱いだ。
「奈緒ちゃん‥‥好きだよ‥‥」
　そして、奈緒に覆い被さり屹立の先端を濡れきった秘肉にあてがう。
　奈緒に何をしているのかを悟られないほど素早い行動だった。
　グッと沈み込むように良雄の腰が動く。
「お母さ〜んっ」
　挿入の瞬間、奈緒はそう叫んでいた。
　それは一般通念の処女喪失とはあまりにもかけ離れた光景だった。美樹が「開発済みの処女」と評した通り、奈緒の身体は熟れきっており、初めて男のものを受け入れてオルガスムスを迎えてしまったのだ。
「ああっ‥‥ああっ‥‥」
　押し寄せる波に身をゆだねながら奈緒は喘ぎ続けている。良雄の抽送が続いているからだ。あまり激しくしないよう気を遣い、奈緒の官能を最大限に引き出そうとする余裕が良雄にはあった。そして、良雄は律動しながらＴシャツを脱ぎ、奈緒の上半身も裸にしようとしていた。やがて、ブラウスが剥ぎ取られ、キャミソールもバンザイをする格好で奈緒の手首にまとわりつくだけになっていた。
　その体勢が、奈緒に先ほどの美樹の柱に繋がれていた姿を思い出させてしまった。
　奈緒の官能がいっそう高ぶる。
「いやっ‥‥あんっ！　だめぇ‥‥」
　奈緒は腕を突っ張り、良雄の責めから逃れようとして頭を壁に押しつける。しかし、もう逃げ場はなく、身体を硬直させながら二回目の絶頂を迎えていた。
　ついに奈緒と結ばれた。その興奮で、意外に早く良雄にも最後の時がやってきた。
　さすがに兄夫婦に鍛えられているだけあって、良雄はその場で漏らしてしまうようなヘマを犯さなかった。素早く屹立を引き抜いて勢いよく射精する。それでも、興奮のボルテージを示すように、奈緒の腹部や顔、そして東屋の壁にまで精液が飛び散る。
「奈緒ちゃん！」
　良雄は奈緒の名前を叫びながら、その身体を抱きしめていた。
　しばらく呆然としていた奈緒はポロポロと涙を流し泣きはじめた。
　喪失の悲しみ、成り行きとはいえ忘我の境で欲情してしまったことへの恥じらい、そして、そのまま身体を許してしまったことへの後悔、おまけに感じてしまった自分に対するやり場のない感情が涙となって溢れ出たのだ。
「な‥‥奈緒ちゃん‥‥」
　奈緒は泣きながらイヤイヤをするように首を振っている。
「おねがい‥‥ひとりにして‥‥」
「できないよ‥‥だって、おれ‥‥奈緒ちゃんのこと好きだもん‥‥」
「だって‥‥あんな‥‥」
「いやだった？　ごめん‥‥おれ、夢中になっちゃって‥‥」
　夢中になってしまったのは自分の方なのだ。その結果、とんでもないことになってしまった。そう思うと、また涙が溢れてくる。それなのに、まだ蜜壺の中が余韻で疼いているのが悲しかった。
　泣き続ける奈緒を、良雄は優しく抱いていた。もし、ここで奈緒から離れてしまったら良い結果にならないと男の本能が告げていた。
　事実、奈緒は良雄の胸に顔を埋めていると不思議と心が安らぐのを感じていた。しゃくり上げる度に自分が幼児になったような感じがする。
「恥ずかしい‥‥」
　しばらくして、独り言のようにつぶやいた奈緒の口調は甘えた子供のようだった。
「そんなことないよ。奈緒ちゃん、すっごく素敵だったよ。おれ、感動しちゃった」
「いや‥‥」
　キスをされて、もしあのとき美樹たちが現れなかったら、良雄に抱かれていただろうか？　そう考えても答えは出てこない。もう、二人は結ばれてしまったのだ。良雄のことは嫌いじゃない。でも、こうなってしまったことを美樹に知られたらどうなるのだろう？　そんなことを良雄の腕の中でとりとめもなく考えていると、良雄にギュッと強く抱きしめられた。
「いやだった？」
　耳元でささやかれ、奈緒は無意識に首を振って答えていた。
「ほんとに‥‥」
　気がつくと目の前に良雄の顔があり、真剣な目で見つめられていた。その真っ直ぐな視線に奈緒の鼓動が早まる。良雄の顔がどんどん近づいてきて優しく唇が重ねられた。
　抵抗する理由はなかった。いや、良雄の優しさがうれしかった。奈緒は差し込まれてきた舌に強く応え、腕を良雄の背中にまわしていた。ふたたび身体が熱くなってくる。
（もう、どうなってもいい）と、奈緒は思うようになっていた。
「奈緒ちゃん‥‥」
　唇が離され、また良雄が真剣な目で奈緒を見つめる。
「さっきは、あんなだったけど、おれ、奈緒ちゃんのことちゃんと抱きたいんだ‥‥いいだろ？」
　恥ずかしくてうなずくことはできない。でも、潤んだ目でしっかりと見つめ返す。
　良雄は無言でずり下がっていたジーンズを脱ぎ捨て立ち上がった。そして、屹立に目を見張る奈緒の手をとって立たせ、奈緒を見つめながらキャミソールの裾に手をかけて脱がせる。ミニスカートのホックに手がかかったとき、奈緒はかすかに抵抗したが、それも一瞬のことでパサッと音を立て床に落ち、奈緒も生まれたままの姿になった。
「きれいだよ、奈緒ちゃん。すっごくきれいだ‥‥」
　そう言って、良雄は奈緒を抱きしめる。

　この光景を美樹と忠雄が垣根越しに覗いていたのを二人は知るすべもなかった。垣根の方からは東屋の中が丸見えなのだ。おまけに、忠雄はビデオまで回していた。
「やるもんだな、あいつ」
「しっ、聞こえるわよ」
「なんだかムズムズしてきた」
　忠雄は後ろから美樹を抱きしめ、空いた手でバストを揉みはじめる。
「だめよ。見つかったらどうするの‥‥」
「そんときは、そんときだ」
　忠雄はあわただしく美樹のジーンズを下ろし屹立をあてがう。
「だめよ‥‥だめだったら‥‥」
「嘘つけ。こんなになってるくせに」
　抵抗したものの、良雄と奈緒の行為を覗いていたことで、美樹も激しく興奮していたので秘肉をぐっしょりと濡らせていた。
「いやっ‥‥ああ‥‥」
　あっという間に肉棒が侵入してきて、美樹は息を殺して喘いだ。

　一方、良雄は奈緒を床に横たえていた。
「痛くない？」
　奈緒は首を振り、
「優しくして‥‥」
　と、答えていた。
「もちろんさ‥‥奈緒ちゃん‥‥好きだよ‥‥」
　良雄は美樹や忠雄に習ったことを思い出しながら、ゆっくりとバストを揉む。
「や‥‥やん‥‥」
　奈緒は身悶えしながら軽く抵抗するが逃げようとはしない。もう、完全に覚悟を決めてしまったようだった。それに、どうせ抱かれてしまったのだから、不本意な結ばれ方をやり直したいという気持ちもあるのかもしれない。
　良雄が乳首を口にふくむとビクッと身体を震わせる。そのときには下腹を彷徨っていた良雄の指がクリトリスの上部に到達していた。花びらの合わせ目を二本の指先で軽く挟み、ここもゆっくりと円を描くように撫でる。
「ああっ‥‥いや‥‥良雄さん‥‥そんなにしたら‥‥あんっ！」
　切なげに喘ぐ奈緒の額には汗で髪が貼りついている。
　良雄は乳首を舌で転がしたり、耳たぶを舐めたりしながら、一定のリズムで下半身の愛撫を続ける。
　やがて、すすり泣くように奈緒は喘ぎはじめた。
　言葉にならない喘ぎが堰を切ったように半開きの口から漏れる。
「奈緒ちゃん、好きだよ‥‥」
　良雄は耳元で、そうささやきながら円を描くリズムを早めていく。
「は‥‥はうん‥‥いやっ‥‥もう‥‥」
　ときおりビクッと痙攣しながら奈緒は登り詰めていく。
「ああっ！　いや！　くぅ！」
　奈緒が全身をピンと伸ばして硬直し、こまかく震え出す。のけぞった顎から胸に伸びるラインが美しいと良雄は感じた。美樹と比較するのは良くないことだと思いつつ、奈緒の肌の柔らかさと感触の良さに舌を巻く良雄だった。肌の白さはスラブの血が混ざっているだけあって、抜けるように白いという形容詞では足りないほどだ。いま、手のひらに感じているヘアーの柔らかさも筆舌に尽くしがたい。
　一回放出した直後なので、良雄は余裕を持って奈緒の身体の感触を楽しんでいた。しかし、奈緒にしてみれば美樹直伝の技量で責められているのだから堪ったものではない。立て続けにオルガスムスを迎え意識が遠のいていく。

「良雄のやつ、けっこうやるなあ。そう思わないか？」
　忠雄は小刻みに腰を動かしながら言う。
「お、おねがい‥‥言わないで‥‥こ、声が‥‥出ちゃう‥‥」
「おい、見てみろよ。あいつ、こんどは下の方を舐めだしたぞ」
　忠雄が下卑た笑いを浮かべストロークを長くとりはじめた。
「だ‥‥だめ‥‥あなた‥‥」
　こちらも、男の方が余裕たっぷりの様子だ。

　良雄は半ば意識を失った奈緒を見て我慢ができなくなり、膝を持ち上げるようにして脚を開かせ秘部に見入っていた。
　淡く細いヘアー、小振りで若干赤みがかった花びら、その中は鮮やかなピンク色で蜜壺がポッカリ口を開けている。肉襞には愛液が糸を引いている。それに、美樹とは違う種類の匂いがする。枇杷のような甘酸っぱい香りを、微かにだが感じるのだ。
　それは、媚薬のような役割を良雄に果たした。
「きれいだ‥‥」
　そうつぶやいて、吸い込まれるように顔を近づけていく。
「あうっ！」
　良雄が頬張るようにして秘肉を口にふくんだとき、奈緒はそう叫んで両手で責めから逃れようとする。しかし、良雄の舌がクリトリスの先端をとらえたとき、ガクガクと痙攣して脱力してしまう。
「ああっ‥‥いやぁ‥‥はずかしい‥‥ああんっ‥‥」
　泣いているのではと思うような声で悶える奈緒。
　そんな声にかまわず、良雄は舐め続ける。なぜか、奈緒の愛液は甘さを含んでいるように思える。
「だめぇ‥‥ああっ、ああっ！」
　奈緒が身体を硬くしはじめたとき、良雄は唇を離し上体の位置を変える。
「いくよ。奈緒ちゃん」
　屹立に手を添え、蜜壺にあてがった良雄は奈緒を見てそう言った。
　脅えたような奈緒の顔。
　良雄は一気に挿入した。
「ああ〜んっ！」
　奈緒の絶叫が響く。
　灼熱した鉄棒で内部がいっぱいになってしまったように奈緒は感じていた。それは熱を伴っている分、美樹に使われたオモチャより数段きつく気持ちが良かった。
「ああっ、あっ、あんっ、あんっ」
　良雄の抽送に合わせて荒い息の下から奈緒が喘ぐ。
「す‥‥すごい‥‥」
　ゴツゴツと当たってくる子宮口の感触に、良雄は目の前が真っ白になっていく。

「おい、あいつらと一緒にいくぞ！」
　覗き見している忠雄もスパートをかけた。

「奈緒ちゃん‥‥もう、おれ‥‥」
　蜜壺の中でさらに硬度を増し、膨れあがっていくような感覚に、奈緒は本能的に終わりを察して脚を良雄の腰に絡めて引き寄せる。
「奈緒ちゃん、だめだ。そんなにしたら抜けない‥‥うっ‥‥」
　蜜壺の内部が蠢き、コリコリとした子宮口の肉が良雄のペニスをくわえ込んでくるように感じた。
「だめだ！　ああっ！」
　ドクッ、ドクッと勢いよく良雄は内部で放ってしまった。長く続く射精の快感に、目の前が真っ白になってしまう。
「あっ、あっ、ああ〜んっ！」
　奈緒も、その生まれて初めての感覚に震え、深いオルガスムスを感じていた。まるで、腰全体がドロドロの溶岩になってしまったようだった。

「ごめん‥‥奈緒ちゃん。おれ、中で出しちゃった‥‥早く洗わないと」
　あまりの気持ちよさに、しばらく身を震わせていた良雄が狼狽気味に言う。
「た、たぶん大丈夫‥‥明日か明後日から始まる予定だから‥‥それより‥‥離さないで‥‥おねがい‥‥」
　奈緒は脚を絡ませ、腕を背中に回したまま言った。

「いやぁ、すごかったな。覗きが、あんなに興奮するとは思わなかったよ」
「もう。あなたったら、強引なんだから。見つかったら、どうしようかと思っちゃった」
「ふん。おまえだって興奮してたくせに。すごい濡れ方だったぞ」
「もう‥‥」
　忠雄と美樹は足早に建物の方へ向かいながら、これからのことに思いを馳せ、笑い合った。

「奈緒ちゃん」
「えっ？」
「ず〜っと、こうしてたいけど‥‥」
「うん‥‥」
「そろそろ戻らないとヤバイかも‥‥」
「キャッ！　たいへん」
「なに？」
「わたし、みんなと一緒だったって忘れてた‥‥おっきな声出しちゃったから‥‥」
「大丈夫だよ。それよりさ‥‥」
「えっ？」
「ありがと。大好きだよ」
「‥‥う‥‥うん‥‥」
　奈緒は真っ赤になった。
「良雄さん、おねがい‥‥」
「なに？」
「ちょっとだけ、あっちを見てて。洗わなくちゃ‥‥」
「いいよ。だったら、露天風呂を使えば。おれ、誰も来ないように見てるから」
「うん。ありがとう」
　美樹はハンカチを使って後始末をしたようだ。
「あれ‥‥」
「どしたの？」
「わたしの‥‥が‥‥」
「えっ？」
「ショ‥‥ショーツがないの‥‥」
「ええっ、風で飛ばされちゃったのかなぁ」
　良雄も探す振りをする。実は細かいストライプがプリントされたコットンのショーツは良雄のポケットの中にある。今日の記念に、どうしても取っておきたかったのだ。でも、変態扱いされるといやなのでとぼけ通す。
「はずかしい‥‥」
　奈緒の困った顔を見て「やっぱり返そうかな」などと思っていたとき、
「良雄さ〜ん、奈緒ちゃ〜ん」
　遠くで美樹の、二人を呼ぶ声がした。
「どうする？　行く？」
「う、うん‥‥」
「あとで俺が探しといてやるよ」
「ほんと‥‥」
「でさ、見つけたら俺にくれないかな？」
「ええっ、なんで？」
　奈緒が泣きそうな顔になる。
「持ってるだけで、奈緒ちゃんがそばにいるような気がするものが欲しいなって‥‥」
「もう、ばかぁ」
　それでも、奈緒は少し笑ったようだった。

「アイスティー淹れたから、みんなでお茶しましょう。本場のスコーンとクロッテッドクリームもあるのよ」
　リビングのテーブルには典型的なピクニックセットが広げられていた。赤いチェックのクロスの上にはホーローの皿、小麦色のスコーンが盛られて、大ぶりのピッチャーの中には氷で冷やされた紅茶がなみなみと注がれている。
　汗をかいたピッチャーを見て、奈緒は猛烈に喉が渇いていることに気がついた。その理由を思い出し恥ずかしくてたまらなくなった。
「おっしゃれぇ〜」
　相変わらず良雄は軽口だ。
「どうぞ、召し上がれ」
　美樹に促されるが、腰の低いソファーに座ることがためらわれた。見る角度によってはショーツを付けていないことが分かってしまいそうで怖かったし、そうでなくても風通しが良すぎて不安なのだ。困った奈緒は、背もたれのないスツールに脚を流して座った。
「どうしたの？　奈緒ちゃん。具合でも悪いの？」
　モジモジしている奈緒を見て美樹が心配そうに声をかける。
「いえ‥‥ちょっと‥‥」
　実は座ったときにできたスカートのしわが直にあそこを刺激してしまったのだ。硬いデニムの生地の折れ目がクリトリスの上部を押さえ込むような状態になっている。
「ごめんなさい。ちょっとトイレに‥‥」
　奈緒は自分の荷物を持ってトイレに駆け込んだ。
　愛液が内ももを濡らしていた。見られたらどうしようと思ったときにジンジンと疼いてきたのだ。そんな状態のときにスカートの生地が絶妙な場所を刺激してしまったのだ。トイレの中で、奈緒は秘部を丁寧に拭う。
（おねえさま、私のこと変だって思ったろうな・・・でも、なんで見られそうって思ったら、こんなになっちゃったんだろう‥‥）
　替えのショーツをはきながら奈緒はそんなことを考えていた。
「大丈夫？　奈緒ちゃん」
　帰ってきた奈緒に声をかけた良雄は、ショーツのことかなあと思いつつ、もしかしたらさっきのことで体調に変化があったのではと心配していた。考えていることが、そのまま顔に出る性格なので分かりやすい。
「う、うん。もう大丈夫‥‥」
　まさか、疼いてしまっていたなどと言えるはずがない。それに、良雄の顔を見ていたら、本当に心配してくれていたのが分かり、暖かな気分になってしまった。
「少し休んでたら」
　美樹も心配顔だ。
「ごめんなさい。具合が悪くなったとかじゃないんです‥‥」
「よかった」
　美樹はアイスティーを注ぎながら微笑んだ。
「義姉さん、なんかこのクリーム変。ちっとも甘くない」
　奈緒の体調の話題になれば、いままで何をしていたか聞かれそうなので、良雄は話をそらす。
「それは、そういうものなの。スコーンに付けるクリームは甘くないのよ。ケーキとは違うものだから、そう思って食べれば美味しいでしょ」
「ふ〜ん‥‥」
　美樹から感じる「大人」の雰囲気は、こんなところからも来ているのだろう。洗練されているのに恐ろしく淫らな一面も見せる。良雄も奈緒も、だから美樹に対して憧れの念を抱いてしまうのだ。
「美味しい‥‥」
　こんな味は初めてだけど、舌にまとわりつくようなクロッテッドクリームの食感に、思わずつぶやいていた奈緒だった。
「でしょ」
　美樹が微笑む。

「奈緒ちゃん、バーベキューの支度しなきゃならないから、早めに二人でお風呂に入らない？」
　とりとめのない会話のあと、美樹は奈緒を誘った。
「あ、はい‥‥でも‥‥」
　奈緒は美樹と二人っきりになるのが怖かった。鋭い美樹のことだ、裸になれば良雄とのことを悟られてしまうのではないかと思ったのだ。しかし、断る理由が見つからない。それに、恥ずかしいと思う反面、見られたいという欲望もあるのだ。そんな自分に気がつき、奈緒はなおさら混乱していた。
「行きましょ」
　美樹はついてくるのが当然といった態度で歩き出す。

「あ〜、いい気持ち」
　美樹は見事な肢体を浴槽に沈め手足を伸ばして言った。
「早く奈緒ちゃんもいらっしゃいよ。一緒に入りましょ」
　洗い場の隅で身体を洗っている奈緒に声をかける。
「ここの温泉、とっても肌にいいんですって。でも、奈緒ちゃんには必要ないかも。とっても、きれいな肌してるから」
　美樹は遠慮している奈緒を根気よく待っていた。良雄に抱かれてしまった後だから来にくい気持ちが手に取るように分かる。
　やがて、奈緒が前を隠しながらおずおずと湯船に浸かる。
「つかまえた」
「きゃ！」
　美樹が奈緒のことを後ろから抱きしめる。
「奈緒ちゃん、怒ってるの？」
「えっ？」
「だって‥‥私、知ってるのよ。あそこからあなた達が覗いていたこと‥‥」
　美樹が東屋の方を指さして言う。
　奈緒はパニックに陥り、どうしていいか分からなくなってしまう。
「私が忠雄さんとあんなことしてたから、あなたが怒ってるのかと思って‥‥」
　奈緒は首を振って答える。
「じゃあ、怒ってないのね？」
　うなずく奈緒。
「よかった‥‥実を言うとね、わたし、奈緒ちゃんに覗かれていて、とっても興奮しちゃったの。恥ずかしくて、でも、奈緒ちゃんに見て欲しくって‥‥」
　美樹は、奈緒のバストをゆっくりと揉みながら、耳元でささやく。
（実は私も‥‥）
　そう言ってしまいたかった。でも、そうすれば良雄とのことも話さなければならない。
「お‥‥おねえさま‥‥」
　感じはじめてきた。こうなると奈緒は弱い。高校の時、先輩の愛撫を受けてしまったときもそうだったし、先日、美樹に愛撫されたときも抵抗はできなかった。そして、ついに今日は良雄を受け入れてしまったのだ。
「うれしいわ、奈緒ちゃん‥‥」
　もう、美樹の手は秘肉に触れている。
「で、どうだった？」
「えっ？」
　一瞬、良雄とのことを聞かれたのかと思い、奈緒は狼狽えた。
「私たちのこと覗いてよ。興奮した？」
　美樹は、ほとんど愛撫の一環といった感じで耳たぶを舐めながらささやく。
　奈緒は言葉を発することができず、うなずくだけだ。
「奈緒ちゃんが見ていてくれたから、いつもより、ずっと感じたわ。でも、奈緒ちゃんが悲しい思いをしていたらかわいそうだって思って‥‥よかった‥‥」
　美樹は前にまわって、両手で奈緒の顔を挟み、唇を重ねた。
　奈緒は抱かれながら美樹と良雄の肉の感触を比べていた。
　当たり前のことだが、美樹は柔らかく弾力に富んでいて、良雄は硬く逞しい。どちらも優劣つけ難く気持ちいい。決定的な違いは、あの熱くて硬い肉の棒だけだ。禍々しくて愛おしい不思議な感覚。本当は、もっと見てみたかった。それに、触ってもみたかったし、美樹がしていたように舐めてもみたかった。そんなことを考えていたら、秘肉がどんどん熱くなってきて蜜が溢れてくる。
「おねえさま‥‥だめ‥‥もう‥‥」
　美樹は湯船の縁に奈緒を押しつけ乳首を舌で転がしながら秘肉をまさぐっていた。
「あら、今日は早いのね。ちょっと向こうに行かない？　もう、のぼせそう」
　美樹は奈緒を抱きながら立ち上がった。そして、忠雄と騎乗位で交わっていたベンチへ奈緒を横たえる。
　二人とも肌が上気してピンクに染まっている。
「こんどは奈緒ちゃんが、ここで感じる番よ」
　美樹は奈緒の脚を開き、顔を埋める。
「ああっ、おねえさま‥‥もう‥‥しないで‥‥おかしくなっちゃう‥‥」
　美樹がピチャピチャと音を立てて秘肉を舐めると、奈緒は限界が近そうに喘ぐ。
「うふふ、感じてるのね。かわいいわ、奈緒ちゃん。いいのよ。おかしくなっても」
　美樹は蜜壺に指を入れてから言った。
「奈緒ちゃん、さっきは、あそこから覗いてたのよね？　また、誰かいたりして」
「い、いやっ！　おねえさま、やめて！」
　美樹にしてみれば冗談のつもりだったのだが、奈緒は良雄が自分のショーツを探しに来たらどうしようと思い、パニックになった。
「よ、良雄さんが来たら‥‥」
「見せてあげましょうよ」
　意地悪に返す美樹。
「だめ‥‥良雄さんが来ちゃう‥‥」
「どうして？」
　美樹が指の動きを早めながら聞く。
「あんっ‥‥だめぇ‥‥見られちゃう‥‥」
「教えて、どうして良雄さんが来るの？」
「わ、私のショーツを‥‥探しに‥‥」
　蜜壺を激しく責められ、奈緒は理性を失って答えてしまっていた。
「どういうこと？　教えて」
「そこで‥‥なくなっちゃったの‥‥ああっ‥‥」
「あなた、良雄さんに抱かれたのね？」
「ご‥‥ごめんなさい‥‥あんっ‥‥だって‥‥」
　奈緒の身体がブルブルと震え出す。
「そう‥‥」
「ああっ‥‥ゆるして‥‥」
　奈緒の目には涙が浮かんでいる。
「おめでとう。よかったわね」
　そう言いながら、美樹はGスポットを二本の指で強くこすっていた。
「あんっ！　い、いく‥‥いくぅ‥‥」
　奈緒の腰がバウンドした。

「もう‥‥奈緒ちゃんも隅に置けないんだから‥‥でも、うれしいわ。これで、私たち、本当の家族になったんだから‥‥」
　奈緒は、どう答えていいのか分からなかった。
「で、どうだった？」
「‥‥」
「痛かった？」
　やっとの思いで首を振る奈緒。
「じゃ、よかった？」
　顔を真っ赤にして、奈緒はなにも答えられない。
「ほんとにかわいいんだから」
「ごめんなさい‥‥」
「謝ることないじゃない。でも、ちょっと気になるの。男の人を知ってしまったら、もう、わたしと仲良くするのが嫌になったとか‥‥」
　奈緒がポロポロと涙を流しはじめた。
「わ‥‥わたし‥‥どうしたらいいのか‥‥分かんなくなっちゃって‥‥最初は、おねえさまとだけだったけど‥‥良雄さんにも‥‥悪いことしちゃったんじゃないかと思って‥‥」
「そう‥‥大丈夫よ。私がなんとかしてあげるから。だから、心配しないで。私のこと信じてくれる？」
　すがるような表情で奈緒がうなずく。
「いい子ね」
　美樹が奈緒を抱き寄せると自然に唇が重なり合った。

「奈緒ちゃん、こんどは私の方からお願いがあるの。いい？」
　美樹が真剣な目で奈緒を見つめる。
　奈緒は、その迫力に、思わずうなずいてしまう。
「私ね、あなたに覗かれていて、とっても感じちゃったの。でね、恥ずかしいけど、また見てて欲しいの。こんなこと頼めるのは奈緒ちゃんだけ‥‥」
　奈緒にも、なんとなく美樹の気持ちは理解できた。良雄に抱かれているところを美樹に見られたらと思うと、自分でも分からないくらい興奮してしまうのだから。それに、美樹としているところを良雄に見られたいという欲望もあった。さっき、良雄がショーツを探しに来て見られてしまうところを想像したら、びっくりするくらい感じてしまったのだ。
　気がつくと、奈緒はうなずいていた。
「うれしいわ、奈緒ちゃん。分かってくれたのね」
　美樹は、奈緒の身体を抱きしめた。