前編

「マジかよ〜。兄貴ったら、すっげ〜ことしてんなぁ」
　良雄は、テレビ画面に映し出された兄嫁を見て、喉がカラカラになるほどの興奮を覚えた。
　下着姿で自分の胸を弄ぶ義姉。
　何もかも忘れ良雄は画面に見入る。

　大学進学を機に良雄は一人暮らしをはじめていた。
　最初の頃は、夜遊びや朝寝坊を楽しんでいたものの、炊事や掃除など「かったりい」こともやらなくてはならない。
（あーあ、コンビニの弁当も飽きたし、一人で吉野家行くのもわびしいしなあ。彼女でもいれば、メシ作ってもらって、そのあと‥‥うひひ）
　こんな妄想にも飽きた。
　それに、月末になって、金が足らなくなってしまった。
（ちぇっ、なにが新入生歓迎コンパだよ。古いっつーの。あいつら、先輩面して、俺たちをダシにして酒飲みたいだけじゃん。おまけに女ばっかりチヤホヤするしって、当たり前かあ‥‥おかげで毎晩、インスタントラーメンだよ。おっ、そうだ。兄貴のところでメシ食わせてもらおっと。いい考えかも）
　良雄は携帯を取り出す。
「もしもし、あ、兄さん。俺、良雄。‥‥うん、ちょっと、飲み会なんかで金使い過ぎちゃって‥‥メシ食わせてもらえないかなあって‥‥へへへ‥‥じゃ、８時くらいに‥‥」
　良雄が住んでるアパートを探し、いろいろと手配してくれたのが兄の忠雄で、割と近くのマンションに住んでいる。１０才年上ということもあり、面倒をよく見てくれる。半分親のようだが頼りになる兄貴だ。
　同じ大学の大先輩である忠雄にも、似たような経験があるらしく、「じゃあ、俺ん家に来い」と言ってくれたのだ。
（ラッキー、家庭料理ってひさびさだなぁ。義姉さんって、どんな料理つくってるんだろ？）
　兄嫁の美樹に会えるのも楽しみだった。
　美樹は、実家のあるＭ市でミスＭ市に選ばれたほどの美人。兄とは高校の先輩後輩の関係だったが、去年、結婚して東京に住んでいるのだ。

「こんばんは〜！」
　チャイムを鳴らすと「いらっしゃい」と出迎えてくれたのは美樹だった。
「おう、来たか。まず、こっちへ来て一杯飲め」
　奥から忠雄の声がする。
「おっじゃましま〜す。おおっ、すっげぇ。超ゴーカ。こんところラーメンばっかだったから、も〜、涙出てくる」
　大皿に盛られた鶏の唐揚げや春巻き、ボールいっぱいのサラダを見て、良雄は歓声を上げる。
「まったく、大袈裟だな。それより、思ったよりＳＯＳが来るのが遅かったじゃないか。月の半ばくらいだったら叱りつけてやろうかって、手ぐすね引いて待ってたんだが」
　忠雄は笑いながら言い、ビールをドボドボ注ぐ。
「いやー、俺、兄貴と違って超マジメだから‥‥」
「何、言ってやがる。それより、陸上続けんのか？　だったら、後輩に声かけとくけど、どうする？」
「いや、やめとく。靱帯痛めちゃってから、どうもねえ」
「そうか。インターハイまで行ったのに、もったいないな」
　忠雄は陸上部の主将までやった古参のＯＢなのだ。
「良雄さんも選手だったのよね。種目は何？」
　こんどは美樹が聞いてきた。
「あ、いちおう短距離です。インターハイでは１０００メートルにも出たけど、それが大失敗。調子悪くなっちゃって‥‥義姉さんも、やってたんすよね」
　ジーンズの上からでも分かる、そのスラリと伸びた脚と持ち上がった尻が、アスリートだったことを物語っている。
「ぜんぜん、たいしたことなかったけどな」
　忠雄が茶化すと「ひどーい」と笑いながら、次の料理を取りにキッチンへ引っ込む。
（ひぇ〜っ、義姉さんのケツ、たまんねぇなぁ。なんか、大人の魅力ってかんじ）
　その、プリプリと動くヒップに、自然と目がいってしまう。

「おい、良雄。あと、いくらくらい持ってんだ？」
「えっ、ん〜と、夏目漱石が一枚と小銭が少々‥‥かな」
「なんだよ、情けないな。で、仕送りはいつあるんだ？」
「う〜んと‥‥いちおう、月末ってことになってんだけど」
「なんだ、まだ５日もあるじゃないか。しょうがない奴だな。じゃあ、月末まで夕飯は俺んところで食わしてやる。お前に金渡すと、ろくなことに使わないからな。そのかわり、皿洗いとか、ちゃんと手伝うんだぞ。いいな」
「さっすが兄貴！　恩に着ます。もう、どうしようかって思ってた」
「後かたづけなんかいいけど、明日、模様替え手伝ってくれない。昨日届いたシャギーカーペット敷きたいから、ソファーとかも動かしたいの」
　キッチンから戻ってきた美樹が言った。
「はーい、なんでもやりま〜す。だから昼飯もお願いしま〜す」
「ったく、調子だけはいいんだから」
　一同で大笑いしたが、この美樹の提案が、これから起こることのきっかけになろうとは、誰も思わなかった。

　翌日、リビングルームの模様替えを手伝っていた良雄は、テレビ台の下の隙間に箱が押し込まれているのを見つけた。ミニＤＶのカセットが３０本ほど入っている。一番手前のカセットのタイトルラベルに、英文で「EINANO」と記され、先週土曜日の日付が入っている。
（ん？‥‥「えいなの」ってなんだ‥‥）
　良雄はラベルの文字を見ながら考える。
（あれっ、これって、反対に読むんじゃないかな？　ん〜と、「おなにい」って‥‥えっ！？）
　あわてて、良雄は箱を元に戻す。
（こんなところに隠してあるってことは、ヤバいものかも。けっこう裏ビデオだったりして、ちょっと見てみたいな）
　作業を進めながら、そんなことを考えていると、
「良雄さーん。そろそろお昼ご飯にしない」
　キッチンから美樹の声がする。
「はーい。いま行きまーす」
「ごめんなさいね。なんだか、全部やってもらっちゃって。お腹すいたでしょ」
「力仕事だけは得意なんで、気にしないでください。それより、旨いメシ食えるんでサイコーっす」
「あら、そんなに期待されちゃうと困っちゃうな。残り物のご飯でオムライス作ったんだけど」
「いやぁ〜、大好物っす。いっただっきま〜す。‥‥うっ、旨〜い！　義姉さんの料理サイコー！」
　美樹は調子のいい義弟を見てクスクス笑った。
「あのね、良雄さん。悪いんだけど、このあとカルチャーセンターの集まりに行かなきゃならないの忘れてたの。続きは明日にしましょうか？　学校は大丈夫？」
「だったら、俺が全部やっときますよ。あとは並べるだけだし、ご馳走になりっぱなしじゃ悪いから」
「そう‥‥だったら、お願いしちゃおうかしら」
「任せてください！」
（ラッキー。一人になったら、あのビデオが見れる！）と、心の中で叫びながら、残りのオムライスを勢いよく食べた。

「じゃあ、良雄さん、お願いね。３時過ぎには帰れるから」
「はーい。いってらっしゃ〜い」
　良雄は、美樹を見送るとリビングへダッシュして、ビデオカメラとテレビを繋ぎ、テープを再生する。
　ブラウン管に、ソファーの脇に立った美樹が映し出された。場所は、このリビングルームだ。光線の加減から真っ昼間に撮られたことが分かる。
「さあ、服を脱いで」と兄の声がする。
　美樹は、恥ずかしそうにジャケットを脱ぎ、丁寧にたたんで傍らのソファーに置く。次に、セミロングのスカートに手がかかる。
「マジ？」
　思わず良雄は口に出して言う。まさか、夫婦生活を記録したビデオだなんて、思っても見なかったからだ。
　やがて、下着姿になった義姉は「こんどは自分の胸を可愛がってごらん」と兄に命令され、ブラジャーの上から、持ち上げるように豊かな胸を揉みはじめる。ズームアップされ上半身が画面いっぱいに映し出される。感じだしたらしい義姉の表情が艶めかしい。
「マジかよ〜。兄貴ったら、すっげ〜ことしてんなぁ」
　思わず、身を乗り出して画面に見入る良雄。
「美樹、直に触って」
　また、兄の声。義姉の指がフロントホックにかかり、パチンと音がして、両胸が露わになる。少し赤みがかかったうす茶色の乳首が外側を向いている。
「おおっ！　すっげぇ〜！」
　良雄は叫ばずにはいられなかった。
　しなやかな美樹の指が半ば埋没した乳首をつまむと、みるみるうちに大きさが増し、勃起していくのが分かる。同時に、ため息のような熱い声が漏れる。そんなシーンが３分ほど続き
「もう、濡れてきただろう。自分で確かめて」
　と兄の声がする。画面が、舐めるように下半身へパンしていく。淡い水色のレースをあしらったショーツと下腹の隙間に、美樹の指が差し込まれる。ショーツの下で指がモゾモゾと動いている。
「どうだ。濡れているか？」
　コクンと頷く美樹。
「じゃあ、全部脱いで、ソファーに座って」
　美樹は言われた通りショーツを脱ぐと、ソファーに座り、Ｍ字型に脚を広げる。それは訓練された動きにしか見えない。
　燃え上がるように渦を巻いて生える陰毛と、その下にある柔肉の裂け目に、良雄の目は釘付けになった。
　もう、良雄の股間は爆発寸前だ。
　美樹の指が裂け目を開き、ピンクの柔肉がアップで写ったとき、良雄はズボンをおろし、ペニスを握りしめながら暴発してしまった。ビュッ、ビュッと放出は長く続き、あまりの気持ちよさに「う、う、う」とうめき声が漏れる。
　しかし、映像のクライマックスはこれからだった。
　はじめ、クリトリスのまわりを這っていた美樹の指が蜜壺に差し込まれ、かき回すように動くと「ニチャッ、ニチャッ」といういやらしい音がして、「ああ、あなた‥‥」と美樹が喘ぎ声をあげる。
　ズーム操作で、美樹の全身が映し出される。
　右手は柔肉、左手は乳房を揉み、カメラの向こう側にいる兄へ視線を向ける美樹。
「あなた‥‥はやく、はやく来て‥‥」
「だめだ。最後まで、自分でするんだ」
「ああ‥‥そ、そんな‥‥」
「見られていると感じるくせに」
「い、言わないで‥‥お願い‥‥ああっ」
　画面からも、美樹の肌が上気しているのが分かる。
「感じるんだろ。正直に言ってみろ」
「は、はい‥‥もっと、もっと見てください‥‥」
　自分の言葉に興奮したのか、指の動きが激しくなり「あっ、あっ」と絶え間なく喘いでいる。
「よーし、ご褒美に、これをやろう」
　画面に兄の手だけが映り、乳白色のバイブレーターがソファーに置かれる。きっと、カメラは三脚で固定されているのだろう。
　美樹は手慣れた様子で根本にあるスイッチを入れる。びっしりと並んだパールが回転をはじめ、ギュインギュインとモーターの音が響く。
「あなた、見て‥‥」
　美樹は腰を突き出すようにすると、蜜壺にバイブレーターをあてがう。乳白色のそれが、蜜壺にゆっくりと飲み込まれ、パールの部分が入り口にさしかかると、美樹は「ああっ！」と呻いてのけぞった。
「もっと奥まで」
　兄の声に従い、枝分かれした子機がクリトリスにあたるまで入れる。
　バイブレーターを飲み込んだ身体が震えだす。
「だめぇ〜、腰がひとりでに動いちゃう〜。は、恥ずかしい‥‥」
「きれいだよ、美樹。もっと見せておくれ」
「だめっ！　もう、もう、いっちゃいそう‥‥来たわ‥‥あうっ！　ああ〜っ！」
　ガクガクと身体を震わせながら絶頂を迎える義姉を、良雄は呆然と見つめていた。
（す、すっげぇ‥‥そ、それにしても、義姉さん‥‥）
　色白でスラリと伸びた手足、筋肉質でありながら柔らかそうで、くびれたウエスト、突き出すようなバストと心持ち上を向いた乳首、出身校の陸上部で「伝説のアイドル」といわれていた美樹の成熟した肢体が、官能に咽ぶ姿は現実のものと思えなかった。
　画面に全裸の兄が入ってきた。
　美樹を立たせると、後ろから胸を揉みしだき、うなじに唇をあてる。
「ああ、あなた‥‥」
　恍惚とした表情で美樹は、兄の愛撫に身を任せている。
　やがて、兄は美樹の身体をソファーに横たえると、右手で秘肉の位置を確かめ、グイッと挿入した。
「ああんっ！」
　ひときわ高い悦びの声が上がる。
　兄は激しくピストンを繰り返し、美樹は、それに合わせて、甘く高く喘ぎ続ける。
　良雄もズボンとトランクスを下ろし、兄の動きに合わせて、自分のものを擦りたてる。
「いやぁ〜っ！」
　絶叫した美樹が腰を浮かせて背中をのけぞらせたとき、良雄も同時に果てた。
　画面の中の兄が立ち上がり、股間を美樹の顔の方へ持っていく。
「いくぞ！」
　美樹にくわえさせ、兄は口の中で放出する。
　喉の動きで、義姉が兄のものを飲み込んだのが分かる。
　カメラが手持ちに切り替わり、足の方から舐めるように身体を撮り、まだ余韻が醒めぬ美樹の顔が大写しになってビデオは終わった。
「凄すぎる〜」
　良雄はティッシュで後始末をしながらつぶやいた。

　まだ３時には間があるが、二発も連続で出してしまった直後なので、さすがにスケベな気分にはなれない。けど、これだけで終わってしまうのは惜しい。良雄はラベルに目を走らせる。「suna eht」と「DNIB]の二つが気になる。
「ジ・アヌスかあ‥‥バインドって縛るだったよな‥‥う〜ん」
　迷ったあげく、昨晩見た美樹の尻を思い出し「suna eht」を上着のポケットに入れた。自分の部屋に帰ってからコピーして、ゆっくり楽しもうと思ったのだ。どうせ、夕食のとき、またここへくるのだから、分からないように返しておけばいい。
（あれだけ、ビデオあるからな〜。全部コピーすんのに、どれくらいかかるかなぁ。う〜ん、当分楽しめるかも）
　そんな能天気なことを考えながら、良雄は、大急ぎで部屋の模様替えを終わらせると、コーヒーをいれはじめた。時計に目をやると、ちょうど３時だった。
「良雄さん、留守番させちゃってごめんなさいね」
　玄関のドアが開き、美樹がそう言いながら帰ってきた。
「あら、すっかりきれいにしてもらって、忠雄さんは、あんまり家のことやってくれないから助かるわ」
　どちらかというと清純派系の義姉。微笑みかける顔はさわやかなのに、あんなことやってるなんて、そう思うと良雄の股間が疼いた。
「義姉さん、コーヒー飲む？　一段落したんで、ちょっと一服しようと、ちょうどコーヒーいれたとこ」
「いただくわ」
　ほんとうに、この義姉と、ブラウン管の中にいた義姉は同一人物なのだろうか？　まだ、良雄には現実感がなかった。しかし、服の上からでも分かる、はちきれそうな肢体は、間違いなくブラウン管の中で悶えていた義姉のものだ。良雄は、コーヒーを飲みながら、こちらを向いて微笑む美樹を、その場で押し倒したい衝動に駆られた。
　もし、ここで、ポケットに入れたカセットを義姉に見せたらどうなるだろうか？　おとなしく言うことを聞くだろうか？　しかし、すべてのことがパァになる可能性だってある。いろんなことを頭の中で考えながら、良雄は、とりあえず部屋に帰って善後策を練ることにした。一刻も早くビデオが見たいという気持ちも大きい。
「じゃあ、俺、学校の用事しなきゃなんないから、夕飯のとき、また来ま〜す」
　良雄は、ポケットの中にあるミニDVカセットを確かめると、帰り支度を始めた。
「気をつけて。待ってるわね」
　何の疑いもない顔をして笑っている義姉に、ちょっと後ろめたさを感じたが、それを振り払うように良雄は勢いよく玄関を飛び出した。

　アパートへ帰った良雄は、すぐに、コンピューターを立ち上げビデオカメラと接続して、DVDに焼く準備をした。
　高校時代、フォームの研究を陸上部で担当していたせいで、ビデオ編集などには自信がある。けど、今回は事情が違う。期待で喉がカラカラに渇いた。
　画面は、いきなり全裸でうつぶせになり、尻を突き出している美樹の後ろ姿から始まった。
　白くて張りのある双丘の間には、色素の少ないアヌスがひっそりと佇み、秘裂から縮れたような小陰唇がはみ出しているのが見える。
　ゴクッ
　思わず、生唾を飲んでしまう。あれだけ出してしまったのにも関わらず、限界まで息子が大きくなっていた。
「さ、開いて」
　兄の声がすると、美樹の細くてしなやかな指が双丘の両側にかかり、押し開かれた。秘肉が割れ、蜜壷がぽっかりと口を開く。後ろの穴のしわが伸び、横に広がっている。
　ポタッ、ポタッ
　透明で粘り気のある液体が、尻の穴に落ちる。冷たいのだろうか、そのたびに、きゅっとアヌスが締まる。それが、潤滑用のジェルだなんて、良雄には分かるはずがない。
「まずは、自分で塗り広げて」
　兄の声がする。
　美樹の指が動き、アヌスのまわりが濡れて光る。
「ちゃんと、中まで湿らさないとな。さ、自分の指でやるんだ」
「そ、そんな」
　戸惑うような義姉の声。
「早くするんだ！」
　兄の声が命令口調になる。それに応えるように、美樹の指が後ろの穴に滑り込んでいく。
「ああっ、こんな‥‥恥ずかしい‥‥」
　美樹の涙声が、いっそうそそる。この、さわりの部分を見ているだけで、良雄の息子の先端に先走りの汁が漏れてきた。
　高校時代、部室で悪友達と回し読みした裏本などとは、比べ物にならない迫力がある。これが本物の力だろうか。おまけに、被写体となっているのは、さっきまで、一緒にコーヒーを飲んでいた憧れの義姉なのだ。
　ブゥ〜ン
　モーターの音が聞こえ、大きな真珠を連ねたようなアナル用のバイブレーターが、美樹のアヌスに押し付けられた。
「ああっ、な、なに‥‥それ‥‥」
「お前のために、用意した新しいオモチャさ。気に入るといいんだがな」
　そう言うと、兄はグッと力を入れる。スルリと先端の玉がアヌスへ入った。
「ああっ！　いやっ」
　美樹が、尻をよじって抵抗する。
　途端に、パチン！　と音がした。兄が美樹の尻を叩いたのだ。
「きゃあっ！」
　美樹が悲鳴を上げる。
「抵抗するんじゃない。いいな」
　叱りつけるような兄の声。
「は、はい‥‥」
　素直に応え、美樹は高々と尻を突き出す。
「よ〜し。いい子だ」
　兄は、ひとつひとつの玉が入るたび、その感触を楽しむようにバイブレーターを停めて揺らしたりしている。
「あっ！　やっ、やん‥‥」
　美樹の声は、だんだん甘さが増したものになっていった。
　ついに、バイブレーターが根元まで収まった。アヌスの内部が動いているらしく、スイッチがある部分が微妙に揺れている。
　美樹の息が荒い。
「さて、これはどうかな？」
　こんどは、ゆっくりとバイブレーターが抜かれる。アヌスの肉が盛り上がり、次の瞬間、ツルッと玉が顔を出す。
「ああんっ！」
　その激しい喘ぎ声が引き金になって、良雄は暴発してしまった。
「すご過ぎる〜」
　良雄は、思わず叫んでしまっていた。
　しかし、まだまだビデオは終わらない。
　兄は、ゆっくりとバイブレーターを抜き差ししている。
「あっ、いやっ。あんっ‥‥あんっ‥‥」
　美樹の声が、だんだん高くなっていく。
　しばらく、同じ場面が続いた。そして、兄はアヌスに刺さったバイブレーターをそのままに、こんどは『オナニー』のビデオでも登場したバイブレーターを手にして、義姉に手渡す。
「美樹。これを自分で入れてごらん」
　と言って、スイッチを入れる。
「あ、あなた‥‥もう‥‥ゆ、許して‥‥」
　美樹が懇願する。
「さっき、なんて言った。俺の言うことが聞けないんだな」
　また、兄の口調が厳しくなる。と、同時に後ろの穴に刺さっているバイブレーターを激しく動かし始めた。
「きゃっ！　あっ‥‥んっ‥‥ごめんなさい‥‥言う通りにしますから‥‥ああっ！」
　恥ずかしさからだろう、躊躇しながら乳白色のバイブレーターを挿入する美樹。しかし、最終的には根元まで収まってしまう。
　前と後ろに樹脂製のオモチャを入れた映像は、エロティックというよりかシュールという言葉の方がぴったりくる。
「す、すげぇ‥‥こんなこと、できるんだ‥‥」
　まだ、女性の経験がない良雄にとって刺激が強すぎる。出したばかりなのに、また、自分の息子を擦りはじめた。
　画面の中では、兄が、バイブレーターを交互に動かしている。
「あっ、あっ‥‥あ、あなた‥‥そんなにしたら‥‥だめ、ああっ、こわれちゃう‥‥」
　もはや、美樹の声は悲鳴に近い。
　美樹の声が、意味をなさない喘ぎだけになった頃、兄は後ろに突き刺さっているバイブレーターをズルズルッと引き抜いた。
「ひゃあぁぁん」
　甘く、不思議な声が響く。
　画面が大きく揺れ、ふたたび安定したときには、屹立した兄のペニスが美樹のアヌスにあてがわれていた。前に刺さったバイブレーターはそのままだ。
　ズッ、ズッ、ズッ
　兄が力を入れ、ペニスが飲み込まれていくたびに画面が揺れる。
「あっ！　あぁ〜んっ！」
　ひときわ高い悲鳴が上がる。
「あ、あなた‥‥許して‥‥も、もう‥‥だめっ‥‥ああ〜っ！」
　ついに、美樹は大波にさらわれ絶叫した。アングルが変わり、のけぞった背中、シーツを握りしめる手が映し出される。体全体がビクッ、ビクッと痙攣している。
　良雄は瞬きを忘れてしまったかのように、大きく目を見開いて画面を見つめたまま射精していた。
　栗の花に似た、あの匂いが部屋中に充満している。
　兄も果てて体を離したらしく、うつぶせのまま痙攣する美樹の全身が映し出されてビデオが終わった。
　良雄は、肩で息をしたまま動けなかった。まるで、ダッシュを二、三十本続けてやった感じだった。