−２−

　仁志は強い不安と共に、酒の酔いだけでなく妖しい興奮に顔を真っ赤に染めて、異様な雰囲気のなか昂ぶりを押さえられないでいる。
　そんな仁志をよそに舞台では、二人の女が蛇のように絡み合っている。
（小百合族？）
　趣味の違いに冷静さを取戻そうとしている仁志に、酔った山本は意識を戻した蝋燭の女を横にはべらせて饒舌になっている。
「この子は、なかなか出来がいいでしょう。…そうそう、この出し物も…」
　山本は、仁志に熱蝋の女を押し付けるように譲り渡した。
　仁志にまとわりつくように薄衣一枚の女は、寄り添うと周りに合わせるように戸惑いもなく仁志のベルトを緩めると顔をうずめてきた。
「えっ」
　驚きの声を発しながらも、抗えないのは男の性。
　舞台の小百合図は、こんにゃくを思わせる双頭物で繋がると白蛇のように４本の足を絡め合っている。
「あぁ〜ん」
　突き出し合った股間に、双頭が取り込まれ姿を消すたびに聞こえる輪唱。
「あれは、まだまだ前座ですからね」
　山本の案内にも答えず、女の熱い口腔の蠢きに仁志の股間は翻弄されている。
　パンパン
　一人の男が手を鳴らすと竿役の男が二人、舞台の女達を強引に羽交い絞めにして引き剥がしはじめる。
「女に任せていると、拉致があかんのですよ」
　山本の解説にも仁志は声もなく舞台に目を取られている、それというのも現れた男はプロレスの選手かというような大きな身体を持った黒人なのである。
「ぃやぁ〜ん」
　中央には滑光った双頭が、ポトンと落下すると、次はこれだとばかりに黒人の男達が対象的な色の白い肌の女を組み敷いて、これまた大きく黒々とした肉棒を蜜壷に押し付けてくる。
　仁志の目には、二対の黒い棒が赤く充血し濡れそぼった壷口を、今にも征服しようかと絡み合うようすが丸見えである。
　タイミングを計ったように、二人の女の白い手が、そろって黒い肉棒を絡めとり筒先を案内しはじめる。
「あぁ」
　一息先に黒い肉棒を捕らえた右の女、根元まで全てを得ようというのか器用な腰の蠢きで咥えこんでいく。
「うぐっ」
　左の白黒も結合を果たすと、手を鳴らしていた男が黒子のように舞台に上がると、女に繋がったままの男の足を引きずるようにして見栄えのする向きに変えている。
　二人の女は、ゆきとどいた調教の成果なのか、普通とは思えない巨大なものを難なく受け入れ、大きくゆっくりした抽送に応えて、白蛇のように身体をクネらせては身悶える。
「あぁ…、あぁ…、あは〜」
　胃まで届く程の物がメリメリと打ち込まれる様子は豪快である、仁志は黒人の巨大な肉棒に乗り移ってしまったかのように、自らの股間をヒクつかせてしまっている。
「どこから、こんな黒人を？」
　休むことなくつづけられている蝋燭女のフェラに、やっとこらえていう仁志も今ではしっかり会場の雰囲気に馴染んでいる。
「あーー、あれ、あれは魚屋のアルバイト学生じゃなかったかなぁ」
「…」
「ことばが通じにくくて、女達よりも苦労があったと聞いてますよ、ハハハ」
　こともなげに山本はいう。
「おおっ」
　黒い肉棒が白い粘液でまだらに染まってくる様子に、弘志の目は輝きを増している。
「あれだけデカイと、さすがに刺激が強いらしいですなぁ」
　山本も有頂天になっている。
「そこいらのストリップショーよりも、よっぽど面白い。…どうです」
「うっ、うん」
「本気汁が纏わりついて、ほらっ、…蛇口が全開のようですなぁ」
　仁志は、饒舌な山本の言葉に頷くばかり。
「ハぁ〜〜ん」
　堪えきれずに、とめどなく押し寄せる快感に何度もイきはてているのか、ポッテリと充血した花園は、菊の蕾と共にヒクヒク窄まっては白い蜜を吐いてい黒い肉棒に絡めつかせてる。
　黒人の抽送は、放出など知らぬとばかりにつづいている。
・
「豪快ですなぁ、頂くのは次にした方がよさそうだ」
　山本は白蛇の女には、見切りをつけたようである。
（女どうしも埒があかんが、黒人もだなぁ）
　山本は黒子の男に、なにやら耳打ちすると席に戻ってくる。
　パンパン
　黒子の男が手を鳴らすと、黒人達は組み敷いた女から離れる。
　ぐったりとイき疲れて精気の失せた白蛇の女二人が、抱え上げられて舞台を下ろされる。

　新たに舞台に上がった覆面の男は、先ほどよりは見劣りする竿をひけらかせて、用意された大きなソファに座っている。
　仁志には、見分けのつき難い似たような女が犬のように首輪とクサリを付けられて現れる。
　フェラかと思った仁志だったが違っていた。
　犬這になった女は、尻を向けて頭を下げると、男が注目しているのは尻の穴のようだった。
　粘度の高いローションを女自らが細い指をくねらせて、菊の蕾を潤ませていく。
　パ〜ン
　もういいだろうとばかりに白い尻を一叩きすると、おもむろに怒張を突きつけて女の尻を引き寄せる覆面男。
「うぐっ」
　女のようすから難なく狭い口に挿入ははたされたらしく、覆面男は女を抱え上げるようにして深くソファーに座ると、女の身体を引起し脂の乗った腿を引きつける。
「いやっ」
　さすがに恥じらいを魅せる女は、顔をそむける様にして視線をそらせているが、菊壷は巻き込まれるようにして怒張を咥え込み、女の園を前面にさらしたさまを仁志の目にあからさまにしている。
　仁志が舞台に気を取られている隙に、宴会場のようすは乱交パーティの様相に一変している、一度引き上げていた女達が着替えを済ませて来たようだ。
　もれることなく揃ったペアの男女は、どこも同じように女を男が組み敷いて牝牡の営みを始めているのである。
　舞台の女は、菊壷への攻撃に甘い吐息とともにさらけだされた女陰から熱い蜜を吐きはじめ、菊壷をつらぬく肉棒をも濡らそうとしている。
　隣の男がニヤリと、意味ありげな表情を仁志に返すと抽送に没頭する。
　熱蝋の女は仁志を誘うように仰向けに寝そべると、中央に手を当てて股を開くと受け入れ体勢をとっている。
　熱く異様な空間に包まれた仁志は、止めどない欲望に突き動かされ、にじり寄っていくと間もなく股間は甘い感触に襲われる。
「うっ」
「あぁ〜」
　仁志の呻きに重ねて歓喜の喘ぎを吐く熱蝋の女、周囲には誰一人として冷静な者はなく淫らな喘ぎがこだまするばかり。
　大きな昂ぶりに激しい抽送をくりかえす仁志。
「くぅぅ〜〜っ」
　耐え切れなくなった仁志は精を解き放つと、しっかり仕込まれているのか熱蝋の女は素早く仁志の股間に顔を埋めて痺れきった一物を吸い上げてくる。
「おぉ〜」
　珍妙なポーズで身悶える。
　ほっと一息ついて平静を取戻すと仁志は、一人異常な空間に取り残された気分が持ちち上る。
「どうでした。…なかなかのもんでしょう」
　意味ありげな表情で声をかける山本の声。
「…」
　何処にいたのかもわからず驚く仁志は言葉もない。
　どんな組合せになっていたのか、見ほれるような美人をそばに置いた山本。
（これで一蓮托生だな）
「どの子(女)でも、気に入った相手を探してくださいよ」
　仁志に合わせたかのように、異様な雰囲気の中、男達が輪を回るように場所を変えている。
　流れのままに、一席移動した仁志。
　こころえ知った男達は、フニッシュしていないのだろう空かさずそれぞれの女を組み敷いて結合すると、抽送が始まっている。
「もう、だめなのかしら」
　動きのない仁志に声をかける新たな女。
（どうでもいいか…）
　誘惑に突き動かされ小太りな女に乗り掛かる、気のない抽送をする仁志の頭は疑惑にまみれて落着かない。
（利恵…）
　仁志は周囲の雰囲気に飲み込まれて、異様な昂ぶりに再び元気を取戻して抽送を再開してしまう。
　舞台では、二人目の覆面男が現れると、当然のようにして空いた穴を埋めている。
「あぁ〜〜」
　ひときわ、かん高い喘ぎで舞台の女が応えると、交互に見え隠れする二本の肉棒の動きをあてに、宴席では一様に男達が昂りを増して雄となり、組み敷いた女への抽送を激しくする。
（こんなことが、あっていいのか？）
　仁志は、思考と身体の反応を、うまく噛み合わせられないままに、押し寄せる昂ぶりに押し流されて雄の営みに溺れている。
　雄の群れに次々と押し流されて、仁志は臨席へ、臨席へと移動がつづいたが、このごに及んでも仁志の脳裏には、疑惑として押し留めている。
（利恵…）

−完−