１．北野 壮太（30歳）

　都心から出ている私鉄の駅の傍に、大きな団地が並んでいた。
　各棟、12階建て10列の同じ造りで、１棟120所帯、８棟の大所帯だった。
　設備と交通の便が良かったので、竣工からアッと言う間に入居者で埋まった。

　そんな中に、小笹 沙也香がいた。
　沙也香は夫の佳孝と２人で入居した、
　３ＬＤＫの部屋は、将来、子供が出来ても大丈夫だと想って満足していた。
　佳孝は都内の貿易会社に勤務し海外出張も多く、年の半分は独身状態だった。
　時間に余裕のあった沙也香は、団地内の雑用を引き受けていた。
「ここの棟だけだけど、結構大変なのよ！」
「好きでやってるんだろ？じゃぁ、仕方が無いな〜」
「まぁ、そうだけど・・・」
　この団地の役割分担は、基本的には各棟各列単位なので、12軒で１単位だったが、何処の家でも共働きが多く、時間のある沙也香は１手に引き受けていた。
「明日から出張だから・・・今回は、中南米だから長くなるよ」
「そうなの・・・じゃあ、今夜は寝ないで愛してくれる？」
「ダメだよ〜明日、一旦会社に出社してから空港に向かうんだから・・・ゴメン！」
　沙也香は満足な性生活を得られず、常時、欲求不満な日々を送っていた。
　27歳の熟れ始めた身体を持て余していたのだ。
（自分は海外で金髪美人と上手くやってるから・・・もう、わたしも〜〜）
　以前、一緒に海外出張した同僚がポロリと漏らしていたのだ。

　その夜、団地８棟の自治会の会合があり、沙也香もＡ棟の代表として出席した。
「この団地も竣工して１年余り、いろいろと問題も多くなってきました。そこで、この機会に・・・・・・」
　自治会の会長をしている山口さんが熱弁をふるっていた。
（また、仕事が増えそうだわ・・・ふぅ〜〜楽しいこと無いかな〜？）
　退屈そうな顔を隠していた沙也香の肩を、ポンポンと軽く叩く人がいた。
「コレ・・・」
　後ろの席の男性からメモを渡されたのだ。
『この後、カラオケに行きませんか？憂さ晴らしに・・・どうですか？ 北野 』
　北野は２棟の代表で、30歳ぐらいのサラリーマンだった。
　沙也香は少し考えていたが、半分ぐらいは参加するだろうと思いＯＫした。
　主要な検討課題は、次回に具体案を各自発表することで散会となった。

　時刻は８時・・・何をするにも中途半端だったが、約束どおりカラオケに向かった。
　待ち合わせのカラオケボックスに着くと、北野がひとりで待っていた。
「あれっ？みなさんは？」
「やだなぁ〜僕らふたりですよ！最初から・・・」
「えっ！みんな一緒だとばかり・・・じゃぁ、わたし・・・」
「チョッと待って！せっかく来たんだから・・・１時間ぐらいでも・・・
大きな声を出すと、気分もスッキリしますし・・・付き合ってくださいよ〜」
「・・・・・・じゃあ、１時間だけですよ〜」
　北野はキライなタイプでは無かったが、ふたりきりというのが納得できなかった。
（何か作為的だわ・・・でも、この際だから、乗ってみるのも・・・）
　沙也香は夫婦とは名ばかりの生活から脱却したかった。
（まだ若いんだもの！若いうちにしか味わえないものもあるし・・・後は、割り切れるかどうかだけよ！）

　ある種、密室に近いカラオケボックスという空間は、沙也香には刺激的だった。
　最初にオーダーを済ませれば、最低１時間は誰の目も耳も気にせずに過ごせる。
　監視カメラも無ければ、必要以外の連絡も来ない。
　そう思うだけで、沙也香の胸は高鳴った。
　飲み物と軽食をオーダーし、運ばれてくるまで交互に歌って楽しんだ。
「さぁ、来たぞ！奥さん、食べましょう〜」
「あぁ〜喉が渇いたわ〜先にビールで乾杯ね！」
　ふたりは、ピザとビールを飲み食いしながら、お互いの話しをしていた。
「奥さん、ご主人は何をなさってるんですか？」
「奥さんはヤメテ・・・今は沙也香って呼んで欲しいわ〜」
「それじゃ、僕のことは、壮太と呼んでください！ハハハ〜〜」
「主人は貿易関係の仕事をしていて・・・・・・・・・」
「それじゃあ、毎日、淋しくないですか？こんなに若くて魅力的な女性をひとりにしておくなんて・・・ご主人、心配じゃないのかな〜？」
「どうでしょう？それに・・・若くも無いし魅力的でも・・・」
「とんでもない！沙也香さんは、スタイルも良さそうだし、魅力的ですよ！」
「北野さんの奥様は、どんな方？きっと素敵なんでしょうね？」
「・・・・・・素敵だった、と言うべきかな・・・」
　北野が遠い目をしてポツッと呟くように言った。
「素敵だった・・・って言うことは・・・？」
「そう・・・結婚して、すぐだった。結婚式の夜・・・通りを渡ろうとして車に・・・だから、彼女とは一夜も共にしないまま・・・優しくてキレイな女性だった・・・」
「ご、ごめんなさい・・・わたし・・・知らなくて・・・」
　沙也香は北野を誤解していたと思った。
　遊び人風の色男との印象が、一瞬にして変わった。
（かわいそう・・・淋しいでしょうね・・・）
「いや、もう、昔の話ですよ！・・・沙也香さんは、亡くなった妻以上ですよ！」
「そんな〜わたしを誘ったのは、亡くなった奥様に少し似ていたとか・・・？」
「ハハハ〜〜そう言うと、下心があるようで・・・でも、そう言えば・・・」
「いいんですよ！無理なさらなくても・・・わたしじゃ、比較にはならないでしょうけど・・・わたしでお役に立てるなら・・・」
「・・・一度でいいから、亡くなった妻と一夜を過ごしたかった・・・」
「一夜は無理ですけど・・・代わりに慰めてあげることは出来るかも・・・」
　ふたりの瞳が見つめ合ったまま静止した。
「本気にしちゃいますよ・・・沙也香さん・・・」
　北野は沙也香の肩を引き寄せ、軽く口唇を重ねた。
　沙也香は静かに瞳を閉じ、北野の口付けに応えていた。
　服の上からそっと沙也香の乳房を揉み首筋に舌を這わすと、沙也香の身体が小刻みに震えていた。
「沙也香さん・・・ご主人に・・・」
「はぁ、ぁ〜ん・・・こんなこと初めてよ・・・主人のことは言わないで・・・」
　北野は沙也香の優しさに甘えようと思った。

　沙也香は北野の座っている足元に腰を下ろし、ズボンのジッパーを下ろした。
「さ、沙也香さん・・・」
「シィ〜〜ッ！」
　沙也香は指を１本口唇の前に立て、頭を左右に振った。
「亡くなった奥様にして欲しかったこと・・・わたしでよければ・・・ネッ！」
　窮屈そうに閉じ込められていた肉棒が沙也香の手で解放され飛び出してきた。
「うぅぅ、はぁ〜〜」
　北野は一旦身体を後ろに仰け反らせたが、沙也香のすることを見ようと思った。
「まだ中途半端みたいね！？それじゃあ、こうして・・・」
　半立ちの北野の肉棒を根元まで口に咥えると、口唇で上下に扱き始めた。
「あっうっ・・・・・・ぁああぁぁぁ・・・」
　北野の肉棒は沙也香の口技で、すぐに暴発寸前まで膨張していた。
　沙也香の舌先は、微妙なタッチで北野の肉棒の敏感な箇所を刺激した。
「沙也香・・・うっ・・・ぁぁぁ・・・もぅ・・・あふっ・・・」
「ふぁ〜っ・・・いいのよ！壮太さん・・・出して！あなたに悦んで欲しいの〜」
「あぁぁ・・・あぅっ・・・うおっ、あっぅ・・・イク、イ、クぅぅぅぅ・・・っ・・・」
　ドクドクと沙也香の口の中に北野の精液が放出され、沙也香の口唇の端から白濁の液が溢れていた。
「ふぅ〜〜良かった？」
「はぁ、はぁ・・・沙也香さん・・・まるで亡くなった妻がいるようだった・・・ありがとう・・・でも、このままじゃ・・・ここではマズイから・・・」
　北野は萎えた肉棒をズボンの中にしまい、沙也香も北野の想いのエキスを、冷たいドリンクで流し込んだ。

　ふたりは何気ない顔をしてカラオケボックスを出た。
　無言のまま人目を避け、身体を寄せ合い裏通りを歩いた。
　やらて、お互いの気持ちを感じながら静まり返った森のような団地に着いた。
　ふたりは沙也香の住む棟を過ぎ、隣の棟まで歩いていった。
　北野は隣の棟の１階に住んでいた。
　ガチャッ！
　無言の了解で中に入った。
「さっきは本当に何と言って礼を言えばいいのか・・・」
「そんなこと・・・わたしがしたくて・・・それだけですから・・・壮太さん」
「ありがとう・・・」
　北野は沙也香の身体を引き寄せた。
「もうひとつだけ・・・わがまま聴いてくれますか？」
「わたしで、お役に立つなら・・・」
「えぇ、結婚したら・・・一度、してみたかったことを・・・実は・・・キッチンに立っている後ろ姿を眺めていたいと思っていたんです」
「壮太さんの為に何かを作ってくれてる・・・そういう気持ちを感じたいんですか？」
「そうなんです・・・今日は、コーヒーぐらいしかないんですが・・・いいですか？」
「いいですよ！わたしも好きですから・・・」
　沙也香はキッチンに向かい、コーヒーを淹れる準備を始めた。
　北野はそんな沙也香を愛しそうな目で見ながら、椅子に座っていた。
「何か・・・壮太さんが真後ろにいると、緊張しちゃうわ〜」
「若妻の雰囲気があって、ドキドキしてるよ！」
「うふっ！お尻に視線を感じちゃって・・・」
　沙也香はコーヒーを淹れるのに集中し始め、北野は沙也香の雰囲気を味わっていた。

　１分・・・２分・・・無言の時間が過ぎていった。
（こんな時間を・・・持ちたかった・・・・・・ふぅ〜沙也香さんに感謝しなきゃ！）
　北野は亡くなった妻への想いを吹っ切り、沙也香の身体を下から上まで見始めた。
（気持ちも身体も申し分の無いオンナだ・・・いい脚してる・・・）
　北野はコーヒーを淹れ終りそうな沙也香の背後に寄り、素足を擦った。
「キャッ！もぉ〜ビックリするじゃない〜壮太さん！」
「沙也香さんの姿を見てたら・・・このまま、好きにさせてください」
　沙也香は引き続きコーヒーをカップに注ぐ準備をした。
「キレイな脚・・・引き締まったいい脚ですね〜」
　そう言いながら、北野は沙也香の脚を擦り、舌で膝の裏から太股まで舐め上げた。
「はぁ、ぁぁぁ・・・ふぅ、ふぅ・・・」
　支度をする沙也香の手が止まり、身体が小刻みに震え始めた。
　沙也香のスカートを捲り上げ、その中に入った北野は尻を撫で太股を舐めた。
「あっ、ぁぁあっ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・壮太さん・・・恥ずかしいわ・・・」
「ふぅ、はぁ・・・沙也香さん、柔らかくて締って・・・いいお尻ですね・・・」
　北野は下着の上から指を這わせ、沙也香の尻の愛撫を続けた。
　少し前屈みになった沙也香の太股の付け根は、しっとりと濡れていた。
　北野は優しく指で擦った後、ゆっくりと小さな布を引き下げていった。
「あぁぁぁぁ・・・」
　露わになった沙也香の尻を、北野は揉んだり擦ったりしながら舐め、沙也香に両脚を開かせ、真下から淫唇を舐め始めた。
「あぁぁああああ〜〜〜っ・・・いぃ・・・はぁ、はぁ、はぁあっ・・・あぁ〜〜」
　北野は指で淫壷の中を擦り始め、舌で小さなクリトリスを舐め始めた。
「あっ、あっ・・・あぅ、あぁあああ〜〜〜いぃ、い、ぃ・・・あぁあああ〜〜〜」
　淫壷の中が微妙に反応し始め、溢れる淫らな液を北野は吸いながら責めた。

　北野の息が荒くなり、下半身を露わにしてスカートを捲り、柔らかな尻を掴み、先から涎を垂らす肉棒を沙也香の淫壷に挿入した。
「あぅぅぅ・・・はぁ〜はぁ〜あわぁぁぁ・・・あっ、ぅっ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
　沙也香はキッチンのシンクの縁を掴み尻を突き出す格好で北野を受け容れた。
　北野は深く挿入した肉棒をゆっくり回転させ、尻を引き付けて腰を押し付けた。
　肉棒を前後させ始めると、沙也香の淫壷は蛇腹のように北野の肉棒を締め付けた。
「うあっ・・・あっ、あっ、あうっ・・・あぁぁぁ・・・堪らない・・・っあぁ〜〜っ・・・」
　根元を入り口の収縮で締め付けられ、肉棒全体は肉襞で包まれて締め付けられた。
「こ、こんな・・・あうっ・・・・・・はぁ、はぁ・・・もぉ、ダメ・・・イクよ・・・」
「ま、まだよ！もぅ少し・・・ダメ〜〜」
　沙也香は北野に辛抱を訴え、淫壷を無意識に強く締めた。
「うっあぁぁぁ・・・あぁ、ぁ、ぁ、ふぅ〜ふぅ〜」
　北野は沙也香の淫壷の快感を必死に堪え、激しく腰を繰り出した。
「あぁあああ〜〜〜っ・・・いぃ、いぃ〜っ・・・イク、イッくぅううう〜〜〜〜」
「はぁ、はぁ、はぁっ・・・・・・あっ、うっ・・・つぅぅ・・・イッ、くぅううう〜〜〜」
　北野は沙也香の絶頂の収縮に、ドクドクと白濁の粘液を淫壷に放出した。
　沙也香の背中を包むように余韻に浸り、しばらくの間、そのままでいた。
「はぁ、はぁ、ふぅ〜〜」
「はぁ、はぁ・・・壮太さん、我慢させちゃって・・・ゴメンなさい・・・」
「いや、僕の方こそ・・・辛抱が足りなくて・・・それにしても、すごい快感で・・・」
「えっ？わたし・・・？」
　ふたりは身体を離れ、衣服を直して椅子に座った。

　まだ身体が快感で重く感じた沙也香だったが、コーヒーを運んで、ふたりで飲み始めた。
「ご主人、何も言わない？」
「えぇ・・・何か変なの？」
「じゃあ、いつもじゃないのか？・・・今日が初めてなのかな？」
「ねぇ〜何のこと？」
「沙也香さんのアソコ・・・すごく気持ちが良くて・・・すぐに感じちゃって・・・」
「そうなの？・・・じゃあ、きっと、亡くなった奥様の想いが・・・」
「そうか・・・そうかも知れない・・・」
　北野も、そんな気がし始め、納得していた。
「沙也香さん、ありがとう・・・また・・・」
「ダメよ！北野さんは、これから新しい人生を歩かないと・・・」
「そうだね・・・でも沙也香さんは、カウンセラーみたいな感じですね？」
「うふっ・・・わたし大学で心理学を専攻して、教職も持ってるの！」
「そうなんだ。いい先生になれたかも・・・勿体ないよ、主婦してちゃ・・・」
「そうねぇ〜勉強したこと、役に立ってないわ・・・」
「少なくとも、僕には、いい先生だったけど・・・セックスも最高だったし・・・」
「いやねぇ〜そんなにセックスは得意じゃなかったし・・・好きでもなかったわ！でも・・・北野さんとのセックスは・・・良かったわ〜好きになりそう・・・」
「じゃあ、少しは僕も役に立ったのかな？それとも・・・悪かったのか？」
「分からないけど・・・お互いに頑張りましょうね！」
　ふたりは気持ちを残しながら別れ、沙也香は自宅に戻った。