２６　社長と女子社員は牡と牝

「あうああうっ・・・・あっあぁぁぁっ・・・はうっ。・・・・はっっっ。」

　山本の老獪なクンニについに佳乃は切ない喘ぎを堪え気味に発し始める。かれこれ舐め始めて４５分を超えようかとしてもなお陰唇のみを舌先で刺激するだけだ。
「はぁぁぁぁん・・・・ひやぁぁ・・ううっん。」
「佳乃ちゃん・・・気持ちよくなってきたんだね。米のとぎ汁みたいなお汁がおま○この奥から垂れてきたよっ。・・・・そろそろクリちゃんもペロペロしようねぇ。」
　佳乃は自分正体が社長にばれているのではと思い、轡を咬まされて声がはっきりと聞こえないのだが、喘ぎ以外の言葉を放たなくなっている。

　佳乃がだいぶ大人しくなった頃合をみて、高山がサポートに現われる。
「クンニ嗜好会員様、お手伝いいたします。・・・」
「・・ああっ、すまないね。・・足を外してあそこのベッドまで運んでくれないか？」
「はいっ。ベッドの上で両手だけ拘束すればよろしいですか？」
「ああっ・・下着を取っ払って後ろ手に拘束して転がしてください。・・・佳乃ちゃんを・・」
　高山は山本の言葉に一瞬だが眉間に皺を寄せ、

「・・会員様・・佳乃ちゃんとは？・・どういうことですか。」
「あはっは。・・いいや、うちの会社にいる女子社員でねぇ加山佳乃ってのがいるんだけど、備品だったかなここの呼び方は、この備品の体つきが良く似てるんだよ。・・その佳乃ちゃんにねぇ。」
「ほうっ。・・・そんなに。」
「ああ。マスクで顔が見られないんだが、良く似てるんだ。・・僕はいつもその佳乃ちゃんのことを妄想しながら、妻としてるんだ恥ずかしながら・・・・・。」
「それで・・・・・・なるほど。良く分かります。」
　佳乃はこの社長のカミングアウトに絶望と嫌悪感を最高潮にし、あらがう力を削ぎ落とされてしまった。

　開脚椅子からは解放されたものの、すばやく高山に下着を剥かれ後ろ手に手錠を嵌められ軽く抱え上げられる。そのまま照明のないマットレスのみのベッドに向かう。高山はなにやら佳乃に耳打ちをし、
「・・ＮＯ２６・・良かったな社長には、ばれてねぇよ。・・社長もおめえのこと狙ってたみてえだ。」
「・・・・・・ふぐっぅぅ。」
「社長をよろこばしてやんなっ。・・夏のボーナス、うーんとはずんでくれるかもしれねえぜっ。」
　と佳乃をポンッとベッドに投げ飛ばし、後ろ手拘束のまま尻を突き上げさせた。首輪についたフックに、鎖をつなぎベットの淵に固定すると高山は再び闇に消える。
「会員様、これから終了までお手伝いにうかがいませんので・・ごゆるりと。」
　高山の言葉に耳を貸さず、ベッドの上で山本は佳乃の大きく突き上げられた尻たぶをペロペロと舐めている。

「うっっうう・・・くううっ・・あっ・あはっっん・・」
　腰の辺りをがっちり抱え込み佳乃のふくらはぎ部分を自らの尻で押さえ込む山本は、白桃のような尻にむしゃぶりついている。カブトムシがクヌギの木の樹液を全て吸い尽くさんとするように・・。

「きれいなおま○こだよっ。・・佳乃ちゃん。尻の穴もきれいにすぼまって・・・」
　山本は本物の加山佳乃とは知らずに、自分の性癖を惜しげもなく告白していく。そして、
「ジュルッ・・ジュルジュッル・・・いい味でてるよっ・・ひひひっ。」
　膣口を下から上へ何度も長い舌を往復させ、尻の穴にも興味を示した山本が狙いを変えた。
「・・・ひひやっ・・・ううぐっ・・らめっ・・らめれす・・・そろは・・らめっ。」
「ありゃっ少し臭うねっ・・くくっ・・ちゃんとウォシュレットつかわなきゃだめだよ。・汚れた臭いもいいんだけどねぇ。くっくっ・・おじさんがきれいにしてあげるよっ。」
「・・・ひやっぁぁぁぁ。」
　今朝の排泄が残した香りを山本に嗅ぎ取られ、トイレットペーパーとかした山本の舌先は汚れと共に佳乃の女としてのプライドまで舐めとられていくように感じた。

　排泄の汚れもきれいに舐め取られた佳乃の肛門は舐め上げられるたびに、収縮したり緩んだりと運動を活発にし、山本の視覚による興奮も倍増されている。
「肛門はいつもきれいにしとかないとお客様に失礼だよ。佳乃ちゃん・・・・」
「・・・・くっぅぅぅ。」
「そうだ、君の肛門の臭い自分でも実感しておくんだっ・・・」
　山本はマットレスに顔をうずめているマスクに包まれた佳乃に顔を近づける。
「僕の口の周りは、佳乃ちゃんの臭い匂いでいっぱいだよっ。・・どうだい僕の口臭よりキツイでしょう。・・・・これからは、僕の口臭のこと言わないでくれよっ。・・・ひひっ。」
　と轡でヨダレまみれになった佳乃の口を山本は排泄臭と口臭とで２倍になった匂いをすりつける。いつもの嫌悪している口臭と自分の肛門からのにおいが一緒になり、嫌悪と自戒の念に襲われていた。

　マスクに覆われているため、表情じたいは山本に見られていないがなにか全て見透かされているのではないかという不安と今のところクンニだけで直接的な性行為にいたっていない安堵が入り混じり、今後の展開をまったく予感できない嗜好研修のアリ地獄にずるずると嵌っていく。



２６−１　

　佳乃の股間に吸い付いたトカゲ社長は、かれこれ４時間あまりも牝のとめどなく生産される樹液を採取し続けている。

　それをいつもの監視小屋から見つめるのは大島と金山とオリエンテーションを指導した高山の三人。
「高山、どうやわしの目に狂いはないやろっ。」
「さすが、親分・・いやっ大島部長、あの備品やったらかなりの金、せしめれまっせ。」
「高山よっ・・もうわしは極道やないんやで。親分はやめい。」
「そやけど・・あのころよりたのしいやろっお前も。」
　この高山という男は、大島興業という組織の舎弟頭をつとめ、組織が解散したあと大島と共に水野総帥に拾われ、今の嗜好研修の支配人という役割を担っている。

「すんまへん。・・・ついつい、悪いくせでしてっ。ほんでも昔は、たかだか安物のねーちゃん風俗に沈める位の仕事でしたが、今や世界のお偉いがたや、各国の闇の組織のＴＯＰやら・・・はたまた、警察の上層部までの変態人間に、素人同然の牝を提供して大金もろたり、不用になったらいろんな組織に売却してまた金儲けが出来るなんてねぇ・・・生きてても廃人でも・・死んでても。」
　高山は大島の肩を揉みながら話しかける。

「それよりどうや加山佳乃・・いやＮＯ２６は何ぼほどいけるやろか？・・・金額は。」
　大島が高山に目で返事をもとめた。
「そうですねぇ。・・・月に五回の研修で約３００万・・一年でざっと３６００万・・・子供が出来てしもうたら・・まあトータルで３９００万・・・最終の国際オークションで・・・６０００万までは値が付くと・・・ざっと一億って感じですかね。」
「・・・・・・高山、ガキ孕んだらもっと値が上がるやろ。最近妊婦嗜好会員が増えてんねんで・・」
「そうですねぇ。・・・じゃあ目標粗利益は１億２千万といったところで設定しときますわ。」
「そうかっ。そしたらわしの取り分は１２００万か・・・それとさっきの２００万と、まあええやろ。」

　電卓を叩くまもなく、二人は佳乃への淫らな値踏みをし、とんでもない金額の算段をしている。

「そやけど、ＮＯ２６は前のままの仕事させるんでっか・・それやったら研修の回数も絞られるし、ましてや人妻でコブ付でしょう、この辺をなんとかせんと・・・」
「高山、わしが何も考えてないと思ってんのか？・・・そのための山本やがな、今日来てんのわ。」
「・・・？」
「わからんやっちゃな。・・山本に今日の分の貸しで加山佳乃をセミナーの講師に月何回か借りるいう話を明日しにいくんや。・・あいつもまた奢ってもらおうと了承しよるやろ・・そしたら休みの日でのうても研修に参加できるやろがな！備品としてよっ。」
「・・まぁそうですけど・・離婚させてしもて監禁してしもたほうが、ええんちゃいまっか？」
　大島は高山に向かって、
「せやからあかんねん。・・離婚させて監禁すんのは簡単やが、家族を必死で守ろうとして献身的にお勤めをし、旦那の為に変態にお○こまさぐられても、いっぱい浣腸されても、医療実験用に体を提供しようと素人の人妻ということで付加価値がつくんやないかい。」
　高山は狩猟型の人間であり、大島の農耕的な考え方とは違和感を感じていた。

「・・・・・・おっ、ついに年貢の納め時やっ。」

　研修の残り時間も２時間を切り、クンニ嗜好会員の山本も十分蓄積させた精を解放させるべく、自らのブリーフを脱ぎ去り準備を始めた。

「時間オーバーなんてことになったらもったいないからね、時間をかけて君の・・佳乃ちゃんのおま○こ楽しませてもらうよっ。」
　４時間あまり同じ四つんばいの体勢のまま、クンニをされていた佳乃はクリトリスを赤く勃起させ発情した牝犬のように、尻を振った。それは牡の目には交尾を誘うポーズだが、狩られた牝は完全に拒絶の仕草である。しかし発情させてしまった牡にはさほど気にならぬことであった。

「・・・ふふっふぅぅぅぅぅ・・・・らるけれ・・・。」
　助けての一言しか声が出ないぐらいの長時間のクンニ攻めで、牝の拒絶の力は失われていた。
「それじゃぁいただくよ。・・旦那には悪いがたっぷり溜まった濃いのを・・・・」
　全て言い終わるまえに佳乃を仰向けにさせ、繋がったままの手錠はそのままにし山本はまずは汗ばんだ腋の下をべろりとねぶる。ひと舐めすると体をぴたりと密着させレザーマスクの頭を抱え込みいっきに佳乃の膣口を山本の太さに欠けるが長さにたけた肉棒で捕らえた。
「・・ひっっっ・・・ひひゃぁぁぁぁ・・ろもゆきらん・・・ごめんならい。・・ひやぁぁん。」
「ふっうっ・・・あぁやっぱり、若い子のおま○こはいいねぇ。すぐにいっちゃいそうだよっ。」

　太さは白ねぎ程ではあるものの長さだけは佳乃の子宮口に届くにはあまりある長さの肉棒を、奥へ奥へとねじ込ませていく山本。いくら４時間ものクンニでとぎ汁のような白液を生産させても、硬直した柔肉はやすやすとは解されない。山本は佳乃の牝肉を指で味わうことなく、舌先のみで味わったため肉の柔らかさを肉棒で感じるまでは、数分の時間がかかった。
「佳乃ちゃん、緊張しないで膣肉をもっと緩めて・・・そうそう・・きつすぎたら奥までいかないよ。緩めなさい、おま○この奥がいいんだよね・・・だから・・力をぬいて。」
「・・ひやれす・・・はっうぅぅぅぅぅん・・・・あぅぅぅぅ・・いれないれ・・ぬいれぇぇぇ」
　願いとは、かけ離れた牝の喘ぎに山本は獲物を捕らえた牝肉を十分味わいながら、グラインドを始めた。

「よしよし、ほぐれて来たぞ・・・ほれっ・・・ほれっ・・旦那とくらべてごらんっ。」
「・・・はうっ・・・はうっ・・あぁぁぁ。」
　三回に一回深く肉棒を沈め、子宮口付近をノックしたかと思うと、浅い膣口付近を回転させるように責める。山本の動きは、友之の激しいだけのピストン運動ではなく、カムのような働きに近くまんべんなく膣肉を攻め立てている。

「・・・うぅぅぅぅ・・・・あぁぁぁぁ・・・・はうっ。」
　老獪なカム運動に佳乃の肉体も反応し、深く沈められた時には高い声を、浅く回転するときは体を震わせて山本の肉棒に完全に呼応している。
「激しいピストンよりどうだい？・・ねちっこいのがいいだろう。・・・まだ旦那は若いだろうから、ねちねちＳＥＸは初めてだろうに。・・・・これが良くなるんだよ・・歳を重ねるとね。・・そりゃ。」
「・・・・ううっ・・・ひやぁぁぁん・・らめぇぇぇ・・・ぬいれぇぇぇ。」
「ぬくもんか。・・・ぬくもんか。・・・中に出しても時間までは抜かないでやるからねぇ。」
「・・・・・なかは・・らめれす・・・そろに・・そろに・・だひれぇぇぇ。」
　拒絶の声は轡に阻まれ、山本の耳には届いても鼓膜の奥には響かないでいる。

　あと１時間もすると、大量の淫液と精液にまみれた牡社長と牝社員との交尾研修が終わる。


２６−２

　下界の時間は、そろそろ会社員の帰宅時間がラッシュを迎えた頃。

「そりゃっ・・そりゃっ・・・ううっ・・でるぞ・・・ううっ・・。」
「・・ぐっぅぅ・・らめー・・・そろに・・らりれ！！」

　佳乃の膣奥への精の放出も三回目になると、最初の濃厚さを失い水溶性を増した精液がドッキングした二人の生殖器の隙間を流れ落ちる。
「・・はあはあ。・・もう限界だっ・・・。」
　齢５０を過ぎた男が２時間近く腰を振り続け自らの欲求を見ず知らずのはずの人妻に浴びせかけ、限界はとうの昔に超えてしまっている。が、女の体が自分の会社の人妻社員に瓜二つと言うこともあり、自らの限界をこえるほどに腰を振り続けた。

「・・・・・っうう。・・もう・・はなれれくららい・・あかりゃん・・れきりゃう。」
　佳乃の冷静な言葉は、満足しきって息が荒い山本には聞こえない。聞こえても抜くことはないであろうが。
「・・・はあっはあ。」
「ジリジリジリン・・・・・ジリジリジリン」
　時間を告げるベルが鳴り、重い扉が６時間ぶりに開き高山がガウン片手に現われた。

「嗜好会員様、お時間でございます。・・おつかれさまでした。」
　挿入した白ねぎのような肉棒をにゅるりと抜き去り、胡坐をかいて佳乃の大きく開かれた脚の間に座る。
「・・はあはあっ。」
「備品ＮＯ２６はいかがでございましたかっ？・・今後の教育の為にご感想をお聞きしたいのですが？」
　息を整え、立ち上がり高山に物申す。

「・・はあっ。こんなに興奮したのは久しぶりだね。家内と初めての夜以来だよ。」
「お褒めの言葉いたみいります。・・・備品のほうになにか粗相はございませんでしたか？」
「・・ちょっと肛門の匂いが気になったが・・リアリティがあって良かったよ。・・でも、本当は顔が見たいんだが・・・駄目かい？」
「・・・普通の素人を拉致してきておりますので・・・申し訳ございません。・・備品の顔を見ることで会員様にも迷惑がかかる事も考えられますので・・・・」
「仕方がないね。・・・でも顔が見えない分、会社の加山君をイメージして興奮できたんだから良しとするよ・・・中で大分出ちゃったが・・」
「ええっ。ご心配なく、こちらのほうで処理させていただきますので・・それでは、こちらのほうへ。」
　と高山が、山本を扉の向こうへ誘導すると、
「・・・奥さん、気持ち良かったよ。・・・今度はマスクなしで会いたいね。」
　気持ち悪い笑みをうかべ、山本は扉の向こうに消えた。



　研修部屋に一人拘束され、膣からは三回分の山本の牡汁を流したまま横たわる佳乃。マスクの奥の瞳には、こぼれた涙も枯れはて白い筋が引かれている。
「・・うううっ・・ろもゆきらん・・・ううぅっ・・ごめんならい。」
　出てくる言葉は、夫への侘びの言葉しかない。

　扉が再び開いたのは五分後、６時間前に性病検査キットを手にした男が一人で近づく。
「・・・激しいねぇ。・・あーあっ、ドロドロじゃねえか。こりゃいきなり孕んじまうかもなっ。」
　三治が悪態をつきながら、佳乃の脚を押さえ股間に蒸しタオルを当て淫らな汚れを拭い去る。
「あのおっさん、溜まってたんやなぁ・・・拭いても拭いても出てきやがる、子宮ん中満員電車なみやでぇこりゃぁ。」
「・・・・・うううっぐぐぐぐっ。」
　屈辱的な三治の言葉に、マスクの中で嗚咽する佳乃に対し拭い終えたタオルをマスクの鼻の部分にあてがう。精液の臭いに苦悶の声をあげている佳乃に対し、すばやく三治は両足首に枷をほどこしまたも四つんばいの体勢で、汚された陰部を男の前に強制的に露出させる。

「大人しくしてろＮＯ２６。おめえさんには特別に、いいもん彫ってやるよ。この三治さんがっ。」
　三治は佳乃のレザーマスクを外し、轡も取り外されようやく自分の声を取り戻した。
「いやぁぁ。もう帰らして、お願い・・・まだ何かするつもりなの・・・・はなれて・・・見ないでぇぇ・・・・。」
「おい備品女。・・・うれしそうに尻ふってんじゃねえよ。」
　三治は佳乃の尻の割れ目付近に脱脂綿に湿らせた消毒用アルコールを入念に揉みこみ、歯医者でおなじみの局部麻酔用の注射器をぶち挿した。
「ひっっっ・・痛いっ。・・・あなた医者でもないのに・・なにを・・まさか覚せい剤・・・」
「心配すんなって、ただの局部麻酔だよっ。・・・おれからのプレゼント受け取ってくれよ。」
　刺青彫り師が本業の三治は、佳乃に備品納品完了の刻印を染み一つない尻肉の割れ目付近に彫ることを命じられている。

　一方シャワーを浴び終えた山本は、セミナー７階のＥＶホールで帰り支度を始めている。
「それでは、会員様こちらを・・お願いいたします。」
　と目隠し用のマスクを被され高山の誘導でＥＶに乗り込む。高山が地下２階のボタンを押すと、
「・・あの子は・・どうなるんです？」
「ご心配なく・・・・あの備品はもうこの世界には住民票はございません・・・ですので・・この嗜好研修のことは、他言無用ということでお願いいたします。」
「・・・もし私が・・しゃべってしまったら・・・」
「その時は・・・・会員様の住民票も戸籍もこの世からは抹消されることでしょう。」
「・・・・・・・・。」
　静かなる脅しに山本の背筋が凍る。

「チンッ」
　ＥＶの扉が開き、マスクのままワンボックスカーの後部座席に座らされる。
「では・・・またのお越しを・・・・」
　と高山が言うと、そのまま監視員らしき男が中からスライドドアを閉めた。

「プップッ」
　軽いクラクションと共に車は、現実世界のまだ宵の口な街に向け走り始めた。
「おっさん、口を滑らすなよっ。・・・まぁ動画が残ってるから、何とでもなるがな。」
　高山は、地下２階にある監視員や配送班がつめる控え室にむかいドアを開けた。

「おつかれさんですっ。」
　中からは、どこかの組事務所のような挨拶が飛び３チーム６人が麻雀や花札を時間つぶしに行っている。
「おいっ・・上山となんだったかな、おめえさんは・・」
「はいっ佐々木です。」
　麻雀に興じていた丸坊主の男が高山に対し名を名乗る。
「・・おう、佐々木やったな・・そろそろＮＯ２６の配送の時間やっ・・準備しとけっ。・・・」
「はいっ・・。」
「始めが肝心やから・・気いれてはこべや・・ええなっ。」
「ええっ分かっております。・・お任せください。」

「・・・ところで、おまえさんどっかで昔、俺とあってねえか？・・なにか思い出せねえんだがなぁ。」
　高山が佐々木と呼ばれる監視員の顔をじっくりと見ると、
「こんな顔なんて何処でもおりますからっ・・・丸坊主の極道つぶれなんて・・はいて捨てるほど。」
「・・そうか。おめえさん・・どこの組にいたっていったかな？」

　佐々木は間髪いれずに、
「ええ、桜田組ですよ・・成田空港の近所の小さな組ですよ。」
「へえ、しらねえなぁ。・・・・まあわしは関西の人間やし、関東の組織のことは・・そやけどおめえ、下手打ったわりには・・・」
　と高山は小指を立て佐々木に詰問する。
「・・・いやぁ・・お恥ずかしい話、最近の組は金で何とかなる面もありましてね。」
「なるほどっ・・・女かなんかに貢がせた銭で、指ひろたわけか。」
「・・・はいっ。」
　佐々木は、頭を掻きながら高山の笑う目に安堵する。

「・・・・おいっ佐々木。」
（なにか・・まずいこといったか？・・おれ）
　なにかに気づいた高山が佐々木の目を睨み付け、
「その西っ切るなよっ。・・上山のおっさん国士の聴牌や・・それも１３面待ちやで。」
　上山が、高山に対して、
「そりゃないっすよ・・高山さん・・・Ｗ役満なんて久しぶりやのに。」
「はっはっは・・・・・・・」
　高山は大笑いで、ＥＶホールに消えた。
（・・どこまで本当なのか・・あのおっさんわかんねぇ）

　佐々木は一抹の不安を心に残し、ＮＯ２６加山佳乃の配送準備を始めたころ、三治は備品納品完了の刻印を彫り終えていた。