３４　嫉妬心

　晴天が続く５月末、デイトレードで財をなした田辺はパソコンのモニターの前で不機嫌そうな顔をしている。

「・・備品ＮＯ２６に入札２７件だと・・・なにっ落札者はこの前のＩＤじゃねぇの。・・・」
　５月２６日の佳乃への入札をしていた田辺は、自分が落札者でないことを知る。仮想通貨の表記ではあるが、日本円にするとかなりの高額な入札金額であるにもかかわらず違う男にさらわれてしまった。田辺の中で、佳乃への期待と、連続落札者への嫉妬心がメラメラと燃え上がる。
「どんな奴なんだ、ただの変態爺かもしれねぇな。・・・一度顔を拝ませてもらいに行くか。」
　嫉妬心にかられた田辺は、見知らぬ相手への挑戦を心に誓った。


　黒い袋を頭にかぶされた佳乃は、配送車のなかで佐々木から今日の研修内容を聞かされている。
「・・・・・ということだ。備品ＮＯ２６・・・聞いてるのかっ。」
「はい・・・聞いています。」
　袋のせいで多少聞き取りにくいが、返事の声に力が入っていない佳乃に対し、佐々木は端末のボタンを押す。
「・・・ぐうううぇぇぇ・・痛っ・・・はい・・・喜んで研修させていただきます。」
　言わされてるとはいえ、屈辱的な言葉を詰まらず言えるようになってしまったのには、この延髄への強烈な痛みが関係している。家族への仕打ちを恐れるのと痛みへの恐怖が相乗し、反抗と従順を繰り返し続けて最後には反抗を忘れ服従を誓うようになっていく。嗜好研修所では、服従が顕著になり始めると備品を国際的な人身売買のオークションにかけ、また新たな飼い主へと売却されていくのである。首筋に植えつけられたチップにより神経への電気的な刺激を与え、備品女たちを制御していることは、当の備品達には教えられていない。
「もう少し、自分の置かれている立場を考えろ。気持ちいいことやって、借金減らしていってるんだありがたいと思え。俺達なんか一つも気持ちいい事なんかねえんだよっ。」
「うぅぅぅ・・。」
　マスクの奥からくぐもった嗚咽する佳乃の声が聞こえてくると、佐々木は唇を噛み締め、進行方向を見つめる。その前を向いた目は、なにやら光を失った曇った目をしていた。

　車内が無言のまま数分が過ぎ去ると、高級住宅の間口の広いガレージに横付けし監視カメラへむけ、ヘッドライトを二度三度とパッシングをした。
「着いたぜ・・備品ＮＯ２６・・・今日はここかぁ。でけぇぇ家だなぁ。」
　いつもの研修所ではない建物に、配送班の上山が声をあげる。

　シャッターの前で１．２分待機していると、自動的に駐車場の７Ｍ半ほどのシャッターが開き始めた。開き終えるとそのままバックで車を入れ、ギアをＰに入れエンジンを切る。すると再びシャッターが閉まり始め、ガレージは再び闇に包まれる。

　完全に閉まるシャッターがガチャンと音をたてた時、頭にかぶされた袋を取り外した佐々木は佳乃の怯える目を睨み、車内での脱衣を指示した。
「脱げ・・・いまから・・そうだな明日の夕方４時までの、３０時間は真っ裸で研修だ・・いいな。」
「・・は・はい。」
　手錠を外された佳乃は、抵抗することもなく着てきた服を全て脱ぎ去ると下着にも手をかけるが、少しだけ躊躇する。１０秒ほど手を止めると首筋への激痛を恐れてか、ブラを外しパンティーを脱ぎ去る。潔く全裸になった佳乃が身に着けているものといえば、友之との結婚指輪のみである。そこに佐々木は、備品ＮＯ２６と書かれた皮の首輪を取り付け鎖の先を握り、再び後ろ手錠で拘束し備品女としての装飾を終えた。
「おいっ、備品ＮＯ２６これからはラフな格好で来い。どうせ裸でパコパコするだけの備品女なんだ、ややこしい服着てくるんじゃねぇ。」
　ただおま○こを使うだけの備品だと言われる屈辱と、そういう行為だけをしにいくことが判っているはずの自分がつい普段着以上の格好をしていることを佐々木に言われて気づき、恥ずかしさを覚えた。そんな衣類をカバンに無造作に詰め込まれると佐々木に座席の後ろに投げられ、この先の時間一糸纏わぬことを想像させられた。

　監視員である佐々木は、染み一つない佳乃の裸体に興味を示すことなく監視員としてだけの使命を全うしようとスライドドアを開き社外へと佳乃を送り出そうと引っ張り出した。それはまるでサーカスの虎をステージへと送り出す飼育員のように。
「さぁ行こうか。」
　二人が車を降りると、地下へと続く階段を１３段ほど降り始める。配送班の上山は、はじめて見る佳乃の裸体の後姿のシルエットに、
「いい尻してんなぁ・・・・もったいねえ。・・・実にもったいねえ。あの尻や、おま○こ、つかいこまれてグズグズにされちまうんかぁ・・・・これからの人生、生き地獄かぁ。」
　自分の女でもない佳乃が、様々な変態の餌食になることが少し不快な感じを上山の心の中にこみあげる。

　異様な静けさの地下階段を１３段降りきると畳一枚ほどのスペースに飼育員とサーカスの曲芸用の動物のような二人が並ぶ。

　監視カメラのランプが点滅し二人の行動を確認すると、ガチャリと重々しく扉が開いた。
「よくきたな・・まっぱかぁ。やる気満々のいい格好だなぁ。・・・備品ＮＯ２６・・ハハハハッ。」
　そういいながら出てきた男は、真っ裸の大友勝その人であった。

　初対面ではないが、足を少し交互にし黒々した陰毛への視線を極力少なくしようとモジモジしていると、
「恥ずかしがるなよ、初めてでもねえんだろが。・・・今日の会員様は二回目じゃぁねえか。勝手知ったるおチンポ様じゃぁねえか楽しんでこいっ。・・・ハッハハハ。」
　鎖を手にした佐々木は、佳乃に対し見下した言葉を発するが、当の佳乃は顔を斜め下にそむけ聞かぬ振りをしている。

「うるせえんだよっおめえ・・監視員の分際でさぁ。・・・おまえなんて名前だったっけ？」
　明らかに年下である勝に見下された佐々木は、少し眉間に皺を寄せ答える。
「はじめまして、佐々木と申します。・・・最近入ったもので・・・今後ともよろしくお願いします。」
　佐々木は、手にしていた鎖を勝に手渡しながら後ずさりを始める。

「佐々木さんかっ。・・一人面子がたらねえんだけど、あんたもこいつらと繋がっていくかい？・・・・・安くしといてやるけど・・一晩２０万でどうよっ。」
　高額な金額を言われ完全に小馬鹿にされた佐々木は唇を噛み締めながら、
「いいえ、結構でございます。・・・わたしはこれで失礼します。」
　頭を下げながら階段を上ろうとする佐々木を再び呼びとめ、嫌がる佳乃の尻の割れ目に手を差し入れながら勝が、
「おいっ・・・これで飯でも食えよっ。・・牛丼ぐらい食えるだろ。・・ハハハッ貧乏人の大好物なんだろ牛丼って・・・俺はこの人妻女肉丼、たらふく食うからさぁ。」
　勝は、千円札を数枚投げ去り、鎖を握り佳乃と一緒に扉の奥へと消えた。屈辱的ではあるが佐々木は、嗜好会員とのトラブルを避けるため床に散らばる札束を握り階段を駆け上がる。
「くそガキがっ・・・・」
　この一言は、分厚い扉の向こうには全く届いていない。


　地下室はかび臭く、ひんやりとした空間が広がっている。そこに引き入れられた佳乃は、鎖を引っ張られると、
「かえらせて・・・」ポツリと小声でつぶやいた。
「ようこそっ、犯され願望の佳乃。・・今日はレイプ好きの先輩呼んでねぇから残念だろうけど、そのうち紹介してやっからな、首を長くして待ってろよ。」
「・・・・・もう、虐めないで・・・・ほんとに帰らせて。」
　後ろ手錠のまま背中を蹴飛ばされた佳乃は、キングサイズのベッドにうつ伏せに倒れるともう一人そのベッドに横たわる人間の肌の感覚が頬に当たる。
「うぅぅうぅぅ・・・・・ふふふぅぅぅぅ。」
「・・どうされたの・・・このひとは、誰ですか？・・・」
　鎖を再び手にした勝は、ベッドに縛られたまま横たわる全裸の亜矢に蹴りを食らわせ、ごろりとベッドから摺り落とす。
「ドサッ」
「手荒なことはやめなさい。」
「俺に指図すんな。・・・・・・こいつはお前の先輩にあたる元備品ＮＯ２６の三波亜矢さんだよ。・・・・あっ・・旦那に捨てられたから、旧姓に戻ったんだったかな。まぁどうでもいいがっ。」
「うぅぅぅぅぅっぅ。」
　ベッドの下で、嗚咽する亜矢の股間には怪しくうねるバイブが亜矢の今までの陵辱具合を想像させる。それと自分へのこのあと３５時間に及ぶ嗜好研修の恐怖が頭をめぐらせた。

「亜矢、そこでお友達のバイブ君とよろしくやってろよっ・・俺はこれから朝立ち押さえの一発決めるから・・・この後輩備品ＮＯ２６の佳乃となぁ。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ。」
　言うが早いか、抱きつくが早いか後ろ手縛りの佳乃をたやすく組み敷きベッドの中央に転がした。まだ今回の嗜好研修が何なのか知らされてないことは、女の悲鳴をあげている佳乃にそんな余裕はなかった。


３４−１

　背後にピタリと張り付いた勝は、首をスリーパーに締め上げあまった左手で繁茂した陰毛を撫でるようにさすり始める。
「嫌です、・・・そんなとこを触らないで・・。」
「どこが嫌なんだ・・・嗜好研修ってことはＳＥＸしに来てるのはわかってる筈なのに、おまえバッチリ化粧してきてんじゃぁねえか。・・・やる気満々なんだろ。」
「くっ・・・そんなつもりじゃ・・・あぁぁぁはぁぁぁぁ。・・だめっ・・指でいじっちゃだめっ。」
「声あげんの、はえぇって・・ハハハ・・・クリ、一触りで声あげてんじゃぁねえよ。」
「あぁぁぁん・・・はっぁぁぁ・・・いやっ・・・触ったら・・・だれでも気持ちよく・・・・なっちゃうからっ・・・あぁぁぁぁん。」

　１７歳の指先は、７っ上の佳乃の敏感な陰核を確実に剥き上げ、少し滲み始めた淫液を指先に纏わさせ老獪なテクニックを披露する。前回の研修では勝自らの腕を見せることなく、まんまと人妻を痴女にしたてあげ４回もの交尾を味わうことが出来た。今回の嗜好研修にて佳乃を自分の３人目のペットとして、接待用として更には収益用の備品へと陥れていく第２段階を発動させるには３０時間は有り余るくらいであろうと、この喘ぎを聞き大友勝は佳乃の髪の毛の匂いをかぎながら感じ取っていく。

「まだ、お豆触って一分もたってねえのにこれじゃぁ明日の夕方には声枯れちゃうぞっ・・まぁそんなに気持ちよくなりてぇんなら、いっくら声上げても構わんぜ・・防音バッチリだからよっ。」
「あうあうあぅぅぅぅぅぅ・・・・・・あうあうあうぅぅぅぅん・・はぁぁぁんぁぁぁ。」
「これかっ・・・こうかっ・・・この前は攻められっぱなしだったから、今日はいっぱい楽しませてやっから期待しとけっ・・・おっおっ・・おま○こニュルニュルしてきたぞっ。」
「そんなことないっ・・・あぁぁぁあぁぁあぁ・・・はうはうはうぁぁぁ。」
　指先の動きは、執拗に敏感になった陰核を剥き上げながら擦り上げいつしか佳乃は否定しながらも、喘ぎ声を大きくしていった。

　耳元で勝は、自分の指先で感じているいやらしくヌルヌルとぬめり付く液体の正体を詰問する。
「これってなに？・・ねえ、・・・お姉さん、なにか出てるよ。おしっこかなぁ？・・・・ヌルヌルしてるから違うのかなぁ？・・病院に行こうか？救急車呼ぼうか？」
「はうぅぅぅぅ・・・ああぁぁぁ・・・あうあうぅぅぅっぅ。・・・からかわないでぇぇ。」
　勝のからかいの声に耳を貸せずに、陰核への責めに屈していく佳乃は拒否や否定の言葉も快楽には負けるのだろうか。意志の強い佳乃をもってしても性的な快楽には簡単に屈するただの牝なのだろうか。そうではないのか、いやがる素振りを若い男が喜ぶのを見越しての受け流しなのか佳乃に聞いてみなければ判らない。
「あうあう、じゃぁわかんねえよ。・・・・気持ちよくなってしまえよっ。」
「・・・・あうぅぅ・・ひっ・・はぁはぁぁぁ・・・だめっだめっこすらないでぇ・・い・・くっ。」
「擦るのがいいのか？・・・皮の上からつまむのがいいのか？・・どっちだよ、お好みに合わせてやるからはっきり言え・・・」
「そんなぁぁぁ・・こと・・いえまぁぁぁせん。」
「言わねぇんなら・・監視員に言って家族全員、始末してもらうか？」

　家族の命のために観念したのか佳乃の喘ぐ口からは降参の言葉がついに発せられた。
「・・・か・皮の上から・・・つまんで・・・はうんっ。・・・はうんっ。」
　この言葉からも佳乃の嗜好会員たちへの抵抗は４回目の嗜好研修にして、早くも崩れ去っていっていき、これ以上の牝の抵抗は当分の間起こらなかった。

「エロい嫁だなぁ。・・クリの皮の上からコリコリされるのがいいのかぁ。・・・こうかっ。」
　勝に組み敷かれたままで小刻みに震える佳乃の体は、尖った陰核をつままれることにより大きく仰け反り牝の快楽に揺れ動かされている。
「はうんっ・・・あぁぁはうっ。・・・・・あうあうああうぅぅぅぅ。・・いいいっ・・気が変にな・・・・るぅぅぅぅぅ。」
「これくらいで変になってもらったら困るんだよ。色々とイベントがあるんだからさぁ。・まだフルコースのメニュー開いたくらいだぜ・・・。」
「あうあうあうぅぅぅぅ・・いっいっいいのぉ。・・こんなの・・だめぇぇん。」
「そんなにいいのかぁ。・・じゃぁ備品の言葉で、おねだりしろ。特級嗜好会員様に仕込まれてんだろ・・・そこの亜矢もいまだに覚えてっから、俺に言わされてるんだぞっ。」
「・・ううっ・・このままじゃぁ・・おかしくなる・・はうんっ。」
　大島からの伝達を知らされている勝の言葉を理解せず、自分の陰核への刺激しか気にならないでいた。

「そうかいそうかい。・クリでイカセてほしいんだなっ。・・・はっきり言うんだよ、このエロ備品。」
「・・クリトリスで・・・あうっ・・一度・・いかせて・・・あうあぅぅ。」
「よっしゃいいだろう。・・・それそれっ。」
　勝の左指は佳乃の硬直し始めたピンク色の陰核包皮を二本の指で挟みこみ、絞り込むような動きで陰核への刺激をハイスピードで与えている。余った右手はこれまたいつの間にか赤く尖りきった乳首を陰核の包皮への刺激と同じように挟み込み刺激を与え、快感神経にこれでもかと言うほどのエロ信号を送り続けていく。

「あはぁぁぁぁぁぁ・・だめぇぇ・・いくぅぅぅぅ。・・いやっいやっ・・パパァ・たすけぇぇてぇぇぇ。」
「ハハハッ・・いきやがった。・・・エロい嫁が旦那に助けを求めながらいきやがった。・・まだまだいけやぁ・・・ほりゃ・・ほりゃ。」
「あうあうあぅぅぅ・・だめ、コリコリしなぁぁいでぇぇ。・・あうっまた・・いっくぅぅぅ。パパぁ・ごめんなぁぁさいっ・・いいいっ。」
　首を仰け反りビクンビクンと体を震わせたかと思うと、大きな声をあげて快楽の虜へと落とされていってしまった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・。」
　まだ年端も行かぬ勝に、陰核包皮責めで牝の快楽をインプットさせられた佳乃は、フルコースのメニューを開いたあとのオーダーへと進む。ベッドの下ではいかされた佳乃の声だけを聞いた亜矢が、内に秘めた嫉妬の心を解放させる準備を始めていた。


３４−２

　勝が摘んだままのクリトリスは、心なしか赤々と紅潮し包皮から尖った淫芽を発芽しようとしている。

「はあ・・はあぁぁ・・はあぁぁ・・・はあぁぁぁ。」
　淫らな喘ぎ声が荒い吐息に変化した佳乃の背後には、屹立した肉棒をしごき上げる勝の姿がある。濡れそぼった人妻のおま○こに狙いを定め、朝立ちから続いている勃起状態を鎮めるための交尾をいまかいまかと待ちわびているような感じが、肉棒の鈴口付近にみられるようだ。精管の潤滑を司るカウパー氏腺液は、カリ首付近まで垂れ下がり密接している佳乃の尻たぶを汚していた。

「摘んで剥き上げたらもう、こんなに赤くなっちまってさぁ。恥ずかしくないの？人妻でしょ・・・、まったく。」
「はぁぁぁ・・・これ以上、女を・・辱しめないで・・・はぁぁぁ。」
　背後にまとわり付く勝は、佳乃の纏め上げた髪の毛を無理やり引っ張り顎を反らせ耳元に囁いた。

「何度も言わすなよ。監視員に言って・・佐々木って言ったかなさっきの奴。・・娘や旦那・・始末させるぞっ・・・。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。・・もういいません。・・嗜好会員様のおっしゃることは何でも聞きます。・・・なんでも・・なんでもぉぉぉ。」
　佳乃は、嗚咽しながら勝のご機嫌を伺いすべてを受け入れることを自らの口から発してしまった。

「いいだろう。・・・この辺で今回の、俺の嗜好研修の内容を教えてやるよ。」
「うぅぅぅ。・・・うっうっ。」
　嗚咽したままの佳乃は、目をつむり涙を貯めたままその言葉を聴いている。勝の片手はまだ、陰核包皮をいじくったまま感情を殺し、こう囁いた。

「生贄嗜好研修・・・・。」

　一拍おいた後、佳乃は社会生活ではあまり聞かない言葉を聞き返す。
「・・・いけ・・にえって・・なんですかっ。・・・・なんの生贄なんですかっ。」
　後ろを振り向いて、勝の表情から何かを探ろうと振り向こうとするのだが、首を曲げることを掴まれた髪の毛で制されている。
「まぁ・・時間が経つにつれ、なんの生贄か、どんな風に生贄になるのか、わかるから心配するなって・・・・まぁ、お前だけじゃなく、そこの亜矢も生贄候補の一人だから・・・。」
　ベッドの下で転がっている亜矢もいまの一言を聞き取り、喘いでいた顔を恐怖の顔に変え、股間に突き刺さるバイブの動きを一瞬忘れ去ったかのように声をあげた。

「・・勝さま、それだけは・・ご勘弁を・・・・一生・・性の慰め者でも構いません。生贄だけは・・・・・こらえてくださいっ。・・・うぅぅぅぅ・・あうぅあうぅぅぅ。」
　亜矢の懇願がいったい何を示しているのかさっぱり理解できない佳乃は、その内容を知る亜矢に対して質問を浴びせる。
「亜矢さん・・・いったい何なの生贄って？・・・勝さん・・・教えてください。」
「・・・まぁルールだけ教えてやるよ。亜矢は知ってるから黙っとけよっ。」
「・・はいっ・・あうぅぅぅ。」
　勝への服従なのか生贄嗜好研修の恐怖を知っているのか、亜矢は大きく頷き黙りこくった。

「ルールは、単純さっ・・これから三十分後の１０時から明日の夕方４時までの間に、俺の運営するライブチャットの会員さんたちに、亜矢と佳乃、そしてスタンバイしている由香里の三人の交尾姿をウェブ上で見学してもらい、最後にアンケートを取った結果、最下位だった女が今回の生贄に、ある組織に提供されるんだ。・・・こんなとこだが質問は？」
「・・・顔を見られてしまうんじゃないの？・・・そんなことをしたら・・・。」
「ああそうだよ。なんだ佳乃、恥ずかしいのか？なんなら目隠ししてやろうか？」
「顔が見られたら・・・こまります。」
「判ったよ。・・だけど目隠しだと人気がでないから・・最下位確定だけどいいのかなぁ。」
　全てを知っていて、優しい言葉をかけた勝は佳乃への揺さぶりをほくそえみながら投げかける。
「最下位は・・嫌です。・・・目隠しなしで・・お願いします。・・・くぅぅぅ。」
「よっしゃ・・物分りがよろしい。・・では、さっそくプレーヤーを選んでもらおうかな。・・由香里はもうすでに準備に入ってるから・・それでは佳乃・・・ハンデキャップだ最初に選ばせてやるよ。」

　と、なにやら三枚の写真を差し出しパートナーを決めるよう勝に促がされる。一人目の写真には、大柄の身長２ｍあまりの黒人が、二人目の写真はアジア系の小柄な男が、三人目の写真にはでっぷりとした腹をした日本人ではあるが、垢にまみれたホームレス風の男の写真が目の前に差し出される。どれを選んでも大差のない吐き気をしそうなくらいの男たちであったが、拒否をする選択のない佳乃は思い切って一つの写真を指差した。
「ほおぉ・・・こいつは驚いた。・・・垢太郎を選ぶとは。」
　佳乃の指差したのは、三人目の垢がこびりついたホームレス風の男であった。心の中を読み取れたわけではないのだが、佳乃に芽生え始めた犯され願望が徐々に蕾から開花へと順序だてて成長しているのを勝は実感している。
「・・・じゃあ・・亜矢は・・・誰にするんだい？。」
「・・・・・・黒人さんで・・・お願いします。」
「アレックスをご所望ですか・・・・じゃぁ由香里には蔡さんをあてがうか。・・よし決まった。」
　勝は立ち上がり、佳乃の背後から体を離し亜矢と佳乃の首輪からぶら下がる鎖を手に手繰り寄せた。扉の向こうへと二人の尻を蹴りながら競馬場でのパドックを思わせる感じでライブチャットのウェブカメラの繋がっている部屋へ入場させた。そこには、


「由香里・・おまえの相手は蔡だっ。・・亜矢は、おまえの大好きなアレックスだよ。・・・初出場の佳乃は・・・お前らが泣いて喜んだ垢太郎さんだよ・・・・ハッハハハ。」
　由香里と呼ばれた女の格好に佳乃は絶句し逃げ出そうとしたが、勝の握る鎖が手繰り寄せられ由香里の姿を涙に濡れた目にジュウジュウと焼きつかせている。
「いやぁぁぁぁぁ・・・こんな・・事って・・。」
　裸で四つんばいにされた女の姿は別段、気にするべきことでもないのだが由香里の手首と膝から下の部分がモルタルの中に埋められ身動きの取れないオブジェのような姿で固定されていたのだ。

「由香里、もう固まって動けねえだろ。背中のビーカーの中の塩酸、よくこぼさずに朝まで我慢してたなぁ・・・蔡の責めに耐え切れたら・・恐らく最下位にはならねえだろうから・・モルタル壊してやるけど・・最下位ならそのまま生贄行きだから覚悟してろっ。」
　四つんばいの裸体にベルトで固定されたビーカーの中には、透明な液体が半分ほど入れられている。勝の言葉をそのまま鵜呑みにしていた由香里は、塩酸だと思い込み手首と膝下にまで埋められた生モルタルの凝固作用を涙目ながらに１２時間ほど我慢していたようだ。
「・・・由香里さぁ。・・・俺が塩酸なんて使うと思ってたのか？・・心外だなぁ。」
　その言葉を言うが早いか、ビーカーの液体を由香里の背中に全てを流し去った。流し終えた液体は、由香里の肌を焦がすこともなく固まったモルタルの上に水溜りを作っていく。

「あうっあうっ・・・まさるさまぁぁぁ・・生贄にださないでぇ・・・由香里はまだ勝さまの・・うっうっ・・元においてくださいぃっぃぃ。」
　涙をボロボロこぼしながら生贄への恐怖は、亜矢も由香里も同様な拒否反応を示している。
「俺のこと信用してなかったんだろ・・最下位になってもらっても俺は悲しくもなんともないぜ。」
　由香里の自分を信用しなかった態度に突き放すように言い放った。由香里は亜矢以外の視線を感じ、亜矢と自分が生贄候補にあげられた原因である佳乃にむけて嫉妬心を露にさせる。
「亜矢さんと二人で・・ライブチャットもがんばりますから・・そこの女なんか相手にしないで勝さま。・・そんな女なんかに・・・・」
　その懇願も勝には届かず、
「よし、それじゃあ・・蔡っ・・亜矢と佳乃の拘束を始めろ。・・五分後にスタートだ。」
「ワカリマシタ・・イツモノコウソクネッ。」
　蔡と呼ばれた四川出身の小男が笑顔を見せ、親指をたて佳乃に近づき始めていた。


　１８畳あまりの部屋を３つに分けるようにパーテーションで区切り尚且つそのスペースに入るために、牢獄のような格子が生贄の意味を知らぬ佳乃の恐怖心を煽っている。入って右側の牢には、モルタルで固定された由香里と蔡が、真ん中の牢にはマットレスの上に大の字に固定された亜矢が黒人のアレックスと、左端には両の手を後ろ手に回され手の甲を合わせ全ての指を指錠で固定されうつ伏せに転がされた佳乃が何ヶ月も風呂に入っていないだろうと感じさせる垢太郎と呼ばれる中年男に尻を撫で回されている。嫌がる人妻佳乃の尻を振る姿に笑みを浮かべ、正座で勝からの命令を待ちわびている。

「カメラのセットアップも完了した。・・よし、スタートだ。・・・俺、今から学校いってくっから・・・皆、せいぜい喜ばしてやれよ。」
　仕掛け人が全てを見ることなく放置した三匹の極上の牝と三人三様の牡との交尾中継が幕を開けた。