３９−２

　無言のままレザーマスクの男に女の奥底を覗かれた神川愛が屈辱の涙をこぼす。

「もう・・ゆるして・・帰らして・・何も言わないから・・・お願いです。」
　とレザーマスクの横山に対し哀願する。
　横山は何も言わず、開かれた愛の膣内に細い耳掻きのような金属の棒で子宮口を刺激する。

「・・いいやぁ・・なんでも・・いいます・・だから・・そんなことしないでぇ。」
　その声に、手の動きをとめ無言のままスケッチブックを取り出し文字を荒々しく殴り書き、箇条書きされた文字を愛に見せ付ける。

「・・・しゃべれば・・かえしてくれるの・・点滴はずしてくれるの？」
　愛の言葉に無言でうなずく横山に、ぼそぼそと話し始める。

「話します。・私は神川愛・・・巡査長・・大沢警察署生活安全課所属・・・」
「・・・県警の捜査２課の協力で・・セミナーに詐欺の証拠・・を集めるよう・・潜入してました。」
「・・それだけです・・・お願いします・・点滴をはずして！・・ねっ話したでしょッ。」
　涙をこぼし、警察官の任務を忘れ自分の生への執着のみで職務を明かしてしまう。

　愛が話した内容をあまり気にせずに、自分の医者としての体への尋問に集中している。
　横山が開ききった膣内になにやらスティック状の海綿で出来たものを強引に子宮口に挿し込むと、
「痛っ・・しゃべったから・・かえして・・そんなとこ・・さわらないでぇ。」
　クスコの嘴を閉じ、愛のまだ出産を経験したことのない子宮口に挿し込まれた海綿状のスティックを残したまま引き抜かれる。愛は子宮口をいじりまわされただけと勘違いしクスコを抜かれたことに安堵する。

「だめっ・・そんなものなめちゃ・・いやっ・・」
　愛の膣肉を堪能し、閉じられたクスコにべっとりと付着した女性警察官の白濁した膣液を口にふくんだ。
「・・・・・・もう・・やめて。」
　と自分の女の分泌液を口に含まれ、屈辱的な状況でも反応してしまう牝の本能に自戒する。

　愛の落ちていく顔を見、横山は再びスケッチブックに尋問を書き込んでいる。
「・・それは知りません・・私は・・そこまで知らないんです。・・誰が指揮してるかなんて。」
「どこまで捜査が進んでるかも知りません・・あまり・・証拠もそろっていませんし・・本当です。」
「信じてっ・・・解放してくれたら・・なにも・・なかったこと・・２課にいいますから・・」

　横山は監視カメラのほうを向き、そのまま立ち上がると右側にある混合された点滴液を愛の血管へ注入し始めた。
「いいいいいっいやっぁぁぁぁ・・・殺さないで・・止めて・・・しゃべったじゃない。ぜんぶっ。」
　死の淵においやられた若い女の叫びを楽しむかのように横山は隠されてない口元が緩んだ。
「・・・ひひっくひひひひっひく・・・・うううっうぇ・・」
　両方の目から涙をこぼし、透明な鼻水をもたらし、尚且つ小さな尿道より通常より濃い目の小便を漏らし横山の座っていた椅子にむけ放物線を描いた。

　画面を食い入るように見、スピーカーからの愛の叫び声を聞き大島は、
「おい。金山どう思う、こりゃただの歩やで。将棋の駒のひとつやっ。」
「ええ、おそらくあまり知らされてないんでしょう。・・・単なる巡査長ですよ。所轄の駒。」
「せやけど、ココまでしてしもたら、普通に玄関から帰らすわけにいかんな。」
「県警の捜査２課くらいなら、総帥のコネでなんとでもなるが。この女ポリどう始末するかな。」

　腕を組み、いつのまにか大島の背後に立った男が、
「・・・神崎組使うしかないだろ、大島。」
「・・そ・総帥っ。・・・見ておられたんですか。すんません・・・へたうちまして。」
　大島は、頭をかきながら総帥にこびへつらう。
「いやっ、大島。危ないとこだったんだよ、内定捜査が終わってたら始末に時間がかかりすぎる。」
「この程度の証拠までなら、警察上層部くらい軽く手を引かせられるコネはいくらでもあるんだ。」
「はい。申し訳ありません、総帥。では警察のほうはお任せします。神崎組のほうは私が・・。」
「・・では頼んだぞっ。・・・」
　とそのまま部屋を後にしながら、携帯をどこかへ発信する。
「・・・・あっ水野です。お久しぶりですね、・・小池参事官は今どちらに？・・ではお昼でも・・」

　総帥のコネになにやら恐ろしさを感じつつ、大島のほうは裏のコネを使い神川愛の始末にかかる。
「・・神崎組長でっか・・・わしです。・・大島です。」
「久しぶりでんなっ。どないしたんや大島さん。あんたからの電話は・・よからぬことですなっ。」
「ええ。ちょっと訳ありで・・・頼まれごとですねんけど。」
「・・よろしいで気にせんと言ってや。・・どないしましたん。」
　と関西なまりの言葉で神川愛の行く末を決めていく。

　点滴液が血管へと流れ込んでから５分ほど経つが、愛の体には何の変化も現われない。
　頭の嗜好回路はだいぶ寸断されているが、まだ生きている自分を実感している。
　もう１つの点滴液が流れ始めないように、レザーマスクの男に服従する。
「・・・・うえうぇうえぇ・・おでがいじまず・・・なんでぼ・・いうごどぎぎまずがら・たずげで。」

　懇願する愛に構わず、耳元に流れ込む大島の声に反応する。
「・・先生。・・警察の件は上手くいきそうです。・・女は神崎組に任せまっさかい。」
　カメラに向かい、少し頷く横山。神崎という名に、
（神崎組か・・この女の体・・またあの馬鹿にピアスやら刺青だらけにされるのかっ。もったいない。）
　と神川愛の行く末をなげく。
　
　色々と書かれた紙を愛に見せつけ、再び回答を求める。
「・・れんらぐは・ふつかにいちど・・よるの・・はちじに・・げいたいに・・ひっくっ・・じます。」
「・ぎのう・・うぅぅぅぅぐ・・してないので・・きょうの・・はちじ・・にでんわじないど・・。」
「・・・・・ごれだげなんでず・・わ・・わたじがじっでるのは・・うぅぅぅっぅぇ。」
　それだけを聞くと椅子を離れ、処置室から出て行く横山。
「・・・はずじて・・・しゃべっだがら・・はずじて・・れんらぐしないと・・はちじになる。」
　と愛は自らの警察官の立場を忘れ、生命の保全に必死である。

　まだ時間はＡＭ１０時をまわったとこだが。


３９−３

　監視小屋に三悪人が集い神川愛への判決を下す。

「神崎には話がついたで、女ポリの家に白い粉やら葉っぱやらを隠してなっ。それから垂れ込みいれるらしいんやっ大沢署に。あの女、生活安全課やけど自分の部署にガサ入れされて・・ジ、エンド。」
　大島は首に手をやり、その手を水平に動かし首切りのジェスチャーをしている。

「まあ、その後はそのまま失踪した女ポリは懲戒免職で全国指名手配されるか、警察の自浄効果でなにもないまま闇に葬られるかのどちらかやな。うちには１つ備品が増えて、それも現役の婦人警官やっ。」
「部屋にある制服やら警察手帳やら小道具つこたらみんな喜ぶでぇ。」
　金山の呆れた顔をみながら横山が、
「今日のうちに失踪させるんですか？」
「そうや、なんでもはやいほうがいい。先生には女ポリに家の住所やらを聞きだして欲しいんですわ。」
「それぐらいたやすいがっ。午後の八時にはなにやら連絡をしなければまずいことになりませんか。」
　時間を気にし、横山が尋ねる。

「先生、昼には警察上層部に総帥が話をつけてるでしょう。そやから後は女の処分だけでんねん。」
「いまから住所聞いたら、すぐに神崎のとこのもんがおなごの家にしかけますやろ。」
「あっというまに・・・終わりですわ。女も、潜入捜査も。」




　外の時間の昼が過ぎ、処置室の時間は真夜中の０時になった頃。
　神川愛の自宅には神崎組の指図で若い男と若頭の木下が愛のバッグからせしめた鍵でドアを開ける。
「ガッチャ」
　皮手袋をはめ、靴にナイロン袋をかけ進入する。

「若頭、・・いい匂いがしますよ。この部屋、どんな女の部屋なんすかっ。」
　若い組員は何も知らされずこの場に来ている。
「うるせぇ。だまって言われたことをしろ。」
「へぇ。すんまへん。」
　と木下の恫喝にビクつきトイレに向かい、水洗タンクの蓋をあける。
「若頭ここでいいんでっか。」
　とビニール袋に入れられた少量の白い粉と別の袋に入れた乾燥大麻を水の溜まったタンクに入れる。
「ポンプはどこに・・」
　と言いながらタンスをあけ、引き出しの中の色とりどりの下着の中に注射器を潜り込ます。
「これだけでっか・・・・若頭。パンツもって帰ったら・・・あきませんよね。」
「あほうっ。・・一枚だけにしとけ・・・ポケットにしもたら車に戻っとけ。」
「へいっ。」
　と若い男は地味目な下着をポケットにしまい、小走りに外へ行き車に乗り込む。

　木下は組員が出ると、愛のスーツケースに偽装失踪の為いくつかの下着から通帳、化粧品など女が持ち去りそうな物を入れる。最後に皺にならぬよう婦人警官の制服をケースにいれ重たそうに玄関へ運びだし若い組員を手招きし車のトランクに押し込ませた。

「よしっ。お前らもうええからタクシーで事務所帰っとけええな。」
　と組員に一万円札を渡し、組員を残したまま黒い国産高級セダンは勢い良く走り出した。

　木下は運転しながらなにやらダッシュボードから６つ程の携帯電話を取り出した。
　沢山ある中から薄型の携帯電話の電源をＯＮにしどこかに電話を掛ける。

「・・・もしもし、大沢署の生活安全課ですか。わたし神川愛巡査長の彼氏なんですけど。」
「・・はいっ？どちらさんですか？・いたずらですか？」
「いいえ・・じつは彼女、薬物に手をだしてるんです。やめさせたくて電話をしたんです。」
「・・なにを言ってるかわからないんだけど。もうすこしくわしく。」
　かかったなと思い木下が電話にでた愛の同僚刑事に、
「彼女の家に行ってください。売人からもらった薬や大麻がありますから。彼女を更生させて・ガチャ」
「プープープー」
　と会話を終えると電源を切り、すぐさま車の窓から携帯をドブ川へ投げ込んだ。
「かかるのかっ・・こんな罠に。」

　車を大沢署の前にあるコンビニに止め面識のある生活安全課が動くのを待った。

　その後一時間が経ち２台の捜査車両が生活安全課の捜査員をのせ神川愛の自宅へと向かった。

「よし動いたなっ。」
　と今度は木下自身の携帯から電話する。
「・・・組長、わしです。・・・かかりましたで。・・今、向かいよりました。」
「へい・・・それでほんまにあの愛ちゃんと・・おめこ出来まんのか？」
「・・・・・・・楽しみにしときますっ。・・ポリの動き見届けたらもどりますわ。・・ほな。」
　と捜査車両から少し距離をおき木下も愛の自宅へ引き返す。

　神川愛の携帯電話には所属する生活安全課から電話が掛かっているのだろうがＯＦＦにしてある為、まったく静かなままであった。