| ６２−３ 「あがりました・・・・バスタオル・・お借りしています。」 一つしかないバスタオルを体に巻きつけた佳乃は、体から沸き立つ湯気をまとい、どぎまぎした男の前に現れた。しっかり見ることの出来ない児島は、焦りを隠しながら自分もシャワーを浴びに風呂場へ進む。 「あぁ・・・かけて待ってて。」 「・・・。」 「チュッ」 声をかけられたが、頷くだけの佳乃に再び唇を奪おうと挑戦し、見事に化粧の落ちた唇に触れた。柔らかい唇に触れた児島の穢れた唇は振るえ、慣れていないためか唇を尖らせ子供にチューをせがむ父親のような接吻をしてしまう。 「ガチャ・・・・バタン。」 扉が閉まるのを確認すると右手の甲で二度三度と、触れられた唇を拭い穢れを落とした。近づく恐怖と、時が過ぎる遅さが佳乃の心拍数を上げる。時計を見ると時間は、１０時をまわり友佳や友之の姿が目に浮かんでいた。 『・・・・パパ・・・友佳・・・ごめんね。』 目を伏せると自然と涙がこぼれ、やらせているとはいえ、自らが男の一室で能動的に性行為を行うことにいつもとは違う罪の意識が沸いてきていたのであろう。 大島らの責めは、犯されている自分であり、今日の自分は自らの体を見知らぬ男に供するただの淫売と自覚し、心の中で家族に懺悔する。 座ったままの時間が五分ほど過ぎ、見られてはならぬ横山式下着を制服の下へ隠した頃、児島の４０数年間の童貞体と別れを告げるべく入念な股間へのブラッシングは佳境に入っていた。 「ゴム・・・がないけど・・・どうしたらいいんだろう。・・・あっ・・財布に一つあった・・・けど・金庫にいれちゃった・・・早まったぁぁ。」 「金庫から出すの・・みっともないし・・・疑われてると思わせたら・・態度変わっちゃうかもしれないし・・・・外に出すって・・・言えば・・・どうかなぁ。」 亀頭周りの入念な洗浄は、敏感な部分を刺激しすぎ腰がヒクヒクとびくついている。そんなことはお構いなくこれまでの男のプライドから、女は男に跨ってくるものだという受動的な考えにマッチした加山佳乃をどう料理しようか、数十年たまった脳内アダルトビデオアーカイブにアクセスは集中しフリーズを起こしそうになっている。 「・・ハッハッ。」 口臭チェックを入念にし、乾いたタオルが無いため佳乃が拭いたであろうタオルで、水分を拭う。 「・・・女・・の匂いかぁ。」 濡れたタオルの匂いを嗅ぐと、股間の水分を一気に沁み込ませ、これから交わる佳乃との擬似性交をタオルにに浴びせていた。 母に揃えてもらった替えのトランクスを穿き、少し収まった股間を押さえながら、風呂場から出陣した児島。扉を開けると佳乃の姿は見えず、一瞬やられたか、と思ったがシングルベッドの膨らみに、若妻が準備を整え待ち受けていることを確信した。 「・・お、お待たせ。」 テレビの音は消え、静寂に包まれたシングルルームにバスタオル一枚の若妻を食そうと、童貞男が軽い布団を捲る。 布団の中の佳乃は、体を縮め壁側を向き、児島の視線から泣き顔を隠す。手の振るえを誤魔化さんばかりに児島は、同じように壁側を向き横たわり、指圧のような肩へのマッサージを始めた。 「・・・か、加山さん。・・・肩、凝ってるね。」 「・・・・。」 無言の佳乃は、振り向く勇気がなく消極的な児島に身を任せていた。肩を揉みながら声をかけるが一向に自分の方を向きそうにない佳乃に問いかける。 「こっち・・向いてくれないのかい？・・・恥ずかしいの？」 「・・・はい。」 児島は、肩を揉む手をバスタオルの重なりしろに移し、布団の中で佳乃の背中を拝む。沁み一つない背中に自分の体を吸い寄せ、アップにした髪のうなじに舌を這わせシュミレーションの第一弾を起動させる。 「・・あっ・・・・あぁ。」 佳乃の微かに喘ぐ甘美な声は、児島に対する拒絶は皆無であることと信じ、積極的に佳乃の裸体を触り始めていく。前に手を回す勇気がない児島は、執拗に肌蹴た背中やうなじを触り、三度に一度程度、尻の割れ目に指を這わす。布団の中の視界は狭く、触感だけで若妻の体を楽しんでいた。 「あぁ・・・・はぁぁ。」 佳乃の愛くるしい顔を拝む勇気のない児島は、同じ動作を繰り返すばかりで一向に進まないでいた。佳乃はこのまま終わることが出来ないため、自分の意思ではない別人格の意思で、児島のほうに体を向き替え、唇を交わした。 「チュッ・・・チュルッ。」 急に振り返り佳乃からの接吻に驚いた児島は、目を閉じ舌を差し入れる佳乃の表情をまじまじと見つめ、そこにある目尻からの涙跡に気がついた。 『・・・泣いていたのか？・・・どうして？』 涙の理由に気がつくほど敏感な感性のない児島は、佳乃の涙に再び緊張する。心の中の問いが口から溢れそうになり接吻を中断した。 「・・・チュッルッ・・・か、加山さん・・・泣いていたのかい？」 舌を絡める佳乃の頬を押し、涙の真意を問いただす。児島の女性経験の無さはこういうところに現れている。 「・・・き、今日の研修・・・とてもつらかったんです。」 「・・・・児島さんがいなければ・・・わたし・・・・。」 「・・・。」 「でも、女の私にはこんなことしか、お礼が思いつかないなんて・・・・恥ずかしさで・・泣いちゃって・・・ごめんなさい。」 「・・・そ、そうだったんだ・・・すまない・・いらないこと聞いちゃって。」 「チュッ・・チュルッ・・・チュルッ」 再び佳乃から舌を差し入れると、口を尖がらせていた児島の唇も要領を得、自然な接吻へと変わっていた。唇の触れ合い舌先の差し入れ方は、不倫カップルのような雰囲気でディスプレイを覗き込む金山も、固唾を飲んで右手を動かしている。 「あっ・・ぁあぁ。」 児島の中年の喘ぎが微かに聞こえると金山は、布団の下半身部分にピントを合わせモゾモゾと動く佳乃の手の動きを布団越しながらも克明に捕らえる。 「うぁぁ・・・・あぁぁ。」 この声で布団の中が容易に想像できる金山は悔しがっていた。 トランクスの硬いゴムを持った佳乃の細い指はゆるゆるとずらし、陰茎の先端を露出させる。風呂上りで剥きあげるのを忘れた児島は、一瞬自らの指で剥こうとするが、佳乃の指先が亀頭の包皮に触れると手を頭に組み何も無かったように振舞う。 若妻は児島のたぎった陰茎の先端部分を親指で擦り、カウパー腺液を拭い取り被った皮を柔らかくむきあげる。 友之との性行為にもこの方法を用いる佳乃は、愛する夫との性行為を思い浮かべながら児島の陰茎を握り時の過ぎ行くのを遅く感じながら摩擦を加えていた。 「・・さっきみたいに・・フェラしてくれないか・・もう一度君の・・お口を味わいたいんだ。」 「はい・・・。」 児島の願いは口に出せるほどスムーズになり、佳乃はそのスムーズさに主導権を委ねられると気を緩ませた。ただ、この中年男の脳内アーカイブは擬似性行為が基本であることがこの時の佳乃にほ認知できないでいた。 布団の中に潜り、口腔性交を目視されないよう児島の陰茎の先端部をくわえ込んだ。風呂に入る前とは、打って変わり洗浄されピンク色の強引に剥き出された亀頭が、佳乃の口内でビクついている。 「カプッ・・・・・・ピチャ・・・・ジュルッ。」 児島の脳内は、下半身の見えない部分で巻き起こる性感をアーカイブに蓄積しようと必死に情報を伝達している。右手やオナホールでは味わえない甘美な纏わりと吸い付きが交互に繰り返され、弛んだ腹筋を性感電流に刺激され、同じく締め付けと緩みが交互に行われていた。 「ジュルッ・・ジュルジュル。」 佳乃は舌先で血管の浮き出た裏筋を舐めあげ児島の屹立を一番の状態まで持ち上げる。 金山のカメラは、布団の中の行為を捉えつつ、布団からはみ出している佳乃の白い双尻の揺れ動く様も記録していった。 「・・お願いだ・・・咥えてる顔を・・・見せてくれ。・・うぅぅぅ。」 児島は肩をすぼませながら快感に耐える事ができているが、布団の中で若妻の口淫を受けているだけでは、その快感はオナホール以上ながらも視覚的なアーカイブに蓄積されない。 その場数の無さを埋めるべく、児島は佳乃が献身的に努める口淫を視覚で捉え、脳内への伝達をより確実なものとしようとしていた。 「は、恥ずかしいから・・・・ジュボッ。・・・このままで・・・。」 「恥ずかしがらなくていい・・・・ここには、君と・・僕しかいないんだ。」 「・・・・は、はい。」 佳乃の承諾の言葉を聞くが早いか児島の手は布団をはだき、佳乃の口淫を目の当たりにした。先程の射精時とは違い全裸になり体を丸めながらも自分の陰茎を咥える若妻に更なる興奮を覚え、腹に力を入れる。 「か、かわいいよ・・・・・うぅぅ・・・もうぅぅぅ。」 「ジュボッ・・ジュボッ・・・・ジュルッ。」 けして大きくない児島のものをすっぽりと隠れるくらいまで咥える佳乃。児島にはその奥まで咥えている行為を若妻の自分に対する愛情と自分勝手に捉えている。 だが、佳乃のなかに愛情と呼ばれるほどのものはなく、短めの陰茎を口に含むとどうしても奥まで入ってしまう、ただそれだけなのだった。 「そんなに・・うぅ・・・・奥まで咥えたら・・・・君、く、苦しいだろ・・・うぅぅ・・・先端がいいんだ僕は・・・・先を咥えてくれ。」 「ふぁい・・・ジュルッ。」 佳乃の口は児島の亀頭のみを呑み込み、柔らかく吸い上げる。余った手の動きは包皮を引っ張り、茎の部分を柔らかく揉みしごいていた。 「と、とても上手いんだね・・・旦那さんに・・仕込まれたの？」 「・・・パ、パパのことは・・・言わないでください。」 「ご、ごめん・・・・調子に乗っちゃって・・・へへへっ。」 若妻ということもあり旦那への口淫も、自らが受けているものとまったく同じことが行われているのだろうと思った童貞児島の興奮を誘う。旦那の事を引き合いに出し、自分への優越感に浸り、それもまた性感の高ぶりのスパイスにと考えていた。 「・・あ、あごが・・・疲れて・・きました。」 佳乃の口淫には、素人っぽいあどけなさがあり恥じらいながらの一生懸命さに児島は、経験が無いながらも風俗嬢のするものとは切り離して口淫を楽しんでいた。 若妻の疲労感も考えずに、児島は佳乃の訴えにも気付かず手を頭の上にやり悦に浸っている。 「・・・。」 「・・・そ、そろそろ・・・・。」 「・・・ん？」 「・・・。」 「あぁ・・・そうだね。」 児島の下半身側にいた佳乃は、胸と股間に生える陰毛を隠しながら、児島のそばに横たわる。 |
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| 2009.12.5掲載 |
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