| ６６−１ 隣の部屋から戻ってきた白衣の男は、自らのマスクを取るとおもむろに備品ＮＯ２９の黒いマスクも取り去った。 まだ肌つやもいい女の顔には、薄化粧だけが施されてはいるものの衰弱の色は激しい。女子高生といっても問題ないくらいの顔は男受けしそうな顔立ちだった。 「ふぅぅ・・・。」 ため息をついた白衣の男は、田辺の顔を見ると今まで片言しか話さなかったのが嘘のように饒舌に話し始めた。 「疲れますねぇ・・・ああいうガキは。」 「あぁ・・・そ、そうだね。」 「ここからは、大人だけの検診で盛り上がりましょうか？」 「あぁ・・・お願いするよ。」 「それでは・・・・田辺さん始めます。寝てる備品もいいが、じゃじゃ馬を料理するのも・・・。」 「せ、先生も・・・？」 「えぇ・・・私も、嗜好会員ですよれっきとした・・・言い忘れました。・・私、横山と申します。」 「・・本物の先生ですか？」 「どうでしょう？・・・・想像にまかせますよ。」 「それは、それは。・・・毎日、拝めるんではないですか？それでも？」 「えぇ・・まぁ。・・・でも、思うように出来ないもんでね。看護婦たちもいますし、今や、すぐに訴訟に発展しますから。」 「・・・じゃぁ、プロの腕前拝ませていただきます。」 そういわれると横山は、にやりとヤニ色の歯を見せ小瓶を取り出し、内溶液をガーゼに含ませると拘束された備品の鼻先をくすぐった。 「・・・・ん・・んっ。・・・・何？」 「お目覚めかい？」 「・・・・いやっ。」 「久しぶりだけど、覚えててくれたみたいだぁ。」 「・・へ、変態医師。」 「あぁ・・そうだよ、僕は変態さ。」 「・・・・も、もう・・あんな物は、い、入れないでっ。」 「残念だったねぇ・・今日の相手は僕でもなけりゃ・・・木下さんでもないよ。はたまた組の若い衆でもない。」 「だ、だれっ・・・まさか・・・。」 「そうだ。察しがいい・・・この人がお相手の・・・田辺さん。・・・肛虐嗜好会員さんだ。」 「えっ・・こ、肛虐？」 「そう、君の窄まった尻の穴を使って楽しんでいただく・・それを肛虐って言うんだ。」 「はっ？・・・・。」 「だから、僕は、君の尻の穴を掃除するお役目と、木下さんは大丈夫だが組の若い人たちの中に、やばい病気を持った人がいないかどうかの検診をするために来たんだ。」 「・・・・・お、お尻は・・・。」 「そう、君の尻の穴の処女は、この田辺さんが落札をしたらしい。だから、彼の尿道炎を防止するためにも君の汚い尻の穴を掃除させてもらわなければならないんだ。」 「お尻は・・そういう事につかうものじゃないぃぃぃぃ。」 女が叫ぶが早いか、横山が尻の穴にゴム手袋の指先を沈めるのが早いか、それぐらいの瞬殺で指の根元まで入り込む。 「田辺さん・・・どうも、あまり食べていないようです。・・・確か三日は食べていないはず。」 「へぇ・・そうですか。じゃぁ・・・そのままでも。」 「大丈夫ですが・・・念のため。」 横山は田辺と女に浣腸器を見せ付けると、否定の言葉を耳にする。 「いや・・先生。・・・僕は、汚れたぺ○スを、綺麗にさせるのが・・・僕の嗜好なもので・・・。」 「・・・・。」 「あ、そうでしたか・・・奇遇です。・・・私もその気がありまして。」 「それでは、使わない方の性病検診を念のために。」 「さ、触らないでぇぇぇ。」 「じたばたしても始まらない。・・・大人しくしなければいたい思いをするのは君だし、僕はちっとも痛くない。それとも、またあの昆布入れてやろうか？」 「・・・・。」 無言で何も答えなくなった女は静まり、横山は佳乃同様に触診からはじめる。 「・・・・ニュルッ」 「あっ・・・・あっぁぁ。」 「気持ちいいかい？・・・さっきの女も、ニュルニュルだったがなぁ。」 「せ、先生。・・・さっきの女・・・って。」 「気になりますか？」 「は、はい。・・・とても。」 「あの女・・・人妻です、しかも子持ちでね。訳合って僕はまだだが、絶品の類らしい。いじめがいのあるいいマゾ備品ですよ。」 「・・・そうですか。」 「だから、あんなガキに独占されると、腹が立つんです。・・・田辺さんもその口ですか？」 「い、いやぁ・・そこまででは。」 「あぁぁっぁぁぁ・・・。」 女の喘ぎには気を取られず指先の力は、勝への憎悪が増し柔肉を蹂躙いていく。女の腰が浮き始めると、そのことに気付いた横山は、指先を抜き去りすぐさま棒状の検査キットを挿入する。 「・・・おい、お嬢さん。木下さん以外に何人嵌められた？」 「・・・。」 「早く答えろ・・・・昆布埋め込んでもいいんだよ。今日は４本あるから・・・子宮口・・裂傷しちまうかも。」 「・・・あれは、嫌っ。・・だから、言います。・・・３人です。」 「木下さんのデカマラの後に・・３人で・・・時間は？」 「・・・ま、毎日・・・８時間くらい・・・３人で順番に。」 「まぁ５日間ぶっとうしとは、・・・安全日を見計らった僕に感謝だね・・・キキキキッ。」 「あぁぁぁぁぁ・・・お、押し付けないで・・い、いたいぃぃぃ。」 最後に強く検査キットを押し入れた横山は、顔を歪める備品ＮＯ２９を眺めると時間を気にし、ズッポッと抜き去った。粘液にまみれたキットは、試薬に混ざり色の変化を待っている。 「良しこれくらいで・・・カランカラン・・・おっ・・・残念。」 「えっ・・先生？」 「田辺さん・・・悪いことは言わない・・今日はやめておいた方がいいようだ。」 「そ、それは？」 「この備品・・・淋菌性子宮頸管炎・・・病気持ちです。」 「えっ・・・うそ、嘘です。」 「田辺さんは・・尻の穴好きですけど・・・これは、お出ししない方がいいようだ。」 「淋菌性子宮頸管炎っていいますと？」 「えぇ・・世に言う淋病です。・・・感染率が高いので・・・今日はキャンセルした方がいい。」 「でも、高い金払ってるんだ・・・支配人を呼んでくれないか。」 「そうですね・・・ピピピッ。」 横山は備え付けの電話に手を伸ばし、ワンタッチで高山につながった。 「支配人・・・備品ＮＯ２９は・・・レッドです。・・・はい、・・・そうですね。」 「まったくついてない。」 田辺は診察台を回り込み女の髪の毛を掴み、罵っている。 「・・・病気もちめっ・・・俺の大事な時間を返せ・・・くそっ。」 唾を吐きかけ、力いっぱい引っ張った髪の毛は、田辺の指の間にも残っている。 「・・う、うそっ・・嘘よ・・・り、淋病って・・・何？」 動揺した女は、引っ張られた頭皮の痛みよりも症状のない病気のほうが気がかりであった。 「えぇ・・木下さんとこの・・・若い衆か・・・はたまた・・納品前の者か・・・ええ、調べなければ何とも。・・・病院に帰りましたら・・・何週目か位は見当がつきます。」 「はい、・・・それでは、木下さんにも・・抗生物質を処方しておきます。」 「せ、先生、それで？」 「すいません・・・・ここでしばらくお待ちください。支配人がすぐに来ますので、私はこの備品の処理をしなければいけませんので・・・ここで失礼いたします。」 「・・・しょ・・処理って・・・や、やだ・・こ、殺されるの？・・・ほ、香港に・・・連れて行かれるの？」 「黙ってろ・・・・性病女。・・・・・ガラガラガラッ。」 診察台から降ろされるでもなく扉の外へ連れられる備品ＮＯ２９の右の尻で横山のゴム手袋を拭い、ポリ容器に捨て去る。 その右尻には、拭い去った粘液が入墨を曇らせ、裏書済みの約束手形のインクを滲ませているように見えていた。 |
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| 2009.12.23掲載 |
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