| ６７ 死の間際 診察台に拘束されたままの佳乃は、髪の毛を傍に立つ勝に撫でさすられながらモニター画面を注視している。 「じっくり見てろ・・・・そう。」 「あ、あの人・・・。」 「そうさ、亜矢だよ・・・。」 画面の中の亜矢は、素っ裸で首輪だけを施され廻りにいる男たちの好奇な視線に犯され続けていた。 「かれこれ二ヶ月か・・。」 「・・・。」 「もしかしたら・・私だったかも・・・って思ってる？」 「えっ・・・。」 「・・・・そうさ、最初からあいつに決まってた・・・。」 「・・・。」 「おれさぁ・・・惚れられると・・・だめなんだ。」 勝は画面を見ず、佳乃の目を見ながら話し始める。 「由香里は・・・まだ、おれに心を開いてないが、亜矢は俺に依存し始めていた。」 「・・な、なんてことを、・・・。」 画面が切り替わり亜矢の姿は、佳乃が最後に見たはずの白い柔肌が赤くミミズが這うように盛り上がっている。 「・・・由香里も、馬鹿だから・・亜矢みたいになりたいのか・・・おれに依存し始めているんだ。」 「・・・・はぁぁん。」 大股開きのまま拘束されている佳乃の陰核包皮を指先で揉みさすられると、注視していた画面から視線を外し喘ぎ声を漏らす。 「・・・だから、由香里も・・・亜矢見たく、親父に譲って・・早くお前を・・・。」 「あぁぁぁぁ・・・な、なにを・・私は・・・あなたぁ・・なんかの・自由には・・・ぁぁぁ。」 勝を睨む目を佳乃は恥ずかしさのあまり逸らすと、画面一杯に広がる亜矢の涙目と視線が合ってしまう。 音声がないため何が行われているかわからない佳乃だが、亜矢の顔が一瞬ビクつくと画面から崩れ去るように倒れ、うつ伏せで動きが止まった。 「あぁぁ・・・・えっ？」 官能の喘ぎの途中だが、状況の見えてきた佳乃は画面に広がる赤い液体に不安を覚え体を振るわせる。 「・・・どういうこと・・あぁぁ・・・あ、あの人・・・を・・・。」 「あぁ・・・これがスナッフフィルムさ・・・・。」 「ひ、人ごろしぃぃ・・・・あぁぁぁん。」 亜矢への仕打ちを知らされた佳乃は、怒りか恐怖かわからない物に襲われるように目尻から涙をこぼす。 「うぅぅぅ・・・こ、こんなことって・・・ゆ、由香里さんも・・・こんな目にあわせる気なの。」 「あぁ・・・いずれ早いうちに・・・・お前を譲り受けてから・・・すぐにでも。」 力の入らない佳乃の内股はピクピク震え、敏感な蕾を触られている震えか、衝撃的な亜矢の最後を自分に重なり合わせているようにも見える。 画面の男たちは、亜矢の力が入っていない両足首を持ち、コンクリートの床を引きずり赤黒い血を書初めの墨のようにして扉の外へ向かう。男たちは書初めに縁のなさそうな国の男たちだが、図らずも書いたその字は、書道の大家も真っ青な字に見えている。 「・・・あぁぁぁ・・・もう、触らないでぇぇ・・いぃぃぃ。」 「興奮するだろ・・・人が、いとも簡単に・・殺される姿を見ると・・・ほら・・・見てよ。」 勝はトランクスのゴムを一気にずらすと佳乃に向かって切先を向ける。 「・・・・。」 「成長したと思わない？」 「・・・・。」 無言の佳乃への仕打ちは、勝の指先がすぐに答えを導き出させる。 「あぁぁっぁ・・・は、はい・・・成長・・されましたぁぁぁぁ。」 「でしょ・・・じゃぁ・・・・ガチャガチャッ。」 勝は拘束された佳乃の手も足も自由にすると抱え下ろし、首輪に繋がる鎖だけを持った。その手を離さぬようにした勝は、居場所を変え佳乃が拘束されていた診察台に自ら飛び乗った。尻の部分が抉られている診察台は勝の尻を支えることなく剥き出しにした。 「・・・さぁ・・わかってるよねぇ・・・。」 「・・・。」 こくりと頷くだけの佳乃は、鎖に導かれることなく自らの意思で若い牡の匂いに誘われる。佳乃の半開きの口は大きく息を吸うためなのか、陰茎を口に納める為の動きかそのどちらかは、勝にとって佳乃に対するこれからの興味が図られるバロメータと知っていての反射的反応だった。 「スウゥゥゥゥ・・・・・ハァァァァァ。」 佳乃は大きく息を吸うと、勝に問いかける。 「・・・あ、亜矢さんに・・・謝りなさい。」 「えっ？。」 「・・・なくなった亜矢さんに・・・形だけでもいいから・・・謝って。」 「はっ？」 「・・じゃないと・・わたし・・・亜矢さんに・・・亜矢さんに・・申し訳が・・・たたないから。」 佳乃は、勝に対しボソボソと呟くように涙ながらに懇願した。自分の身代わりとして遠い異国の地で、誰に見取られることなく果ててしまい、死してなお辱めを受け続ける亜矢への精一杯の懺悔だった。 「・・・あぁ・・わるかったよ・・・これでいいか？」 「良くは・・・ないけど・・・・それでいい。・・・・その言葉があれば・・・・。」 勝の陰茎は、先程までの力強さは失われ、佳乃からの強い叱責に性的欲求は完封されてしまっていた。 「・・・・。」 佳乃は、目を瞑りながら勝の陰茎に近づくと徐に診察台から飛び降りた勝は、嗜好研修の中断を言い渡す。 「・・・やめやめ・・・どうもしみったれちまったなぁ。」 「えっ？」 「おれ・・・帰るわっ・・・・じゃぁまたな。・・・チュッ。」 佳乃の唇に舌先を少しだけ差し入れただけの接吻の後は、何も告げず首輪の鎖もそのままに扉のボタンを押した。 「ビィィィィィ。・・・・どうされました？」 「あぁ・・・俺、帰るわ。」 「備品が何か粗相を？」 「そんなとこかなぁ・・・・まぁ・・・でも・・・懲罰を・・与えなくてもいいよ。」 「・・・どういうことですか？」 「俺が・・・立たないだけだからさぁ・・・・。」 「ガチャッ」 勝の言葉に多くを問いたださない高山の声なく、重い扉は開いた。鎖の拘束のない佳乃は走り出し逃げ出すこともなく勝の出て行く姿だけを見届けていた。 「ま、勝さん・・・・。」 勝の歩いた後には、少しだが床のコンクリートを湿らせ黒く滲ませていた。佳乃はそれを、勝の亜矢に対する涙ではないかと思い、少しだけ救われる思いを持っていた。 |
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| 2009.12.26掲載 |
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