| ７２ 横山善二郎 死者が眠る霊安室は病院の地下にあるが、それより深く暗く冷たい空間に佳乃は運ばれた。祭壇の奥に続く地下道を抜けると「善二郎研究所」と書かれた扉があった。 「善二郎先生・・・おつかれさまです。」 「・・・品物は届いてるかな・・新鮮なまま。」 「はい・・・そこに。」 「・・・ありがとう。」 「今日の実習内容は・・・なんですか？僕達、とても興味が・・・。」 「まぁ・・・言うならば、『死を覚悟した牝の生殖行動と生を与えられた牝の生殖行動の対比』こんなとこか。」 「・・・す、すごいです。・・・この前の・・若い献体を見てから興奮冷めやらないんです。ぜひ僕達に・・。」 「あぁ・・そのつもりだよ・・・では、時間があまりない・・始めようか。」 その掛け声と共に二人の白衣を着た若い男は、四つんばいに固定された佳乃に背後から歩み寄り、尻の割れ目を消毒し始めた。 「ヒッ・・さ、触らないで・・・な、なにを・・しようと。」 「知る必要はないよ・・・それを知るのは、この世との別れに気がついた時。」 「・・・。」 横山は、椅子に座ると佳乃の表情を覗き込むことなく、カルテに書き込みをする。書き終えるとそれを助手であろう一人の男に手渡した。 「・・こんなにですか。・・・この前の・・・若い女は・・半分でも・・・ダメだったのに。」 「いいんだよ・・でないと、死を覚悟できないだろ、この牝は。」 「死？・・・・。」 「殺すぞって叫ぶ輩は、殺しなんて出来ない。・・・本当の殺しは、黙ってするものさ。恐怖はそこから表れるんだ。」 「・・・・。」 無言になった佳乃のアヌスをもう一人の助手が揉みこんだ。ワセリンを付けた指の腹を上にし、二度三度揉みこむと佳乃の声に興奮し、柔らかい尻の割れ目を拡張した。 「・・・や、やめなさい・・・や、やめさせて。」 佳乃の話す言葉は異国の言葉のように無視し続け、カルテを渡した男が薬液の入ったパックを佳乃の横に吊るした。もう一人の男は、尻の穴を執拗に弄くり佳乃の腰の動きに早、股間を膨らませていた。 「おいっ・・・アヌスばっか見てねぇで・・・早く、装着しろよチューブを。」 「すげぇ、温かいんだ。・・・かわいい顔してんのに、尻のなか掻き回されて・・尻、振ってんだよ。」 パックにつなげたチューブの先端をアナルプラグにつなぐと、名残惜しげに指先を抜く。抜く瞬間も、そのまま抜き去るのではなく、いたずら交じりに指先を曲げ肛門の裏をめくるように抜いた。 「ヌプッ」 「あっ・・。」 佳乃の小さい吐息にもう一人の助手の股間も膨らんできていた。間髪いれず、軽くほぐされた肛門には、白くどこか黄ばみのあるアナルプラグが易々と潜り込んだ。 「あっあぁぁ。」 指を抜き去る時の吐息は、喘ぎに変化し久しぶりのアナルプラグの感触を温かい直腸に受け入れた。助手の一人はニタニタしながら佳乃に近づき、パソコンを起動させアナルプラグにデータ送信用のケーブルをつなぐ。 「先生、準備できました。」 「あぁ・・ありがとう・・・では、始めるか。」 「やめて・・・抜いて・・・ね、抜いて。」 佳乃は、固定された手首と足首を動かせないながらも、若い助手へ生の懇願を始めた。助手二人はニタニタしながら佳乃の懇願を聞き入れずに、近づいた横山の方を向いた。 「まずは、これを見たまえ。」 佳乃に見えたものは、巡査長だった頃の神山愛の尋問の映像であった。沈黙したまま、映像は続き筋弛緩剤とかかれたアンプルを見、点滴で投与され、力なく意識が遠のいた辺りで映像は乱れ停止した。 「・・こ、殺したのですか？・・・わ、わたしも・・同じように。」 「彼女は・・・そう・・この上の霊安室から解剖室に運ばれ・・・荼毘にふされる事もなく・・献体として解剖されたよ・・・実習生は大喜びでねぇ・・・若い女の献体なんてあまりないのだから。」 「・・・・。」 「まぁ・・弛緩剤投与だから・・・死姦するような輩は出なかったそうだが・・・。」 亜矢や由香里の死を忘れかけていた頃に再び、嗜好会員達による人の生をもてあそぶ行為に佳乃は絶句する。ましてや人の子を取り上げる婦人科の医師の所業とは思えない行為に罵声を浴びせたいが、ここまで死が差し迫った状況に、言葉を無くし身を任せるしかないのだと悟った。 「ど、・・どうしたら？」 「どうしたらとは？・・・・あぁ・・生きて帰れるか、ということだね。」 「は、はい。・・・せ、性行為を・・すれば・・帰れるのですか？」 「・・・事は、そんな単純ではないよ佳乃。牝の自覚がない君は・・・僕の研究課題である、『死を覚悟した牝の生殖行動』のモデルになって、より自分が牝であることを自覚してもらわなければいけないんだ。」 「死なんて・・・。」 「・・牝が自分達の遺伝子を残すため・・・死の間際に・・生殖行為をどのように考えるのか・・・はたまた、排卵を促すことが出来るのか。植物などが、枯れる間際に種を飛ばすじゃないか・・・あれの研究だよ・・・哺乳類版の。」 返す言葉を失った佳乃は、二人の若い助手に助けを求める。横山の後ろに立っている助手達は、若い人妻の求めにこう言い放った。 「奥さん・・そんな、切ない顔されても・・・僕達は、横山先生を師と仰ぐ生殖活動研究者です。女を牝に変える、こんなすばらしい実験が出来るのは、ここだけなんですよ。・・・だから協力を。」 「・・・。」 「二人とも・・・無駄口は止めにして、実験に掛かりなさい。」 たしなめられた二人は、佳乃の体の至るところを揉み解し始める。一人の男は、垂れ下がる乳房を背後から、もう一人は肛門から垂れ下がるケーブルをたくし上げながら、再び閉じた会陰部を柔らかく揉み、ピンクの膣肉を拡げていた。 「・・・あぁ・・・や、やめなぁぁ・・さぁい・・・はぁぁ。」 「先生・・・この奥さん・・いや、・・備品２６は・・・経産婦ですね。」 「よくわかったね・・・女子高生並みの・・陰唇をしているが紛れもない、経産婦だ。」 「あぁぁ・・さ、さわら・・なぁぁいでぇぇぇ・・・み、みないでぇぇぇ・・はぁぁ。」 「えっ・・・この乳頭・・で経産婦とは、授乳は・・人口栄養ですか？」 「・・・どうなんだ・・・佳乃。」 「・・・ぼ、母乳です・・あぁぁ・・。」 「母乳栄養で・・この変色のなさと・・形態の変化のなさは・・・先生？」 「この備品２６には、犯され願望が強く潜在しているようでね・・・それが、何か関係しているのではないかと考えてはいるのだが。」 「そ・・そんな、願望は・・・ありませんっっ。」 「そうかなぁ・・大河内は、全てを語っていたよ・・経験人数から、君の・・性に対する願望までね。」 「犯されながら、若しくは犯されることを想像し、昂ぶりを感じ、性的アピールが経年劣化することなく、代謝を促し若返るとなれば・・・・・。」 「すばらしい発見になるだろうね。」 若い助手と横山は、爛々とした目を合わせると視線をそらし、実験体である佳乃の女体を解し堪能を続けていった。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
| 2010.3.15掲載 |
はちみつ太郎さんの作品群→ |