| ７３ パートナー 霊安室のパイプ椅子に座る佐々木は、予定の時間を過ぎている時を刻む時計を見つめる。 「・・・・。」 静寂を通り越したような静けさと夏とは思えぬ冷たさを併せ持つ霊安室でも、冷静さを保っている。 「ガチャッ・・・・待たせましたか？」 「・・いえっ・・・。」 廊下に繋がる方の扉が開き木元を引き連れて佐々木の行動を伺う。 「平気でした？・・・」 「何がでしょうか？」 普通の人間では居心地の悪いであろう霊安室に待たされても、臆することのない佐々木に横山は、こう続ける。 「いえ、あまり居心地のいい場所ではない様に思いますので・・・霊安室などでお待たせするのはどうかと。」 「自然の冷房のようで・・心地よかったです。」 「そうですか・・・。では、備品をお返しいたしますので・・・少々お待ちを。」 横山は、木元を連れ、奥の扉の暗証番号を押す。少ない４桁の番号は、佐々木の目の前で打ち込まれ、すかさず記憶した。すぐさま役に立つわけではないのだろうが、念の入れ方が他の男と違う。 「ガチャッ・・・・バタン。」 階段を降りると二つ目の扉を開ける。静寂な室内の様子は、耳からではなく鼻から伝わってきた。 「データは・・・記録されているのですか？」 「は、はい・・・こ、これです。」 「・・・上出来ですね。・・・このデータは？」 「一通り終わった後に・・・スポーツドリンクによる・・浣腸を・・その時のデータです。」 「見事ですよ。・・・動画は残されてますか？」 「はい、ＨＤＤに・・・保存しております。」 とりあえず保存された動画を確認しようと木元は再生し、画面を食い入るように見た。横山は、データのみを眺め、佳乃の性的絶頂のグラフで何が起きていたのか把握していた。 パソコンから出力される音声は生々しく、佳乃の嗚咽する声、牡の生殖器を求める声、浣腸液注入への拒絶の言葉、最終的に聞こえてくる排泄音。横山は、データと音声のみで佳乃の攻略を確信していた。 「木元くん・・・これから君は・・・僕の手を離れ、父、剛ノ介の指導を受けなさい。・・・私は、彼を助手にしようと決めた。」 「えっ？・・・どうしてですか？」 「彼の・・・性的経験のなさは、確信できていたが、真面目な男による実験が牝に対するいい刺激になることがわかったんだよ。」 「・・・。」 「見てみろ・・・備品へのケアがもう出来ている。・・・排泄物の処理から・・・着替えまで。」 「ちっ・・・わかりました・・・失礼いたします。」 木元は、頭を下げることもなくその場を立ち去った。目で追うもう一人の助手は、扉が閉まると横山の顔を見るでもなく、佳乃の方を向いた。 「君の名前はなんだったか？」 「・・・樽本です・・樽本信二・・よろしくお願いします。」 「今日の気持ち・・忘れないでおくように・・いいね。」 軽く頭を下げた樽本は、残りの片づけを始めた。 「じゃぁ・・・後で報告を頼む・・樽本君。・・・僕は、奥さんを送ってくる。」 後ろ手錠を架けられた佳乃は、横山に脇から腕を差し入れられ、歩みを促される。佐々木の待つ霊安室までの階段を上り始めた。 「ガチャッ・・・。」 「お待たせした。・・・さぁ・・・返却しますよ。きれいに洗ってあるから・・車をよごすこともないでしょう。」 「お心使い感謝します。確かに受け取りました。・・・」 佐々木は、横山の腕が入っていた方とは逆側に腕を差し入れ、すぐさま霊安室を後にしかける。 が、その佐々木に対し横山は声をかけた。 「監視員さん・・・水野総帥にお伝えを・・・あなたの嗜好の意味がわかりかけてきましたと。キキキィ。」 「・・・伝えておきます。」 霊安室の遺体搬出用の扉から佳乃を連れ、誰にも見られぬまま素早く車に押し込んだ。 「うぅぅ・・・い、・・・生きてる。友佳にも・・あえる。・・・友之さんにも。」 「お、奥さん・・実験を続けますよ。」 「・・・。」 佳乃の泣き顔を見た樽本が、目線をそらし近づいた。剥き出しの女性器を目の当たりにした樽本は、首筋から繋がる女体のラインを舐めるように見、再び女性器へと目をやった。佳乃の女性器は、そぼ濡れ赤く染まっている。過度の摩擦を与えていないのを見ていた樽本は、横山に教えられていた言葉を思い出す。 「性器が赤く染まってる。・・したいんですか？・・・奥さんはこんな状態でも・・・性交を・・・。」 「・・・。」 「どうなんですか？」 「じ、実験を続けなければ・・・また、先程のようなことをされるのであれば・・・従います。」 「遠まわしにいいますね。・・・では、僕のも木元の様にしてください。」 「わ、わかりました・・・します。でも、この拘束を外してもらえませんか？」 「だめです・・先生に怒られますし、正確なデータがとれない。」 佳乃の面前に回り込み陰茎をむき出しにした樽本は、佳乃を見下ろしルールを変えようとしない。規則に沿った樽本の考えを変えることが出来ない佳乃は、なし崩し的に勃起した陰茎を口内に受け入れた。 「ブジュジュジュ・・・チュパッ。」 「き、・・気持ち・・・・・。」 とっさに言葉を止めた樽本は、佳乃の髪の毛にも触れることなく後ろ手に手を組み、口だけで行う大人の口淫を堪能する。 「チュパパッ・・・ジュルッ。」 木元より大き目の陰茎は、カリ首付近のえらの張り方が目立つ。そのカリ首に沿わせた舌の動きで樽本は、目を瞑り口淫だけでの射精を堪えていた。 「うぅぅ・・・はぁぁ。」 樽本のうめき声は、マイクに拾われ右目左目と力を入れ替える仕草は、限界をすでに迎えかけていることを悟らせる。 佳乃の舌の動きは、実験ながらも大人になりきれていない樽本を、自らを優位に立たせる為のパートナーへき入れようと、甘美な動きで感じさせていく。 「だ、だめです・・・いっ。」 「うぐっ・・・ケホッケホッ。」 咽喉奥ではなく舌の上にかけられたザーメンは、青臭い臭いを口内一杯に広げた。勢いを分散させることなくドロリと零れるように舌先に乗っけられたザーメンをどうするか尋ねず樽本の顔を佳乃は見上げた。 「・・・どうしたいんですか？・・・飲んでくれるのですか・・それとも、吐き出しますか？」 返事をすることを避けた佳乃は、大島の下で繰り広げられていた童貞が欲する行為を再現し、吐き出すことなく呑み込んだ。 「ゴク、・・・ゴクリ。」 「・・・ちょっと・・待ってください。・・・ドリンクがあります。・・・これを。」 樽本は申し訳なさそうに、点滴パックに入れられていたスポーツドリンクを、点滴チューブを外した部分から佳乃に飲ませた。尻穴深くに差し込まれていたことも忘れ、咽喉の渇きと若い精の香りをかき消すように咽喉を鳴らす。ほんの一口しかないドリンクでも渇きを忘れることが出来た佳乃は、実験中である樽本に謝意を表す。 「あ、ありがとうございます。」 潤んだ目を見ると、自然と体が動いた樽本。ドリンクのチューブを離すと、開いた佳乃の唇に吸い付き、無造作ながらも舌先を押入れ、佳乃の舌先を絡めとる。犯される感覚のなくなった佳乃は、樽本の舌先を受け入れ自らも潤いを求めるがごとく、唾液にまみれ始める。 「チュッ・・チュッ。」 舌と舌とが絡まる場面は画像に納められていないものの、音声だけでも十分にその絡み合いが感じ取れた。 数分間にわたった接吻の場面も、程なく終焉を迎えようとする頃、樽本の行動が一気に牡としての行動に変わる。横山と同様に四つんばいの佳乃の下に潜り込み、体を密着させるように腰に手を回す。 「・・・お、お尻の栓を・・外して。」 「それはダメです。・・・データが取れないし、そんなことになれば・・・奥さん、また・・・ひどい実験に・・・・。」 「・・そ、そうね。」 几帳面な物言いに佳乃は納得をし、この男の誠実さを垣間見た。言うことさえ聞いていれば、横山らの非道な実験を回避することが出来ると考えたうえでの承諾だが、牝の本心を樽本はまだ感じきっていない。 牡としての行動を示し始めた樽本に対し、牝の性衝動を抑えきれなくなり始めた佳乃は、樽本に覆いかぶさり、男と女の同じ部位が密着する。 唇を重ね、乳首と乳首は交互に擦れ合い、生殖器は挿入はしないものの陰毛の触れ合いで樽本の性衝動は、射精後の回復を遂げていた。 「も、もう一度・・咥えてください。・・・ぼ、僕は奥さんのを・・・。」 ６９という言葉を使うのが恥ずかしく遠まわしに言った樽本の純朴さにふれ、ストックホルム症候群のような感覚が芽生えた佳乃は、拘束を施した男に対する嫌悪感を完全に消滅させていく。 黙って頷く佳乃の目を見ると、快楽を求める牝という意識は消え、一人の女性として樽本の意識は捉えていた。 佳乃の足の間から仰向けに自分の足先を滑り込ませ、佳乃の顔の面前に自らの滾った陰茎をさらす。言葉で促すこともなく佳乃の方から陰茎に唇を添えた。上と下の唇を軽く亀頭に触れさせ、舌先を裏筋に添わす。対して樽本が行う下半身への奉仕は、佳乃の首筋に性的電流を脳に伝達していく。 「あふぅぅ・・・あぁぁ・・。」 横山の実験に参加をして、得た知識のみを佳乃にぶつける樽本。その知識は、今まで交わった童貞たちと違い、敏感な部分を的確に捉えていた。 陰唇を命一杯に拡げ、陰核包皮から陰核の芽を飛び出させるとその先端をざらつく舌のはらで舐めはじめている。 「あぁぁ・・・ひ、ひろげたらぁぁあぁ・・。」 舌先を左右に添わすと陰核包皮の奥に残った恥垢が濃いチーズ臭を放つ。樽本は言葉で攻めることなくその舌の上に絡めとった恥垢を指ですくい拘束台の裏にこすり落とした。 ほのかに残り香を感じながらも樽本の舌先は、剥き出しの陰核を転がすようにし、膣粘膜より滴る汁液を舌裏に感じ取った。 「お、奥さん、先生は中に出されたのですか？」 「・・・。」 首を振り否定の意を表すと、膣奥に湧き上がる感覚を覚られまいと、膣に力を入れ垂れ落ちる汁液を堪えていた。 「ぼ、ぼくの・・唾液か。」 勘違いと悟った樽本は、陰核から舌先を離さず、指先を膣穴にあてがうと雑作もなく挿入を遂げた。 「ニュプニュプッ・・・はぅぅう。」 粘膜から湧き出る潤滑液は、死を感じた辺りから飽和し始め樽本の指の挿入により、その留め金を外された。それをまじかで確認した樽本は、再び勘違いをする。 「せ、先生は・・中に出されてますよ。奥さん・・・せ、洗浄を・・。」 カメラの方を向くと、発言を中断し、指先を抜くとその絡みつく白濁液の匂いを嗅いだ。 「・・・違う、分泌液か。・・・奥さんそんなに、気持ちいいんですね。」 実験中の経験により得た女の分泌物と確信した樽本は、その滴り落ちんとする分泌液をすすり上げた。この時、佳乃の牝度数を示すグラフは、再び上昇に転じ始めていた。 |
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| 2010.3.22掲載 |
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