| ８５ ミツバチの一刺し 「ガチャッ・・・キュルキュルキュル・・・・バダンッ。」 「パ、パパ・・・。」 樽本の押す車椅子は、霊安室の祭壇の裏に隠された扉からやってくる。押された車椅子に座る友之に、数ヶ月前の面影は失われ、痩せ細った首筋に虐げられた痕跡が目に浮かぶ。 「・・・心配するな。・・・死んではいない、ただ脳の一部に酸素が行き渡らない時間が長すぎたために、言語と、意識障害・・・あと、様々な・・・障害を受けているだけなんだ。」 「・・・パパァ・・・目を・・・覚ましてっ。」 「本当に覚めてもいいのか。・・・僕の・・・ち○ぽを咥え・・・牡と牝の契りを結ぶ、その瞬間を見られても・・・キキキッ。」 「・・・も、もう・・・病室に・・・戻してあげて・・・私は・・・どうなってもいい、パパに治療を・・・。」 「治療といっても・・・現在の医学ではどうにもならん。まぁ・・・別の人間の力となり・・・生きながらえるといったことも・・・最近は。」 「ぞ、臓器移植なんて・・・。」 「君の承諾さえあれば・・・なんとでもなる。」 「そんなこと・・・。」 「まぁ・・・まだ２日ほど時間はある。・・・正規の手続きを踏んで善を全うするか、闇の組織に売り渡し大事な臓物を粗末に扱われるのか。最後の決断は現時点の妻である君に決断を求めるよ。」 「・・・。」 「さぁ・・・旦那の顔も拝んだことだ。・・・牝の契り・・・戴くよ。」 樽本の押す車椅子が、佳乃が四つん這いになるベッドに近づく。意識の失われている友之は、簡易的な人工呼吸器を傍らに備えながら、愛する妻の行く末を空気の振動だけで感じ取る。 「いやっ・・・パパを・・・病室にぃぃ戻してっ・・・た、樽本さん・・お、おねがいっ。」 善二郎は、四つん這いの佳乃を再び仰向けに横たえると、樽本への懇願をつく唇に舌をねじ込んだ。反抗をする体と、牡の求めを受け入れようとする本能が交差し、叫ぶ拒絶と裏腹な下腹部の熱気が、体を被せる善二郎にも伝わった。 「ベロベロベロッ・・・乾いた口臭が・・・牝の火照り具合を表しているね。・・・咽喉の渇き、潤してあげるよ。」 口腔内の渇きは、夫の前で犯される恐怖と、善二郎の唱える牝の契りの内容が気になり唾液の一粒も出ない。渇きは、善二郎による舌先から伝え流れる唾液で緩和されると、反射的にそれを咽喉に流し込んだ。 「ゴキュッ」 「おいしいかい。・・・緊張して、唾液も出ないのか。・・・じゃぁ、僕のカウパー氏腺液で・・・渇きを抑えなさいっ。」 「ゴウップッ・・・・オウッ・・・ゴウップッ。」 「・・・ハハハッ・・・お前のかわいい佳乃、・・・咽喉が渇いて・・・我慢汁に吸い付いてるぞ。・・・どうだっ・・・これでも目を醒まさないのかっ？」 佳乃の顔に跨って、陰茎を深く抜き差しする善二郎。ベッドの横に連れられた友之の顎をしゃくりながら佳乃の口内を蹂躙するが、反応はないままだ。 「グウップッ・・・・ゴゴゴッ・・・ウグエッ。」 「佳乃・・・心の目で見られてるぞ・・・友之と繋がる夫婦の目で・・・お前の犯される口元・・・のぞかれてるぞ。・・・・キキキキッ。」 突き立てるスピードを増す善二郎の動きに耐えられない佳乃は、跨られている太股をタップすると、それに気付いた善二郎は、スピードを弱めるが、抜き去ることはしないでいる。 「どれ、・・・のどの渇きは治まったか・・・じゃぁ、友之の嗜好・・・寝取られ嗜好を夫婦で実習してもらおうか。」 ベッドのパイプに絡めた手錠を外し、佳乃のもう一つの手首にきつめに嵌める。咽喉奥に突き刺さったままの善二郎の陰茎は、一回り長さを増し、息苦しさを覚える。 「フゥゥゥグッ・・・・フゥゥゥゥグッ。」 鼻で息をしなければならないほど突き刺さる陰茎を振りほどこうにも、両手を絡め取られた佳乃の拒絶の意志は挫かれ、なすがままの格好で咥えさせられたままだ。 少しづつ腰の動きを使い始めた善二郎は、ベッドの柵に両手をつくと、機械仕掛けのような動きで佳乃の扁桃腺を蹂躙していく。 「ウゥゥッゥゥゥグッ・・・・グヘェェェッ。」 「おいっ佳乃が、涎垂らして・・・喜んでるぞっ、寝てる場合かっ。」 「・・・無理もない、寝取られ嗜好のだんなじゃぁ・・・。」 佳乃の咽喉奥を犯しながら、眠るままの友之に罵声を与え続ける。無意識の友之の顔は、無力さを懺悔するように首を項垂れたまま、ただ時の過ぎ去るのを待っているように見えた。 「・・・佳乃、・・・舌を使うんだ・・・旦那に見せ付けてやろうよ。」 「ウゥゥグッ・・・フグフグッ。」 自由にならぬ首を、少し拒否気味に横に振ると、善二郎は樽本に合図する。善二郎の合図に動揺したものの手筈どおりの動作をし、咽喉に繋がるチューブの栓を閉じた。 「プシュー」 どこかに空気の抜けるような音がすると、佳乃の頭をもたげ友之の方を向かせる。色のつかない空気の漏れは音と動きで確認するしかなく、樽本の白衣の揺れから酸素が遮断されたことを理解した。 「・・・ベロッ・・・ベロッベロッ。」 「キキキッ・・・そうだ、そうだ。・・・素直に聞いてれば、悪いようにはしない。・・・戻してやれ。」 「シュー・・・シュー」 樽本は、善二郎の合図より先にチューブの栓を元に戻した。善二郎の長く尖った陰茎の先を本心でなく舐めまわす姿に興奮を覚え、白衣の内側を尖らせていた。 先端を涙目になりながらも舐めまわす仕草に興奮を感じた善二郎は、舌の動きに合わせゆっくりとグラインドを再開した。今までの犯すような動きに変化をつけ、先端を舌の腹に擦り付けるような動きで、佳乃の柔らかい舌を堪能する。 「ペロッ・・・ペロペロッ。・・・・チュパッチュパッ・・・ペロッ。」 鼻と口で呼吸をし始めた佳乃は、目を閉じたまま善二郎の肉棒を舐め擦る。時には亀頭に吸い付き、時には舌だけでカリ首を舐めあげる。もの足りなさを感じた催眠状態で受けた佳乃のフェラチオを知る善二郎は、あの時とは別の衝動を感じ、佳乃の生暖かい口内から陰茎を抜き去った。 「・・・うっ・・・。」 抜き去る時に名残を惜しげについて来た佳乃の舌は、開かれた口の真ん中で置いてけぼりをくらい、次の善二郎の突き刺しに備えた。 少し腰を引き気味に下げた善二郎の先端からは、濃い目の我慢汁が染み出し、その奥に溜め込まれた精液の流出の準備が出来ていることを告げる。 「はぁぁ・・・はぁぁ。」 つらい呼吸を我慢していた佳乃は、開いた口で大きく酸素を取り入れた。 陰茎の先端に滑りを感じた善二郎は、一服すべく、跨った顔から体を移し、投げ出された両足を再び大きく割り広げた。 「お前も・・・旦那に見られながらのほうが・・・牝として喜びを感じるようだな。」 「あひっ・・・ち、ちがいま・・・・。」 最後の語尾を言うのを諦めた佳乃。樽本の動きを気にし、手のやり場は先程のチューブのコックに近づくのを見て躊躇した。樽本の大きくない体全体を視界に捉えると白衣の下の屹立が目に入る。 「・・・そ、そうです。・・・も、もう・・・いじめ・・・ないで。」 「そうでいいんだ。・・・旦那の・・・行く末・・・佳乃の行く末。・・・全ては僕次第なんだ・・・。」 「・・・あっ・・・はっ・・・あぁぁぁんっ。」 怯えながら従順さをみせる佳乃に、本能から来る従順さをわからせるべく、善二郎の指先は再び佳乃の陰唇を隠す股布に掛かる。片方の指を巧みに押し付けながら、もう片方の指先は、腰に食い込むゴムを摘むと、繁茂した陰毛が芽を出すところで止める。 「そろそろなんだろぉ。」 「・・・。」 「さぁ・・・言え。」 「く、ください。」 「何を・・・。」 「おち○ぽ・・・を、佳乃に・・・入れてください。」 「違う・・・その先だ・・・わかるだろ・・・牝の昂ぶりが、なぜ昂ぶってるか。」 「・・・パパ、許して。・・・奥に・・・出して・・・く、ください。」 「言葉足らずだが、牝の昂ぶりの根源は理解しているようだね。・・・いいだろう・・・牡と牝の契り・・・友之に見届けていただこう・・・キキキッ。」 力強くひん剥かれた佳乃のただ一つの嫁入り道具は、股布の染みを見つめられると、樽本に手渡され、友之の口内に押込まれた。 気道を人工的なチューブで確保された友之に息苦しさは皆無であろうが、愛する妻が染み付けた淫汁の匂いと、そのパンティーに籠められた嫌悪の象徴は、息苦しさを通り越したものを無意識の内にも感じ取ったに違いない。 「良く濡らしやがって、・・・精液の流れを妨げぬよう・・・膣液の分泌・・・受け入れを心待ちにしているようだ。」 「うぅぅっ・・・・。」 佳乃の唾液と自らの我慢汁にまみれた陰茎をしごき、亀頭の先端を濡れそぼった膣前庭に押し当て擦りあてる。二度三度往復をするうちに佳乃の堪えきれぬ喘ぎは声になり、大きく仰け反ると、陰核に一当てした善二郎は、絡みつく膣肉に打ち差した。 「あぁぁぁっ・・・はんっ・・・・はんっ・・・・あぁぁぁぁっ。」 「あ、あついっ。・・・排卵した牝の膣肉・・・・絡めとるように吸い付く。・・・ううっ。」 正常位で絡まった佳乃と善二郎は、下腹部を密着させると、ゆっくりとしたグラインドで牡と牝の交わりを開始した。 「・・・・うっっ・・・はぁんっ・・・。」 「佳乃、・・・引くより突くほうが良とみた。・・・どうかな？」 「はぁぁ・・・いぃぃ・・・あぁ・・・あっ。」 ゆっくりと差し入れられた善二郎の先端は、熱く火照った子宮の入り口をノックする。その中にある佳乃の遺伝子達は、数年前に出くわしたものと違う遺伝子の登場を待ちわびた。 「あぁ・・・つ、突いては・・・いやっ・・・あっあっあぁぁぁん。」 「コツコツ、当たるのがわかるね。子宮の・・・入り口の・・・膣肉が・・・熱いっ・・・ハァァ・・ハァァ。」 善二郎の息遣いも佳乃に合わせて荒くなる。亀頭の回りに絡みつく膣肉は、善二郎の持続力を奪い続け、牝の本能からくる、牡への求めを善二郎は体現していた。 数分のインターバルを挟みながらするピストン運動は、佳乃に与える牝化の心理効果はてき面で、差し入れたままの陰茎を圧迫する子宮の下がりは、婦人科医師の善二郎には良くわかっていた。 「佳乃・・・そんなに、僕の・・遺伝子が欲しいんだね。」 「ぅぅ・・・そ、そんな・・・あんっ。」 「ほぉら・・・こんなに子宮が下がり始めている。・・・牡の印を受け入れんがために、牝が欲する本能だよ。」 先程までの挿入量より余す程度で、亀頭に圧迫感を感じ、先端でその最奥を突付きこじ開ける素振りを見せる。 「だ、だめぇぇぇ・・・そんな・・・そんなとこにぃぃぃ。」 「あぁ・・・今は入れないさ・・・いずれ・・・時期を見て・・・柔らかくなった子宮口も・・・存分に犯し・・・新たな牝壷を開発してあげるよ。・・・・キキキッ。」 「いやぁぁぁぁ・・・・はぁぁぁぁぁんっ。」 今にも突き破られそうな一突きを浴びた佳乃は、拒絶とは言いがたい喘ぎを漏らし、善二郎のストロークを再び受け入れる。 その声を聞き続け、傍で居続ける友之の目頭に伝わる一筋の涙には、新たな契りを結んだ二人は微かにも映ることはなかった。 「せ、先生・・・患者の目に。」 「なんだ、樽本・・・意識のない男に・・・ほぉ。」 「あん・・あんっ・・・・あぁぁっ。」 「佳乃・・・君の牝の喘ぎが・・・奇跡を起こしたのかな・・・友之は・・・聞こえてる。佳乃の牝の喘ぎを聞き・・・喜びの感覚が・・・動かされたんだ。」 「あぁぁ・・・パ、パパァ・・・き、聞かないでぇぇぇ・・・いやぁぁぁっ。」 「ハハハッ・・・聞かせてやろうよ・・・牡と牝の契り・・・その声を・・・さぁ・・・さぁ。」 「あぁぁ・・・・お、おねがいぃぃ・・・耳を・・・ふさいでぇぇ・・・樽本さんっ。」 「・・・。」 手を震わせ何もできぬ樽本は、佳乃の大きな波を受ける昂ぶりを感じ、自らの勃起した陰茎を掴み、ただその時を待ちわびていた。 「さぁ・・・聞け・・・友之・・・お前の・・女房の・・・牝の昂ぶりを・・・眠った脳で感じ取れ。」 樽本の指摘から、ストロークを最大にし、射精へのカウントダウンを始めた善二郎。友之の簡易的な意識の振れに呼応した佳乃の昂ぶりを見逃さずその時を刻む。 「あぁぁぁ・・・・・だ、だめぇぇぇ・・・・いっ・・・逝くっっっ。」 「うぅぅぅぅぅぅ・・・・・あっ・・・・。」 「ビュッ・・・ビュビュッ・・・ビュッ。」 善二郎の体は佳乃に覆いかぶさると、ビクつく陰茎を抜き去るどころか、奥へ奥へと突き立てる。目を閉じ全てを観念した佳乃は、子宮の奥に排出された牡の遺伝子を感じ、友之と同じく遠のく意識の中、一筋の涙をこぼす。 「はぁ・・・はぁ・・・まだ、ドクついてる。・・・よほど、僕の精子たちは、・・・佳乃の卵がお好きなようだ。」 「・・・みんな・・・競争しているよ・・・あわてる事はない・・・佳乃の卵は一つじゃない。・・・・・・一つじゃないんだから。」 放出から数分がたち自らの遺伝子が佳乃の遺伝子に出会った頃、物言わぬ佳乃に新たな仕打ちを始める。善二郎は佳乃と繋がったまま、抱き寄せると体を抱え、友之の座る車椅子に近づいた。 駅弁スタイルで近寄る二人の絡みついた生殖器からは、競争に負けた精液が垂れ流れ、佳乃の潤滑させた膣液と混じりその役割を終える。 「さぁ・・・契りは終わった。・・・旦那と別れの契りを・・・すまそう。」 「・・・。」 「汚れたままのおち○ぽじゃ・・・恥ずかしいよ。・・・あの世の女達にも笑われちまう。」 「・・・。」 「汚れを・・・拭い去り・・・別れの契りに・・・さぁ。」 後背位でつながったまま、佳乃の頭を友之の力を失った陰茎に近づける。先端の皮は、縮こまり洗われていない汚れた亀頭は臭気を放つ。 「パ、パパ・・・ご、ごめんね。・・・ごめんね。・・・・ハムッ。」 剥きあげた皮の余りを引っ張り、こびり付いた恥垢を舌で丁寧に舐め取ると、これが最後であると確信し、こみ上げる感情を抑えきれなかった。 「うぅぅぅぅぅ・・・・うわぁぁぁ・・・ひっ・・・・ひっ・・・。」 「別れに涙はつきものだ・・・・遠慮なく・・・別れを惜しめ・・・キキキキキッ。」 善二郎の陰茎は、佳乃が施す友之への奉仕に興奮を覚え、血の気を帯びると、舌先を動かし嗚咽する佳乃の膣肉を再び侵し始める。 「も、もう・・・我慢できない。・・・うわぁぁぁぁぁ。」 「ザクッ・・・・ビュッ・・・・ビュビュッ。」 友之の横に居たはずの樽本は、善二郎の背後に回ると、持っていた手術用のメスを頚動脈に突き当て、一気に引き抜いた。 「うぅ・・・・ああぁぁ・・・た、樽本・・・・おまえ・・・。」 「お、佳乃さんは・・・ぼ、ぼくの・・・・僕のものだっ・・・・せ、先生には・・・わぁぁぁぁぁ。」 再び数度切りかかると、善二郎はその場に倒れ、辺り一面を濃い血液の色に染め上げた。絶命は、数分も立たずして訪れ、善二郎の動きは完全に止まった。 静けさが訪れるまでの数分の間も、一心に友之の股間をいとおしそうに舐めあげる佳乃の姿を見つめる樽本の横顔は、なぜか穏やかだった。 |
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| 2011.3.26掲載 |
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