３．

　母の衝撃的な情事を見た以来、しばらく一人になると、時々あの時の情景を思い出している事がありました。
　一方、父もお盆や正月など普段でも二ヶ月に一度ぐらいのペースで土日を利用して戻って来ていました。
　その時の母は、本当の夫である父に対しても、ちゃんと妻を振舞っていました。もちろん派手な服装や髪型は抑えていしたけど、しかし以前と比べれば派手ではありましたが、母自身イキイキとある意味オンナとして輝いて見え、女として身も心も充実しているのが分かりました。もちろんグアムで焼いた小麦色の肌は、すっかりと元の白い肌に戻り、僕自身心なしか少しホッとしました。オンナってほんと悪い生き物ですね。
　そんな単身赴任先から束の間の休暇を利用して帰って来た父と、母が仲良く会話を楽しみながらコーヒーを飲む姿や、二人で手をつないで買い物に行き、父からプレゼントを買ってもらい、家で母がはしゃいでいる姿を見て微笑ましくさえ思え、以前のような喧嘩が絶えなかった父と母からはとても想像できませんでした。
　そして小学生の時に、僕と同じ母親が不倫しているクラスメートに言われた「お母さんとお父さん前より仲がよくなってるんだったら、それはきっと不倫のおかげだよ。」という言葉がつい頭の中によぎりました。
　もし母が不倫に出会わなければ、おそらく長期出張や更に単身赴任を機にお互いに気持ちが離れ、今頃どうなっていたかは分かりません。確かに彼女の言う通り、現実に僕の家庭は母の不倫によってうまくバランスが保たれ、僕と母と単身赴任の父を結びつけ、幸せな家庭が成り立っているのにこの時はっきりと感じました。

　もちろん家族の知らないところでは、先生との交際を続け、仕事と称して夕方から翌日の午前中まで先生の家にいて、また昼間は僕の前では母を振舞っていました。　ちょっと誰が見てもエッチぽい母でしたけどね。
　母も３８歳という世間ではオンナ盛りと言われる年齢で、夫が単身赴任で普段から、夫婦の営みがないような状態が続いているよりは、彼氏の一人も出来て、不倫しているぐらいの方が、女性として自然と言えば自然かも知れませんね。　

　それから３ヶ月が過ぎ、そろそろ１２月に入ろうかという時に母が
「今度も食事会があるんだけど、今週の土曜日にあるのだけど来る？」
　と僕に尋ねました。母の口調からはこの前のような、特に来て欲しいような感じはありませんでした。しかし反射的に僕の脳裏には母のあの時の光景が浮かび、まるでそれに押されるようにして「行ってみようかな」と軽く返事をしてしまいました。

　当日、約束の夕方の5時に絵画教室に着き、そして玄関に行きチャイムを押しました。　この前初めて見た母の情事が思い出され、それと同時に体の中から何か沸き立つ様な不思議な感覚を覚えました。すぐに母が出てきて、胸の大きく開いた白のワンピースにさり気なくカーディガンをはおり、それとは対象的に黒の柄つきのストッキングが、ムッチリした太ももを覆い、うっすらと香水の香りが漂っていました。そして母と一言二言会話をかわした後、食事会の場所でもあり、そして彼氏である先生と母が交わっていた広いダイニングルームに着きました。
　席に着くと、この前と同じく絵画教室の生徒である７〜８人の主婦達と混じって食事をしました。食事をしていても自然とこの部屋で母と先生が濃密なセックスを繰り広げていた情景が脳裏に蘇ってきました。僕はそんな情景を忘れる様に、前回よりは少し会話に混じるようにしました。
　この時もやはり周りの主婦達に僕はお酒を勧められ少しだけ飲み、そしてこの時は、かねてから決めていた通り、わざと酔ったふりをしました。案の定、そんな僕を心配してか母の彼氏である先生に勧められるように、この間休んだ寝室へと行きました。もちろんベッドに入っても寝付く事などなく、ただ時間が経つのをじっと待っていました。

　やはりこの間の母の情景が浮かび、変に胸の鼓動が高鳴ったのを覚えています。
　やがて９時を過ぎた辺りで、外から何やら賑やかな声がしました。そっと部屋の窓から外を見ると、生徒である主婦達が丁度玄関から帰るところでした。
　そして主婦達が帰ったのを見終えベッドに戻ろうかと時に、廊下からスリッパの音がこちらに向かってくるのがはっきりと聞こえてきました。僕はほとんど反射的にベッドに潜り込みそして寝息をたて寝たふりをしました。
　
　次の瞬間、まるで音を立てないように部屋のノブがゆっくりと回りドアが静かにスーと開き、人が入ってきました。そして自分が寝ているベッドのそばに来て、まるで確認するかのように自分を見つめているのが、目をつむっていてもはっきりと分かりました。僕は無我夢中で熟睡している振りをするのに精一杯で、ただただこの時が早く過ぎてくれる様強く念じていました。
　そして納得したのか、もと来た様に部屋を出てドアを閉め、また廊下からスリッパの音が徐々に小さくなりながら去って行きました。
　間一髪というのはこういう事かも知れません。別に悪いことはしていないのですが、もちろん僕はもし起きているのが分かったら、多分母と先生が前回のような事はしないだろうと分かっていました。
　ホッと一息ついて肩を撫で下ろし時、部屋の中にうっすらと香水の香りが漂っている事に気づきました。そしてその香りから今来たのは母と分かりました。そしてそんな母の行動から、今夜また情事がある事を確信しました。

　時計の秒針の音だけがする部屋の中で、特にする事もなくしばらくの間ボーっと学校の事や友人の事など考えていたのですが、次第に僕の体を睡魔が襲い始め、ハッと目を覚ました時は丁度１１時を少し回ったところでした。
　寝過ごしたかと思っていた僕は、ホッと安心し、すぐさま僕は、ドアをそっと開けて人がいない事を確認し、廊下に出ました。１０メートル近くはありそうな廊下の先にある、ダイニングキッチンを見渡せる小さな丸い小窓からは、この間と同じように明かりが漏れているのが分かりました。
　前回以上に慎重に音をたてずにそっと歩き始めました。しかしその日はこの間の廊下の途中で聞こえた母のオンナの声が聞こえず、とうとう小窓の前に来ても中からはそういった声は聞こえてきませんでした。
　そしてついに、この間初めて見た母の不倫現場を見た小窓を、そっと覗き込みました。
　先程食事をしたテーブルの上は、既に片付けられ、真ん中に一輪の花が生けられた洒落たガラスの花瓶があるだけでした。今度はベッドの方に目を向けると、母の彼氏である先生が、先程の食事会の時と同じ格好であるカーキ色をしたジャケットとズボンと薄い青のワイシャツで、ベッドの端に腰掛けタバコをふかしていました。
　そして奥のキッチンの方では母が先程と同じ、胸の大きく開いた白のワンピースにカーディガンを羽織り、そして脚は黒のストッキングを身に付けたまま、夕食会の後片付けなのか、テーブルを拭いたり、キッチンで後片付けをしたりと別段変わった所もなく、キッチンとテーブルの間を行ったり来たりしていました。

　僕は、しばらく見ていましたが特に変化もなく、今日は別にこの前の様な事はないのかと思いつつある意味、ホッとしたようなそれでいて少しがっかりしたような不思議な気持ちに包まれました。
　いつのまにか母は皿をしまい終わったのか物音が止み、退屈し始めた僕はそろそろ戻ろうと考えていた時、僕は思わず声を出そうになりました。
　なんと先程とうって代わって母は、大きなお尻に黒のハイレグのパンティーをキュッと食い込ませ、それ以外はなにを身につけず、若い時より明らかに大きくなった胸を惜しげもなく出し、そのまま先生の前に来て、あたかも高級売春婦がお客にじっくりと品定めしてもらうように、ゆっくりと体をターンしてみせました。母のＶゾーンはこの前と同じくパイパンなのか、綺麗に手入れが施され、まるで精巧な人形のように先生の傍に来て立っていました。
　
　先生は吸っていたタバコを傍に置いてある灰皿で消し、満足そうな笑みを浮かべながら、彼氏である先生の好みなのか、先生の目の前で黒のハイレグパンティーだけを身に着け立ち尽くしている母を、ベッドに腰かけながら見上げ、自分のコレクションでも楽しむかのような笑みを浮かべていました。
　そしてゆっくりと右手で母のお腹を擦りながら
「今が一番大事なときだからね。」
　とさりげなく先生は言いました。
　僕は、何気なく言ったその先生一瞬聞き流しました。
　普段の僕なら今、先生が言った言葉など聞き流していたでしょう。しかしその時はどういう訳か気にかかり、次の瞬間ハッと体に電気が走ったように気づきました。
　「母に大事な時」って！？まさか母が妊娠！？直感的に思いました。
　まさか母のお腹に子供が！？
　そんな事は母の性格からしてしないだろうし、もしそうなったら直ぐに僕や父にばれるのは明らかです。
　そしてすぐに母がこの前、先生が百貨店で、初めて本格的な個展を開く事を聞かされたのを思い出しました。僕はすぐにその事だと思い、それが僕の考え過ぎだと気づきました。
　しかしその時僕の中では一瞬ではありましたが、今目の前でおかれている母の官能的な雰囲気にのまれ、母が父以外の男性の子供を妊娠するのを、なぜか一瞬ではありましたが少し興奮に似た感情が自分の中にあったのは事実でした。

　再び小窓から覗いてみると、黒のハイレグパンティーだけで立ち尽くしている母に、先生の左手が優しく乳首を転がすように刺激をしていました。そして更に先生の右手が、母が唯一体に身につけているパンティーの中へと入り込みました。
　もう既に母は、うっとりと表情を浮かべながら時々、ゆっくりとため息のような深い呼吸をついていました。
　先生の手を受け入れ、まるで母が勃起しているように大きく膨らんだパンティーは、その先生の手が生き物の様にもぞもぞと蠢き、当然母の体は隅々まで知り尽くされているのでしょう、パンティーの中では先生の手が、母の弱点を的確にとらえ刺激しているのがはっきりと分かりました。
　そしてまもなくして母のパンティーの中からはクチュクチュとヤラしい音が聞こえ始め、次第に母の呼吸も少しずつ早くなり、すでに目は女の目へと変わっていました。
　いつの間にか母の乳首を刺激していた左手は、パンティーの中の右手の動きに専念する為か、母の腰に手を廻し、先生の傍にぴったりと引き寄せられ寄りかかりながら、母は恍惚の表情を浮かべ立っている。女の大事な部分を夫ではない他の男性に何ら恥じらいや抵抗するなどする事もなく、完全に委ねている姿を見て、先生としっかり強い絆が結ばれている。
　母も先生もお互いに無理することなく、自然の流れにまかせ、母は彼氏である先生を信頼しあるがままに受け入れ、先生も母に家庭があるのも受け入れ一人の女として愛している。そして先生に愛され、今まさに母はオンナとしての悦びで満たされている。一人の人妻が家庭では妻と母として、もう一方では愛人という本来倫理的にはあってはならない二つの相反する関係が、今目の前で、間違いなく共存しているのがはっきりと感じました。
　母はエクスタシーが近づいているのか、深くゆっくりした息づかいから早く乱れた息づかいになり、あえぎ声は部屋に響き渡っていました。そして襲い来る快感に立っているのも困難となってきているのか、母の脚はガクガクと小刻みに震え、自らも腰をゆっくりと動かし始めました。しかしながらパンティーの中に入っている先生の手は一向に休める事なく、しっかりと母の弱点に刺激を与え続けていました。
　まもなくして、母は爪先立ちになったかと思うと、喜悦の声をあげ、それと同時にパンティーからは先生の右手が離れ、そのまま母は床に崩れるようにしゃがみ込んでしまいました。そして先生は快感から来る脱力感と、未だ呼吸が乱れたまましゃがみ込んだままの母の体を持ち上げ、しっかりと両手で抱きしめました。その先生の右手には、母の他の男性にエクスタシーへ導かれた証で、濡れているのが分かりました。そんな愛する先生の腕の中で抱かれた母は、安心したように余韻に浸っていました。