１．

　俺がその噂を初めて耳にしたのは、知り合いのスタジオミュージシャンと、二人だけで世間話をしている時だった。
　ある大物女優の家で、内密に催される乱交パーティがある。
　その家の主人は留守で、いつもその息子が主催をする。
　色々な芸能人が招かれ、酒と麻薬が好きなだけ提供されるらしい。
　参加者は若い人が多く、徹夜で乱れ狂うらしい。
　その時は、へぇ〜ほんとにそんな事があるのかな、と思った程度だったのだが、次に別の人からその話を聞いた時には、もっと信憑性のある話になっていた。
　スポーツ選手の某が招待された。
　若手俳優の某も招待された事がある。
　俺もよく知っている人物の名前が、次々と出てきた。
　そしてついに・・
　ある人物から、そのパーティに出席してみないかと、打診があった。

　俺は売れない作詞家をしている。
　歳は３０才。
　本来は、そんな大物女優の息子と知り合いになる機会などないのだが、今回は偶々、作詞をしたインディーズバンドのメンバーの彼女が、その息子の真司と同じ劇団員だった。
　どんな人が来るのか、とても興味があった俺は、浮かれ気分で出席すると返事をしていた。

　俺はその日、約束の時間の８時より少し前に、徒歩でその家に向かった。
　思ったよりも盛況だった。
　かなりの数の人間が、目立たないように裏門から塀の中へ入ってゆく。
　俺もそれらの人に混じって、その家の門をくぐった。
　入り口のところで、名前と誰からの紹介かを訊ねられる。
　俺の時は、誰かに電話をかけて、暫くそのまま待たされたが、最後には奥へ通された。

　玄関のところで有名な人に出会った。
　議員やスポーツ選手とスキャンダルを起こし、番組を降板させられた、元ニュースキャスターのレナだ。（名字は忘れてしまった。）
　彼女は身体に張りつく薄いピンクのドレスを着て、連れの男性の肩に片腕をのせていた。（ハイヒールのせいか、明らかに隣の男性より背が高い。）
　当然のようにノーブラの胸元は大きく切れ込んでいて、白い胸の谷間は下乳の丸みが覗くまで、完全にまる見えだった。
「誰の紹介で、いらしたんですか？」
　俺はワンピースのドレスに突き出た、乳首の突起に目を奪われながら、そう話しかけた。
「それは内緒・・実は３回目なの。楽しいわよ・・毎回夢中になっちゃって。」
　妖艶な微笑みを浮かべた彼女は、連れの男性からタバコを受け取り、それを吹かしながら玄関の中へ消えた。
　俺は、彼女が残した煙の匂いが、タバコとは違うことにすぐに気がついた。
（「嫌なことを忘れて、夢中で愉しむための準備か・・」）

　玄関を入ると、突当たりの両開き扉の向こうは、広い応接間になっていた。
　防犯用のシャッターを降ろし、カーテンを閉め切った室内は、沢山の照明に照らされて、明るく輝いている。
　予想していたのとは、ずいぶん違う雰囲気だ。
　部屋の中心には、小高い丘のような特設の寝台が備え付けられていて、その周りには複数のソファが配置されている。
　寝台の上には既に、全裸の女性が横たわっていた。
　小柄ですらっとした体形の人で、多分日本人だと思うが、もしかすると中国人かもしれない。
　天井の複数のスポットライトが、彼女を狙っていた。
　その寝台の周りには、３人の黒人男性が立っている。
　彼らは皆、２メートルに近い大男で、血管の筋を浮かべて怒張している股間の一物も、肘から先の腕と同じぐらいの長さがあった。
　寝台の上の女性が、一本のペニスを両手で握り締め、その裏側に口づけをしている。
　残りの２本は、其々彼女の腹の上と、胸の上でピクピクと脈打っていた。
　周りのソファを見渡すと、何人かの人がそこに座って、寝台の上のショーを見ながらセックスを楽しんでいる。
　２０代と思われる若い夫婦が、この見世物に見蕩れていた。
　隣にいるのが、この家の主人の息子だろうか？
　このショーについて説明をしている。
「彼らはみんな、日本に長くいる留学生やビジネスマンなんです。」
「じゃあ、日本語は話せるの？」
「大体はね。なかには片言の人もいますけど。」
「お金のためにやってるのかしら？」
「いいえ、自主的に参加してもらってるんです。日本人の女性と知り合いになれるって、喜んで来てくれるんですよ。」
・・・「あっぐっうぅ〜〜！」
　その時、上向きに曲がった長い肉棒を、途中まで挿入された寝台の上の女性が、跳ねながら反り返り、大きな絶叫を吐いた。
　びっくりした妻がそちらに顔を向け、そのまま視線がそこに釘付けになる。
「紳士だから、女性の嫌がるような事はしませんから。それに、全員ちゃんと検査を受けていますし・・」
　この家の息子は、何食わぬ顔で話を続ける。
「え、ええ・・そうよね。」
　奥さんは、顔を寝台の方に向けたまま、上の空で返事をしている。
「ひっ・・いぃ〜〜〜・・」
　曲がった太いペニスを持つ筋骨隆々の大男が、刳るように大きく腰を動かし始めると、相手の女性は反り返ったまま唇をブルブルと震わせ、消え入るようなか細い悲鳴を上げた。
「ねえ、あれ・・痛くないの？」
　女性の様子を見て急に不安になった奥さんが、真司にそう訊ねると、彼は明るい顔で、
「よく見て下さい。腰を上に向けるようにして、先端だけを出し入れしてるでしょう？、あれは、感じる場所を太いペニスで一杯にして、素早くそこを擦りあげてるんです。」
「見てて下さい。今に潮を噴きながらブルブルと痙攣して、逝ったままになりますから。」
　すぐに彼の言った通りになった。
　黒人に取り囲まれた女性は、ブルブルと激しく震え出すと、ビュッ、ビュッと股間から透明な液体を何度も飛ばし、夢中で周りの男にしがみついた。
　最初の男は震える女性に軽くキスをすると、素早く彼女から離れた。
　すぐに別の黒人が、女性の脚を大きく左右に拡げながら、長いペニスの先端を彼女の中心に擦り付け始める。
　同時に他の二人も、彼女の胸や唇に口づけの雨を降らせ始めた。
「勃起したペニスで、次々に内部を刺激しながら、彼女が気絶するか、もういいと言うまで続けるんです。」
「もちろん生の精液が欲しいと言う女性には、たっぷりと注ぎ込んであげます。」
　真司は嬉しそうにそう言いながら、笑った。
　寝台の上では２本目の黒いペニスが女性の中に差し込まれ、夢中になった女性が必死に両手を伸ばして、男の腰に武者振り付いていた。
　女性の頭のところに立っている他の二人は、女の小さな手ではとても掴めそうもない、馬のような極太のペニス２本を、彼女の顔の上に垂らしている。
「それで・・あの人たちはどうやって満足するの？、逝けないでしょう？、あのままじゃ・・」
　寝台の上の性の饗宴に見蕩れた奥さんが、涎を垂らしそうな表情で、そう質問をする。
「最後に、気に入った女性に口で奉仕してもらうんです。彼らはみんな、日本の女性の繊細で丁寧なサービスが大好きなんですよ。」
　慎二がそう説明している間に寝台の上では、挿入している黒人が女性に覆い被さり、腰を振り始めた。
　どうやらあの女性は、深い挿入がお好みらしい。
　逞しく引き締まった黒い尻が波打つようにゆっくりと動き、女性の内部を深く抉りたてている。
　相手の女性はすぐに、黒人の下で反り返りながら、白目を剥いて痙攣した。

　俺が最後にその奥さんの事を目にした時、彼女は下着姿で寝台の順番を待っていた。
　下着を濡らしてしまったのだろう、床にしゃがみ込んでいる。
　旦那の方は、よほど我慢が出来なかったとみえて、もう勃起したペニスを取り出して扱き始めていた。
　俺はその場を離れ、家の奥に向かった。