第２章

　ざわつく感触に気を取られているうちに、ふと、身体がスースーすることに気がついた。
　いつの間にか、ブラウスのボタンが、外されていた。
　身体からするりとはだける感触に、思わず、顔を覆っていた手を外すと、会長が、裸のまま、春佳の身体に被さるようにしていた。
　会長がいつの間にか戻って、ボタンを外していたのだ。
　チラリと股間に目が行きかけて、慌てて視線を外しながら、一瞬だけブラウスを押さえたが、やんわりと外されてしまう。
「あう、ダメ、恥ずかしい」
「大丈夫。だいぶほぐれてきたからね。それにスカートもシワになるといけない」
「え、あ、あぁ、ダメです！」
　慌てて押さえようとしたときには、スカートのホックが外されていた。
　チィーとジッパーが降りる音が響く。
　その手を押さえようと動いた瞬間、ブラがずれてしまう。
　そう言えば、ブラのホックはさっき外されていたのだ。
「きゃ」
　思わず、両胸を押さえたときには、既に、スカートを降ろされ始めていた。
「大丈夫。ほら、ちょっと、腰を」
　やさしく、脇腹に両手を添えられれば、悪魔のような動きを見せる指先から逃れるべく、自然に腰が逃げる。
　もちろん、その動きは、腰を持ち上げることになるのだ。
「あん、いやん」
　あっという間に、外れかけたブラを押さえたままの半裸をさらしてしまった。
　無事なのは、白いショーツだけだ。
　さんざん、悩んだ末、あえて、よけいな飾りのない上下のセットをつけてきた。
　なんだかよけいに恥ずかしい気がした。
　人妻なのに、と思ってしまう。
　裸の男達の前で、まるで、処女の娘が怯えるように、縮こまるしかない。
『こんなに恥ずかしいなんて』
　身体を横に向けて、エビのように丸まってしまう。
「あらら、せっかくほぐれたのに、また、身体が硬くなってしまったね」
　春佳の肩に触れてきた会長の指が、春佳の薄い肩の上で踊るように動かされた。
「あぅうん！」
　ヒクンと動いてしまう。
『あん、恥ずかしい声、出ちゃう、どうしよ』
　春佳の白い身体にくわえられる、二人の男の刺激。
　懸命に、身を縮めているのに、あらゆる所を四本の手が、そして指が撫でまわしてくる。
　もう、どこをどういう風に触られているのかもわからない。
「あぁ、だめぇ、あう、もう、もう、あう、やめて、十分、あん、だから」
「十分というと、奥さん、もう、十分濡れてくれましたか」
「あん、そんな知りません、あうぅ」
　枕に顔を埋めるようにして、懸命にこらえようとしても、送り込まれる甘やかな刺激にじっとしていることなどできそうにない。
「ほら、じゃあ、ちゃんと調べましょう。ほら、奥さん、協力してください」
「え？協力？」
　つかの間病んだ刺激に、ふと、腰が動きそうになってしまう。そんなハシタナイ。
「そうですよ、ほら、ちゃんとして。約束ですよ。奥さんは我々の言うことを聞くって約束でしたよね」
「ああ、でも、恥ずかしくて、あの、何を、何をすれば、いいのですか」
　懸命に身体を丸めてしまう。
「そうですね、じゃあちょっと、姿勢を変えてください」
　ほいっ、という感じで、二人がかりで、あっという間に、エビのような姿勢のまま、下を向かされる。
　尻を高々と掲げる姿勢だ。
　慌てた時には、高々と掲げた尻の方からスルッとショーツが降ろされていた。
「あぁ、いやあ！」
「大丈夫ですよ。ほら、こっちも」
　もう一度、ベッドに倒れ込むようにして丸くなったときには、足先から、ショーツが抜かれ、いやあ、と両手を伸ばした瞬間に、ブラも取られてしまった。
　恐ろしく計算し尽くされた動きで、シャワーも浴びないうちに、明るいライトの下で、いつの間にか、すべてを脱がされていたのだ。
「お願い、あの、せめて、あかりを、あかりを消してください。お願い、恥ずかしくて」
「いやいや、なかなか良い反応をしているよ」
　会長は、楽しそうに、春佳の耳元で囁く。
「あん！」
　丸まった身体に後ろから、手が差しのばされ、春佳の女性自身を指がなぞったのだ。
　湿った感触だった。
　忘れていた。カラダを丸めれば、女性自身が、後ろから完全に無防備になるのに。
　カラダを隠したい一心で、大事なところが、丸見えだったのだ。　
　遠慮のない感触が、カラダをかき分けてくる。
「ウン、ウン、しっかり感じてくれたようだ。調べてご覧よ」
「じゃあ失礼して、あ、うん。もう、大丈夫そうですね」
　二人が交互に春佳の身体に指先を使ってくる。
　調べると言いつつ、それは完全に愛撫の動作だ。　
「あう、あん、お願い、あぁ、せめて、あう、お風呂に、入らせて」
「もったいない。奥さんの匂いを知るチャンスなんだから。ナマの匂いを嗅がせておくれ」
「あぁ！だめです！お願い、恥ずかしい。汚いです。お風呂に、お願い。やめて！」
　しかし、指先が秘唇をかき分けてきた瞬間から、既に思うように力が入らなくなっていた。
「奥さん、そろそろ感じてきたみたいだね」
「感じてなんか」
　囁いてくる会長に、懸命にかぶりを振る。
「あううう！」
　身体がいつの間にか、緩んでいた。そのすき間から、遠藤が、やわらかな乳房の先端をつまんできたのだ。
『ダメ、乳首は感じ過ぎちゃう』
　敏感なはずの胸を、今まで触られなかったからこそ、耐えられたのに。
　最初の声が出てしまうと、春佳の崩壊は決定的だった。
　やわやわと手のひら全体で揉みながら、時に、指先で弾き、時に、二本指で挟むようにして刺激してくる。
「あう、あん、あん、だめぇ、ああん」
「感じてるね」
　再び会長の低い声で、耳元に囁かれれば、もう、頭を振ることもできない。
　第一、耳をやわやわと囓りながらなのだ。
　それだけでも、ゾクゾク感が止まらない。
「あう、ああん、もう、あう、もうやめてぇ」
　たまらないと思った。
　やめてと思った。
　でも、ここでやめられたらたまらないと思ってしまった春佳だった。
「あう、あん、な、なに？」
　ゆっくりと仰向けにされ、足が広げられていく。足の間から、遠藤の、やや薄くなった頭が見えた。
「だ、だめ！やめて！そこ、まだ、シャワーを、だって、そこ、だ、あうう！あん！ああ！」
　拒否しかけた声も、自分のいやらしい声でかき消されてしまった。
　トロトロと秘唇に、遠藤の舌がうごめいているのだ。
「じゅる、は、は、ずずっ、は、は、これ、おくさん、じゅる、すっごい、ずず、濡れてますよ」
　ズルズルと春佳の蜜をすする音が恥ずかしい。その上、遠藤の舌遣いは、巧みだった。
　次々と、秘唇のあちこちをかき回しては、新たな春佳の嬌声と秘蜜を湧き出させ、湧き出した秘蜜はその度に、ずずっと、下品な音を立てて吸われるのだ。
　春佳にしたら、恥ずかしくてたまらないのに、吸われる音を立てられる度に、秘唇が吸い込まれるような快感に、新たないやらしい声を出してしまう。
　止まらなかった。
『あぁ、だめぇ、感じちゃう』
　自然と足が広がってしまう。
　広がった股間に吸い付くように遠藤が、音を立てて、しゃぶっている。
　ずずっとすするようにされると、身体の奥底がそのまま吸い出されてしまうかのように、圧倒的な快感に支配されてしまう。
　シャワーも浴びていない秘所を、今日初めてあった男に吸い尽くされるのだ。
　春佳の、匂いも、味も、そして、まだ子供を産んでいない秘所のピンク色の構造も、あからさまになってしまっていた。
　もう、電気を消してと叫ぶどころではなかったのだ。
　その上、胸だった。
　悪魔のような指先の動きは、今や、春佳のＣカップの両胸を執拗に狙ってくる。
「あん、だめ、あう、あ、あう、そこ、あう、やめてぇ、あん、だめぇ、おかしくなるから」
　ずず、ずずっと、吸われながら、乳首の先が強くつままれる。
『だめ、へんになっちゃ。違うの、セックスするだけなの、こんなエッチにならないんだから。あぁ、でも、あう、ヘンになっちゃう』
　腰の奥がジーンとして、絶えず、小さな泡が頭の中ではじけてしまう。
　その度に、エッチな声が出てしまう。止められない。
『え、あ、だめ、入って来ちゃ、だめなのぉ、いやあ』
　舌が、夫以外の侵入を許したことのない秘所にわずかに入ってきたとき、春佳に限界が訪れたのだ。
「あう、あ、あ、あ、だめ、だめに、あう、やめ、あ、あう、い、いくぅ〜」
　思わず叫んでしまっていた。
　背中が、知らずに、ブリッジを作っていた。
　夫とのセックスでも、言わされている絶頂を告げる言葉が、今、口をついて出てしまった。
　それほど、春佳の中を通り抜けたオーガズムの白い津波は大きかったのだ。
「はふ〜」
　身体中の力が抜けて、手も足をだらしなく投げ出した姿を、男達に見下ろされていた。
　明るいままの部屋の中。
　足を広げたまま、手も足も投げ出して、力が抜けきってしまったしどけないヌードを見られている。
　ハシタナイとは思うのだが、身体が動かない。それに、さんざん、恥ずかしい部分をいじくられてきたのだ。今さらとも思う。
「さ、これは、食前酒のようなものですよ」
『え？何なの？』
　これほどまでに大きな絶頂をしたことなど、思い出せないほどなのに、まだ、これからだなんて。
　もう許して、と言いかけた瞬間、自分の両足が、広げられたまま、持ち上げられたのを感じた。
「さ、これから、ちゃんとしてあげますからね」
「あぁ、もう許して。お願い、もう、達してしまったの」
「まだ、ほんのちょっとだけですよ。さ、これを。見てご覧なさい」
　会長の言葉に促されて、春佳の股間に膝立ちする姿に目をやる。
　さっきまで意図的に見るのを避けていたけれど、見ないわけにはいかなかった、
　かなりの年齢になるはずの会長の黒い怒張が、やや上を向いた角度でそそり立っていた。
　それは、夫のものよりもやや、短い気がしたが、先端が、松ぼっくりのように膨らんだ、異様な形をしていた。
「ひっ、そんなのが」
『入るわけない、そんな大きいのが』
　先端分が入るだけでも、自分が裂けてしまうのではという恐怖が走る。　
「大丈夫。結構やみつきになりますよ。うちのも会長にしてもらったら、しばらく足腰立たなくなりましたけど」
　いつの間にか、遠藤が、すぐ横に顔を寄せて、そんな物騒なことを囁くのだ。
「あぁ、だめぇ」　
　何がダメなのか、もはや自分でもわからない。
　しかし、ダメといいながら、遠藤に促されて、その手は、遠藤の怒張に導かれてしまう。　ごく当たり前のように、怒張を握らされる。
『よかった、こっちは普通ね』
　そんなことを考えてしまうなんて異常なことなのに。
　思わず、形を確かめるように、指先で確かめずにいられない。
　指先にはじき返すような弾力を感じると、なんとなく、そのままで、手を離しづらくなる。
　指先には、オトコの出すヌルヌルが絡みついている。促されるままに、そのまま、動かしている自分が妙におかしかった。
　夫以外の怒張を触るなんて考えたこともなかったのに。まして、オトコのヌルヌルした分泌液が手に付いているのに、なぜか、汚いとも思えない、
　そのヌルヌルにまみれた手で、怒張を平気で動かし始めてしまうなんて。
　一瞬、手の中でヌルヌルと動かしている怒張に気を取られた。
「さ、いきますよ」　
「え？あ、だめ、待って、だめぇ、あうう！」
　膨らんだ先端が、グッと身体をかき分けてきた。
「あうぅ」
　メリメリと音がするのではないか、と思えるキツさで入ってくる。そのくせ、ひどく濡れている秘唇は、男が突き入れてくる力にまるで抵抗できない。
　ぐっしょりと濡らした秘唇に、いくら閉じようと力を入れても、抗えるはずがないのだ。
「ほら、奥まで入れますよ」
「あんだめ、ちょっと待って」
　入り口ですら、圧倒的な存在感を持った先端の松ぼっくりだった。これが奥まで届いたらどうなってしまうのか。
「あ、あ、だめぇ！あう！あん、す、スゴい！あ、だめぇ」
　さっき見たときは、夫の方が奥まで届くような気がしたけれど、松ぼっくりのように膨らんだ先端は圧倒的だった。
「あ、あ、あ、だめえ、こんなあ」
　グッとカラダが広げられた気がした。
　それだけでも、腰をそのまま持って行ってしまいそうな、そんな快感に襲われる。
「ダメ、動かないで、あぁ！」
　圧倒的な存在感が、自分の中を埋めている感じがしたのだ。
　はっ、はっ、はっ。
『口を開いたまま、あえぐしない』
　内蔵が口から飛び出してきそう。
　そんな怖さを感じてしまうほど、その松ぼっくりの存在は大きかったのだ。
　このまま、動かれたらどうなってしまうのか。
「ほら、奥まで、大丈夫だったでしょう」
「でも、大きすぎて…、なんだか、苦しい」
　確かに、内蔵が押し上げられるようなそんな苦しさがある。でも、本当は、そんな苦しさの何十倍もの勢いで、身体の中が快感でふつふつと煮えたぎり始めていた。
「すぐなじみますよ。奥さんはこんなに濡れてるんだから」
「あうん！」
　確かに濡れていた。
　それも、自分でも信じられないくらい。
　だから、大きすぎるはずの松ぼっくりが、会長はじっとしているはずなのに、ぬらぬらと、なめらかに動いてしまう。
　ほんのわずか、動いただけでも、そのまま、この松ぼっくりに、腰から下がどこかに持って行かれそうな感じになる。
　ヒダの一枚一枚がかき分けられている気がした。その度に、腰の奥から、何本もの白い電撃が体中を駆けめぐるのだ。
　軽い絶頂に何度も達してしまう。
　こんなことは初めてだった。
「あん、あぁ、だめぇ」
　淫声が、春佳の整った唇から絶えず漏れていた。
『なんなの、こんなあ、ガマンできない、あうぅ、へんになっちゃう』
　少しずつ、身体の中をかき回してくる会長の怒張が、春佳の美肉のあちこちを刺激する。
　恥ずかしい声が押しとどめようにも止まらない。
　いや、一回ごとに声がいやらしく、大きくなる一方だった。
「さてと、そろそろ、馴染んできたようですね」
　会長が、嬉しそうに、春佳を覗き込む。
　知らない、と言いたげに、両手で顔を覆って、かぶりをふったが、一瞬のうちに、その手は、シーツを握りしめるコトになってしまった。会長が突然力強く律動し始めたのだ。
　身体の奥が、ぐ、ぐ、とかき分けられ、掘り起こされる。
　一回ごとに、違うヒダをかき分けて、違う場所を押し込んでくるのだ。　　
「あう、恥ずかし、くて、あうぅ…　あ、あ、あう、ああん！ダメ、ダメ、あう、え？え？だ、あう！い、いっちゃう！いっちゃう！」
　驚いた。
　突然、カラダの奥がはじけてしまった。
　会長が、ほんの数回、自分のナカを抽送しただけで、突然、カラダの奥から、何かがあふれ出した気がしたのだ。
　とどめようもないほど突然の、強烈なオーガズムだった。
　カラダの奥から、快感の塊が、溶岩のように流れ出した。
『あぁ、溶けるぅ』
　もはや、声が出ない。息をすることさえできなかったのだ。
　シーツを掴んでいたはずの両手は、無意識のうちに、シワが寄っている会長の背中にまわしてしまっていた。
　ヒクンと、自分のナカがうごめき、この、ついさっきあったばかりの男性の怒張を愛しげに締め付けてしまうのが止められない。
「あぁ、ふぅ〜」
　春佳の中で、松ぼっくりは、いっこうに衰えそうもなかった。