〜最終章〜

４

　日付が変わりそうな時刻に、幸人は帰ってきた。
　少し酒の臭いのする夫に千恵美はいつものように装い、お風呂に入れて夕食の支度をした。
　このところいつも少々口にはするもののあまり食が進まない幸人に千恵美は鎌をかけてみた・・・。
「あなた最近体調がよろしくないの？」
「・・・」
「そういえば今日、専務さんから私に電話があって・・あなた今日は会社を早引けしたんですって？？」

　さすがに幸人も黙ってはいられず・・。

「ああ・・最近体調が悪くて・・・。だけど取引先の部長がどうしてもって言うんで・・、付き合ってたんだ・・・。」
「一度家には帰ってらしたんでしょう？」
「・・いや・・」
「冷蔵庫の脇にワインが出しっぱなしになってたの、確か今朝の朝食まではなかったのに？・・・」

　ワインなど出しっぱなしにはなってはいなかったのだが、千恵美は思い切って鎌をかけてみた・・。

「ああ！！そういえば・・・午前中一度家に帰って・・・そうだ・・ワインでも引っ掛けて寝ようかとしたときに部長から連絡があったんだった・・。」

　幸人はあわててそう答えた・・、決して嘘のうまくはない幸人の態度に千恵美は少々がっかりした・・・。

「そうでしたの・・・じゃぁ今日はゆっくりと休んで下さいね・・・。明日はいつもどうりに会社に行かれますか？」
「・・・ああ・・・」
「調子が悪いのならお休みになればいいのに・・・。」
「そういう訳にはいかないんだ、心配掛けてごめん・・・俺・・・」
　そう言いかけて幸人は黙ってしまった・・。
「何？どうかしました？・・」
　千恵美の問いかけにも幸人は答えようとせず、そそくさと寝室に行ってしまった。
　千恵美は幸人の最後に言った「・・・俺・・・」という続きに、幸人の心が決して自分から離れてはいないことを悟った。

　翌朝幸人はいつも通り会社に出かけた。
　夫が出て行ってすぐに千恵美は事の顛末を純一に電話で報告した。
　電話の先で純一は非常に驚き、貴美子には僕から言って身を引かせるとまで言った。
　千恵美は怒る純一をなだめ、まだ相手は貴美子かどうか確信がもてない事や、まだ夫は完全に私達を裏切ってはないことを淡々と説明しどうにか純一をなだめた。
　こうした純一の会話を聞いて、千恵美はこのことに純一が完全に無関係だという事を知ると、「事がはっきりするまでこのことは貴美子には内緒に」と純一にお願いした。
　純一も千恵美夫婦がいざこざで別れてくれれば儲けモノと一切口を出さない事で合意した・・・。

　千恵美は綾香を送って貴美子とよく待ち合わせた喫茶店に行くと、決心をし貴美子に電話を入れた。

「千恵美！久しぶりじゃん！・・どう？純とうまくやってるの？」
「・・・ええ・・久しぶりね・・・。」
「どうしたの？元気ないじゃん！！」
「貴美子！！どうしても話したいことがあるの！！今からここへ来て！」

　いつもの喫茶店で待ってると言い千恵美は電話を切った。

　しばらくすると貴美子がやってきて少し世間話をすると二人で外に出た。

「あなた今誰かと付き合ってるの？」
　千恵美は思い切って貴美子に質問をした。
「あなたの聞きたい事は大体分かってるわ・・・。」
　貴美子はそういうとついてらっしゃいと言い、足早に歩き出した。
　早足で歩く貴美子に千恵美はついて行くのがやっとだった。
　後ろから千恵美が「待ちなさいよ！ちゃんと質問に答えなさいよ！！」というと。
「人がいる前じゃ話せないことでしょう！！二人っきりになれる所までついてらっしゃい！！」貴美子はそう言い、駅裏のファッションホテルの前まで千恵美を連れてきた。
　受付を済まし鍵を受け取ると二人で部屋に入った。

　部屋の鍵を掛け貴美子は千恵美に全てを打ち明けた。
　千恵美の旦那と知って幸人を誘惑した事や、幸人とのセックスの全容、それもコレも千恵美が自分から純一を奪った仕返しなのだとも・・・。

「・・・ひどい・・」千恵美がそうつぶやくと・・。
「あんたよくそんな事いえるわね！人から泥棒猫のように恋人を奪っておいて！」
「それは・・・貴美子が私を落としいれようとした結果じゃない・・？」
「はじめはそうだったかもしれないけど・・・今はどう？・・結構良い感じで純と良いことしてるんでしょう？」
「・・・そんな・・・・」
「かまととぶるんじゃないわよ！！純から色々聞いてるんだからね！あんたお尻の穴までやられているそうじゃない！」
「・・・・・・・・」
「そういえば最近人前でするのが好きなんだって？？・・・あはは・・・笑っちゃうわ！！この変態！！」

　貴美子になじられても言い返せない千恵美だった・・。

「裸になりな！！」貴美子がそう命令した。
「いや！！なんであなたなんかの命令を聞かなきゃならないの！」千恵美は強気に貴美子に逆らった。
「そう・・いやならいいけど！・・・・千恵美？あんたがしている事を幸人さんは知ってると思う？？」

　貴美子の問いかけに千恵美は愕然とした！

　千恵美は薄笑いを浮かべ、「もちろんまだ言ってないわ！幸人さんは唯の坂下貴美子として誘惑をしたまでよ！・・・だけど私が千恵美と純の事を幸人さんにいったらどうなるんでしょうね〜？」

　その言葉に千恵美は呆然とし、頭の中が真っ白になった。

　千恵美は貴美子の言いなりになった。
　自分から服を脱ぎベッドに横になった・・・もうどうなっても良い・・・千恵美は身体の力が抜けたロボットのようだった・・。

　貴美子は千恵美のアソコに薬を塗り始めた、丁寧にビラビラの中まで塗ると反応のない千恵美をほったらかしにして自分でビールを運びグラスに分け、一杯を千恵美に差し出した。
　千恵美は出されるがままにビールをあおりまだ頭の中がパニックになってる事で貴美子に反抗する気力も手だてもないままであった。

　貴美子はしばらくするとベッドの横にあるテレビの電源をいれ、下にあるビデオデッキに自分のかばんから取り出した一本のビデオテープを差し込んだ。

　何気なく辺りを見ていた千恵美の目にショッキングな映像が飛び込んできた！！