自分で言うのも何なんですが・・・正直・・・私は・・いい妻でありいい母であったと思っていました・・・。
　夫が仕事で遅くなったときも笑顔で迎えるよう心がけていたし、家事も一通りこなしますし・・・お料理も人一倍気を使って作っていたつもりです。
　特に綾香の子育てには、夫が仕事でかまってやれないものですから、寂しがらないよう勤めて接しておりました・・・・そう・・・貴美子にもらったあのお薬を使って夫とセックスするまでは・・・。
　あの時・・・初めてセックスでオーガズムを感じて以来、そのあまりにも強烈な快感を覚えて以来・・・私はその快感が片時も忘れられず、今まで一生懸命尽くしていたことがだんだんおざなりになっていくのを日ごとに感じていました・・・。
　もちろん綾香の幼稚園のお迎えや家族の食事や家の家事仕事などは無難にやってたのですが、何もかも上の空で、暇さえあればすぐに手があそこに伸びて一人オナニーをむさぼり、娘と過ごしているときでもあのことを考えるだけであそこがジ〜ンとしてくるんです。
　夫はそんな私をちょっとおかしいと感じて「身体でも悪いの？」と気遣ってくれるのですが、まさか「セックスがしたいの！」などとは言えず、疲れて帰ってくる夫に無理にセックスをせがむ訳にも行かず・・・、それでも夫は疲れている身体に鞭打って夜の相手をしてくれるんですが・・・、疲れているせいかすぐに終わってしまい・・・、私はその後の私の火照った身体の処理をしなければならない有様です。
　今まで夫とのセックスに何も不満を感じたことはありませんでした・・・。
　だけどあのお薬をあそこに塗るとまるで別の私が目覚めたようにセックスが物足りなくなってしまうんです。

　貴美子からもらったお薬が一月もしないうちにもう残りわずかになってしまいました。
　ここ一月の間に夫とのセックスが２回、オナニーは数え切れないほど・・・。
　ほぼ毎日のペースで防音の聞いたピアノルームで獣のようにオナニーをしていました。
（貴美子にお薬を分けてもらわなくちゃ・・・、でもこんなに早く使ってしまったともいえないし・・・。）
（知り合いの奥様に勧めてあげるってことにすればいいか！貴美子もお薬が売れたほうが彼の手助けになるって言ってたし・・・。そう・・そう言おう！）
　私は恐る恐る貴美子の携帯に電話をかけました・・・。
　トゥルルル・・・〜〜〜〜・・・カチャッ「もしもし千恵美〜、久しぶり〜！！」貴美子の元気な声が聞こえました。
「あのね〜あの時貰ったお薬のことなんだけど〜・・・」
「あ〜あれね・・それで？」
「アレまた売ってもらえないかしら？」
「・・・もう使っちゃったの！！」
「いえ・・あのぅ〜・・知り合いの奥様にそのお薬のお話をしたらすごい興味もたれたみたいで・・少しでいいから分けてほしいって言われちゃってさ〜」
　上ずった声で私が言うと、少し間をおいて貴美子が「ごめんね〜千恵美！あのお薬は知り合い以外売れないんだって・・・、ていうかホンとはまだ試作品だから千恵美にも売れないらしいんだ〜！」
　私は愕然としました・・・（そんな・・あのお薬がないと困るわ）。
「もしかしてもう千恵美つかちっちゃった？私も使ったけどすごくよかったよ」
　貴美子が言ったので「一回だけ使ったけど・・・少しは良かったかなぁ〜」白々しく答えると、「じゃぁ〜ね〜そういうことだからあんたも大切に使いなさいよ」貴美子はそういうと電話を切ってしまいました。
　私は携帯を握り締めたまましばらく呆然と立っていました・・・。
　頭の中がパニック寸前でした。
（あの時正直に言ってれば貴美子もどうにかしてくれてたかもしれないのに・・・。でも恥ずかしくていえない・・・。でもあのお薬がほしい・・・。）
　しばらくは抜け殻同然になってあと少しになったお薬を見つめてはうなだれていました。そんな私に夫は優しくしてくれ、子供も小さいながら私を気遣い肩を揉んだり励ましたりしてくれました。
（ああ〜私はあなたたちの思ってるような妻や母じゃないの！！ただの淫乱な女なのよ・・・！！）
　私は頭の中では悪いと思いながら、それでもあの快感を忘れられないでいました・・・。
　貴美子と電話してから３日がたった頃です私はまだあのお薬の快感が忘れられなくて漠然と日々をすごしてました。
　突然私の携帯にメールが来ました・・。貴美子からでした。
『千恵美〜元気〜！！あれから彼にあの薬のことを聞いたらさぁ〜！！どうにかなりそうなのよ！！１１時にこないだのサテンで待ってるからさ〜！！来てね〜！！』
　私は嬉しくて叫びたいほどでした・・・。急いでしたくして喫茶店に行くともう貴美子が待っていました・・・。
「お待たせ〜・・待った？？」
「ううん私も今来たとこ」。
「ところでさ〜・・・」いきなり貴美子が切り出しました。
「あの薬やっぱり他人には売れないんだって！」
「えっ！！」そんな〜と言いかけて私は黙りました。
　すると貴美子が意地悪そうに「ホンとはもう使っちゃったんじゃないの千恵美！」ニヤニヤしながらそう言うと。私は何にも言えずにただうつむいていました。
「正直に言えばこっそり彼から失敬した薬をあげる！！私も使ってるんだから恥ずかしくないでしょ！！」
　と言う貴美子の言葉に、心がぐらつきました・・・。
「使ったんでしょ！！」
　貴美子が言うと、私はうなずいてしまいました・・・。
「いいじゃん！！そんなに恥ずかしいことじゃないって！！それでどう？？気持ちよかった？？」と聞かれて「うん・・・」と言うのが精一杯でした・・。
「だけど千恵美の旦那って忙しいんでしょ！よくそんな体力あるよね？」
　私はただうなずくばかりです・・・。
「もしかしてオナニーとかしてたんじゃないの？きゃはは」
　私は真っ赤になって顔を背けると、
「いいじゃん！あんたは昔っからおくてなんだから〜！！誰だってしてるよ主婦なんてさ！！」
　そういわれると少しほっとします。
「かまってもらってないんでしょ・・・」
　今度はやさしく貴美子が尋ねました。
「そんなことないわすごく優しくしてくれるもの！ 」
　私が答えると、
「セックスのことよ！！あんな薬をこんなに早く使っちゃうなんてそれ以外考えられないもの！！」
　鋭い突っ込みに私はもううなずくしかありませんでした。
　貴美子がここぞとばかりに色んな質問をしてきました・・・、旦那とのセックスの回数や私の今までの経験、セックスの時間や体位・・・。他にも色んなことを聞かれ、私はもう正直に答えるしかありませんでした・・・。
「いい方法があるの！！」貴美子が言いました。
「なに・・・」聞き返すと・・・。
「出会い系サイトよ！！出会い系サイト！！」。
「そんな〜私は夫以外の人とまでセックスしたいなんて思ってないわ！！馬鹿にしないで！！」
　私が怒って言うと・・・。
「その旦那とのセックスじゃ満足できないから薬まで使ってオナニーしてるんでしょ！！かっこつけんじゃないわよ！！」
　激しい口調で貴美子が私をなじりました。
　そのとき私は貴美子にいろいろ話したことを始めて後悔しました。
　貴美子は矢継ぎ早に『私たちの年代は十代の若い子に人気がある』とか『出会い系は簡単に相手が見つかる』などとせかしまくり、一人でどんどん話を進めて行きます。
　私は言われるがままにうなずくしかありません。
　ついに貴美子は携帯で出会い系サイトにつないで相手を探し出し始めました。
　私は（やめよう）とか（できないよ〜）とか小声で反対したんですが、完全に無視されて・・・（もう貴美子には逆らえない・・・。）私は不安と恐怖に怯えました。
　貴美子が２０分もしないうちに「相手が見つかったからこれから行くよ」と言いました。私が拒否すると強引に手を引っ張って喫茶店を出ました。
「お願い勘弁して！！」そうお願いすると、
「あんたのために見つけてやったのよ！！絶対旦那にはばれやしないし、身分がわかりそうなものはロッカーにでもおいていきゃいいじゃない！！」
　貴美子が怒ってそういうと、
「できない、いやなの・・・お願い許して！！」私は言いました。
　貴美子はじーっとこちらをにらみつけ平手で顔を殴りました。親にも一度も殴られたことがなかったので唖然としてると、
「さっさと来ればいいのよ！！変態のくせに！！」
　私は言い返す言葉も無くとぼとぼと貴美子の後についていきました。
　このとき私の幸せな家庭が、頭の中でガラガラと崩れていった気がしました。