3 　次の日やって来た先輩はジーンズ姿だった。 　やっぱり男子の家に来るのは警戒してるのかなぁ？　でも、ピッタリしたジーンズは身体のラインが見えるのは興奮ものだ。お尻はまんまるで色っぽいし、なんといっても前の方のカタチ・・・そう、あの部分に目が・・・ 　昨夜、先輩のふとももの間に顔を埋めているところを想像しながら二回もオナニーをしてしまったんだ。頭の中はエッチなことでいっぱいで、こうして現実の先輩と一緒にいてもおかしなことばかり考えてしまう。 「先輩・・・あの・・・コーヒーでいいですか？」 「あ・・・うん・・・気にしないで。教わりに来てるんだし」 「僕も飲みたいから・・・」 　実際、喉が渇いて仕方がなかった。 「この前預かった小説をデータにしてUSBメモリに入れておきましたから、先輩のパソコンにコピーしますか？」 「ええっ、もうできちゃったの？　すご〜い。わたしなんか、昨日一時間かけて原稿用紙二三枚しかできなかったのに・・・」 「最初のうちはそんなもんですよ。習うより慣れろだから、ここで別の小説を一緒に打ち込んじゃいましょう」 「うん。そうしてくれると助かる」 　先輩が甘い声で言った。語尾が「る」じゃなくて「るぅ」に聞こえた。 　途中でコピペの仕方やショートカットキーを教えながら、昨日のようにリビングのテーブル上にパソコンを並べて作業を続けた。シャギーカーペットに座りながらの作業はやりにくいんだけど、学校の椅子で並ぶよりも距離が・・・物理的なものじゃなくて親密度みたいな感じかな・・・ずっと近いような気がしてドキドキする。 「ねえ、先輩・・・」 「なに？」 「この舞台設定って、さっきコピーした作品とおんなじですよね？」 「うん・・・」 　僕が、子宮にたどり着く石造りの螺旋階段と思ったシチュエーションが、こんどの作品では洞窟になって、やはり主人公が奥へと進んでいくストーリーになっていた。 「なんか不思議で引き込まれそうです」 「うん・・・」 　先輩の方を見ると心なしか顔を赤くしてるようだった。 「暗示的で・・・いろいろ想像しちゃいます・・・」 　まさかと思いながら、ちょっと意地悪のつもりでそう言うと、先輩はもっと顔を赤くしてうつむいてしまった。 　そのまま固まってしまったように動かない。 「先輩・・・」 　声をかけても聞こえてないみたいだ。なんとなく、ふるふると身体が震えてるような気がする。 　それに、あの花のような先輩の匂いが強く漂ってくる。 「先輩・・・先輩ってば・・・」 　もしかしたら気分が悪くなっちゃったのかも、などと半ば心配になってしまい、僕は先輩の肩に手をかけて言った。 「ひゃん」 　そう聞こえた。 　先輩は身体をビクンとさせながら「ひゃん」と言った。 「ど・・・どうしたんですか・・・先輩・・・」 　僕を見る先輩の目がいつもと違っていた。 　なんていうか・・・潤んだ感じなんだ。 「そ・・・そんなの・・・だめよ・・・」 「えっ、なにがですか？」 　ほんとに、なにがなんだかわからなかった。 「そんな・・・想像しちゃ・・・」 　僕はなにか言っただろうか？　思い出してみるまでもなく、昨日から考えていることなんか言ってないし、言えるはずもない。 　でも・・・もしかしたら・・・先輩ってテレパスで僕の考えていることがわかるんじゃないだろうか、なんて、あり得ない・・・ 「ぼ、僕はなんにも・・・先輩こそ、どうしちゃったんですか？」 　僕は自分を取り繕うと必死だった。 　ほとんどパニックに近い動作で無意識に先輩の腕をつかんでいた。 「ひゃん・・・」 　また先輩の身体がビクンと震えた。 「せ・・・先輩・・・大丈夫ですか・・・」 「ひゃ・・・ひゃめ・・・」 　たぶん「ひゃん」は「やん」だし、「ひゃめ」は「だめ」なんだろう。先輩に触れているときに声がおかしくなるのではないかと思った。でも怒ってる感じはしないし、逃げる様子もないので、僕は勇気を振り絞って両肩をつかんで言った。 「先輩、どうしちゃったんですか？　具合でも悪いんですか？」 「ふぇぇぇん・・・」 　びっくりした。 　普段から舌っ足らずで甘い声なのに、その百倍は甘ったるい声だ。 　頬をピンクに染めながら僕を見上げる先輩の目には涙がたまっていた。 　僕の中で何かが弾けた。 「ひゃっ！　ひゃぁんっ！」 　気がついたときには先輩を抱きしめていた。 　距離はほぼゼロメートル。先輩の髪からあの甘い香りが強く漂う。それがスイッチの働きをしたのか、僕は無意識に力を入れて先輩のことを抱きしめていた。 「ひ・・・ひまい・・・ふぅん・・・」 　僕の腕の中で震えている先輩の身体はびっくりするほど細くて柔らかい。 「せ・・・せんぱい・・・せんぱい・・・」 　そう言いながら、僕は先輩のいい匂いがする髪の中に顔を埋めた。 「ふわっ・・・ふわわぁん・・・」 　不思議な声をあげて先輩の身体がビクンと震えてかたくなった。 　意識したわけではなかったけど、僕の唇は先輩の耳に触れていた。そして、耳の穴へ息を吹き込むようなかたちになっていたんだ。 「せんぱい・・・」 「ひゃっ！　ひゃぁぁん・・・」 　僕がしゃべると先輩が震える。 　もう後先のことなんて考えられなかった。 　僕は先輩を抱きしめたまま顔を上げ、そして次の瞬間には唇を重ねていた。 　なんて柔らかいんだろう。それが僕のファーストキスの第一印象だった。 　舌をそっと差し込んでみる。そして、前歯のあたりを軽く舐めてみる。舌先が歯茎に触れたとき、閉ざされていた先輩の唇が緩んだ。 　僕の舌は自分の鼻先を舐められるくらい長くてよく動くんだ。このときほど、それがありがたいと思った瞬間はなかった。 　もう先輩は身体の力が抜けていた。 　僕は奥の方まで舌先を差し込んで先輩の舌を探した。 　そうしながら僕はのしかかるようにシャギーカーペットの上に先輩を寝かせて、痛いほど大きくなったあそこを先輩の身体に押しつけて擦っていた。 　デニム地越しにふとももの柔らかさを感じた途端、頭の中が真っ白になるほどの快感が訪れた。 　そう、暴発しちゃったんだ。 　濡れたパンツの感触に僕は我に返った。 　かなりの罪悪感・・・ 「先輩・・・ごめんなさい・・・」 　僕はシャギーカーペットに座り込んで（正確にはへたり込んでかもしれない）そう言った。 　先輩は横になったまま、潤んだ目でこちらを見てる。 「ぼ、僕・・・気がついたら・・・先輩にキスしてました・・・どうしてなんだか僕にも・・・でも・・・僕は先輩のことが好きなんです・・・」 　なんだか、自分でもわからないうちに告白っていた。 　先輩が身体を起こした。 　先輩は座ったまま僕を見つめていた。 　雰囲気がおかしかった。いつもの先輩とは違う。当たり前か・・・ 　このまま走り去られてもしょうがない状況だと思った。 　なのに、先輩はまだ僕を見つめている。その眼が怖い。吸い込まれるような気がした。 　どれくらい時間が経っただろう。そう思えるほど僕らは見つめ合っていた。 「射精・・・したの・・・？」 　先輩の口から出た言葉の意味が一瞬わからなかった。 「えっ・・・？」 　僕は思わず聞き返してしまった。 「今井君・・・射精したの？」 　いつもの声と違う。抑揚がなくて不気味に感じる。 「ご、ごめんなさい！」 　きっと、すごく怒ってるんだと思った僕はあわてて謝った。 「射精したのよね？」 「ほんとうに、ごめんなさい。夢中になって・・・」 「見せて」 「ええっ？」 「今井君の精子・・・見せて・・・出したんでしょ？」 　予想外の言葉に僕はなんだかわけがわからなくなった。 「見せろって言われても・・・見えるもんじゃないですよ・・・」 「見たいの・・・」 「ど・・・どうすれば・・・いいんですか・・・」 「ジーパン脱いで」 「ええっ・・・汚れたパンツだし・・・臭いですよ・・・」 「だめなの？」 「そうじゃないけど・・・恥ずかしいし・・・」 「見せてくれなきゃ、今井君がなにしたかお母さんに言いつけるわよ」 　甘ったるい声とはひどくアンバランスな内容に僕は戸惑ってしまった。でも、先輩の目は本気だった。無理矢理キスしちゃった負い目があったし、そうしなければいけないんだと思わせる迫力が先輩の態度にはあった。僕は覚悟を決めた。 「そんなに見たいんですか？」 「うん」 「汚いとかって言うのなしですよ・・・」 　僕はベルトの金具を外してジーンズを脱いだ。濡れたブリーフの前が情けなくて恥ずかしかった。 　先輩が僕に近寄ってくる。股間に視線を感じる。 「・・・」 　先輩の指先がブリーフの濡れた部分を軽くなぞった。そして、顔の前に持ってって見つめている。 「これが精液？」 「そ、そうです・・・」 「へんな匂い」 「だから・・・もういいですか・・・？」 「出るとこ見たいな」 「ええっ？」 「精子出るとこ見たい」 「それって・・・」 「見せて」 　そう言う先輩の顔を見ていたらやけくそな気分になった。 「わかりました！　これがオチンチンです！」 　僕は叫びながらブリーフを下ろした。こうなったら先輩の望みは何でもかなえてあげようと思った。 「わぁ・・・すごい・・・でも・・・」 「で・・・でも・・・？」 「出てくる場所じゃなくて、出るところが見たいの」 「そ・・・そんな・・・無理ですよ・・・」 「出ないの？」 「普通は・・・出ませんてば・・・」 「興奮すれば出るんだよね？」 「そう・・・ですけど・・・」 「どうすれば興奮するの？」 「エッチなこと考えたり・・・見たりすれば・・・」 「さっきもエッチなこと考えてたんだ」 「あれは・・・考えてたんじゃなくって・・・刺激が・・・」 「刺激？」 「先輩とキスして・・・すごく興奮したから・・・」 「キスしたから・・・出たの・・・」 「そうじゃなくて・・・ごめんなさい・・・先輩の身体に押しつけて・・・気持ちがよすぎて出ちゃったんです・・・」 「男子って自分でして出せるんでしょ？」 「知ってるんなら言わないでくださいよ・・・」 「どうやってするの？」 「つまんで、しごいたり・・・」 「だったらやって見せて」 「無理ですってば・・・」 「どうして？」 「だって恥ずかしいし、エッチな気分にならなきゃ大きくならないし・・・出ないですよ・・・」 　なんだか完全に形勢が逆転した雰囲気だった。無理矢理キスしちゃったのは僕が悪いんだけど、先輩の言いなりになっている僕は・・・情けないというか、でも悪い気分じゃない。それが自分でも意外だった。 「いまはエッチな気分じゃないんだ・・・」 「こんなふうに一方的なのは・・・ちょっと・・・」 「どうすればいいの？」 「僕ばっかりこうしているのは不公平ですよ・・・僕だって・・・先輩の身体が見たいし・・・さっきみたいに抱きしめてキスできれば・・・」 「触るのはダメ。へんになっちゃうから・・・」 　やっぱりそうなんだと思った。あのとき腕をつかんだから先輩はおかしくなったんだ。 「わかりました・・・」 「でも見せてあげたら出るところ見れる？」 「たぶん・・・いや・・・大丈夫です・・・見せてください・・・」 　思わぬ提案に期待で喉がカラカラになった。 「どこが見たいの？」 「全部・・・は・・・ダメですか・・・？」 　駄目もとで聞いてみた。 「・・・」 　先輩は黙り込んでしまった。 　しばらく沈黙があって、やっぱりダメかと思いはじめたとき先輩が言った。 「触ったり、へんなことしないって約束してくれる？」 「も、もちろんです！　先輩が嫌なことはしません！」 　先輩の裸が見られるんだったら死んでもいいくらいの気分だった。 「じゃあ・・・」 　先輩の手がピンクのパーカーのジッパーをつまんで・・・そして・・・ 　脱いだパーカーをソファーに置いたときには、これから起こるであろうことを想像して、僕のものはビンビンに大きくなっていた。まだ下に着ているTシャツも脱いでいないのに・・・ 　でも先輩はそんな僕の変化には気づいていないようだ。やっぱり恥ずかしいんだろう、横を向いてTシャツの裾に手をかける。淡いクリームイエローの水玉模様のブラジャーがかわいいと言うより色っぽすぎる。 　そして・・・ 　うしろへ回した手がブラジャーのホックを外すと、夢にまで見た先輩のおっぱいが・・・すこしピンクがかった薄茶色の乳首が見えたときには気絶しそうなくらい僕は興奮してた。 「せ・・・せんぱい・・・」 　僕の声を聞いてはじめて先輩はこっちを見た。 「きゃ！・・・なにそれ・・・」 　大きく見開いた先輩の目が僕のあそこを見つめている。 「僕・・・もう・・・がまんが・・・」 「そんなに・・・大きく・・・なっちゃうんだ・・・」 　先輩は息を飲んでいる。 「せんぱい・・・すごく・・・きれいで・・・すごい・・・」 「出るの？」 「こすれば・・・たぶん・・・」 「やってみて・・・」 「はい」 　もう我慢ができなかった。僕は立ったまま自分のものを握りしめると右手をスライドさせた。 「せ、せんぱい・・・もっと近くに来て・・・見せてください・・・」 「こう？」 　先輩が目の前に来た。1メートルくらいしか離れていない。 　肌の白さが眩しかった。お椀型に盛り上がったおっぱいにはうっすらと青い血管が見える。そして可憐としかいいようのない乳首・・・見ているだけで大興奮の局地だ。 「す、すごい・・・夢みたいだ・・・もう・・・出ます・・・」 　僕は右手の動きを早めた。 「出るのね」 「は、はい・・・」 　先輩は興味深そうに僕のものを近くで見ようとしゃがみ込んだ。 「こんなに・・・大きいなんて・・・」 　そう言う先輩の息が僕のあそこにかかる・・・ 　それを感じたとき、たまらなくなって僕は先輩に向かって発射した。ビュッ、ビュッと二回に分けて放出されたものは、一度目は勢いよく顔へ、二度目はその下のおっぱいの方へ飛んでいった。 「きゃっ！　熱っ・・・」 　先輩の驚いたような声。 　見ると、顔にべっとり僕の精液が付いていた。 「あっ・・・ごめんなさい・・・わざとじゃないんです・・・」 　きっと怒られるに違いない。そう思って、僕は先に謝った。でも先輩はまた意外なことを口にした。 「これがヒトの元なのね・・・すごいわぁ・・・神秘的・・・」 　そう言って指先で頬に付いた精液をすくって、うっとりとした表情で眺めている。 「せ、先輩・・・汚いから・・・拭いてください。ティッシュ、そこにありますから・・・」 「これが生命の匂い・・・」 　そう言う先輩の目は完全に逝っている。ちょっとアブナイ感じだ。この人は、こんなにおかしい人だったのだろうか？ 「想像してたのと違うわ・・・こんなにドロドロ・・・」 　すくった精液の感触を確かめるように親指でかきまわして糸を引かせている。 　僕はものすごく恥ずかしくなった。 「やめてくださいよ・・・これで・・・」 　ティッシュの箱を先輩に差し出す。 「あれ？」 　やっと僕に気づいた先輩。 「なんですか・・・」 「さっきとぜんぜん違うのね・・・」 「ふだんはこんなもんですよ・・・」 「あんなに大きかったのに・・・」 　先輩の興味は僕よりも、僕のあそこにあるみたいだ。ちょっと悲しい。 　それに、先輩は上半身裸、僕は下半身裸というシチュエーションなのに、続けて二回も出した直後なのでエッチな気分になれない。せっかく憧れのおっぱいが目の前にあるというのに・・・ 「ちょっと・・・触らせてね」 　そう言うと同時に先輩は僕のものをつまんでいた。 「わっ！　わわわっ！」 　あまりのことに言葉が出ない。 「クニュクニュなんだ・・・」 「や・・・やめてください！　そんな・・・」 　先輩は親指と人差し指で僕のものをつまんで前後させ感触を確かめている。 　自分の指でしているのとはまるで違う感覚、それに先輩が僕のものを・・・ 　そう思っただけで反応してしまった。 「あれ・・・」 「せ・・・せんぱい・・・」 「大きくなってきた・・・それに・・・硬い・・・」 「せんぱい・・・」 　それしか言えないのが情けない。 「こうしたら、また出るかな？　すごい・・・熱い・・・」 「うわっ！」 　先輩は僕のものを握って、さっき僕がしていたようにしごきはじめた。 「すごい・・・どんどん硬くなってる・・・」 　あまりの気持ちよさに立っているのがやっとだ。 「出る？」 「まだ・・・ですけど・・・気持ちいいです・・・せんぱい・・・」 「出るとき言ってね」 「はい・・・もうすぐ・・・」 　あんなに出した直後なのに、もういっちゃいそうだった。刺激が強すぎる。 「せ、せんぱい・・・もう・・・だめです・・・」 「出るの？」 「はい・・・」 　そう答えたときだった。あたたかくてネットリした感触に先端が包まれるのを感じた。 「うわっ！　せ、せんぱい！　うっ！　ううっ！！」 　見ると、先輩が僕のものをくわえていた。気持ちいいなんていう感覚を遙かに超えた感触に、僕は呻きながら放出してた。 　もう立っていられなかった。 　へたり込んだ僕の目の前で先輩は口の中に出したものをゴクリと飲み込んだ。 　これは現実なのだろうか？ 　息が上がってしまっているし、なにも言えないというか言葉が浮かばない。 　そんな僕に見向きもせず、先輩は服を着はじめていた。 　そして、Macをたたんで小脇に抱えると立ち上がった。 「せんぱい・・・」 　取りつく島もないとはこういうことなんだろう。先輩は無言で玄関へ向かい出て行ってしまった。 　なんだったんだろう？ 　僕は下半身むき出しでシャギーカーペットの上にへたり込んだまま先輩のことを考えていた。 　部活のとき舌足らずの甘い声で論理的なことをいう先輩。 　すごく優秀なのにパソコン初心者で僕に教えを請う先輩。 　エッチなことを想像させる小説を書く先輩。 　ちょっと触っただけでフニャフニャになってキスを受け入れてしまう先輩。 　何かに取り憑かれたみたいに僕にオナニーを強要した先輩。 　そして手と口を使って僕の精液を絞り出した先輩。 　それらが別人格のように感じてしまい、僕はまったく先輩のことがわからなくなってしまっていた。 　気がつくと日が暮れていた。

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2011.4.20掲載

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