| 32 「ねえ、みんなでお風呂入ろうよ」 まだヒクヒクと痙攣している亜理咲と、荒い息が静まらない僕に先輩が言った。 立ち上がって僕と亜理咲を見下ろす全裸の先輩は不思議な微笑みを浮かべていた。 後光が差して見えた。その姿はまるで菩薩のようだった。 「ひ・・・とみぃ・・・怒って・・・ない？」 「どうして？」 「だってぇ・・・」 「ふたりともきれいだったわ・・・ちょっと妬けちゃった」 「そ、そうじゃなくて・・・」 僕は亜理咲から離れて床に座って二人の話を聞いていた。 亜理咲はまだ起き上がれないみたいだ。 亜理咲は二つのことを同時に聞いている。 ひとつは先輩のことを無理矢理縛って僕にアナルを責めさせたこと。でも、その答えは出ているはずだ。もうひとつは、先輩の目の前で僕としてしまったことだ。それも同じアナルで。そして、先輩は明確に答えず僕らとお風呂に入ろうと言っている。 「せんぱい・・・ごめんなさい・・・」 僕は無意識に謝っていた。 「今井君までどうしたの？」 「先輩が嫌だったんじゃないかと思うと・・・」 「前に言ったことなかったっけ？」 「えっ？」 「水島先生のところで・・・」 「あ・・・」 そうだ。あのとき先輩は強引にされてみたいっていう欲望があると言っていた。それに、水島先生が犯されている声を聞いて興奮したとも言っていた。 これ以上聞くのは逆効果だと思った。 「アリサ、起きれる？」 僕はアリサを抱き起こした。 「みんなでお風呂に入ろうよ」 僕も先輩と同じことを言っていた。 熱狂から醒めてみれば僕らは汗と体液でベトベトだった。 もう先輩はキッチンにあるコントローラーを操作している。 「せんぱい・・・」 「なあに？」 先輩の声が妙に色っぽい。 「ぼく・・・帰らなくって大丈夫ですか？ 遅くなっちゃったし・・・」 「お母さんは地方に出張だから今日は帰ってこないわ。それとも帰らなきゃならないの？」 「いえ・・・僕もみんなと一緒にいたいです」 なんだか以前より関係が深まったというか、先輩や亜理咲に対して家族のような感情が芽生えているのに気がついて、僕は戸惑っていた。すべてを受け入れてくれる先輩の気持ちや態度にそんなことを感じたのかもしれない。 「今井君・・・」 「はい・・・」 「忘れないでね。あなたは私の鍵なのよ」 「は・・・はい！」 先輩の言葉にノックダウンされた気分だった。 微笑む顔が眩しかった。 先輩はすべてを許して受け入れてくれる。そう思っただけでゾクゾクした。 |
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| 2011.11.19掲載 |
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