第四章 ビデオ

　啓子の部屋に忍び込み、その寝姿をデジカメに収めた俺は、どうしても写真だけでは満足できなくなりビデオカメラを買うことに決めた。
　悶えたり、恥じらったり、あるいは求めたりする啓子の姿を、動く絵として残しておきたかった。それに、あのときの声や、いやらしい音まで記録できるのはビデオしかない。
　高校時代に仲間と映画作りのまねごとをやっていたので腕には自身がある。

　夜勤明けの日、渋谷の量販店に行って、ちょっと高かったけど暗いところにも強いカメラと三脚などを買いそろえ、啓子を呼び出した。
　いつもは彼女の部屋でしか会っていないのだが、ビデオをすぐに試したいという子供じみた欲求を満たしたかったし、なにより気分が変わって今までにないプレイが出来るのではないかという期待も大きかった。それに、新品のビデオカメラを買ったことが分かれば、女房に怪しまれてしまう可能性もあるので、箱だけでも処分しておきたいという気持ちもあった。
　待ち合わせをしたホテルのコーヒーラウンジで彼女を待つ間、取扱説明書などを読んで操作方法を確認していると、遠目には臙脂色に見える細かいストライプのカットソーに黒いタイトミニ、網タイツの下は黒いブーツ、マスタード色のプラダのジャケットというおしゃれをした啓子が現れた。
　香ってくるのは、いつも化粧台に置いてあるシャネルのアリュールだろう。
　普段は部屋にいるラフな姿しか見ていなかったので、化粧もバッチリきめた彼女に見惚れてしまった。
「きれいだよ」
　歯が浮くような甘いセリフ。でも、本音だったことが伝わったらしく、啓子は頬を染めてうつむく。
　優雅に足を流して座る彼女のスカートの奥に、どうしても目が行ってしまう。太股の奥に視線を這わせ、その背徳感にゾクゾクしながら、俺はビデオを買った理由と、これからラブホテルにでも行って啓子の姿を撮りたいと話をした。
　一瞬、彼女は戸惑った様子を見せたが、小さな声で
「あなたが、そうしたいなら」
　とささやくように答えた。
　渋谷の街を二人で歩く。この女と外で会うのは初めてのことだ。啓子は、俺の腕にすがりつくようにしてついてくる。二人とも、不思議な開放感に胸を躍らせていた。
　ホテル街で一番高級そうなところを選び、彼女の肩を押すようにエントランスへ入る。
「私、こんなところはじめて」
　部屋の写真と料金が記されたボードの前で、少し興奮気味の啓子は独り言のように言った。一番広そうなヨーロッパ風のインテリアの部屋を選び、ボタンを押すとキーが下から出てきた。
「誰にも会わずに、お部屋に入れるのね」
　生まれて初めて、こんなところへ来たのだろう。啓子はしきりに感心している。
　部屋に入ると、さっそく三脚の上にビデオカメラをセットする。ベッドの脇にあるシンプルな壁をバックにすることに決めた。電源を入れ、モニターをチェックしてカメラの位置を決める。
「啓子、その壁の前に立って。そう、カメラの方を向いて。まずはジャケットを脱いでみようか」
　いきなり言われたので、考える余裕もないらしく、彼女は素直に命令に従った。
「じゃあ、こんどはカットソーを脱いでベッドの上に置いて」
　ズームボタンを押して上半身をアップに。恥じらう顔がモニターに映し出される。明らかに、とまどい、躊躇している。
「さあ！　脱ぐんだ！」
　強く、命令口調で言うと、ビクッと体を震わせ脱ぎはじめた。縛られることに目覚めてしまった彼女は、自分の中に眠っていたマゾの血を自覚し始めたようだ。命令されることにも、よろこびを感じるらしい。
　ベージュのブラジャーを手で隠すようにして、うつむく啓子の肌は、恥じらいのためか、それとも、もう欲情しているのか桃色に染まっている。
「次はスカートだ」
　ホックを外し、ジッパーをゆるめるとスカートはストンと落ちる。細かい目の網タイツに包まれた腰のラインが艶めかしい。ブーツを履いただけの下着姿が興奮をそそり、そのまま押し倒したい衝動に駆られたが、じっとたえる。
「そのまま後ろを向いて」
　足先から、丸く盛り上がったヒップラインまでを舐めるように撮る。
「前を向いて。ブラジャーをとって」
　上半身のアップにしてから命令する。
　おずおずとホックを外し、脱いだブラジャーをベッドの上に置くと、また両手で乳房を覆い隠している。
「隠すんじゃない！　手を離して！」
　小ぶりだけど形の良いバストが顔を出す。つんと上を向いた薄茶の乳首がかわいらしい。
　こんな感じて、ブーツ、ストッキングの順で脱がせ、とうとうショーツ一枚の姿になった啓子は興奮のためか震えはじめた。
　たぶん、網タイツに押さえられていたせいだろう。ブラジャーと揃いのショーツのクロッチ部分がかなり濡れているのが分かる。撮られていることで欲情してしまったのだろう。啓子のＭ性は、自分でも気がつかない内にどんどん成長しているようだ。
　カメラを固定して、俺は彼女のうしろに回り込むと、両手で乳を揉みながら首筋に唇をあてる。指先で乳首をつまむと、すぐに固くなった。右手を下ろしてショーツの中へ指を滑り込ませる。柔らかい毛の感触、そして案の定、熱く潤ったオ○ンコ。いつものように小さく円を書くように愛撫する。
「ああ、だめ‥‥あん、ああん」
　完全にエッチモードに入った啓子は我を忘れたように身をくねらせる。ショーツを素早く下ろし、全裸にした啓子の足を開かせる。そして、うしろに座り込んだ俺は、尻穴を舐めながらクリトリスを刺激する。
「ああ‥‥　ああっ‥‥」
　軽いアクメを迎えた啓子は、その場でしゃがみ込んでしまった。まだ感じているようで、ときどき痙攣している。
　このまま、一発やってしまおうかとも考えたのだが、ビデオのことが気になりカメラの方に戻ることにした。録画スイッチを切り、少し巻き戻して再生すると、まるでタイムマシンのように、ちょっと前の啓子が悶えている。そんな当たり前のことに、俺は有頂天になってしまった。
　もっと啓子の姿を記録したい。このカメラは魔法の箱だ。今まで使ったどんな道具より、ビデオカメラは、俺を欲情させた。
　彼女を抱き上げソファーに座らせると、Ｍ字開脚させてカメラを向ける。
　愛液でてらてらと光り、半ば口を開けた蜜壺をアップにして録画ボタンのスイッチを入れる。モニターを見ると、少し色が悪く感じたのでスタンドを引き寄せ、光をあてた。
「啓子。あそこを自分で開いて見せておくれ」
　素直に命令に従う啓子。若干紫がかった小陰唇の縁が逆Ｖの字の形になり、その頂点に勃起して白く光るクリトリスが見える。そして、その上には柔らかな陰毛が渦を巻いたように生えている。ぽっかりと開いた蜜壷の入り口は、襞の間に愛液をたたえ、ピンク色の膣前庭にある尿道口まではっきり見える。
「なんてキレイで、いやらしいオ○ンコなんだ。もっと、腰をずらして尻の穴も見せるんだ！」
　啓子は言いなりで、淡い茶色の菊蕾がフレームに収まった。
「すごい！　丸見えだぞ！　もっと開いて！」
　啓子のしなやかな指先が、大陰唇を押し拡げていく。
　蜜壺が大きく開き、溢れ出る愛液が尻穴まで濡らしている。
　俺はカメラを引いて、彼女の全身が写る位置に移動し、オナニーをするよう命令した。
　ためらうことなく、彼女は右手の人差し指と中指でクリトリスをはさむようにすると、円を描くようにこすり、左手で乳首をもてあそびはじめた。
「カメラを見て」
　上気した頬と、うるんだ瞳がなんとも色っぽい。ズーミングして顔をアップにする。
「カメラの前で、いくまでやれ！　声も出すんだ！」
　素直に言うことを聞く啓子の、右手の動きが早くなり、顔つきが険しくなっていく。
「あなた。いく、いくぅ‥‥　くぅ‥‥」
　身体全体を硬直させ、大きな波を迎え、彼女はのけぞった。
　オ○ンコを見ると、膣口が開いたり閉じたりしている。こんどは下半身のアップだ。オ○ンコ全体があふれ出た愛液で濡れ光っている。俺は、いつものオモチャを持ってこなかったことを後悔したが、そのとき悪計がひらめいた。
「啓子、もう一回やるんだ。こんどは自分の指を尻穴に入れてな」
「ああ、そんな‥‥」
　あまりのことに息を飲み、躊躇している彼女の脇に行くと、俺は左手をつかんでうしろに回し、その指先を菊蕾にあてがう。
「さあ、はじめるんだ。初めてじゃないんだろ」
　録画の赤いランプを確認して命令を下した。
　二度目のオナニー、それも、自分の指でうしろの穴を犯すという屈辱的な姿をさらすことで、羞恥などかなぐり捨てて悶える啓子。その、下半身と上半身を交互に撮ったあと、全身が写るまでワイド側にレンズをセットして、俺は服を脱ぎ捨てた。
　そして、啓子の脇に立ちギンギンになった息子を彼女に突き出す。
「オナニーしながら、しゃぶれ。最後までな」
　不安定な彼女の頭を右腕で支えながら、俺は息子を啓子の口に突っ込む。
　しばらくすると、舌がからみつき吸い上げられる感覚にたえられなくなり、たっぷりと口の中に出してしまった。本当はエロビデオみたいに顔へかけてやりたかったのだが、口の中で出した方が数倍気持ちがいい。ゴクリと精液を飲む音と喉の動きが収録されていることを祈りつつ、啓子をベッドに移し、カメラを三脚から外して手で持った。
　ホテルに入る直前に、闇屋で手に入れたバイアグラを飲んでおいたので、俺の息子はそそり立ったままだ。この薬の効果は凄い。
　カメラを仰向けにした彼女に向け、息子を挿入する。啓子は眉間にしわを寄せ、低く呻いた。その表情がたまらなくいい。しかし、残念なことにレンズを一番ワイド側にしても、顔からあそこまでをフレームに収めることが出来ない。帰りにワイドアタッチメントを買って行こうなどと考えながら激しくピストン運動を繰り返す。
「あっ、あっ、うん、うんっ」
　啓子の声とシンクロしてバストが揺れる。あいた手の親指でクリトリスを刺激すると、喘ぐ声のオクターブが高くなってくる。
「自分でオッパイを揉むんだ！」
　命令しながらカメラを上半身に向けピストンを激しくする。
「いや、いやぁ‥‥　あぁ〜っ」
　愛液の粘りが消えサラサラになってきたため、膣の中のザラつきが亀頭に直接感じられるようになってきた。
「もうだめぇ‥‥いく、いく、いっちゃぅ〜、あぁ、もう、好きにしてぇ〜！」
　両脚を突っ張り、自分のオッパイを鷲づかみにしたまま、啓子はのけぞって絶頂を迎えた。
　蜜壺がギュウッと締まる。
　啓子の身体がビクンビクンと痙攣する。
　俺はカメラを下半身へ向け、息子をゆっくりと引き抜く。その、最後の瞬間、啓子は感じて声を漏らす。そのまま脚をＭ字に開かせると、うしろの穴に先端をあてがい、ズブズブと挿入した。まだ口を開けているオ○ンコと、尻穴に突き刺さったペニス。初めてのとき猛烈に興奮した光景をカメラに収めた。
「いやぁ〜っ！」
　絶叫をあげた啓子だが、言葉とは裏腹に、大層感じている様子で、自分の乳房を揉みながら悶えている。
　ピストンを繰り返すたび、声が甘くなり、グイッ、グイッと締め返してくる。尻穴の中の独特な感触が脳にまで響いてくる。
　親指をオ○ンコに入れかき回してやると、啓子は、また、あっけなくいってしまった。そのままピストンを激しくしてフィニッシュ。
　息子を素早く引き抜き顔や胸に精液を振りかける。カメラで全身をなめ回すように撮ったあと、白いシーツを握りしめた指先をアップにしてラストシーンにした。
　こんどは啓子の部屋で一緒にビデオを見ながらたっぷり犯してやろう。縛ったり、オモチャを使ったり。新たな楽しみが増える予感に胸が震えた。