１．

　中村武（38歳）は、密会用のワンルームマンションで人妻・清美（35歳）に口で奉仕させていた。
　アダルトビデオでやっているように男が仁王立ちをしてフェラチオをさせてるというのは、思った程は男の感度は高くない。自分の体重を両足で支えるぶん神経が分散するからだ。

　ただ、人妻に服従させる為には下からペニスを見上げるぶん、ペニスが巨大に見えるから、中村は愛撫をさせる初期段階はかならずこのスタイルで奉仕をさせる。そうしておいて膣に挿入するか、そのまま口で射精する場合は、ソファに座り、果てる瞬間だけ人妻の頭を押さえつけて、口唇の感触を楽しみ、当然精液は飲ませるのである。

　中村は、自らも既婚者（子供３人）であるが、自分の妻には貞淑を求めたし、密会用のワンルームマンションの存在すら妻に教えていない。世の中、こういう悪党のほうが女にモテルし、得をするのである。中村は清美に奉仕を続けさせながら自分はブランデーをちびちびやって、時々清美の髪をかき上げてペニスが出入りする清美の口元と横顔を楽しんだ。

　清美の奉仕を楽しみながら、中村はふと”８：２の法則”を男女関係に応用して、清美の征服者として自分の勝利を密かに喜んだ。８：２の法則とは世界の富の８割は２割の人間が所有する、というあれである。中村は世の人妻のしかも、ある程度美人の部類の８割を征服してきたという、卑しいがオスとしての自信があった。

　清美の亭主は、女を征服できない男の典型だ。世に言う真面目一本の男で自分の浮気はおろか、自分の（貞淑だと思っている）妻が他人の男のマンションで精液を飲まされ、避妊もしてくれないモラルハザード男の性欲処理をさせられているとは夢にも思わないだろう。

　倫理的にも常識でも、清美の亭主のほうが、清く正しい。
　が、それが男の魅力であるかというとそうで無い場合が多い。
　実際に、清美は自分の意志で中村の部屋に足を運ぶのである。

　中村は、自分が結婚すると同時に独身女性への興味は失せた。
　実は、清美は（清美の）独身時代に既に中村の性欲処理専門女として交際していたが、独身の清美には興味は失せ自然消滅状態になっていた。ところが、清美が風の噂で結婚したことを知ると、中村の鬼畜魂が疼き、再交際を迫ったのだ。

　もう一つ、中村は出産経験のある人妻を好んだ。
　世間では、子供を産むと膣の締りが悪くなるというが、あんなのは嘘っぱち情報だと中村は信念を持っていた。実際に、清美は２７歳の独身の頃より、亭主の子を一人出産してからのほうが、膣の締りも、肌全体の艶も依然と比べものにならない。

　そういう事を考えているうちに射精感が高まった。
　清美のフェラチオは中村自身が清美の独身時代に教えたもので、清美は中村のツボをよく心得ていた。清美に教えたフェラチオは手と指の使用を禁止している。いや、指の使用は最後の最後に精液を搾り出す時に口とは反対方向に裏筋を刺激するように教えた。
『清美、相変わらず上手だよ、出すから飲んでくれ！』
　飲んでくれ、と一応は頼んだ形になっているが、射精の瞬間清美の頭を押さえつけるわけだから飲め！といっているのと同じことだ。
　射精の瞬間は男は目を瞑ったほうが快感が増幅する。しかし、精液を受け止める瞬間の清美の嫌がる眉間のシワはなんとも興奮する顔だし、目を開けて観察したいという葛藤もあった。
　結局、中村は奉仕の一部終始をビデオに納めておき、それはあとで鑑賞し、射精の瞬間は目を閉じて射精感を楽しんだ。

　勿論亭主にするフェラチオを禁止させている。
『フェラチオなんか、好んでやったらおまえの亭主は過去の男関係に疑問を持つぞ！笑』
　というだけで、清美は亭主に口での奉仕をやめて、そして、普段のＳＥＸもコンドームをつけさせていた。中村とは常に生。清美はそういう、無神経で無責任な中村に恐れをなし、いつしか、ピルを常用するようになった。

『清美、亭主はピルのことは知ってるのか？』
「まさか！話してないわよ！避妊をしてくれない無責任男のヤリ女にされた、なんて言えないでしょう？」
『ハハハ・・・、可哀想な亭主だ、同情してやるよ！笑』
「本当に、あなたは悪党ね！」
　清美は萎えたペニスを軽くつねってスネテみせた。
『亭主は、生で入れさせてくれ！と言わんのか？』
「いいえ、本人は早漏なのを自覚してるから、漏れて妊娠したら困るから我慢してるみたい」
「そういえば、この前、主人の鞄からピンクちらしが出てきたのよ」
『どんな？』
「巣鴨かどっかので、熟女●出しＯＫ！っての」
「●の部分は"中"ってことでしょ？」
「どうして男は生がいいんでしょう」

　聞きながそうとしたが、巣鴨辺りの中出し専門店の女は病気を持っている場合が多い。中出し餓えた清美の亭主が、巣鴨で病気を貰い、それが廻りまわって中村にプレゼントされる可能性も皆無ではない。

『清美、ヤバイ話だよ！それ。おまえの亭主の病気が廻りまわって俺に移されんとも限らんしな！それを、ヨソの人妻に移すと具合が悪いことになる。俺は、自分は悪党だと自覚してるが、人妻に性病を移したことはただの一度もない』
「病気は撒き散らさないけど、あなたの子種は随分撒き散らしたでしょう」
「人妻専門で、何人くらい妊娠させたの？」
「まさか生む人なんかいないでしょうけど、相手の旦那にバレだら一大事じゃん」

　中村は、ここのところ半分、清美には飽きていた。
　性欲処理の専門の女である事を自覚させたし、愛情のカケラも無いことは既に何回も諭した。
　自分からは一切避妊に協力しない事も清美は知っている。

　いつでも、中村が抱きたい時ではなく、『出したい時』に呼び出されることも清美は心得ていた。要するに、愛だの恋だのや女性大切にする”フェミニスト”的感覚を性欲処理女に与えることは危険なのである。

　客観的に見れば中村にとって、これ以上都合の良い女はいない筈だか、中村には鬼畜魂があった。鬼畜魂とは、先ほど清美が言った「人妻専門で、何人くらい妊娠させたの？」。

　これである。こういうオゾマシイ、世間のすべての夫達の敵である他人の妻を自分の子種で妊娠させるという神をも恐れぬ所業を、ピルで避妊している清美にはできないからである。中村はその一点だけで清美に飽きつつあった。女の側が妊娠というリスクを背負いながら不倫をする危険が中村にとっては楽しいのだ。

　そう思うと、一度、二度目の射精は得をしてるが、三回目くらいからは中村自身が清美に奉仕させられているという気分になった。この日の中村は一度目は清美の口内に出し、二度目は清美への愛撫なしに、生膣に挿入し、そのまま抑制を効かせずに清美の膣奥深くに射精した。

　三度目の勃起の起爆剤は、清美の奉仕のビデオでなく。清美が見たことも無い人妻のビデオを見た。こちらは、２０才代の人妻だ。しかも、付き合い始めて数回の初々しい頃の、隠し撮りしたビデオだ。女の名は暁美。清美は、嫉妬に狂う眼つきになった。
　自分よりも若いし美人だ。

　ビデオで会話のやり取りは、終盤に近づくと、暁美が「今日は、本当に危ない日なので、中に出すのだけは止めて下さい」と喘ぎながら中村に懇願している。中村はというと、暁美の懇願を無視して構わず生で出し入れを続けた。中村の腰の動きが速くなり暁美は、避妊に協力しない中村から実力で逃げようとした。ベットの上にせり上がって逃げて、一瞬中村のペニスは抜けた。が、中村は暁美の腰をガッチリ押さえ込み、再度串刺し状態で挿入し『暁美、悪いが中で出すからな！』「だ・だめ〜、妊娠したからどうするの？」と暁美が言い終わらない間に、中村は無情にも、無防備な暁美の中で射精した。

　ビデオは、暁美がベット上でしくしく泣く姿で終わっていた。

　血走った目をした清美は、
「で、この奥さんどうなったの？」中村を睨みつけて尋ねた。
『想像に任せるよ！笑』
「・・・」
『っていうか、この暁美は本当にヤバイ日だったみたいだよ(笑)』
『可哀想なのが、この４日程前に亭主とやったらしい。まだ子供は作りたくないから、コンドーム付けたらしが、途中で破れてたらしい。亭主は10日程の出張から帰ってきたら、相当濃いのが、大量に暁美の膣口から逆流よ』
「つまり、妊娠してたらあなたか旦那かどっちの子か分らない・・・という訳ね」
『ああ。そういう事になる。だけどな、清美。童貞でない限り、途中でコンドームが破けたら男は絶対分るんだよ。パッチンって感触がペニスに来て、その直後からなんとも言えない生膣の感触になる。まあ、自分の妻を妊娠させるのは夫の権利でもあるから俺が批判できる立場じゃないけどな(笑)』
「・・・」
『どうだよ、清美。おまえもピルを使うのやめてみないか？』
「・・・」

　清美は、無言で中村のペニスに奉仕を始めた。
　三度目の勃起の起爆剤は自分ではない他人の女のビデオを見てのことだ。
　事態がここまでくれば、清美は中村の勃起の理由が別の女でもどうでも良いことであった。
　清美自身も、中村の人格がどうあれ、今は中村のペニスを挿入して欲しいのだ。

「入れて」といっても中村は入れてくれないだろう。だから、無言で、中村に跨った。
　貞淑な夫を持つ妻として有るまじき行為だ。そこまで堕ちた自分にかえって激情の火がつく。
　散々勝手に動いて中村の上で果て、中村の射精には付き合わず跨っていた中村から降りた。

『清美、随分身勝手なことするじゃないか？笑。偉くなったものだな』
『そろそろ潮時か・・・笑』
「ワタシを捨てる気？」
『別に。そうそう、さっきのビデオの女、暁美。彼女は見事ご懐妊だよ。堕すかどうか悩んでいたところ、どういう訳か生理が無いのがバレて、亭主は大喜びして、親戚中に言いまわったてお祝いになり、どうしようもない状況になった。来月あたり出産だよ。俺と亭主と血液型は一緒だ。まあ、あと一年半くらいしたら、俺の女に復帰してもうよ(笑)』

「あなたは、本当に悪人ね、ワタシ達、今日限りにしましょう・・・」
『清美、俺は一向に構わんよ(笑)。大体、対等な立場でモノを言うとは、俺もナメラタもんだ』

　清美は、プライドをどん底に落とされて、半泣きになって、身支度を済ませて、中村のマンションを出た。歩きながら、世の中で最低の人種の男の性奴隷になった事を悔やんだ。半泣きは本泣きに変っていた・・・。

　中村は、自信があった。清美は自分から絶対に離れられないと・・・。
　ブランデーをストレートで飲んで三度目の勃起を諌めた。清美とはこれからは暫く心理戦になる。その清美を思ってマスターベーションなどしてしまうと、清美に対して冷徹な態度が取れなくなる・・・。

　ブランデーを飲んで他愛無い映画を見て眠ることにした。

つづく