第３章　

１. 再会

　仁美と孝雄との生活は、世間一般から見れば幸福なものに見えたかもしれない。
　結婚前、ノーマルなセックスでも十分だと仁美は自分自身に言い聞かせていた。アブノーマルな真垣のセックスに不安を感じないと言えばうそになる。それは、真垣についていけなかった理由のひとつでもあった。
　仁美にとって、アブノーマルなセックスは真垣が初めてではない。真垣の前にも経験があった。
　その時、大勢に見られ、触られ、乱暴に犯されることに嫌悪感を感じないどころか、仁美はそういう状況を自ら望んでいることを始めて自覚した。ただ、その行為自体には異常な興奮を覚えたが、自分に命令を下すその男に、愛情を感じることはなく、むしろ、命じられることには反感を覚えたくらいだ。仁美は、アブノーマルなセックスが不安なのではなかく、もしかしたら、真垣を愛せなくなるかもしれない。仁美は、自分に命令を下す真垣に、自分がいつか反発し、反感を抱くようになるのではないと心配したのだった。
　しかし、最初の半年で、仁美は自分の考えが甘かったことを痛感させられた。満たされなかった。日に日にその思いはふくれあがり、孝雄との生活を長くは続けられないことを仁美は悟った。

　結婚して１年、仁美の方から離婚を申し出た。それから正式に離婚するまでに１年かかった。孝雄は「なぜだ？」と理由を聞きたがったが、言えなかった。「わたしを辱めて」ってそんなこと言えるわけない。例え言ったとしても、孝雄には無理だと感じていた。真垣に手を握られて何人もの男を受け入れたあの時の真垣に対する絶対的な信頼と安心。同じ気持ちを孝雄に持つことは、不可能だった。
　それから、仁美はときどき、出会い系サイトで男を探すようになっていた。自分を所有してくれる男。そして仁美のために、仁美を辱めてくれる男。しかし、そんな男はいなかった。会って、セックスをして、今度はいつ会える？って・・・どの男もみんな同じ、性欲処理のためにその場限りの仮面をかぶっていた。
　仁美の中に、真垣に会いたいという気持ちが次第に大きく膨らんでいった。真垣が帰ってきたのは、ちょうどそんなときだった。真垣は、本社に籍を残したままの、いわば出向で、依然として彼のオフィスは元の場所に置かれていた。４年ぶりに真垣はそこに帰ってきた。

　仁美は、そこにいた。

「仁美・・・」
　真垣は、ソファに深々と腰をかけている仁美を後ろから抱きしめた。
「真垣さん・・・・」
　しばらく、二人は何も語らずそのままじっと抱き合っていた。どのくらい抱き合っていただろうか、おもむろに真垣が仁美の唇を求めてきた。仁美はそれに応じた。舌を絡み合わせた長く深いキスだった。
「行こうか？」
　真垣が仁美を誘った。
「はい」
　久しぶりの真垣とのキス、仁美は少し胸の高鳴りを覚えた。
（真垣は、変わってない）
　さっきのキスで仁美は真垣が、昔の真垣のままであることを感じていた。

「仁美・・・」
　ハンドルを握っている真垣が言った。
「なに？」
「パンティー脱げ？」
「えっ？」
「脱ぎな」
　真垣は、仁美の性癖を知っている。抗う理由もないので、仁美は狭い車内で腰を浮かし、パンティーを脱いだ。
「脱ぎました」
（次は何？）
「スカートを持ち上げて」
　仁美は言われたとおり、スカートをたくし上げた。股間の茂みがあらわになった。
「ブラもとりなさい」
　真垣に会うのに、パンティーもブラもつけている自分が情けなかった。

　言われたとおり、仁美はブラウスの前をはだけ、背中のホックをはずし、袖から片腕ずつ、ブラの肩紐を抜き取りブラをはずした。ブラウスの前を合わせようとしたとき真垣が
「だめ、胸は出したまま」
　仁美は、言われたまま、胸を晒した。高速道路の左の端の車線を走っているため、助手席の仁美は人に見られる心配はほとんどない。それでも、胸を晒しているのは勇気がいった。
「足をシートの上で立てて」
　真垣の要求は、終わらなかった。
　仁美は、ためらいながらもその要求に従い、両足をシートに立ててＭ字開脚のポーズになった。
「どう・・・？」
　真垣は楽しそうに仁美に聞いた。
「いじわる」
　真垣は、突然、ウインカーを上げると、追い越し車線に出て前の車と併走し始めた。抜けばすぐに抜けるのに、わざとゆっくりと追い越した。仁美は思わず、両手でブラウスの前を合わせた。ゆっくり、前の車を追い越して左車線に戻った真垣は、仁美に言った。

「隠していいとは言ってない」
「ごめんなさい・・・」
「しゃぶるんだ」
「え？」
「見られるのがいやか？」
「・・・・・・」
「いやじゃないだろ？」
　仁美は答える代わりに、シートベルトを外し真垣の股間に手を伸ばした。そっと撫でると、真垣のペニスがすでに堅くなっているのが感じられた。仁美は、黙ってファスナーを下ろし、それを取り出そうと手を入れた。
（もうこんなになってる・・・）
　座席に座っている状態で真垣のペニスを取り出すのはなかなか難しかった。仁美は、ようやく取り出したペニスを軽く握ると、身体を低く折るようにして、口に含んだ。真垣は、腰を少し突き出すようにした。指を添えて、仁美はしゃぶっていた。
「仁美、きゅうくつだろ、シートの上に乗りなさい」
　仁美は言われるまま、座席の上に横向きで座り、また真垣のペニスを咥えた。
「お尻を上げて」
　車の窓にお尻を向けてるので、そのお尻を上げたら、窓から丸見えだ。ためらっている仁美に
「早く」
　真垣はせかした。仁美は従った。車の窓に仁美のお尻が晒されている。そう思うと、仁美の秘部は熱くなり、潤いは増していった。
「右に出るよ」
　そう言うと、真垣は右にウインカーをあげた。
　真垣は再び追い越し車線に出た。仁美は、必死に真垣のペニスを咥え、首を上下に振り続けた。見られてるというより、見てくれといわんばかりの痴態をさらしている。そのことが、仁美の興奮を高めていた。仁美は、あふれんばかりに濡れていることが自分でも感じ取れた。息苦しいのは、真垣のものを咥えているからだけではなかった。ようやく、仁美の口の中のものが、小さく痙攣を始めた。真垣は、左の車線に戻り、ハンドルをしっかり握った。
「出すよ、仁美」
　言うと同時に、ドクドクドクっと、口の中に大量の精液が放出され、仁美は一滴も漏らさず吸い取り、ゴクリと飲み干した。

２. 再開

　ホテルの部屋に入るとすぐに、真垣は、仁美を後ろから抱きしめ唇を求めてきた。仁美は持ち上げられるような格好でそれに応じた。
「さっき、トラックの運転手も家族連れもみんな驚いてこっちをみてたよ」
　真垣が、仁美の耳元でささやいた。
「いやぁ・・・」
　仁美が、軽く首を振る。
「じっとこっちを見てたよ」
「だめ！、もう言わないでください」
　仁美は、抱きかかえられたままの手で真垣の背中を軽くたたいた。
「シャワー浴びます」
　仁美は、真垣の手をほどき、バスルームに向かった。仁美が洗面台に向かうと、真垣が後ろにきた。
　仁美が服を脱ごうとすると、真垣がその手を押さえた。
「俺が脱がしてあげよう」
　そして、仁美を洗面台の鏡に向かせると、後ろから両手を回し、仁美の胸のふくらみをまさぐった。
「あいかわらずやわらかいな」
鏡に映った自分のおっぱいとそれを揉む真垣の手の動きが、なまめかしかった。薄いブラウスは乳首の隆起を際立たせ、乳首はブラウスにこすられ固くとがっていた。
「真垣さん・・・」
　真垣は、ブラウスのボタンを上から少しはずし、襟口から手を差し入れると、ノーブラの仁美の乳房を晒し、強くぎゅっとつかんだ。
「あぁぁ・・・」
「仁美のおっぱいきれいだよ・・・」
　そう言うと、仁美の豊かな乳房に舌を這わせた。真垣が、両手で乳房を揉みながら、舌で乳首を責めると、その頂にある乳首がさらに固く大きくなった。
「あぁぁ・・・感じる・・・」
　やがて、真垣が手を仁美の下半身に伸ばしてきた。鏡に映った仁美のスカートに手が滑り込む。
「仁美・・・」
　仁美の秘部を撫でている。
「ほしいか？」
「・・・」
「どうなんだ？」
　真垣が、仁美のクリトリスを押さえながら聞いた。
「・・・してください・・・」
　そう言いながら、仁美はお尻を少し真垣のほうに突き出した。真垣は相変わらず、クリトリスの周辺をこねるように撫でまわしている。
「仁美、どんどんあふれてくるよ」
　仁美のむっちりした脚が震えている。
「あぁぁ・・・」
　真垣は、指先で敏感な部分をくるくるとこねた。
「ああっ・・・あーんん・・・」
　仁美は倒れてしまいそうだった。思わず、洗面台に手をつき、お尻を真垣にぐっと押し出す格好になった。
「真垣さん・・・」
　真垣の股間のふくらみの感触が、仁美の豊かなお尻のふくらみに感じられた。
「大きくなってる・・・」
　真垣は、仁美の敏感なクリトリスを責め続けている。
「いま、ください・・・」
「我慢できない？」
「・・・」
　真垣は、少し後ろに下がり、ノーパンのスカートをたくし上げ、後ろから仁美の中に差し込んだ。
「ああ・・・・うっ・・」
　仁美の太ももが震え、愛液は太ももを伝って落ちた。
「真垣さん・・・いきそう・・・」
「いいよ、いって」
　真垣は、奥深く突いて、こねるように腰を回した。
「あっあっあああ・・・いく！」
　仁美が身体をのけぞらせたかと思うと、大きく痙攣した。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁ」
　仁美は崩れ落ちそうになったが、真垣がしっかりとそれを支えた。