３．共犯

　弥生は、仁美の腕を拘束しているブラを外し、セーターをおろした。仁美は、体を起こしたが、自分を見つめる弥生から視線をそらした。うしろめたかった。
（弥生ごめん）
　仁美は、心の中で弥生に謝った。襲われたわけじゃない。姉をかばって“お姉ちゃんにはだめ”って言ったわけじゃない。弥生は仁美に抱きついて泣いた、全裸のまま・・・
　辰夫は、弥生の後ろにしゃがむと、いきなり、背中から弥生の前に腕を回した。
「いやーっ・・・何するの。やめて・・・」
　声をあげてもがく弥生を、辰夫は、赤いビニルテープでぐるぐる巻きにし始めた。ビニルテープは、腕ごと、丸く豊かな乳房の下を一回、二回、三回周ると、今度は、乳房の上のほうに回され、その後、上から下へ色白の弥生の肌の上をぐるぐるお腹まで這い降りた。きつく締め付けられて、腕は腰のあたりで手首を念入りに固定され、まったく動かせなかった。
「立て、弥生」
　そう言いながら、辰夫は、弥生のあごに手を掛け、上に持ち上げた。
「うぐっ・・・」
　顔を上に向けられて、弥生は仕方なく足だけでバランスを取りながら、立ち上がった。辰夫は、弥生のあごを持ったまま、弥生をダイニングテーブルの椅子のところまで引っ張っていった。仁美は、じっとその様子を見ていた。恐かったわけではない。ただ、この先、弥生がどうされるのか、それが見たかった。
「座れ」
　弥生の肩に手をかけて、辰夫は弥生を無理やり椅子に座らせた。
「いや・・・いや・・・やめて・・・お願い」
　弥生は、辰夫を見上げながら震える声で必死に辰夫に懇願した。辰夫は、椅子に座った弥生の右足を持ち上げ、膝を曲げ、椅子の肘掛に掛け、ビニルテープで肘掛と足を固定した。
「いやーっ、やめて、辰夫、お願い、やめて」
　絶叫する弥生の口は、先ほど弥生が慌ててショーツごと脱いだパンストで塞がれた。丸まったショーツの部分が口に当てられ、ぎゅっと縛られた。
「むうぅぅ・・・」
　辰夫は、残った左足も同じように肘掛に固定した。足をM字に広げられ、弥生は股間を晒した。
　椅子は小さくはなかったが、弥生の豊かなお尻は、椅子からこぼれ落ちそうなほど前に突き出された格好になった。その格好を目の前にして仁美は、ごくっと生唾を飲んだ。心臓の鼓動が、大きく耳に響いていた。気がつくと、横に辰夫がいた・
「仁美。立ちな」
　そう言って辰夫が手を差し出すと、仁美はその手をとって、言われた通り立ち上がった。辰夫は、立ち上がった仁美の肩を抱くと、弥生の前に座らせた。弥生の秘部は仁美の目の前だった。
「舐めてやれ」
　声にならないうめきをあげて、もがく弥生の肩を辰夫が押さえた。仁美は、舌を出し、ゆっくり弥生の股間を舐め上げた。割れ目に沿って舌を這わせ、クリトリスまで舐め上げると、舌を硬く尖らせてクリトリスを刺激し始めた。
（弥生・・・気持ちよくしたげる・・・気持ちよくなって・・・）
　しばらくして、弥生が股間を濡らしているのに気がついた仁美は、舌の動きを、どんどん激しくしていった。辰夫は、仁美の後ろに回った。
「仁美、お尻を上げて」
　しゃがみこんでいた仁美は、弥生の股間に舌を這わしたまま、お尻を上げ辰夫に向けた。すぐに辰夫の肉棒が、再び仁美の中に差し込まれた。
「うっ」
　いきなり、ぐっと奥まで差し込まれた辰夫の肉棒が、びちゃっといやらしい音を立てた。
（ああ、弥生・・・お姉ちゃん、ごめん。感じてるの・・・すごく・・・いいの）
　辰夫は、最初から激しかった。仁美は、声を出さないように、必死でこらえた。
（いい・・・いい・・・・いく・・・いく・・・いくぅ）
　仁美の膝が、がくっとおれた。辰夫は、座り込んだ仁美を少し脇にやり、椅子に固定された弥生の椅子の前を持ち上げ、椅子を少し後ろに倒しながら、今度は弥生の中にぐっと突っ込んだ。不安定な体勢に怯えた弥生は、必死に頭を振ったが、辰夫は応じなかった。
「弥生、出すぞ。・・・・中に出すぞ」
　辰夫のその言葉に、一瞬に弥生の表情は変り、声にならない声をあげ、動かせない手足を必死に動かした。座り込んだ仁美は、目の前で辰夫のペニスが弥生の股間に差し込まれる様をじっとただ見ているだけだった。
「出すぞ・・・・出すぞ・・・」
　弥生の表情がゆがんだ。しかし、辰夫は寸前で弥生を離れ､横に座っていた仁美の顔を両手で固定し、今度は仁美の口にちんぽを差し込んで、ゆっくり根元まで突き入れると、仁美の頭を左右に揺って放出した。

　ビニルテープを解かれた弥生は、床のクッションに顔を伏せて泣いた。
「帰るわ・・・・いい誕生パーティーだったよ」
　服を着た辰夫は、弥生にそう告げて、仁美の手を引いた。仁美は、セーターにスカート、ただ、下着は着けていない。慌ててバックだけを手にして、辰夫に引っ張られながらいっしょに弥生のマンションを出た。

４.封印

「どこに行くの？」
　黙って、仁美の腕を引っ張って歩く辰夫に話し掛けた。辰夫は、我に帰ったように歩く速度を緩めた。辰夫は仁美の質問には答えなかった。
「お前のおかげで・・・最悪だ」
「何？なんのこと？」
「よく言うよ。誘ったくせに・・・・弥生に、けっこう本気だったのに」
「私のせいだって言うの？・・・あなたがあそこでするって・・・」
「そうだな。まさか、帰ってくるとはね・・・・。それだって、お前が俺を挑発したからだろ。まったく妹のくせに何考えてんだよ」
「自分こそ、なにあれ、あなたレイプが趣味なの？」
「じゃぁ、どうすりゃ良かったんだよ。お前に挑発されてその気になったんだって、弥生に言い訳すればよかったのか？」
「それは・・・・・」
「そしたら、どうせ“急に襲ってきたの”とかなんとか言って、被害者になりすますんだろ」
　図星だった。仁美は、弥生が入ってきたとき、一瞬、“助けて”と叫んで被害者を演じようと思ったのだ。辰夫は、空車のタクシーを見つけると、手を上げて止めた。

　タクシーに乗り込み、運転手に行き先を告げると、辰夫は仁美の耳もとで言った。
「すっごく感じてたみたいだけど・・・ああいうのが好きなの」
「そんな・・・」
「だめだよ、今更。あれだけ感じまくって、何が“そんなぁ”だよ」
（そう。その通りよ。感じてたわ。ああ、きっと、そんな顔をしてたに違いない・・・）
　不意に、辰夫の手が、ぴったりと閉じた仁美の太ももに割り込んできた。
「足を広げな」
　先ほどの興奮が蘇ってきた。仁美はためらいながら閉じた太ももから少し力を抜いた。辰夫の手が容赦無く股間に入ってきた。辰夫の小指が仁美の肉襞にそって上下する。仁美は、自分でもう少し足を広げた。
（こんなところで・・・わたし、変態）
　辰夫の手がセーターの下から差し入れられ、乳首を弄んだ。

　辰夫に連れて行かれたのは、ごく普通の居酒屋で、馴染みの店のようだった。店に入ってテーブルを物色していると、声がかかった。
「タツ・・・こっち」
「おう！」
　友人のようだった。３人でテーブルを囲んでいたが、そこに辰夫は仁美を連れて加わった。
　後ろをついてきた店員にチューハイを注文すると、友人の一人が話し掛けた。
「誰？紹介しなよ」
「ああ、仁美」
「それだけかい」
「うん・・・・うーん、何だろう。Hが大好きな女」
　あからさまな辰夫の言い方に、仁美はむっとした。
「なんだぁ・・・ストレートだね。プロの人？」
「失礼な。そんなんじゃないよ。まぁ、とりあえず、乾杯！」
　仁美も飲んだ。

　しばらく飲み、酒がまわってくると辰夫は饒舌になった。
「こいつね。露出が趣味なんだ」
　辰夫は、突然、仁美のセーターを持ち上げ仁美の片方の乳房を晒した。
「いや」
　仁美は、小さな声をあげ、セーターを下ろそうとした。その手を・・・・隣りの辰夫の友人が押さえた。辰夫は席を立つと、仁美の背後に周り、仁美の腕を背後に回すと、椅子の背もたれの後ろで、まだ持っていた赤いビニルテープで手首を拘束した。
「やめて。辰夫さん」
　他の客に聞こえないように仁美は小声で言ったが、無駄だった。辰夫たちは、左右にぴったりと椅子をくっつけ、それぞれが仁美の左右の足を片方ずつ、自分の膝の上に持ち上げた。スカートはまくれ上がり、上からヘアが丸見えだった。
「うわっノーパンじゃん」
　友人の一人が、思わず声を出した。
（いやーっやめて・・・見ないで・・・見ないでー）
　仁美は恥ずかしかったが、声を出すわけにはいかなかった。そんなことをすれば、店中の客の注目を浴びるに違いない。
　横から、前から、何本も手が伸びてきた。左右の乳房も、クリトリスも太ももも男達の手で自由に蹂躙された。仁美が酒に弱いことを知った辰夫は、無理やりグラスを口に運んだ。

　その後の事はよく覚えていない。その居酒屋で、辰夫の友人達にさんざん乳房やおま○こをさわられたような気がする。気がついたら、辰夫のアパートで、辰夫の横で全裸で寝ていた。目覚めたと時は、辰夫しかいなかったが、確かに友人達もいっしょだった。あいまいだったが、何人かに輪姦された記憶が仁美にはあった。
　その後、仁美は辰夫と会わなかった。辰夫からも連絡はなかった。レイプのように犯されたことも輪姦されたことも、いわば自業自得で、仁美は、それを胸の奥にしまいこんだ。