４.お姉さん


　撮影が終わって、仁美はお風呂に入った。シャワーで汗を流し、４、５人は入れそうな湯船につかると、後ろで音がした。振り向くと、サウナのドアが開き、沙紀が出てきた。全裸の彼女は、確かに顔は、どう見ても１５、６歳にしか見えないが、乳房やお尻は、成熟した女性のものだった。

「沙紀さん」
「あっ、仁美さん」
「あら、私の名前、誰に聞いたの？」
「一樹さんに」
「そう」
　シャワーで汗を流した沙紀は、湯船につかり、仁美の横に並んで座った。仁美は、どうしても知りたくて、沙紀にきいた。
「ねぇ、沙紀さん」
「はい？」
「歳、きいていい？」
「歳ですか？２５なんですよ。こう見えても・・・仁美さんは？」
「２６・・・ほとんど同じね」
「私とじゃ、ひとまわりは違って観られますね」
「それって、わたしが老けてるってこと？」
「とんでもない、私が子供っぽいから・・・」
「うそよ、気にしないで・・・でも、そうよね、きっとそのくらい離れてるって思われるわね」
　撮影中の無表情な沙紀とは違って、にこやかな笑みを浮かべながら、沙紀は仁美の顔を見ていた。

「この仕事、長いの？」
　仁美が沙紀にきいた。
「仕事って、ビデオっていうこと？」
「そう」
「ううん、初めて」
「えっ・・・・」
　仁美は、沙紀の演技を見て、てっきり少なからずキャリアがあるんだと思っていたので、驚いて声が出なかった。
「意外・・・ですか？」
「え、ええ。ごめんなさい」
「仁美さんは？」
「私も初めて」
「うそっ・・・だっていきなり入って、ちゃんとセリフ・・・上手だったよ」
「沙紀さんだって」
「わたしが？・・・とんでもない・・・だって、せりふなかったし・・・」
「ううん、ああいうの初めてじゃないんでしょ」
　仁美は、沙紀の先ほどの投げやりな表情を思い返していた。
「うん、初めてじゃない。・・・けど、あんないっぱいは初めてだけど・・・」
「レイプされたってこと？」
「ううん。風俗だったんだけど、変わった店で派遣があるの。パーティーとかに」
「仁美さんは？」
「私は、彼が出ろって」
「ビデオに？」
「ええ」
「私も・・・。お店の大事なお客さんって言われて、その人のマンションに行ったの。そしたら気に入ってもらえて・・・。その彼が、クラブに入れって」
「同じだわ。わたしもそう。同じなんだね沙紀さんも・・・クラブの会員さんの持ち物？」
「そういうこと。仁美さんも？」
「ええ」
「ねぇ、仁美さん」
「何？」
「わたし、ここに来たばかりで、知り合いも友達もいないの。一人っ子だし・・・。」
「わたしは、姉がいるわ。ほとんど会う事もないけど・・・。いいよ。仲良くしよう・・・ね」
「ホント？うれしい。お姉さんって呼んでいい？」
　沙紀は、仁美に抱きつき、乳房に頬をうずめた。
「くすぐったいよ、沙紀ちゃん」
「えへ」
「わたしも、サウナ、入ってこようかな」
　仁美は、沙紀の腕をほどいてサウナにはいった。

５．嫉妬

　サウナの小窓から人影が見えた。だれか、入ってきたようだった。サウナの小さな窓から見ると、一樹だった。ここのお風呂は女性用というわけではないので、一樹が入ってきても問題はない。一樹は、沙紀と何か話をしているようだった。すると、沙紀は、サウナの窓越しに仁美に手を振り、出て行った。
「ふーっ」
　サウナを出て、仁美は､大きく息をした。一樹が湯船から仁美の裸体を見ていた。それを意識しながら、仁美はシャワーを浴びた。
「一樹さん」
　仁美のほうから話し掛けた。
「何？」
「沙紀ちゃん、一樹さんがスカウトしたんですか・」
「いいや、俺じゃないよ」
　沙紀は、相手が一樹だとは言っていない。仁美がかってに思い込んでいたのだ。
「彼女がそう言ったの？」
「いえ、私が勝手にそうなのかなぁって思ったもんだから・・・」

「彼女・・・連れてきたの、真垣さんだよ」
「えっ・・・・・・」
　それは思いもかけない言葉だった。
「札幌にもうちの店があってね、沙紀はそこにいたんだけど、真垣さんがこっちに連れてきた」
「・・・・・・・・」
　一樹の話が、仁美には聞こえていなかった。
（真垣さんが・・・沙紀ちゃんを・・・私は、何？・・・・今日、真垣さんが来るの、私は知らなかった。彼女は？）
「一樹さん、さっき沙紀ちゃんと話してましたよね・・・何を？」
「あ、真垣さんが来たのを彼女にね」
「彼女、真垣さんが来るの、知ってたんですか？」
「ああ・・・でも、俺が教えたんだよ」
「一樹さん・・・」
「何？」
「真垣さんは、私と彼女がいっしょにいること知ってるんですか？」
「知ってる」
「真垣さんがそうしろと？」
「・・・さぁ、たまたまかな」
「一樹さん、何を考えてるんですか？」
「俺が？何をって・・・・何を？」
「なんで、彼女と会わせたんですか？」
　一樹は、仁美の質問には答えず、仁美の前に立つと、肩に手をかけ、自分の前に膝まづかせた。一樹のものが仁美の目の前だった。
「いや」
　横を向いた仁美の頭を一樹が押さえ、自分のペニスを仁美の口に当てた。仁美は、かたく口を閉じて、強引に頭を振った。
「仁美は、勘違いをしている」
　仁美は、上目遣いにじっと一樹をにらんだ。
「仁美は、真垣さんの何？」
「・・・・・」
　仁美は、じっと一樹を見上げたまま答えようとはしない。
「真垣さんにどうされたい？」
「・・・・・」
「服従する・・・んだろ。それが仁美の愛しかた・・・だよね」
（わたしは、・・・・わたしは真垣さんのもの。所有されたい）
「従わないのは、愛さないってこと。仁美は真垣さんを愛さない」
「愛してるわ。言われた通りする」
「気に入らない命令には従わない。それが仁美の愛しかた」
「そんなことないわ」
「そう？真垣さんに自分だけを愛してと・・・」
「・・・好きだから・・・どうして？いけないの？」
「自分だけを愛さない男は愛さない。そんな男の命令には従わない」
「何を言ってるの？わたしは、真垣さんを愛してるわ」
「愛してる？疑ってるね。自分は愛されてないんじゃないかって」
「そんなことない」
「ほー？疑ってない、嫉妬もしていない？」
「・・・・・・・」
（嫉妬してるわ。そうよ、わたしより彼女のほうが好きなんだと疑ったわ。だから・・・）
「愛されなければ愛さない・・・普通の嫉妬深い女だ」
（わたしが、普通の嫉妬深い女）
　仁美は、一樹を見ていた目を伏せた。
「見て」
　一樹は、仁美を立たせ、窓から外が見える位置に連れて行った。中庭のベンチに真垣がいて、その横に全裸の沙紀がいた。
「いや」
　仁美は、窓から離れようとしたが、一樹に後ろから抱えられ動けなかった。
　全裸の沙紀が、ベンチに座る真垣の前にしゃがんだ。頭が上下している。
　仁美は、背中を押され前かがみにされ、一樹の右手に乳房を鷲づかみにされた。一樹の左手は、突き出された仁美のお尻から、ゆっくり前に這い、襞を指でかき分け、クリトリスを挟んだ。
　真垣と視線があった。
（見られてる）
　一樹の指は、ゆっくり仁美の中に侵入してくる。沙紀の頭の動きが速くなる。
（あぁ・・・ああ）
　仁美は、なぜか必死に声を殺した。真垣に聞こえるはずはないのだが・・・。
　一樹の指が、激しく動き出した。
（ううぅ・・・いくっ・・・いく・・・いって・・・いって・・・真垣さん）
「ああぁ・・・出ちゃう・・・出る・・・出ちゃう」
　仁美は、少し失禁した。一樹の手にそれが少しかかった。
　真垣が、沙紀の頭を押さえた。しばらく沙紀は耐えていたが、苦しくなったのだろう、やがて頭を振ってもがき、真垣が力を緩めたのだろう、頭を持ち上げた。
（沙紀ちゃん、がんばれ）
　思わず、仁美は沙紀を応援していた。なぜだかわからない、自分でも不思議な気持ちだった。
　今度は、一樹のものが入ってきた。すでに、過敏な状態になっている肉壺に、一樹のものを受け入れると、仁美は、さらに前かがみになり、お尻を高く突き上げた。
「ああ・・・あああ・・・いい・・・いい・・・奥に・・・もっと奥に・・・」
　仁美の声にあわせて、一樹のものが深く速く突き立てられた。仁美の視界の端で、真垣が立ち上がるのが見えた。真垣は、全裸の沙紀を連れ、仁美のいる窓際にやってきていた。一樹は、後ろから突きながら、手を伸ばして窓を開け、仁美の上半身を窓から外に出した。真垣は、そこにやってくると窓から出た仁美の頭を持ち、その口に、沙紀の口に入っていたペニスを差し入れた。仁美は硬く張っている真垣のものを咥えた。少し先端に雫があり、それが少し苦かったが、丹念にそれを舐めた。
　沙紀は、しゃがみ、仁美口に真垣にペニスが根元まで咥えられているのを横から見ていたが、手を伸ばし、仁美の乳首をいじり始めた。
（ああ・・・あああ・・・・あああ・・・いい・・いい・・・いく・・・いく・・・いくぅ）
　仁美は声にならない叫びをあげて、激しく体を痙攣させた。２度目はすぐにやってきた。
（ああ・・・ああああ・・・・いって、いって・・・出して・・・出して）
　真垣が、仁美の口から肉棒を抜き出すと、横にしゃがんでいた沙紀の口に放出した。沙紀は、撮影の時と同じように、大きく口を開けて、一滴もこぼさないようにそれを受けた。
　少し遅れて、後ろで一樹が、肉棒を抜くと、窓にくの字になっていた仁美を、中に戻し、しゃがませ、顔にかけ、放出が終わった肉棒を咥えさせた。
　嫉妬していた気持ちは、もう仁美の中にはなかった。