３．会員制クラブ

「もう、落ち着いた？」
「ごめんなさい。だいじょうぶです。」
　真垣は、結局、由佳里の選んだものを全て買って、来ていたボディスーツのまま仁美に上着を着させ、店を出た。その間、仁美はうつむいたまま何もしゃべらなかった。近くの喫茶店に入り、真垣は、仁美が回復するのを待って、ようやく声をかけたのだ。
「いや、俺が悪かったよ。何も言わないで、いきなりだったからね。」
「・・・恐かったです。最初。置き去りにされたって思って・・・レイプされるって本気で思いました。ずっと、いてくれてたんですよね。」
「ああ、いたよ。」
「真垣さん。真垣さんがしたいこと、何でもします。でも、ぜったい、近くにいて下さいね。置き去りにはしないで・・・・」
「しないよ。俺は絶対にそばにいるから。離れないから・・・信じて」
「はい」

　落ち着きを取り戻した仁美は、周りの視線が自分に注がれていることにようやく気がついた。仁美は、淡いピンクのグラウスに後ろにスリットのはいった白のタイトスカートという格好だったのだが、下着が透けて見えるので、ベージュのブラとTバックショーツで出て来ていた。でも、今、下着は黒の股間と乳房が大きく開いたボディスーツに代わっている。ブラウス越しに乳房がくり抜かれたボディスーツが丸見えだった。目を凝らせば、乳首の位置どころか、乳首そのものさえ確認できるほどだった。
「あのぅ・・・真垣さん、・・・ここ出ませんか？わたし、この格好・・・恥ずかしい」
「そうだね。ちょっと、待ってね」
　真垣は、そう言うと、携帯を取り出し、電話する為に席を立った。真垣がいなくなると、周りの視線は、さらに露骨に仁美に注がれた。
（真垣さん、はやく帰ってきて・・・・ああ、みんなに見られてる。）
　仁美は、素っ裸で見ず知らずの人の中に置き去りにされているような錯覚を覚えた。
（置き去りにしないって言ったのに。・・・早く帰ってきて・・・・真垣さん）

　真垣が、帰ってきた。
「ごめん。じゃぁ、出よう」
　そう言って、真垣は仁美の手をとった。仁美が立ち上がると、店中、全ての視線が仁美に集まった。
（ああ。・・・・見られてる。・・・見られてるわ・・・・お尻・・・出てるわ、きっと）
　スカートの後ろのスリットは深く、仁美が歩くと、むき出しのお尻が少しのぞいた。

　外に出ても、状況は変わりはしないが、既に、日が落ちてだいぶたっているので、仁美は少し安心できた。それでも仁美は、真垣の腕を取り、上体を真垣の方に向けながら歩いた。
「仁美、飲みに行こうか？」
（えっ・・・この格好で？ホテルじゃないの？）
「そこで、着替えていいですか？」
　仁美は、とりあえず、着替えさせてくれるかどうか確認した。
「いいよ」
「ありがとうございます。じゃぁ、行きます。」
　仁美の返事に真垣は笑って、通りでタクシーをとめた。

　タクシーを降りると、真垣は、ホテルの並びに建っている雑居ビルの奥へ仁美を連れて行った。奥の突き当たりにエレベーターホールがあったが、そこは、あきらかに事務所という感じだった。
（こんなところに・・・お店があるの？）
　仁美は不信に感じたが、ただ、真垣について行った。
　最上階で扉が開くと、小さなホールがあって、その先に大きな扉があった。
（オフィスじゃないみたいだけど・・・お店の名前もないし・・・）
　真垣が、ドアの横にあったカードリーダーにカードを差込、携帯を見ながら、いくつか数字のキーを押すと、カードリーダーの赤いランプがグリーンに変わった。
「さぁ」
　真垣は、仁美の背中を押すように、ドアを開け中に入っていった。

　中に入ると、若い男性が真垣にあいさつした。
「真垣さん、お久しぶりです。どうぞ。」
　男は、通路の奥の扉を開いて、真垣と仁美を中に招き入れた。
　中は、中央にスポットライトで照らされた舞台のようなものがあり、外側にカウンター、舞台を囲むよう客席が並んでいる。客席は、ゆったりしたソファーのボックス席で、ソファに比べてテーブルはかなり小さかった。
「お席にご案内いたします」
　男についてテーブルへ向かったが、客席と舞台の間は２メートルぐらいしかなく、舞台を照らすライトを浴びて、仁美の乳房とお尻を露出させた黒いボディースーツが浮かび上がっていた。二人が案内されたのが一番奥の席だったために、仁美はすべての客にその恥ずかしい姿を晒さなければならなかった。真垣がソファーに座り、仁美はその横に並んで座った。
　座るとすぐに、何か注文したわけでもないのに、お酒と何種類かのチーズとスティック野菜が運ばれてきた。運んできたのは、仁美と同じボディスーツに身を包んだ女性で、乳房を完全に露出させ、下腹部は、おへその下あたりからお尻のほとんどが開いている。手足には、先ほどの仁美と同じような拘束倶が付けられ、首輪もしていた。彼女は、仁美を見て真垣に
「あら、かわいい子。お嬢さんですか？」
　と軽口を叩いた。
（馴染みの店っていうことね・・・でも、変な店）
　仁美は周りを見た。ほとんどの席がうまっており、その半分以上は、自分たちと同じように男女のカップルだった。お店の女性は、２〜３人、さっきの彼女のように、みんな露出度の高い格好をしてお酒や軽食を運んでいるが、席でお客につくわけでもなさそうだった。男性だけの席もあった。
「真垣さん、ここって・・・？」
「ちょっとした会員制クラブのなんだろう？イベント会場かな」
　仁美は、店の不思議な雰囲気と、席が比較的暗かったことで、下着を着替えることを忘れていた。というより、その必要もないかなと考えていた。
「よく来るんですか？ここ」
「どうだろ、久しぶりだな」

　ずっと流れていた曲がかわり、少し音が大きくなったと思うと、さきほど飲み物を運んできた女性がひとりステージに上がった。中央に椅子が一つ置かれていた。
「ショーですか？」
　仁美は、真垣に尋ねた。
「そうみたいだね。」
　ステージの女性が、音楽に合わせ踊りだすと、他の女の子もボックス席の間を踊りながら回った。仁美の前にもやってきた。真垣の顔の前まで胸を近づけたかと思うと、今度はくるりと後ろを向き、顔の前にお尻を近づけ左右に振って見せた。
（何？わたしがいるのに・・・・・）
　見れば、自分のところだけでなく、彼女たちは、男性だけの席でも女性のいる席でもおかまいなしに痴態を見せていた。男性ばかりの席では勿論、女性のいる席でも、彼女たちに四方から手が伸びた。女性も彼女たちの乳首や股間に指を這わせ、濃厚なキスをしている女性もいた。
（ここって・・・・なに？）
　仁美は、唖然として、ただ眺めていたが、真垣の前の女性が、後ろを向いたまま、後ろ手で､真垣の股間をまさぐり、真垣の肉棒を取り出し、自分の肉壺へと導いたが、真垣が、彼女の腰を押さえ、拒否した。彼女は、真垣に微笑みかけ、隣の席に移っていった。
　露出した真垣の肉棒に、仁美は口を近づけ、先端を舐め、ゆっくりと根元まで咽に押し込んだ。しばらくして、真垣が、仁美に声をかけた。
「ごらん」
　そう言われて、仁美が顔を上げ、ステージを見ると、踊っていた彼女がいつのまにか、ストレッチャーのようなものに寝かされ、手は台の下に回されて固定され、足は大きく広げられ、手と同様、台の下で足首を固定されていた。ボックス席から、何位もの男性達がステージへと上がり、ぐるっと彼女の周りを囲み、手を伸ばした。何本もの手が一斉に彼女にまとわりついた。手だけではない。口にもあそこにも肉棒が押し込まれた。
　つい先ほどの自分と同じような格好をした女性が、全く同じように大勢に陵辱されている姿に仁美の目は釘付けになってしまった。彼女の口をまるで性器のように激しくピストン運動していた男性が最初に口の中に果てた。股間を襲っていた男性は、コンドームを付けて、そのまま中で果てたようだった。群がる男達は、次から次へと彼女に襲いかかった。すぐ近くでも喘ぐ声が聞こえた。見れば隣りのボックスでも、テーブルの上に女性が寝かされ、同様の事が行われていた。その横では、床に四つんばいになった女性の前と後ろから、しかも、よく見ると、お店の女の子ではないようだった。
（何・・・ここ？）
　仁美は、思わず、真垣を見た。

４．所有物

　真垣は、平然と仁美に命令した。
「仁美、服を脱いで」
　仁美は、激しく混乱していた。隣りの席もその奥も、お店の子もお客も何もない、女性という女性がすべて大勢の男に囲まれていた。正面の席の女性は、前から後ろから犯され、両腕にそれぞれ男の肉棒を握らされていた。隣りの女性は、四つんばいで口とお尻の穴に受け入れていた。喘ぎ声が入り乱れ、まさに乱交状態だった。

「わたしも・・・・されるんですか？」
「そうだ。」
「大勢に・・・？」
「そのつもりだ」
「中に出されるんですか？」
「いや、中には出さない。仁美は、俺の持ち物だから・・・」
「真垣さんの持ち物ですか？」
「そうだ・・・いやか？」
「いえ。仁美は真垣さんのものなんですね。嬉しいです」
　そう言うと、仁美は服を脱ぎ始めた。
（また、大勢に見られて、触られて、今度は犯される・・・いっぱい犯される）
　仁美は、さきほどランジェリーショップで感じた官能が再び沸きあがってくるのを感じていた。
「真垣さん・・・いてくださいね。ずっと、いてくださいね。」
「ああ、ずっと、仁美の横にいる。」
　ブラウスとスカートを脱いで、ボディスーツに手がかかったとき、真垣が制した。
「それは、そのままでいい」
　そう言うと、真垣は、仁美の顔を、再び、自分の肉棒に引き寄せた。仁美は、されるがまま、真垣のものを口いっぱいに頬張った。真垣が目で合図すると、後ろにいた若者達が、いっせいに仁美の周りに集まってきた。テーブルの上が片付けられ、仁美は、小さなテーブルに仰向けにされた。頭は、テーブルから落ち、喉と口が一直線になると、真垣は、一気に根元まで押し込んできた。仁美は大きく口を開け、必死に真垣を受け入れた。両足は高々と持ち上げられ誰のものかわからないペニスが挿入されていた。両方の乳房は、一体何本なのかわからないほどの手にもみくちゃにされ、右の手は、誰かのものを握らされたが、左手は真垣がずっと握っていてくれた。
（うわぁ・・・わぁ・・・あああ・・・・・うぉ・・・・いい・・ああああああああああ）
　仁美は、激しい快感に一気にのぼりつめ、なにがなんなのか全くわからなくなっていた。真垣が仁美の口に放出すると、仁美の肉壺を占有していた若者が、真垣と代わり、隣りにいたものが、その若者と代わって仁美の肉壺に挿入した。次から次へと、仁美の口に放出され、飲み込みきれず、よだれと共に顔中に流れ出していた。

　どのくらいの時間がたったのだろう、仁美は不意に左手を引かれた。
（真垣さん）
　その手が真垣のものであり、ずっと握ってくれていたことを仁美は知っていた。
「仁美、行こうか？」
　仁美は、真垣に引かれて、立ち上がり、通路を戻り、外に出た。服は、真垣が持ってくれた。
（わたし、きっと、酷い顔）
「真垣さん・・・・顔、洗いたい・・・・」
「そうだね」
　そう言うと、真垣は、入り口の脇にあったもうひとつの扉を開けた。そこは細い通路になっており、その通路を抜けるとシャワールームだった。既に何人かがシャワーを浴びていた。仁美は、真垣と一緒にシャワーを浴びた。

「裸の上に着るんだ」
　シャワーを浴びた仁美に真垣が言った。仁美は真垣に命令されることが嬉しかった。命令されることで愛されていることが実感できた。
（わたしは、真垣さんのもの。真垣さんの言う通り、従うだけ）
　言われたとおり、用意された服を素肌の上に着た。黒のシースルーのシャツに黒のマイクロミニのタイトスカート。裏地はなく、前と後ろにスリットが深く入っていた。仁美は、自分の姿を確認する気もなかった。真垣に言われた通りのことをするだけ。裸で歩けといわれたら、裸で歩いただろうと思う。
「いい子だ。行こうか」
　真垣は、仁美を連れ、外に出た。暗い夜の通りでも仁美のシャツは、彼女の乳房を隠すことは出来ず、多くの人がすれ違ってから振り返った。仁美のスカートから、お尻の下の部分は、はみだしており、歩くたびにスリットの間から、お尻の割れ目が露出していた。
「ホテルまで１０分くらいだけど・・・歩けるか？」
「はい」
　人とすれ違うたびに好奇の視線を浴びせられ、その視線にどこまで耐えられるか自信はなかったが、真垣の腕にしがみつくようにして仁美は歩いた。