木の葉のすき間から洩れ届く太陽の日差しが暖かくここちい昼下がり。
　レジャーシートを抱える和也の一歩後ろを、バスケットを片手に歩く理恵子。
　木立がひらけ、芝生が一面に広がると、晴ればれとした春風の吹くすがすがしい風景が飛び込んでくる。
「あなた、このへんで」
　先を行く和也を呼び止め、理恵子は手にしたバスケットを置いた。
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　この日の天気のように、理恵子の結婚生活は明るく華やいでいた。
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　そんな理恵子の生活にも、不況の荒波は容赦なく牙を剥き、黒い雲に覆われた暗い影が押し寄せていた。
「行ってらっしゃ〜い」
　つとめて明るい声の理恵子。
　夫、和也を見送る、今はまだリストラされたわけではないが、夫の今の仕事は閉鎖のための後片付け。
　和也の勤めは、中和銀行○×支店、課長にまで昇進していたが先がない。
　新しい勤め先を確保した仲間もいたが、夫はいまだ未定。
　片付け仕事も忙しく、就職活動にまで手が回らない。
　妻の理恵子にしても、暗い日々が続いている、リストラの予約など誰も望まない。
　今までの華やいだ生活、一般企業のボーナスほどの給料に桁外れに高額のボーナス。
　それだからこそ、今の状況が信じられなかった。

　和也を送り出した理恵子は、思いつめた重い気持ちで受話器を手にした。
　ピィ、ポォ、パァ、ポォ・・・
「もしもし、高科です、花田さんですか。・・・・・・お会いしてお話を、・・・」
　理恵子は結婚前にアルバイトをしたことがある。
　性格的にもスナックやラウンジのホステスなど、合っているとは思わなかったが、ママの必用な勧誘に半年ほど勤務した。
　アルバイトをしていた頃、理恵子に何度もモーションを掛けてくる男がいた。
　男は銀行家、幹部職についていた。
　今はすでに引退しているが、それでも男の影響力は保っている、従業員一人の就職の可否など簡単なことだった。
　男の名は、花田隆造。
「理恵子か、声で判るよ。そっちから連絡があるとは、何年も前に諦めたというのに・・・・・・」
　理恵子は、本名で店に出ていた。
　隆造は、理恵子の素人っぽさに引かれていた。
　固い性格で清楚、将来は幸せに包まれた家庭に治まるために生まれたような女だった。
　ママにしてみれば、理恵子の醸しだす気品が魅力だった。
　うまく仕込めば、業界でもトップクラスの女になると見込んでの勧誘だった。
　理恵子には、ママのそんな思いも伝わらず、半年もしたころ結婚話に店を離れていった。
「それじゃ、○ル○ンホテルで待ち合わせとしよう、昼の２時からなら時間がとれるが、どうかな？」
「ええ、２時に○ル○ンのロビーですね」
　小さな炎に吸い寄せられる夏の虫のように、吸い寄せられ花田にすがりつく理恵子だった。

２．見返り

　理恵子がホテルに着くと、花田はロビーの隅にあるソファーでくつろいでいた。
「こんな所で話もなんだろう、部屋はとってある」
　理恵子の顔を見つめなおした花田は、先にエレベーターへ向かった。
　不安な思いを胸に着いていく。
　理恵子の依頼に、花田が応えてくれているのである選択肢は少ない。
　部屋に入ってからも紳士的な花田だった。
・
「夫の就職先を世話しろという訳だな、簡単な事だ。就職だけじゃなく将来の出世も保障しよう」
　気安く請け負う花田、影響力のある丸菱銀行への再就職と将来をも約束しようというのである。
「ありがとうございます、ただこの事は夫には内緒にお願いします」
「お願いした上に、注文まで付けるのか、まあ、いいだろう大した事じゃない、ところで、…内緒話を一つで終わらせるつもりで来たわけじゃないだろうなぁ」
　紳士的な口調を変えずに話す隆造はつづける。
「世話ばかりして、見返りが無いなんて話は聴かないかなねぇ」
　匂わせる隆造の言葉。
「そのつもりです」
　素直に返す理恵子。
「ほおぅ、覚悟はできてるってわけだな。……それならベットに上ってもらおうか」
　隆造の声になびくように、ブラウスのボタンに手をやる理恵子。
「脱がなくていい、ベットに上ってくれ」
　理恵子の手の動きを静止する隆造。
　理恵子は言われるままにベットに上がった。
「スカートをたくし上げて、足を開いてくれ」
　投げ出した足に纏わりつくスカートをたぐる。
　覚悟はしていても、容易に足は開けない、恥ずかしさのせいだけではない屈辱に耐えられない本能のようなものが足を固定した。
　ブルブルと膝を振るわせる。
「どうした、足が振るえてるじゃないか、何もとって喰おうって訳じゃないぞ、開いてくれ、ノーパンじゃないだろう」
　ジワジワとふるえる足を開こうとする理恵子。
「あっ、やめてっ」
「何もしていない相手に、「やめて」もないだろう」
「……あぁぁっ」
　諦めなのか、思い切りなのか一声あげて足は開かれた。
「なかなか、上手く焦らすじゃないか」
　小さな鋏を手にした隆造は、ストッキングの根元を丁寧に割っていく。
　眼をつむり成すがままの理恵子。
「あっ」
　鋏が淫列の淵に触れる。
「感度はいいらしいな」
　いきなり薄絹に覆われた花園に被せられる、隆造の右手。
　手の平を避けるように、腰を浮かせる理恵子。
「そうそう、腰を振れ、腰を振って気持ち良くなっていいぞ」
　避けているとは取らない隆造の冷たい言葉。
　理恵子の股間の動きは、避けていても押し付けていても隆造には同じだった。
「あぁ」
「そうだ、そうだ、膝を立てて腰を浮かせて動かせ」
「あっ、いやっ」
　股間から来る強烈な掻痒感に理恵子自身も驚いている。
　隆造との、このシチュエーションが身体を燃え上がらせるのか、甘い昂ぶりを感じてしまう理恵子。
　ひつこく股間を揉みほぐす右手。
「敏感だな、すぐイってもいいぞ」
　浮かせた腰の動きは、徐々に激しさを増す。ふだんの理恵子からは想像もつかない姿である。
「あぁぁ〜」
（気持ちいい、どうして）
　隆造の手には、薄絹ごしに湿ったぬめりが伝わっている。
「軽く、イったのか。・・・・・・手が汚れてきたぞ」
　冷静さを保った隆造は、手を当てているだけで何もしようとしない。
　卑猥にくねる腰の動きに任せている。
（あぁ、じれったい）
　膨らみきらない掻痒感に身悶えてしまう理恵子。
　隆造の動きを止めた手の温もりを股間に感じ取り、硬くなった肉芽を振付ける。
「あぁ〜」
「埋めて欲しいんじゃないのか。・・・・・・これを、脱げ」
（いやょ）
　昂ぶる理恵子の様子を観て、隆造は促す。
　心と裏腹に理恵子の手は動く。
　抗う気持ちを持ちながら、逆らえない状況が理恵子の心と身体を悶えさせている。
　丁寧にストッキングを降ろし始める。
　逆らうことはできないと覚悟はしていても、割り切れないでいる理恵子。
　艶めかしい生足が、露わになると隆造は感歎する。
「いい身体だ、熟れた牝になったな、待ったかいがある」

　腰の動きを止めた理恵子、たくしあげられたスカートの脇に手を入れ、パンティのゴムに指を掛けている。
「どうした、何か考えてるのか、旦那の将来はまかせろ」
　動きの止まった理恵子に、隆造の脅迫じみた声。
　思い直したように、軽く腰を浮かせていく。
　紐のように丸まったパンティが、花園から外される。
　膝までずらされたパンティを、隆造の手が引き下げていく。
　一線を超えようとしている理恵子の心が身悶える。
（他に選択肢はないの）
　言い聞かせるように頭の中でこだまする。
　言葉もなく、隆造は理恵子の膝を押し開き、すでに大きく強張った穂先を押し付ける。
　抗うことは許されない、理恵子は歓喜の表情に似た苦悩を露わに顔をそむける。
「まだ、埋まってないぞ、もう感じてるのか」
　隆造の言葉を正す気力も薄れた理恵子。
（早く済ませて）
　理恵子の気持ちを知ってか、知らずか、隆造はグッと腰を推しすすめ、埋めつくした。
「うぅっ」
　夫以外の肉棒が突き抜けてくる感触が、理恵子の意識を覆い尽くす。
（あっ、いい）
　愛さぬ男の肉棒に溶けるような気持ち良さを感じてしまう理恵子。
「あぁっ」
　隆造の律動に身体の中を喜悦が突き抜ける。
　それは、和也の物よりも長く、理恵子の身体を奥深く貫いていた。
　濡れ光る蜜壷の口は、太いそれで大きく押し開かれている。
（超えてしまったわ）
　諦めの気持ちが、理恵子の心を少し自由にした。
「あぁぁ、大きい」
　思わず声にしてしまった言葉が脳裏にこだまする。
「旦那より、デカイか」
　隆造は自慢げに押し進める。
　身悶える理恵子の顔に似合わぬ清楚な衣服、隆造はアンバランスな卑猥さを楽しんでいた。
「あっ、あっ」
　理恵子は身体と共に心も身悶えている。
（アクメにだけは達したくない）
　心と裏腹に大きくなる快美感を制御できないでいる理恵子。
「ああぁっ」
　太い肉棒を理恵子の濡れた蜜壷が締め上げる。
　律動を続ける隆造。
「おぉぅ、今の良いぞ、蠢く○○○○じゃないか」
　激しさを増す隆造。
「いやぁぁ〜〜っ」
　逞しい隆造の肉棒は休むことなく単調な律動を繰り返し、理恵子を深いアクメの淵に追いこんでいく。
　そのたびに理恵子は絶えたが、押し寄せる波は高くなるばかり。
・
　どれほど続いているのか、理恵子には永遠とも思える時間が続いている。
　隆造の激しい律動の周期が変わり、大きな振幅で突いてくる。
　長い肉棒が、子宮の口をいやでも突き上げる。
「あっ、・・・・・・あっ・・・・・・あっうぐぅぅっ」
　押し寄せる大波に限界を超え、歓喜の声を放ってしまう理恵子。
　両胸の乳首を皺がよるほど固くしこらせ、首筋は紅く火照り、足指を奇妙に折り曲げ、身体全体を固く強張らせた。
　言葉がなくても、隆造には伝わる。
　結合を解く隆造。
「上の口でイかせてくれ、さあ、その方が安心だろ」
　理恵子は気だるい身体を起こして、横になった隆造の股間に顔を寄せていく。
　隆造のそれは、今だ、はちきれそうに強張っていた。
　仁王立ちする隆造を見て、理恵子は身体を越した。
　理恵子のピンクのルージュに覆われた柔らかい唇が、強張りの穂先に触れる。
　穂先は理恵子自身の蜜液でヌメリ、照り輝いていた。
　隆造の体臭が鼻につく。
　穂先を含みこむ理恵子の口腔。
　朦朧とした意識の中で、屈辱が大きく膨らんでくる。
　性器の結合よりも、強い屈辱感に再び理恵子の心は身悶える。
（選択肢はないのよ）
　理恵子の舌が穂先に絡みついていく。
「激しく、上下させてくれ、早く終わりたいだろ」
　隆造の優しくも、非情な声。

　理恵子の首の筋肉が悲鳴をあげる頃。
「イくぞ、飲み干してくれ」
　隆造はやっと、強張りを打ち震わせ命の素を噴き出した。